高尾ボードゲーム会 2021.08.29

久し振りにイズナさん主催の高尾ゲーム会に参加しました。夕方からだったので3ゲームしか遊べませんでしたが、今や対面で遊べるのは貴重な機会です。




ツタンカーメン Tutankhamun (25世紀ゲームズ版ファラオエディション)
(プレイ時間 45分)
Tutankhamun20210829.JPG今回で3回目となるファラオエディションです。ボード代わりの大きなマットが雰囲気があります。自分以外はほぼ初プレイなのですが、ルールはシンプルで特殊タイル5種はクニツィアにしては多めとはいえ現在の標準なユーロゲームからいうと少なめなので問題なく遊べました。特殊タイルが前半に固まっていたのであまり活躍の場はありませんでしたが、できるだけ最少枚数で2位や1位を狙うのはやはりマジョリティーの原点として面白いです。

今回は勝てるかと思いきや、同時に0点達成でタイブレーク負けでした。後ろにさがれるルールをもっと有効に使いこなしたいものです。

結果:イズナ 0(勝利)、自分 0、メルカッツ 3、武井 4、Tomox 5、トミー 5



トレンデイー Trendy (テンデイズゲームズ版)
(プレイ時間 20分)
Trendy20210829.JPGかなりまえに購入したのですが、遊ぶのは今回が初めてとなるテンデイズゲームズ版のトレンディー。グラフィックが昔のファッション誌っぽくて、元のシュピールシュパース版とはかなり異なりますが、個性があって良い雰囲気です。ルール通りに100点先取で遊びました。3ディールで終了。

結果:イズナ 127、自分 120、武井 112、メルカッツ 92



サギ師 Hochstapler
(説明 5分 プレイ時間 25分)
Hochstapler-Boxes.JPG「サギ師」はクニツィアがデザインし2009年にコスモスから出版された3−7人用の手軽なブラフのカードゲームです。のちに「イカロス Ikarus/Icarus」として2015年にコザイク(グループSNE)とビクトリーポイントゲームズから出版されていますが、それぞれ元のゲームとルールが異なるのも興味深いです。また、原題の綴りがコザイク版は Ikarus (ドイツ語)なのに対し、ビクトリーポイント版は Icarus (英語)です。

コンポーネントは7スート各15枚ずつ(内訳:0、0、0、1、1、2、2、3、3、4、4、5、5、6、7)、合計105枚のカードだけです。スートの裏面はスートがはっきりとわかるように色別になっています。

Hochstapler-Cards.JPGゲームの目的はスートごとに全員のカードの数値合計を的確に推理して、失点を抑えることです。ゲーム開始時には、カードをスートごとにそれぞれよくシャッフルして、各プレイヤーは各スート1枚ずつ合計7枚を手札として受け取ります。残ったカードもスートごとに7つの山札としてテーブル中央に並べます。ゲームは7ラウンド行われます。

各ラウンドでは、まずスタートプレイヤーが任意のスートに対して、全プレイヤーが持っている数値の合計を予想して、スートと数値を宣言します。例えば「黄色が15」と言ったら、全プレイヤーの手札の黄色の数値合計が15以上だと宣言しているのです。また、宣言の前に手札1枚を交換できます。任意の1枚を公開して捨てて同じスートのカードを山札から取るのです。その後、宣言するスートは交換するスートと同じである必要はありません。

次のプレイヤーからは、より高い数値の宣言をするか、直前の宣言に対してチャレンジするかの2択です。より高い数値の宣言をするときには、まず前述したように手札1枚を交換できます。その後、宣言をしますが、数値がより高ければこれまでと同じスートである必要はありません。ジャンプビッドも自由です。例えば「黄色が15」のあとは「黄色が16」だけでなく、「赤が16」や「青が18」なども言えるのです。

直前の宣言に対してチャレンジしたならば、全員がそのスートのカードを手札から公開して、宣言が正しかったかをチェックします。出したカードの数値合計が宣言以上ならば宣言が正しくチャレンジ失敗、未満ならば宣言は間違いでチャレンジ成功です。いずれにせよ失敗したプレイヤーがそのスートのカードを山札を含めて全て引き取り、自分の前に裏向きに置き、ラウンドが終了します。この山札1つにつき1失点となるのです。そして、チャレンジをしたプレイヤーがスタートプレイヤーとなり、新たなラウンドを始めます。

こうして7ラウンド終了し、全ての山札が誰かの失点になったら終了です。もっとも失点の少ないプレイヤーの勝利です。タイブレークはありません。

戦略としては、まずカードの配分と平均値を概算で良いので知ることです。カードの平均数値は約2.87、中央値は3、最頻値は0です。そして数値合計の範囲は3、4、5、6、7人プレイで、それぞれ0−18、1−23、2−27、4−31、6−34となります。ゲーム中は、各プレイヤーのビッドしたスートや数値、そして交換されてなくなってしまったカードをある程度は覚えておくと良いでしょう。もちろんできるだけチャレンジに関わらない方がよく、なるべく素知らぬ顔で次に回すように心がけるのが得策です。

有名なダイスゲーム「ライアーズダイス/ブラフ/ペルード」をそのままカードゲームにしたという感じのゲームです。「サギ師」の方が「ライアーズダイス」よりも手軽に遊べるという良さがあります。クニツィアのデザインでは、全員の持っている枚数を予想する「メンバーズオンリー」や、他のプレイヤーのカードがどんどん加わっていく(ように見える)「DTC/シュピーツバブ」など、同系統のゲームが幾つかあり、遊ぶ比べてみるのも興味深いところです。

各エディションの違い

カードのスート色
サギ師:赤(時計)、桃(ワイン)、橙(家)、黄(ヨット)、緑(ダイアモンド)、青(車)、紫(指輪)
イカロス(コザイク版):赤、桃、橙、黄、緑、青、灰色
イカロス(ビクトリーポイント版):赤、橙、黄、緑、青、藍、紫

使用するカード
サギ師:すべて使う
イカロス(コザイク版):すべて使う
イカロス(ビクトリーポイント版):各スート1枚ずつは使わない(ダイダロスの手札 Daedalus Hand とする)

捨札
サギ師:スート別に一番上だけ公開
イカロス(コザイク版):スート別に一番上だけ公開
イカロス(ビ):スート別にずらして並べてすべて公開
(バリアント:ダイダロスの挑戦 Daedalus Challenge ではスート別に一番上だけ公開)

宣言
サギ師:スートは変えられる
イカロス(コザイク版):スートは変えられない
イカロス(ビクトリーポイント版):スートは変えられる

山札が尽きた時
サギ師:記述なし
イカロス(コザイク版):記述なし
イカロス(ビクトリーポイント版):それ以上交換できない

失点
サギ師:1回につき1失点
イカロス(コザイク版):1回につき1失点
イカロス(ビクトリーポイント版):1回につき2失点または5失点
(宣言値との差が2以下の時2失点、3以上の時5失点)

終了条件
サギ師:1ディール7ラウンド
(バリアント:あるいは誰かが10失点したディールの終わりまで)
イカロス(コザイク版):1ディール7ラウンド
(バリアント:プレイヤー数だけディールを行う)
イカロス(ビクトリーポイント版):誰かが4回失点したとき。
(バリアント 長距離飛行 Longer Flight:4人なら5回、3人なら6−7回失点したとき)

失点と終了条件については、イカロス(ビクトリーポイント版)に以下のバリアントがあります。
バリアント 空の中を飛ぶ Flight In The Skies:開始時に3点を持ち、1回の失敗につき1失点。3失点したらただちにゲームから脱落し、最後まで残ったプレイヤーが勝利(これは様々なルールで唯一必ず単独の勝者が決まる方法です)

特殊カード
サギ師:なし
イカロス(コザイク版):なし
イカロス(ビクトリーポイント版):フライトカード21枚

「サギ師」はどれだけの財産を持っているかをテーマにしており、絵柄も美しくて良い雰囲気です。ゲーム中はスート色ではなくむしろスートの種類(時計、ダイアモンドなど)で宣言することが多いと思います。ビクトリーポイント版「イカロス」と比べての問題点は、やはり同点の多さでしょう。1ディールで7失点しかないので、これは当然であり、やはり数ディール遊ぶのが良いと思います。バリアントとして誰かが10失点までプレイすることが書かれていますが、これはプレイ人数によってはかなり長いゲームになるので、3ディール(計21失点)で終わる点数を目標にすると良いと思います。つまり(20/人数(端数切り下げ)+1)失点というのを終了条件にし、サドンデス終了にするのです。これだと、3、4、5、6、7人プレイで、終了条件の失点は7、6、5、4、3点となり、偶然にもプレイヤー数と終了条件の失点の和が10なので覚えやすいと思います。

コザイク版「イカロス Ikarus」はカードの絵柄がラーメンのどんぶりの模様のような感じで、すべてのスートが同じデザインです。基本的なルールは「サギ師」と同じですが、ルールに大きな変更があり、ラウンド中に違うスートに宣言を変えることはできません。個人的にはこの変更は相当な改悪だと思います。宣言の色が変えられたいとゲームとして単調だし、そのあとのゲーム対しての戦略の深みが全く生まれません。しかし、それはクニツィア本人の意向ではなく、あとから公式ウェブサイトでスートを変えても良いということになりました。
(参考リンク)
http://www.groupsne.co.jp/user/interview/2015/10/01.html
http://www.groupsne.co.jp/products/bg/ikarus/ikarus_details.html
個人的にはこうしてデザイナーの意図と異なったルールを正式にしてしまうことに、大きな疑問を感じます。デザイナーに対する敬意の問題でもあるし、デザイナーの意図通りに遊びたいというプレイヤーとしての希望もあります。

Icarus-AdditionalComponents.JPGビクトリーポイント版「イカロス Icarus」は、カードの絵柄が翼を広げたイカロスになっており、高い数値ほど太陽に近くなっているのが良いです。基本的なルールは「サギ師」と同じですが、あらかじめ各スートから1枚抜いておくこと、捨札はすべて公開すること、2段階制の失点など、細かいところでかなり違いがあります。さらに105枚のカード以外にも、ゲームボード、宣言を示すトークン、失点を示すフェザートークン、そして特殊カードのフライトカード21枚が付属します。このなかで、ゲームボードと宣言トークンはプレイエイドですが、フェザートークンとフライトカードはこの版ならではのルールをによるものです。

フェザートークンは表に−2、裏に−5と書かれて2段階の失点を表します。宣言値との差が2以下か3以上かによって受け取る失点が異なるのです。これにより、失点回数が多くても必ずしも負けるとは限らないし、タイブレークが少なくなるという長所もあります。コンポーネントとして、これらを打ち抜いた後に滑らかにするためのナプキンがわざわざ付いてきたのは驚きました(写真参照)。

フライトカードは16種21枚(5種2枚ずつと11種1枚ずつ)あり、以下の2つのバリアントで使用します。バリアントはどちらかだけでも両方使っても構いません。ゲーム開始時にフライトカードをすべてシャッフルして山札とします。

気紛れ飛行 Fancy Flying:手番に、カード1枚を交換する代わりに表向きに公開することで、フライトカード1枚を獲得します。公開したカードはのちの手番で交換したら、新たに得たカードが公開されたままになります。

タロンの挑戦 Talons Challenge:他のプレイヤーの宣言にチャレンジして勝てば、フライトカード1枚を獲得します。このルールを入れる場合は、次の手番のプレイヤーだけでなく、時計回りに全員にチャレンジする権利が与えられるので、ゲーム性が変わります。

獲得したフライトカードは、手札として持ち、示されたタイミングで使えます。自分の手番にプレイできるもの、自分の宣言がチャレンジされたときにプレイできるもの、チャレンジに関わっているときにプレイできるもの、相手がビッドした直後にプレイできるもの、フライトカードがプレイされた直後にプレイできるもの、いつでもプレイできるものと、使えるタイミングは様々です。使ったフライトカードは1つに重ねて捨てます。手札のフライトカードは1枚だけは次のディールに持ち越せます。残りは捨てなければなりません。なお、フライトカードのデッキはゲームを通してリシャッフルしません。つまり21枚の使いきりなのです。

フライトカードの内容は、カードの合計値や宣言の数値を変更するもの、相手の手札やあるスートのデッキを見たり交換したりするもの、相手に強制的に交換させるもの、パスができるもの、他のフライトカードを無効にするもの、などさまざまです。

フライトカードは少々大味ですが、なかなか楽しめます。特に気紛れ飛行のルールは面白いです。タロンの挑戦はテンポがかなり落ちてしまうので、これまで通りに次のプレイヤーだけが宣言にチャレンジできるとした方が良いかもしれません。

フライトカードの和訳はここでダウンロードできます。
https://www.gamers-jp.com/playgame/db_filea.php?game_id=7360

Hochstapler20210829.JPG
今回は4人プレイでしたが、終了条件の失点は5点として遊びました。1ディール目を無失点に抑えた武井さんが、そのまま2ディール目も抑えます。2ディール目途中で5失点に達した自分が敗北。イズナさんは2ディール目では無失点だったものの同点2位に終わりました。手軽なので3−7人のいろいろで遊んでみたいものです。またビクトリーポイント版の様々なバリアントもなかなか面白いと思います。

結果:武井 1(勝利)、メルカッツ 3、イズナ 3、自分 5

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