9回目の訪問となるエッセン・シュピールを絡めた旅行です。今回は、休みが長めに取れたのでほぼ1ヶ月の長い旅になりました。エッセンではスペインから来るネスターやホセと一緒のアストリアホテルを春から押さえておきました。ここは一昨年も使ったところで、Altenessen にあるので馴染みがある地域です。ネスターはエッセンは久し振り、ホセは初参加です。彼らがエッセンに来ることもあって、今年のネスターミーティングはありません。その代りに、ベネチア、イギリス、北欧、ついでにシンガポールとマレーシアにも行くことにしました。
色々と考えて、航空券は3枚取りました。東京羽田-ベネチア(エミレーツ航空・ドバイ経由)、ヘルシンキ-シンガポール(トルコ航空・イスタンブール経由)、そしてクアラランプール-東京羽田(エアアジア)の3枚です。往復とも羽田発着で時間を有効に使えました。ベネチアからヘルシンキまでは陸路で行く予定で、ミュンヘン、デュッセルドルフ、ロンドン、バース、さらにシンガポールで知人友人を訪ねる予定です。航空券とエッセンのアストリアホテルの他には、最初のベネチアでの宿だけを予約して行ったのですが、なんとかなるものですね。だいたいの計画は以下の通りです。
計画
10月18日:羽田からドバイ経由でベネチアへ
10月18日-10月20日 ベネチア滞在
10月20日-10月24日くらい ミュンヘン滞在
10月25日-10月29日 エッセン・シュピール
10月30日-11月3日くらい デュッセルドルフ&ロンドン
11月3日-11月6日 バース滞在
11月6日-11月11日 北欧を北上(バースからヘルシンキへ行く)
11月11日-12日 ヘルシンキからイスタンブール経由でシンガポールへ
11月12日-14日 シンガポール滞在
11月14日-11月16日 クアラランプール滞在
11月16日 クアラランプールから羽田へ帰国
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10月18日 水曜日 (東京→ベネチア)
17日に仕事を終えて、そのまま羽田空港へ向かいます0:30発のエミレーツ航空EK313便です。あらかじめオンラインチェックインをしていたおかげで列に並ぶこともなく、非常にスムースに手続きを終えました。去年は秋山さんと一緒で、成田からのドバイ行きのエミレーツでした。そのときは機内に美味しいカボスのドリンクがあったので尋ねてみると、JALとのコードシェア便のみ提供だとのこと、残念。ドバイでの乗り換えはターミナルまで往復とも長時間のバス移動でした。9:05発のエミレーツ航空135便でベネチアに向かいます。モニターの運行経路を見ると、シリアを避けて飛んでいるのがわかります。
イタリアは一応2度目ですが、ティラノというスイス国境の街にしか行ったことがないので今回が初イタリアと言っても良いでしょう。ベネチアのマルコポーロ空港でベネチア本島までの片道バスと48時間有効のヴァポレット(水上バス)のチケットのセットを36ユーロで買います。空港から5番のバスに乗ること30分、最後に長い橋を渡ってベネチア本島に入りローマ広場に到着。自動車、鉄道、自転車はこのローマ広場までしか入れず、島内はすべてヴァポレット、水上タクシー、ゴンドラ、徒歩でしか移動できません。ヴァポレットは高頻度で複雑に何系統も走っています。住民の足としても重要なので、運賃体系の異なる観光客と住民のゲートを分けている停留所もあります(写真)。
2番系統のヴァポレットをリアルト橋で降りて、予約していたホステル Boutique San Marco Guesthouse を地図を頼りに探すのですが、なかなか見つからずに大変でした。ようやく扉に張り付いたメモにホステルの名前を見つけたものの、イタリア語で説明が書かれており、開けられません。3回押せば良いのかと思って3回押すとアンロックされました。扉を開けると真っ暗な広間で怪しさ満点です。でもこの最上階にホステルはありました。
荷物を置いて身軽になったので、気の向くままにサンマルコ広場まで散策し、夕方にはヴァポレットを使ってベネチア唯一だと思われるゲームショップ Lanterna Magica (Giochi Uniti) を訪問しました。1階はおもちゃ、2階はゲームが中心です。イタリア版の他に、英語版もかなり揃えてあります。イタリア製のパズルや木製のゲームもありました。夕食は Ginos というアカデミア橋近くのレストランでシンプルなボロネーゼを食べました。これがとびきり美味しかったです。オリーブオイルも最高。
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10月19日 木曜日 (ベネチア・ムラーノ島)
朝、あまり人がいないうちにリアルト橋まで行ってみました。そのあとカフェで美味しいコーヒーを飲み、迷路のような路地をあてもなく歩き、自然博物館を覗いたりしながら、島の入り口にあるセントルーチア駅まで行きました。歩いているだけで楽しい街です。「インコグニト」、「サンマルコ」、「ベネータ」、「リアルト橋」など繰り返しボードゲームの舞台になる理由がよくわかります。(写真はリアルト橋からの眺め)
午後は、4.1番系統のヴァポレットでベネチアングラスで有名なムラーノ島へ足を伸ばしてみました。本島を出るので海風が気持ちいいです。数多くのガラス細工の店があり、それらをゆっくり見て回るだけでも楽しいものです。ガラス細工の実演では、熱く膨らましたガラスを急に地面に近づけて破裂させていたのはびっくりしました。
サンマルコ広場に戻って海辺を東に歩き Ristorante San Giorgio で夕食。イカスミスパゲティーを食べてみましたが、かなり塩分が高く、あとで胃にきました。やはりボロネーゼの方が良いです。
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10月20日 金曜日 (ベネチア→ミュンヘン)
今日がベネチアの最終日。ゲームショップ Lanterna Magica を再訪し、そのついでに隣りにあったダビンチ博物館にも行きました。色々と物理的な仕掛けがあって、意外と楽しめます。2日前に食べたパスタが忘れられず、同じレストランで同じボロネーゼを食べました。美味しいイタリア料理ともこれでお別れです。
ベネチア・セント・ルーチア駅13:50発のインターシティEC86に乗り、ドイツのミュンヘンに向かいます。15分遅れで出発。食堂車で夕食をとって会計をすると、お釣りの額が違います。どうも計算が苦手なウエイトレスらしく、一緒に計算して間違いを教えてあげたら、お礼にと写真のお菓子をくれました。途中でオーストリアのインスブルックを通ります。2012年に、スイスのザンクトガレンからミュンヘンに抜けるときに、ここインスブルックでボードゲームショップ巡りをしたことを思い出しました。
ミュンヘンHbfから、去年同様にDC時代のロシア人の友人ナターシャ一家の家に行きます。ちょっと体調が悪いのが心配です。
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10月21-23日 土-月曜日 (ミュンヘン)
風邪が急に悪化してダウンしてしまい、ミュンヘンではほとんど安静にしていました。友人一家は暖かいスープを飲ませてくれたり、お湯に溶かして飲む薬をくれたりと気遣ってくれました。21日の土曜日は、ナターシャの夫のディルクと数年前にも行った科学関係の展示会に行く予定でしたが、完全に寝込んでいました。
翌日の日曜には少し体調が良くなったので、息子のレオンのラグビーの試合を見に行きました。翌々日の月曜ものんびりと過ごして、シュピールに向けて体調を整えて火曜日に出発することにしました。
ミュンヘンに来たのにまったく観光できず、マリエンプラッツにさえ行っていないのですが、友人家族と色々おしゃべりができただけでも十分良かったです。またプレゼントに持ってきた「リカーーーリング」を気に入ってくれて、何度か遊びました。
遊んだゲーム
リカーーーリング Recurrring (22日と23日に各1回)
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10月24日 火曜日 (ミュンヘン→デュッセルドルフ→エッセン)
いよいよエッセンに向けて出発します。11:28ミュンヘンHbf発のICE518です。時間に余裕があったので、マンハイムでライン川沿いに走る14:39発のEC8に乗り継いで景色を楽しみました。
途中、デュッセルドルフで降りて、秋山さんたちに合流します。シューマッハーというドイツ料理のレストランで4人でアイスバインやソーセージを食べました。エッセンのカールスプラッツ Karls Platzにあるアストリアホテルにチェックイン。いよいよ明日は前日プレス日です。
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10月25日 水曜日 (シュピール0日目)
シュピール前日は例年通りに朝11時から開幕のセレモニーです。毎年このスライドでボードゲームのトレンドが短時間でわかるので勉強になります。今年は51カ国から出展があり、ブースの数は1100もあります。去年よりもさらに増えており、いずれはメッセをすべて使う日が来るかもしれませんね。
セレモニーに続いて、去年同様に1番ホールの地下(1Aホール)でのプレス用の展示を見に行きます。午後は大半の時間をここで過ごしました。どのテーブルでも非常に熱心に説明してくれるし、色々なゲームの衣装(コスプレ)を見るのは楽しいものです。無料で本格的なカプチーノやホットチョコレートの提供があり、病み上がりの自分はありがたく何杯かいただきました。
夜7時のディナーパーティーでは、タナカマさんらテンデイズゲームズ一行やホビージャパンのねいじまさんと同テーブルになりました。今年はDSP10位に「エルドラド」が入賞してクニツィアもご機嫌です。エルドラド風の探検隊員に着替えて舞台ではしゃいでいました。
子供ゲームはアイスクールが受賞。このゲームはクニツィアのゲームが元になっているということで、てっきり「ペンギンパーティー」のことかと思いましたが、あとで出版社のブレインゲームズの人たちと話す機会があったので詳しく聞いてみると「ブンブンかくれんぼ Honigbienchen」の蜂のコマがアイスクールのペンギンの元だということ。なるほど! と納得しました。
夜にはネスターとホセが到着すると思っていたので、パーティーを早めに切り上げてホテルで待っていたのですが、なかなか現れません。どうも到着日を1日勘違いしていたようで、彼らは翌日到着のようです。ほっとしました。
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10月26日 木曜日 (シュピール1日目)
朝からホビージャパンの通訳を務めます。その合間合間にゲームを買って、この日だけで14ゲームも買ってしまいました。そのうちの一つ「クリスクロス」はダイスゲーム百科に紹介されているタイトルです。果たして同じゲームなのでしょうか?
会場の中は暑かったので、コートをホビージャパンのブースに置かせてもらったのですが、それを忘れてホテルまで帰ってしまいました。よく考えたらパスポートがコートのポケットに入ったままです。でも気づいてくれたらしく、ちゃんと鍵のかかるロッカーに入れて保管してくれたようで、ホビージャパンの方には大感謝です。これでもしパスポートを紛失したら3度目になってしまいます。
夜は、ホテルに到着したネスターやホセと、すぐ隣のギリシャレストランに行って再会を喜び合いました。ネスターにヤバラックスの製品版を見せてもらい、早速、遊びました。
ヤバラックス Yavalax
完成した製品版のヤバラックスのサンプルです。ホセやネスターと交互に何度か遊びました。2人にも良いゲームだと言われたので、嬉しいです。色合いも元になった「ヤバラス」と似せてあり、良い感じだと思います。12月のゲームマーケットで販売する予定です。
遊んだゲーム
ヤバラックス Yavalax (3回)
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10月27日 金曜日 (シュピール2日目)
この日のハイライトは、とある中古ゲームのブースを漁っていたら、そのブースで働いていたコンラードに話しかけられたことです。他とは品揃えがちょっと異なっていたので、丁寧に1つ1つ見てオクトロやマネージャー(初版)を買ったのですが、店番をしていた男性がコンラードでした。ナゲット、フィノ、ペパーザックなどを世に送り出したデザイナーです。コンラードの最初のゲームだという Wüstentruck を彼自身に勧められて購入しました。
夜は、ホセが購入したヘンマーゲームズという新しいアブストラクトゲームの出版社から出ている「トライアングル」や自分が買った「モダンアート」を遊びました。
トライアングル Try-Angle
2-3人用のゲームで、4枚からなる正三角形を作るというゲームです。配置のルールがややこしくて、ルール表記に不備があり正しく遊べませんでした。翌日、ルールをチェックしにブースに行ったのですが、いずれにせよ「トライアンギュラー」の方が斬新で面白いと思います。コンポーネントは木製で良い感じです。
モダンアート Modern Art (オインクゲームズ版)
次に、3人で何か遊ぼうということになり、ネスターとホセが非常に興味を持った「モダンアート」を遊びました。前日購入したオインク版をさっそく開封します。絵を立てるイーゼルが付いているのはおしゃれですが、なにぶん箱が小さすぎて収納しづらいのは欠点です。競りゲームというジャンル自体は好みが分かれますが、2人とも気に入ってくれたようです。
結果:自分 525、ネスター 351、ホセ 324
遊んだゲーム
トランアングル Try-Angle
モダンアート Modern Art (オインクゲームズ版)
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10月28日 土曜日 (シュピール3日目)
午後2時半に通訳の仕事が終わり、ここから完全な自由時間です。まだ見つけていないゲームや中古ゲームを探し求めます。一応、ハイデルベルガーやシュピールオフェンシブの安売りも覗いてみました。シュテフェンシュピールではシュテフェンに色々なゲームを紹介してもらいました。
27 27
「27」はアブストラクトゲームでその名の通り27枚のディスクがコンポーネントです。うち各プレイヤーは9枚のディスクを持ち、残りの9枚はゲームボードの代わりです。自分が一番上のスタックの数だけ、いずれかのスタックを進めなければなりませんが、スタックのうち任意の枚数だけ動かすことができるのが面白いです。こうして相手側で高いスタックを作った方が勝利です。
そのあと、シュテフェンシュピールの斜向かいにあるクレメンツ・ゲルハルツのブースに行って、ディーター・シュテインに彼自身の新作「ウルビーノ」や、他の新作「トライアンゴリ」「クアトロフラッシュ」を試遊しました。この一帯が3番ホールのアブストラクトの聖地で、遊んでいるうちに、ネスター、ホセ、エリックマーティンなど知った顔ぶれが続々と来てちょっとしたアブストラクト同窓会みたいな雰囲気になりました。
ウルビーノ Urbino
「ウルビーノ」はイタリアにある都市の名前で、このゲームは都市建設をモチーフとしています。建築する場所は2人の建築士から見える場所でなければなりません。同じブロック(縦横の建物のつながり)でのマジョリティー争いですが、これもディーターの「アバンデ」を思わせる仕掛けがあって、非常に独特なプレイ感覚です。今回のエッセンで試遊したゲームの中では一番の面白さです。2回遊びました。
トライアンゴリ Triangoli
ちょっと変わったエリアマジョリティーのアブストラクトです。コマを1-3個置けるのですが、それが移動力や手番数と関係しており、多くおけば良いというものではないのが面白いところです。エリックといっしょに遊び、最後に負けてしまいました。
結果:エリック 勝利、自分 敗北
そのあとヘンマーゲームズに行って「トライアングル」と「ホスタイルテイクオーバー」を遊びました。
ホスタイル テイクオーバー Hostile Takeover
おそらくヘンマーゲームズが一番力を入れているゲームです。タイルをチェッカーボード上に並べてボードを作り(スクエアオンセールみたい)、自分のコマを並べます。コマは3種類あって動きが異なり、相手のコマを6個制圧すれば勝利です。コマの動きを覚えるまでがちょっと大変ですが、悪くないのではないでしょうか。
最後に、一年中未来のブースに遊びに行って、彼葉さんがデザインした「ぽんこつファクトリー」を遊びました。
ぽんこつファクトリー Ponkotsu Factory
「大怪獣コトバモドス」の英語版です。お互いに与えられたタイルから12枚のタイルを使って4文字の単語を3つ作ります。英語版ではあらかじめ母音が一定数配られて、単語ができやすいようになっています。そのあとその12枚を混ぜて相手プレイヤーに渡し、お互いになるべく早く単語を組み立て直すというのが目的です。このゲーム、日本語版でもそうですが、難しいですね。さっぱりわからん!
夕食はネスターとホセと3人でホテルの近くのスロベニアレストランに行きました。昔、1度だけ行ったことがあり、今回で2度目です。ステーキがとても美味しくて、完食。ホテルに戻ってからはネスターと雑談をしつつ、「勝手にしやがれ」「ペア猫」「27」を遊びました。
遊んだゲーム
27 27
ダイスブリッツ Würferblitz
ポク Pok
ヤバラックス Yavalax
ウルビーノ Urbino (2回)
トライアンゴリ Triangoli
クアトロフラッシュ Quatro Flash
トライアングル Try-Angle
ホスタイル テイクオーバー Hostile Takeover
ポンコツファクトリー Ponkotsu Factory
勝手にしやがれ Kattenishiyagare
ペアネコ The Waltzing Cat
27 27
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10月29日 日曜日 (シュピール4日目)
シュピールの最終日です。いつもながらあっという間に5日間が終わってしまいます。ひと足先に帰るネスターとホセを見送ったあと、会場に向かいます。探していたアーボリア Arboria の代わりにアボリア Aborea を間違えて買いそうになったりと、いろいろ大変です。
再びゲルハルツのブースを訪れると、ちょうどディーターがサントリーニの作者とウルビーノを遊んでいるところでした。ディーターに「Cクロス」を教えてもらって遊びます。思っていたより本格的なゲームで面白い。そのあと、再びヘンマーゲームズを訪れて、今度は「ダブルクロス」を教えてもらいます。
ダブル クロス Double Cross
中央の列のカードに従ってスタックの一番上のコマを移動させていき、多くのスタックをコントロールするのですが、簡単に反撃できるためにゲームがなかなか終わりません。おそらくうっかりミスをしない限りはゲームは永遠に続くと思います。勝利条件などを変えればまだゲームになったかもしれません。
中古ブースを回っていると、なんとブルームーンのポスターを発見! 聞いてみるとさっき日本人が買おうとしたけど買わなかったよ、とのこと。どうも秋山さんが買おうとしていたみたいです。
名残惜しいですが、これで今年のシュピールも終わりです。購入したゲームが持ちきれずに苦戦していたら、たけるべさんがタクシー乗り場まで運ぶのを手伝ってくれました。大感謝です。ホテルに戻ったあとは、誰とも打ち上げに行かずにそのままホテルで休んでいました。
遊んだゲーム
Cクロス C-Cross
ダブルクロス Double Cross
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10月30日 月曜日 (エッセン&デュッセルドルフ)
この日は休息日と発送日です。朝食はアレーセンター Allee-Center のノルトゼー Nordsee で魚のサンドイッチ。いつもエッセンに来るたびに数回は食べているのですが、この旅行では初めて食べます。そのあとは近くのコインランドリーで洗濯し、郵便局で大量に購入したゲームをまとめて日本に送ります。郵便局が閉まるのは5時だと思っていたら3時だというので大慌て。汗だくで荷物を抱えてホテルと郵便局を往復しました。げっそり。
夜はデュッセルドルフに行ってショウコさんとその友人のケイちゃんと合流してベトナム料理を食べに行きました。「トラムは704だっけ? 多分そうだよ、乗ってみよう! レストランの真ん前に停まるから」とか言いつつ適当にトラムに乗り始めます。さすが。結局なんだかよくわからないところに行ってしまい「違うみたいだね」となって引き返します。「自分だから良いですけど、これ日本でやったら多分怒られますよ」と、自分がいつも言われているようなことをショウコさんに言ってしまいました。確かにトラムの停留所の真ん前にあったレストラン Vietnam Street Food ではショウコさんのしもべと呼ばれているツネさんも合流して、4人で楽しく喋りながら色々食べました。こういうのも良いですね!
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10月31日 火曜日 (ブリュッセル・ロンドンに行けず)
朝7時頃、一週間お世話になったアストリアホテルをチェックアウトして、出発。エッセンともおさらばです。エッセンHbfを7:49発のタリスでブリュッセルMidiに10:32着。Midiというのは南駅という意味でオランダ語でのZuidと併記されています。(フランス語がわからなかったので、てっきりMidiは Middle = Mitte = Central のことかと思っていた)。ユーロスターが発車するまで6時間あるので、その間にブリュッセルを観光しようという目論見です。
Midi駅の周辺はちょっと雰囲気が悪いのですが、もう少し街の中心まで歩くとなかなか良い感じです。途中の古本屋では中古ボードゲームも大量に売っていました。Quickというあまり美味しくないハンバーガーチェーンで食事。
前回ブリュッセルに来たのは2010年で、そのときはオランダのアイントフォーヘンから友人のデイブとクルマで来ました。クルマで2人で来るのと列車で1人で来るのではかなり印象も異なるものですが、それにしてもあまりにも何も覚えていない自分に驚きました。さすがにルネ・マグリットの美術館は2度目なのでなんとなく覚えていましたが。
さて、ブリュッセルMidiの駅に早めに戻ってユーロスターの切符を見せると「これ、今日じゃなくて明日のチケットよ」と言われてしまいます。今日うちにロンドンの友人のところに今夜中に行けなくなるじゃないか、と思って焦って予定を確認すると、ロンドンの友人に会う日も明日でした。なぜか10月が30日までしかないと勘違いしていたみたいです。
ネットが使えるカフェでホステルを探し、安くて面白そうな「トレインホステル」に泊まることにしました。ブリュッセル北駅のさらに北の Schaarbeek にあります。インテリアに昔の列車の部品などが色々と使われていて、なかなかお洒落です。無料のアップルパイまであります。ひょんなことから予定より24時間長く滞在することになったブリュッセル、まあ旅とはこんなものです。
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11月1日 水曜日 (ブリュッセル→ロンドン)
朝、せっかくなので、このトレインホステルが提携しているトレインワールドという鉄道博物館に行ってみました。ホステルからもらったクーポンで、音声案内のヘッドフォンは無料です。大宮の鉄道博物館と同じくらい広く、ブリュッセルを中心としたヨーロッパの鉄道の歴史がよくわかります。昔のトランス・ヨーロッパ・エクスプレスでの旅の様子が再現されていて、雰囲気満点でした。(写真は当時の車内の再現)
次に、ブリュッセルで1958年に博覧会があった時に作られた原子の巨大模型「アトミウム」に行ってみました。7番のトラムで終点 Heysel まで行きます。このトラムが、ものすごい草むらや廃墟みたいなトンネルを通っていくのが面白かったのですが、アトミウム自体は普通の観光地で、この日は死者の日で他の観光地が閉まっていることもあって、余計に混んでいたみたいです。長蛇の列に並んでアトミウムに昇る時間はなく、アイスクリームを食べながら外から見て終わり。
最後に、アウトポスト Outpost というボードゲームショップを訪問。マジックザギャザリングやアメリカのゲームが中心で、あまり見るべきものはありませんでした。その向かい側にはゲームカフェのラ・テーブル La Table がありましたが、こちらは死者の日の関係で閉まっていました。
予定通り、ブリュッセルMidi駅から16:56発のユーロスターに乗ります。このユーロスターだけは直前に予約したり、片道だけにするとべらぼうに高いので、数日前に日程が確定した時に往復で予約しておきました。スタンダードより数ユーロ高いだけで食事付きだったのでスタンダードプレミアムにしてみました。ユーロスターは2012年以来2回目で、そのときも食事は結構美味しかったです。
海を越えてあっという間にロンドン・セントパンクラス駅に18:06に到着(時差があるので乗車時間2時間)。日本人の友人F氏が迎えに来てくれていました。スポーツの試合があり、アンダーグラウンド(地下鉄)は大混雑です。F氏の誘導でその混雑をうまく避けて、キューガーデン Kew Gardens に到着。10年以上振りに会う友人夫妻でしたが、変わりなく元気そうでした。日本のカレーをご馳走になりました。芽キャベツとマッシュルーム入りなのが自分の作り方と同じでした。食後は、F氏が興味を持ってくれたので、ヤバラックスを3回遊びました。
遊んだゲーム
ヤバラックス Yavalax (3回)
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11月2日 木曜日 (ロンドン)
この日は、ロンドン滞在の目的の一つであるレイジャーゲームズを訪ねました。以前は大英博物館のそばにもゲームショップ Plain' Games があり、自分は1997年頃になぜかそこを訪れているのですが、その店は無くなってしまったようです。キューガーデン Kew Gardens からオーバーグラウンドでカムデンロード Camden Road へ。そこから少し歩いて、カムデンタウン Camden Town からアンダーグラウンドのノーザンライン Northern Line でフィンチリー・セントラル Finchley Central まで行きます。オーバーグラウンドというのは地上を走る列車で、地下を走るアンダーグラウンドに対してついた名前のようですが「つぎはぎなのであまり使えない」とF氏は言っていました。
レイジャーゲームズ Leisure Games はカウンターマガジンの裏表紙に必ず広告が載っていたところです。昔、古代ローマの新しいゲームの英語マニュアルをここに電話して取り寄せたという記憶があります。多くの種類のゲームを扱っていますが、掘り出し物と言えるものはあまりありませんでした。売れ残っている古いゲームや雑誌を期待したのですが、それもほとんどありません。でもなんだかんだと数時間を過ごしてしまいました。
帰りはレイジャーゲームズの前のバス停から2階建てバス13系統でビクトリアへ。そこからトラファルガースクエアまで歩いて、F氏と合流。少しだけ美術館を見た後、一緒に中華料理を食べました。
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11月3日 金曜日 (ロンドン→バース)
F氏の勧めで、鉄道よりも安いという403系統のバスに乗ってバース Bath へ向かいます。バスターミナルであるビクトリア・コーチ・ステーションは、ビクトリア駅からは結構距離があり、スーツケースでの移動は大変でした。余裕を持って出たのに、着いたら出発時間9:30ギリギリ。バスは最初は渋滞に巻き込まれながらも快調に走り、3時間ほどで定刻の12:35から15分遅れでバースに到着。
バス停では、昔のハウスメイトだったイギリス人の友人デイブが出迎えてくれました。バースには彼の恋人のイタリア人ルーチアが住んでおり、バースに遊びに来なよと2人で誘ってくれたのです。ボストンティーパーティーという挑戦的な名前のカフェで、チョリソ・ハッシュというしごく美味しい朝食を食べながら、5年ぶりの再会を喜び合います。前回デイブに会ったのは2012年にグラスゴーで一緒にハイキングをして以来です。
まずは、町の名前の由来になったローマ風呂を見に行きます。ローマ帝国時代は辺境だったイギリスのことが詳しく解説されていました。おそらく映画の「テルマエロマエ」などはここを参考にしているのではないかと思われます。この風呂に入ることはできませんが、温泉を利用したスパには行くことができます(翌日に行った)。
夕食は The Raven of Bath というデイブおすすめの店でのイギリス料理です。自分の「せっかくなのでイギリス料理を食べまくりたい」というリクエストに応えてくれたのです。素朴な感じですが、美味しいです。夜は3人でリカーーーリングを遊びました。
遊んだゲーム
リカーーーリング Recurrring (2回)
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11月4日 土曜日 (バース)
この日はデイブと一緒にスパに行きました。バースはイギリスの有名な保養地、観光地で、イギリスで唯一の温泉があります。とは言っても、全裸は禁止なので、まずは水着を購入します。このサーメ・バス・スパ Thermae Bath Spa は水着を着るところと値段が高いところを除けば、日本の巨大な温泉施設に似ています。1階は屋内の風呂、2階はスチームサウナ、3階は屋上の風呂ですが、風呂はすべてぬるま湯なので、水着を着てプールに入っている感じで物足りないです。一番楽しめたのは2階のスチームサウナで、これは1メートル先が見えないなかでかなり熱くなります。記念に持って帰ったビーチサンダルは、のちにフィンランドのサウナやシンガポールの暑い街を歩くときに役に立ちました。
翌日の5日はガイホークスの日(昔、爆弾を仕掛けようとして捕まった人らしい)で、その関係でこの日は花火があり、みんなで見に行きました。まさかイギリスで11月に花火を見るとは思いませんでしたが、実は寒い季節の方が花火には向いているのかもしれませんね。夜はルーチアが作ってくれた夕食をご馳走になり、そのあとヤバラックスを遊びました。
遊んだゲーム
ヤバラックス Yavalax (1回)
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11月5日 日曜日 (バース)
朝は町が一望できるというスカイラインというトレイルをデイブの案内で散策しました。小高い丘の稜線に沿って草原を歩くと本当に気持ちが良いです。バースでやるべきこと(ローマ風呂、スパ、スカイライン)をすべて制覇したという感じです。ソサエティカフェというデイブが気に入っている美味しいコーヒーショップで一休み。
午後からは、3人でストーンヘンジに小旅行です。入場券と往復のバスがセットになったツアーを利用しました。13時出発で17時解散。つまり往復の2時間を除けば見学は2時間しかありません。ガイドを兼ねたバスの運転手が「これから案内用のレコーダーを取ってきます。どうしてもトイレに行きたい人以外はバスの中で待っているように」と言っているのに、自分たち以外全員バスから降りてしまいます。どうも英語がわかっていたのは自分たち3人だけだったみたいです。
せっかくなので入り口からストーンヘンジへの往路は歩いて行きました。かなり近くまでどこにストーンヘンジがあるのかわからなかったのですが、近づくとなかなかすごい。天気も良く、写真をたくさん撮ってしまいました。復路はバスに乗り博物館も見学。2時間ではとても時間がありません。バスの運転手にそう言うと「そういう意見は稀だよ。普通の人は2時間でも飽きちゃうんだから」と言われてしまいました。次回はツアーでなく個人で来て、ストーンヘンジで「ストーンヘンジ」を遊びたいものです。
翌日が自分の誕生日だったので、夕食はデイブとルーチアがイギリス料理の店 Garrick's Head に連れて行ってくれました。ローストビーフもヨークシャープディングという赤キャベツの料理も美味しかった!
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11月6日 月曜日 (バース→デュッセルドルフ)
3度目になるボストンティーパーティーでブランチの後、デイブともお別れです。この日は移動日。往路ではスーツケースを引きずっての移動が大変だったので、復路は列車にしました。バース・スパ Bath Spa駅11:13発の列車でロンドン・パディントン駅へ。そこからアンダーグラウンドでセント・パンクラス・インターナショナル駅まで行き、15:04発のユーロスターでブリュッセルMidiに18:05着。さらに19:28発のタリスに乗り継いで21:41にデュッセルドルフ到着です。以前も泊まったことがある、格安のA&Oホステルに宿泊。
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11月7日 火曜日 (デュッセルドルフ→コペンハーゲン)
デュッセルドルフから北欧を北上して最終的には11月11日にヘルシンキ空港にたどり着く予定なのですが、いろいろ旅行中に調べたところ北欧は思ったよりもずっと広くて移動にも時間がかかります。物価が高くルートから外れるノルウェイは今回は見送って、デンマークのコペンハーゲン、スウェーデンのストックホルムを見つつ、一番行ってみたかったフィンランドのヘルシンキで2泊することにしました。そのため2泊連続で車中・船中泊になり、そのあいだの昼間に観光をするというなかなかの強行スケジュールです。
デュッセルドルフHbf朝5:33発のICE2214でハンブルクHbfに到着。そこで9:38発のEC33に乗り換えて、デンマークのコペンハーゲンへ向かいます。この路線は渡り鳥ラインと呼ばれていており、途中のPuttgarden(ドイツ)とRødby(デンマーク)の間は、Scandlinesという船で列車ごと運びます。つまり45分くらいの船旅(一応国際線)が味わえるというわけです。列車の車内には予想に反して食べ物も飲み物もなかったので、お腹ペコペコ。船の売店でカリーヴルストとコーヒーを買って甲板で食べました。海風が気持ち良いです。
船がデンマーク側に着くと、乗客はみんな列車に戻って出発。デンマークに入ってすぐのRødbyで車内でのパスポートチェックがありました。ハンブルクからずっと向かいの席に座っていた2人組の黒人のうち1人(自称イタリア人)がパスポートがないようで、警官4人に降ろされて連行されていました。もうひとりに話しかけると「この列車内でたまたま知り合ったんだ、同じ東アフリカの言語を話すから話していた」とのこと。
14:22にコペンハーゲン København H に到着。途中レゴの本店を見つつ、目抜通りをニューハウンまで散歩して橋を渡ると、いつのまにかクリスチャニアという場所に迷い込んでしまいました。ここはヒッピー文化の共同体みたいな場所で、非常に独特な雰囲気です。残念ながら写真撮影は禁止らしいので、写真はありません。その奥の方にあった、Cafe Nemoland で奮発してちょっと豪華なハンバーガーを食べたら、120クローネ。2000円くらいです。物価は全体的に高いです。(写真はレゴショップのレゴ製コペンハーゲン)
コペンハーゲン中央駅に戻り、ストックホルムへ向けて出発です。まず、マルメまでは20:27発の近郊列車に乗ります。この列車は2000年に開通したデンマークとスウェーデンを結ぶ16キロメートルのオーレスン・リンクを通るのですが、夜なので様子がよくわかりません。車内は日常的にこの国境を超えていると思われる通勤通学者ばかりで、この橋とトンネルができて以来、外国人の婚姻に対して寛容なスウェーデンに住んで、給料の高いデンマークに通勤する人が増えたらしいです。途中でパスポートチェックがあると聞いていたのですが、何もなくあっという間にマルメ Malmö に到着。スウェーデンに入国です。マルメからは22:08発の夜行列車でストックホルムに向かいます。重厚な車両が旅情を誘います。
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11月8日 水曜日 (ストックホルム)
早朝5:54にストックホルム中央駅に到着。カフェでゆっくりコーヒーを飲んで目を覚ましてから、ノーベル博物館に行ってみました。とにかく物価が高いので、食べるのにもトイレに行くのも躊躇するのですが、お腹が空くのは仕方がないことです。ついに我慢できずに、博物館のあとにすぐ近くのカフェで、スモークサーモンのオープンサンドイッチを食べました。そうとう食べるのを我慢していたので、あっというまに全部食べてしまいました。
この日は夕方からヘルシンキまで行くバイキングラインという船に乗ります。陸路だとかなり迂回しなければならずに時間がかかるので、航路にしたのです。シリアラインというのが一番有名な会社らしいのですが、その半額近い79ユーロで乗れるバイキングラインにしました。専用のバスが中央駅から出ていたらしいのですが、そうとは知らずに地下鉄で Slussen の駅まで行き、そこから15分ほど歩きました。徒歩で港に向かっている人はほとんどいませんでしたが、坂を下ると港と巨大な船が見えてきてわくわくします。
船はマリエラ号 Mariella という名前で、入り口は4階でした。2階から8階まであり、エレベーターも何台もあります。レストラン、免税店、カシノ、など色々な施設があり、シリアラインほどではないと思いますが、動くホテルと呼ぶにふさわしいです。自分の部屋は最下層の2階の奥でした。オフシーズンだったので3人部屋を1人で使えてラッキーです。甲板に出て、しばらく夕暮れのストックホルムを眺めていました。
夜になって、部屋と同じ2階にあるサウナに行ってみました。サウナと言ってもメインはジャクージです。ガラガラで自分以外に2人しかいません。サウナで働いていたおばさんはフィンランド人で、日本の小説をよく読むらしく、村上春樹はノーベル賞は無理だよね、なんて話に花が咲きました。
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11月9日 木曜日 (ヘルシンキ)
朝10:10にヘルシンキに到着。その寸前まで甲板でスオメリンナ要塞などの景色を見ていたので、ゆっくり準備をして10:30くらいに下船します。港のすぐ前にトラム乗り場 Katajanokan terminaali があり、5番と7番のトラムを乗り継いで Hattulantie で下車。宿泊先のホステル Cheep Sleep Helsinki にチェックインして身軽になってから、ヘルシンキの中心街に出掛けます。
まずは、トラムを Simonkatsu で降りてすぐそばの Kamppi というショッピングモールの3階のボードゲームショップ、ラウタペリト Lautapelit へ。フィンランドは、北欧のなかではボードゲームが盛んらしく、出版社もラウタペリトやタクティックがあります。そのラウタペリトの店舗なのです。品揃えは良く、一昔前のゲームもかなり置いてあります。フィンランド語やスウェーデン語版のほか、英語版も数多く売っていました。目当てはタクティックの古いクニツィアのゲームだったのですが、残念ながら見つからず。店員に「タクティックは店舗はないの? そういう中古ゲームはどうやったら手に入るの?」と聞くと、「タクティックが置いてあるかもしれないところだと、ファンタジアペリトっていう店があるから行ってみな。サブウエイサンドイッチのところだよ」と場所を教えてくれました。すぐ近くです。
ところが、そのファンタジアペリト Fantasiapelit を見つけるのが大変でした。教えられた中央駅前の商業施設 City Center にはサブウエイが2箇所あるのですが、どちらもその近くにゲームショップはありません。いろいろな人に聞いて、ようやく突き止めたのがなんとサブウエイの店の中を通った先。まさか店の中を通っていかなければならないとは思いませんでした。サブウエイの隣に小さく看板も出ていたのですが、これは気付かないよ! ファンタジアペリトの店員は非常に親切で、フィンランドの中古サイトなどを教えてくれました。近いうちにタクティックのクニツィアゲームが手に入るかもしれません。
夜は一緒のホステルに泊まっていた人に教えてもらったカルチャーサウナ Kulttuurisauna に行ってみました。ショッピングモールでムーミンのバスタオルを買い、バースの時に使った水着とビーチサンダルを持って行きます。トラムを Hakaniemi で降りてから真東に海の方に歩き、高速道路のガードをくぐると、遥か先に怪しい赤いネオンでsaunaと見えます。アメリカだったらこれは絶対行ってはいけない治安の悪さを予感しますが、ここはフィンランド。勇気を出して行ってみると、10人前後の方がサウナを楽しんでいました。スチームサウナで、誰かが水をくべるたびに蒸気でものすごく熱くなります。サウナの中は男女別で全裸ですが、サウナの外の団欒の場所はタオルを巻くか水着を着ます。また海のそばなので海に入れるようになっており、サウナの後、水着を着て海に飛び込む勇気ある人たちもいました。地元の人たちと色々フィンランドのサウナ事情について話せて良い体験になりました。なお、このカルチャーサウナは経営者の一人が日本人で、比較的新しいサウナだそうです。
ホステルに戻ると、修学旅行らしい子供が大勢いました。英語で話しかけてみても通じず、先生らしき人に聞いてみると500キロくらい北の村から来た中学生だとのこと。教育が進んでいるフィンランドではみんな英語が話せますが、中学生だとまだ話せないのですね。
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11月10日(金曜日)ヘルシンキ
ホステルでは朝食が出ると聞いていて楽しみにしていたら、サンドイッチとバナナの配給がありました。この日は岩の教会「テンペリアウキオ教会」、かもめ食堂、デザイン博物館、海辺の港、ラウタペリト(再訪)を巡り、一度ホステルに戻って再びサウナに行きました。
ヘルシンキはトラムがわかりやすく、徒歩でも回れるので歩きやすい街です。さすがに北緯60度なので日照時間は短いのですが、日が沈んだらサウナに行けば良いのです。
デザイン博物館に行く前に、昼食を食べようと思って近くのラヴィントラ・カモメ Ravintola Kamome(かもめ食堂)を訪ねました。同名の邦画の舞台になった場所です。フィンランド料理と日本料理の両方を出すという変わった店です。「おいしいフィンランド」という色々なフィンランド料理を少しずつ試せるセットを食べました。これが味もしっかりとしており美味しくて大満足。この少しずつっていうのが和食的な発想ですね。そのあと隣りのアテリア・カモメ Atelier Kamome というカフェにも寄って、デザートに抹茶ケーキを食べました。
昨日行ったカルチャーサウナとは異なるタイプの、歴史があるサウナに行こうと思い、教えてもらった2番目に古いと言われるアーラ Arla というサウナに行きました。Kotiharju がヘルシンキ最古ということですが、残念ながらもう終了時間だったのです。アーラは古い高層建築のアパートの一角にあり、こんなところにサウナがあるのかと、なんだか不思議な感じです。
サウナはどうも社交の場らしく、知ったもの同士も知らない者同士も気軽に雑談をします。昨日からの情報をまとめると、フィンランドには大体どの家にもサウナがあり(高層建築の場合は共同サウナがある)、そして毎日入る人が多いらしいです。週に1-2回はこういった公共のサウナに来て社交を楽しむ人たちも一定数いるようです。サウナでは静かだと言われるフィンランド人も割とよくしゃべるのは、裸の付き合いだからでしょうか。日本の温泉や銭湯に近い文化ですね。
話が弾んだマッティとミッコという2人組に一緒に飲みに行かないかと誘われて、フィンランドのバーに連れて行ってもらいました。マッティは英語のほか日本語も堪能で、横浜に住んでいたことがあるそうです。「かもめ食堂」も何度も見たらしいです。ミッコはマッティと自分に向かって「日本語を喋っているときは、フィンランド語みたいだな」と感想を言っていました。確かに英語と比べると両方とも抑揚がないフラットな言語なので、ナチュラルに聞こえるのかもしれません。バーでは、チェスをやっていたり、大富豪のようなトランプをやっているグループもあり、活気がありました。もう真夜中でしたが、酔い覚ましに歩いてホステルまで戻りました。
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11月11日 土曜日 (ヘルシンキ)
ヘルシンキ最終日です。記念にきちんとしたフィンランド料理を食べようと、昨日マッティに勧められたレストランを調べてみますが、夕方まで開いていません。さらに調べてシーホース Sea Horse というレストランに行ってミートボールを食べました。アメリカのイケアで昔よく買った、スウェーデンのミートボールと似ています。美味しいけど、これだけだとちょっと飽きてしまうかもしれません。
そのあとは、出発までアテリア・カモメに寄って、お茶とケーキを食べながらのんびり過ごし、フィンランドの余韻に浸っていました。
いよいよ出発です。ヘルシンキ中央駅から列車で空港へ。18:15発のトルコ空港1764便で出発です。さらば、北欧、さらばヨーロッパ!
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10月12日 日曜日 (シンガポール)
北緯60度のヘルシンキから北緯1度のシンガポールまで南下します。シンガポールに寄るというのは突拍子もないアイディアだけど、直接、東京に戻るのと比べて50ユーロしか変わらなかったのと、日程に余裕があった(と思っていた)ので友人を訪ねることにしたのです。週末に合わせてシンガポールに行き、前回のジョホールバル訪問で興味が湧いたマレーシアを北上してクアラランプールを観光して帰ろうという計画です。イスタンブールで夜中の2:25発のシンガポール行き54便に乗り換え。トルコ航空は機内食が非常に美味しかったです。
2度目の、そして半年ぶりのシンガポールです。インド人の友人アンチュマンが予約しておいてくれた airbnb までMRT(地下鉄)で行きます。アウトラムパーク Outram Park で降りて、ストリートアドレスを頼りに探しましたが、どうも住所に該当する場所はただのスパで、そこで働いている人に聞いても何だかよくわからないという顔をされます。そうこうしているうちにアンチュマンが来て、案内してくれました。宿泊場所は脇の階段を上った2階で、非常に綺麗な部屋でした。初めての民泊体験なのでとりあえずほっとしました。同じブロックにあるプラナカン料理でアンチュマンと夕食。春巻きとデザートが美味しいレストランでした。時差の関係でなかなか寝付けませんでした。
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11月13日 月曜日 (シンガポール)
シンガポール2日目。朝はタンジョンパガーを散歩し、昼過ぎにアンチュマンと合流します。月曜に休みの店が多いらしく、前回訪れたボードゲームカフェの「セトラーズカフェ」も休みです。コーヒーショップでヤバラックスを3回遊び、そのあと、別のボードゲームカフェ「マインドカフェ」に行ってランチを食べつつ、常備してあるゲームを遊びました。アメリカのパーティーゲームが中心で、ユーロゲームは少なめです。ゲームは空箱が透明にシュリンクで再包装されており、それを店員に出すと、中身だけ別のパッケージに入れたものをくれるというシステムです。
ファイア&アイス Fire and Ice
pinという木製のアブストラクトゲームを多く出していた出版社のゲームです。ファノ平面(2次の射影空間)をモチーフにしたゲームで、ファノ平面では7点しかなく、すべての直線は3点を通り、すべての点は3つの直線の交点であるということ、そして任意の2直線は必ず交わることをうまく利用したゲームです。それぞれの点にあたる部分が小さなファノ平面になっており、直線を勝ち取ればその面を勝ち取ったことになります。こうして直線上の3つのミニファノ平面を勝ち取れば勝利です。7点のうち3点を取れば良いというのが面白いです。またゲームプレイも自分のコマを移動させてそこに相手のコマを打つというのがよくできています。思っていたよりもずっと良いゲームでした。ちょっと欲しい。
結果
1戦目:アンチュマン
2戦目:アンチュマン
3戦目:自分
レーパーバーン Auf der Reeperbahn nacht um halb zwei (タイムズスクエア)
レーパーバーンの英語版である「タイムズスクエア」を遊びました。2人用で最初はちょっとルールが多いものの、よくできた駆け引きのゲームだと思います。「アンギャルドに似ているね」とアンチュマンに言われましたが、まさにアンギャルドの発展系という感じのゲームです。
結果
1戦目:アンチュマン
2戦目:アンチュマン
3戦目:自分
アンチュマンはインプロビゼーションのクラスがあるというので3時間ほど近くのボートキー Boar Quay、クラークキー Clarke Quay、そしてマーライオンを散策します。橋の下にはなぜか2台のピアノが放置してあり、様々な人がかわるがわる弾いていました。再びアンチュマンと合流し、ホーカーセンターで軽食を食べて再びヤバラックスを3戦遊んでこの日は終了。明日は早朝の出発なので、ここでアンチュマンとはお別れです。
遊んだゲーム
ヤバラックス(3回)
ファイア&アイス Fire and Ice (3回)
レーパーバーン Auf der Reeperbahn nacht um halb zwei (3回)
ヤバラックス(3回)
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11月14日(火曜日)
早朝5時に起床し大雨の中を出発。シンガポールから列車を乗り継いでクアラルンプールに行くには、8時にはシンガポールの北端にあるウッドランズチェックポイントを出なければ夕方には到着しません。それを逃すとクアラルンプール着は23時。これらの切符はオンラインで予約できるはずなのですが、なぜか何度試してもだめだったので、その都度現地で切符を買うことにしました。まあなんとかなるでしょう。
かなりのスコールのなか、厚いジャケットをリュックの外にかぶせて雨から守ります。北欧以降は邪魔なだけだったジャケットがついに役に立ちました。アウトラムパーク Outram Park 発の一番列車は6:03と遅く、さらに郊外に向かう列車なのに満員で座れません。Jurong East で乗り換えて Marsiling へ。そこからタクシーでウッドランズチェックポイントへ行くことにします。半年前は、マイクと2人で歩いたのですがかなりの距離があり、重いスーツケースでは無理なのです。タクシー乗り場には5−6人並んでいて、タクシーはなかなか来ないのでちょっと焦りました。途中で横入りする輩もいるし。(写真はアウトラムパーク駅構内での罰金警告)
ウッドランズチェックポイントには7:15くらいに到着しました。予想通り、クアラルンプールまでの通しのチケットは買えず、国境を超えた隣のジョホールバルまでしか売ってくれません。列車ごとに1枚のチケットがいるみたいです。シンガポールからの出国とマレーシアへの入国を両方ここで済ませてしまいます(反対方向は、マレーシアからの出国はジョボールバルで行い、入国はシンガポールに着いてからという変則方式だそうです)。5分遅れて8:05くらいに出発し5分後にはジョボールバル・セントラルに到着しました。地元の人に会えば、次の9:30の列車が一番混むそうで、シンガポールから物価が3分の1のマレーシアに買い物に行く人が多く使うそうです。
ジョホールバルからクアラルンプールまでは、必ず1回乗り換えが必要で、ジョホールバルで2枚のチケットを買います。駅のなかでは混ぜご飯(写真)やコーヒーがそれぞれ1リンギット(三十円くらい)で売られており、北欧との物価の違いに眩暈を覚えます。
列車はジョボールバルの雑然とした風景を抜けると、ずっとジャングルです。ときどき渡る川はすべて濁っています。うつらうつら眠りつつも、風景を楽しみました。
乗り換えはゲマス Gemas という駅です。一瞬「ゲームズ Games」かと思ったのですが、よく見るとスペルが違います。そこからは高速列車でクアラルンプールまで。隣の席になったマレーシア人の学生が親切にいろいろ教えてくれました。みんな親切だなあ。
クアラルンプールセントラル駅に到着。そこから予約していたホステルDormsKL2までは、途中の乗り換えが階段だらけで、さらに最寄駅の Plaza Rakyat が工事中で地図と異なり、迷いに迷って大変でした。汗だくだくで到着。
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11月15日(水曜日)
この日は、バトゥ洞窟 Batu Caves にあるヒンドゥー教の寺院とペトロナス・ツインタワーに行きました。バトゥ洞窟は近郊列車で30分くらいで簡単に行けます。バトゥケーブ駅の前がもう寺院の入口の長い階段です。階段は17段で1区切りになっていて、それが16回続くので全部で273段あることになります。ケルンの大聖堂の階段の半分くらいの段数ですが、かなり急なので一気には登れません。その奥の洞窟が寺院になっていますが、工事中だったこともあり少々雑然としていました。
帰りは階段を4分の1ほど下ったところにあるダークケイブ Dark Cave に寄ってみました。これは宗教色はなく、純粋な洞窟探検で、洞窟好きな自分としてはこちらの方が面白かったです。45分間のツアー形式で、入場制限をしていますが、説明もしっかりとしていました。
夜はペトロナス・ツインタワーに行ってみました。マレーシアで一番高いビルで、かつては世界一の高さだった高層ビルです。チケットは85リンギットと高いのですが、69リンギットのチケットを売っている怪しい強面の人がいて、ダフ屋だと思ったらきちんとした関係者のようで、格安のグループチケットの余りをこうして売りさばいているみたいです。この69リンギットのチケットを買って上まで登ることにしました。まずは41階のスカイブリッジ、そして83階を経由して86階の展望台です。残念なのは、夜景を見てもどちらがどの方向かということがどこにも書いてなかったり、タワーのできるまでの建設過程などが知りたかったのですが、そういう情報がほとんどなかったことです。ほとんどの客はろくに夜景も見ずに写真ばかり撮っていました。
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11月16日(木曜日)
いよいよ帰国日です。ホステルのスタッフに教えてもらったハイラム Hailam というレストランで朝食にナシレマ Nasi Lemak を食べて出発。スターシャトルという怪しげなバスで空港に向かいます。空港は遠いらしく、あとで調べると40km以上も離れているとのこと。
羽田までは、格安航空のエアアジアです。不思議に思ったのは行き先が「東京」でも「東京(羽田)」でもなく、単に「羽田」と書かれていたこと。海外の空港でこれは初めてです。
いわゆる格安航空は初めてなのですが、色々と罠がありました。まず、預ける荷物の重量制限がたったの20キロで8キロもオーバーしてしまった自分は350リンギット(約1万円)も取られてしまいました。これは航空券の3分の2くらいです。こんなんだったら、北欧からでも荷物を送ってしまえばよかった。次に、エアアジアには無料の機内食はなく、食べ物も飲み物も持ち込み禁止なので、欲しい人は買うとのこと。そしてマレーシアの現金しか受け付けないとのこと。あわてて、いまさらながら少額をマレーシア・リンギットに両替しました。
さらにセキュリティーゲートがなぜか2つあるのです。1つ目を抜けてから、のんびり昼食にカヤトーストを食べて、自分のゲートまで行くと、その直前に2つ目のセキュリティーゲートがあるではありませんか! そこで1つ目のゲートとまったく同じ検査をやるのです。あやうく時間ギリギリでした。
機内は空いており、横3席を独占できたのでベッドのように横になれました。時差がないので、眠らないようにしていましたが、ソファーのように足を投げ出せたのは楽でした。機内食ではチキンライスを購入しました。辛くなくて、なかなか美味しかったです。前の席のオーストラリア人がリンギットの手持ちがないようだったので、コーヒーをおごってあげたらそのあと色々と話が弾みました。いよいよ旅が終わります。京急の終電で帰宅。
今回の旅ではゲーム関係も含めて様々な人に出会い、また再会することができました。ネスターたちの到着日やブリュッセルからの列車など1日ずれて勘違いしていることが幾つかあったのが反省点です。ベネチアからヘルシンキまでは結局飛行機を使わず陸路と航路だったので、ヨーロッパの広さをある程度は実感できました。最後の方はこのままずっと旅が続けられたら、などと思ってしまいましたが、そうもいきません。でも、フィンランドにはまた行きたい。
(完)
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すべてのゲーム
クニツィアのゲーム
ベネチアで買ったゲーム
イギリスで買ったゲーム
フィンランドで買ったゲーム
ディーターシュテインの傑作アブストラクト2点
ヘンマーゲームズとシュテフェンシュピールのアブストラクト
中古のアブストラクトゲーム
おまけ:ネスターとホセからお土産にもらったスペインのチョコレート
購入ゲーム一覧
(イタリア)
巻け巻け巻きずし Makemaki
カリスト Callisto (イタリア版)
イタリアンデッキトランプ多数
(シュピール0日目)
ブードープリンス
ショレンロレン Schollen Rollen
フォトシンセシス
(1日目)
ラミ-17 Rummy 17
ブレインズ Brains
キャンディーマッチ
der kekfe marathon
香港
トール
マラウイ
ザッツアクエスチョン
カリマラ
モダンアート
アズール Azul
マネー x2
クリスクロス
(2日目)
Der Wüstentruck
オクトロ
マネージャー
Xニムト
Kurzer Prozess
アフェンバンデ Affenbande x2
チンチン
モットー x2
CV pocket
ハックトリック Hack Trick
Cuckooo!
6ニムト
レーパーバーン
セネターズ
オロンゴ
ラスベガス小箱
Hヘインの謎の箱
(3日目)
DTC x2
ブルゴーニュ小箱
ブルームサービス小箱
モールヒル(中古)
1920ウォールストリート
27 x2
ノナガ
ダイスブリッツ
Maow
(4日目)
アーボリア Arboria
ウルビーノ Urbino x3
フェンドー Fendo
Hostile Takeover
Ni-Ju
チグユー拡張
トランスアメリカ拡張
ワイルドライフサファリ Wild Life Safari (大箱)
ボツワナ(窓付きの箱)
香港(中古)
ロスバンディトス
ヤムンダ x2
モットー x5
CVポケットx2
112 Brand Gefährich
Poop
ブルームーンポスター
(イギリス)
スパイフォール
頭脳絶好調トラベル版
バトルライン
戦国時代
フリップス(パズル)
ストーンヘンジゲーム
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ゴールドアルマダ
七王国の玉座カードゲーム
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