伊能大図
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マクベスさんの評価
ユーザー評価:5点
プレイ数:2回
投稿者:
マクベス大佐
| 2011/07/03 15:02 | コメント(0) | トラックバック(0)
同人ゲームだが、アスコラゲームから認められ『海岸』というタイトルで海外から発売され、すでにBGGで結構高い評価を受けている作品。伊能忠敬の測量を手伝うゲームで、3つのパラメーターの能力も簡単でありながらなかなか面白い。
何よりも最大の売りは、アクションカードの列作りだろう。このゲームでは、手札のアクションカードは自分のものではなく、結果として誰のものになるかはわからない。
手番に人数分のアクション列の好きな位置にカードを配置し、こうしてジグソーパズルのように、少しずつアクションの内容が確定していく、その後ほしいアクション列があれば確保し、このラウンドから抜けるといった要領で行います。
あまり露骨にアクション列を育てすぎるとダメとか、最後まで抜けずに残れば、わりと好きなようにアクション列を育てることができるなど、クニツィアのゲームのようなシヴィアで考えどころのあるメカニクスが採用されている。
3つのパラメーターの概念も面白く、それぞれが差別化されつつも重要性の優先順位が分かりやすくなっており、どれを上げれば良いか見通しも良い。優先度の低い民衆パラメーターも、先に投資する価値もあるだろうし、優先順位により上げるパラメーターが実質的に制限されることはないだろう。
また、相互作用も十分にあり、アクション列の奪い合いや、測量で先を越されることもある。他にもパラメーターの競争の概念など豊富で、相互作用も十分に用意されている。
要素の多さはどちらかというと現代ゲーム的だが、基本はシンプルでどうプレイしていくか考えどころが与えられており、下手な要素の多いだけで、自由度が低く閉塞感の強い現代ゲームより優れていると思います。たぶん昔ながらのゲームが好みの人にも受け入れられるだろう。
終了時の得点になる要素が少々多いが、許容範囲といったところ。だいたいの必要情報はゲームボードに描かれており、プレイアビリティが悪いとかいうことはない。
今回は3人で試したが、うまく自分だけ得するようなアクションの配置をお互いにして、自分の列を作る戦略が流行ったが、他人の邪魔もできなくはないだろう。4人になれば、こんなプレイスタイルはほぼ不可能だと思います。なので、3人と4人ではまたプレイ感が違うでしょう。入門には3人の方が適しているように思います。
ここまで基本的には褒めさせて頂きましたが、少しばかり懸念事項を取り上げておきます。
1つ目はアクションカード配置の自由度がどれだけあるのか、まだ検証してみたいところです。少なくとも現状では、こう置くしかないというような、手の間接的な制限はうけた印象はなかったです。
2つ目は展開の一本道化、2ターンに一度ボーナスがあったりと、上げるパラメーターの優先度の高さがやや明確なので、プレイスタイルが限られる気がしなくもない。だがこれは、どの良いゲームにも割とある問題なので気にならないかも。過程が悩ましければ、結果がほぼ同一でも気になる人はおそらく少ない。
そんなこんなで基本は大絶賛させていただきましたけど、もう少しプレイを通して検証してみたいところ。分かりやすい欠点は無さそうなので、今後評価が伸びる可能性は高い。
価格も『伊能大図』ならば4,000円と非常に安いのもポイント。長時間ゲームでこの価格は頑張っているのではないかと思います。ボードやタイルもなかなかの出来で、木コマも製品並みの出来。カードだけが紙質が残念だが、その他はケチのつけようがない。
強いていうならば、日本語マニュアルが分かりにくく、英語マニュアルで補完する必要があるのが残念なところ。これだけが残念です。
最後にこんな素晴らしいゲームが国内で、ほぼ何の評価もなしに手放しにされていたことが非常に残念です。もっと評価されるべき作品だと思います。
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