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たんとくおーれ>>コメント 評価コメントリスト

  コメント   さぶみっしょんさんの評価
  評価   ユーザー評価:3点 プレイ数:3回
投稿者:さぶみっしょん | 2010/08/02 09:39 | コメント(0) | トラックバック(0)

※長文失礼!

当作品の評価は、そのプレイされるべき必然性が全く見当たらないという理由から、極めて低いものにならざるを得ません。
ゲームシステムには『ドミニオン』との差異化が見られますが、失敗している部分が少ないとは言えず、本家よりもバランスが悪い印象を受けます。3回しかプレイしていませんので、もっとプレイ回数を重ねれば整ったゲームバランスが見えてくるかもしれませんが、ゲームの概略を掴んだだけで充分これ以上のプレイが必要ない作品であることが理解されました。

『たんとくおーれ』が作品を駄作たらしめているのは、『ドミニオン』に代わってこの作品を手に取る必然性が皆無な点にあります。
あるタイトルの影響を受け作品に取り入れることは、それが傑作であればあるほど起こり得ることですし、文化の発展と新たな傑作の誕生のために行われて然るものです。これはボードゲームに限らずあらゆる領域で当然のように見られる現象です。
しかし、この『たんとくおーれ』においてはその模倣がゲームを望ましい方向に向かわせることはありませんでした。なぜなら、この作品がそのような発展や昇華を起こす可能性を僅かほども持ち合わせていないためです。

『ドミニオン』の優れたところは、ゲームシステムの優秀さに留まりません。『ドミニオン』タイプのゲームシステムを生み出したドイツゲーム史における文化史的功績、多数のプレイヤーが存在するというプレイフィールドの広さ、タイトルそのものが小さいながらもひとつの文化体系として成立しているというドイツゲームには希有な状況を作り上げているところにもあります。大会が開かれたり、戦術の研究が進む作品がドイツゲームの中にどれほどあるでしょうか。これは遊ばれるための大きな動機となります。

そして、作品のテーマ性の欠如もゲームの価値を大きく下げてしまっています。「萌え」をテーマに据えたこと自体に問題はありません。しかし、「萌え」自体がどうこうという話では無く、無理に取ってつけたような固有名詞や専用の用語(「コスト」を「はぁと」と置き換えたりしている)はゲームシステムを理解しづらいものにし、テーマとゲーム上のルールがまるで溶け合っていないことはひとつのパッケージとして大きな問題点だと言えます。「萌え」を前面に押し出すのであれば、それに即したシステムが必要だったでしょうし、逆にゲームシステムを重視するなら、この理解を妨げる諸要素はマイナス要素でしかありません。
ドイツボードゲームの魅力は、ゲームシステムだけではなく、そのテーマ性やコンポーネントのあり方によっても大きく左右されます。ゲームシステムのみに注視するのであれば、ドイツのボードゲームをわざわざ遊ぶ必要はないでしょう。ドイツボードゲームの幅広い魅力の一端は間違いなくその美術やテーマ性の如何に左右されているのですから。
『たんとくおーれ』のやり方は「萌え」のきぐるみをその中身にかぶせたに過ぎません。

また優秀な拡張パックが『ドミニオン』では出続けていることも重要です。世界的に広く遊ばれ、膨大なプレイレポートの元に作り上げられたそれら拡張パックの完成度は非常に高く、仮にシステム面にのみ目を見張ったにしても、『たんとくおーれ』が元祖に勝る要素はありません。

テーマ性の欠如、文化史上の発展性の皆無、そして元祖との完成度の違い。ドイツボードゲームのその懐の広さに魅力を感じるものにとって、この『たんとくおーれ』は駄作と評価する他ないタイトルだと思います。

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