「ブルームーン」は２００４年にクニツィアがデザインしたカードゲームの大作で、当時はドイツ語版（コスモス）、英語版（ファンタジーフライト）、オランダ語版（９９９ゲームズ）などが出版されていました。日本語版はなかったものの、日本でも少数が流通していたようです。
全部で９種族からなり、それぞれの種族がデッキを構成します。「ブルームーン」は基本セット（ヴァルカとホークスの２種族デッキにゲームボード、ドラゴン、ルールブック、凡例表を加えたもの）に加えて、９セット（７種族デッキ＋２拡張）が追加で売られていましたが、少なくともブカ以外の８種族デッキと使者と尋問官の連合・祝福の２つの拡張セットはすべて同時にデザインされ、それを２００６年までの３年間に渡って少しずつ販売したものです。よって、膨大なテストプレイを繰り返したということもあり、非常にバランスが取れているのが特徴です。
「ブルームーンレジェンド」は「ブルームーン」から１０年後の２０１４年に「ブルームーン」のすべてのカードをまとめて再販したもので、ドイツ語版、英語版はもちろん、日本語版もホビージャパンから販売されています。これ自体は喜ばしいことなのですが、残念な点も幾つかあります。箱は馬鹿でかく、ボードは２つ折り（「ブルームーンでは３つ折り）、ドラゴンはいたずらに大きく（相手のプレイしたカードが見づらい）、さらに最も重要な相違点として、カードは小さくトリミングされています。左端に書いてあるカードの種別も、カードを普通に持っただけでは隠れてしまいますし、この種別はモノクロになってしまいました。個人的には大地と炎のデザインも好きではありません。いかにもアメリカのファンタジーフライトが主導で作ったという感じです。
自分は「ブルームーンレジェンド」日本語版のルールとカードの和訳を担当しましたが、元にした英語版の「ブルームーンレジェンド」のルールは、「ブルームーン」のルールと同じとは思えないくらい構成や書き方が異なっていてびっくりしました。正直に言うと、「ブルームーンレジェンド」のルールは非常に読みづらく冗長で、同じことが何度も繰り返し書かれています（これは最近のルールの書き方の流行りなのかもしれません）。日本語版では、英語版のレイアウトを損ねない程度にパラグラフを移動したり構成を変えたりと色々手を加えているのですが、それでも限界があります。どう工夫しても読みづらく、これで新しくブルームーンを始める方には申し訳ないと思っていました。
そんなこともあり「ブルームーン」のルールの日本語版をきちんと作りたいと思っていたのです。以前から、図表がないテキストだけのものは、latexを用いて作成したPDFファイルとしてplay:gameデータベースに掲載していましたが、今回はそれをさらに校正して、英語／ドイツ語版のルールブックと同じ体裁にしたものを燃素さんの協力を得て作成しました。
ルールは「ブルームーンレジェンド」にも対応している書き方をしています。「ブルームーンレジェンド」のルールが分かりづらいと思った方は、ぜひこちらの「ブルームーン」のルールも合わせて読んでみてください。ルールの構成はこちらの方が断然美しくシャープでわかりやすいです。また戦いの例もルールの細かい部分が理解できるように考えて書かれています。
なおカードの名称や特殊能力テキストの和訳は「ブルームーンレジェンド」に準じています。これを機に、「ブルームーン」のカード用のテキストファイルを再度校正しました。エクセルシートで幅を７センチにしてあるので、切ってスリーブの下の方に差し込めば糊付け不要です。自分のレポートの登場するのはこの方式で日本語化したカードです。もちろん幅を狭くしたりフォントを変えたりという調節をしたい方は自由に調節して使ってください。
なお、注意点としては、簡素化のために「ブルームーンレジェンド」の何枚かのカードにある「アクティブな保護されていない・・・」という記述はありません。元の「ブルームーン」では記述がないカードが大半で、数枚だけなぜか記述があるカードがありましたが、統一のためにすべて記述なしにしてあります。既にルールブックで、アクティブな保護アイコンのあるカードは無視したり捨てさせたりできないと明記されているので、この記述はルール上は不要なのです。
新規作成ファイル一覧
（ダウンロードベージはここ）
FileID: 2386 ブルームーン ルールブック（レジェンド対応）
FileID: 2387 ブルームーン カード和訳 デッキ別 v.2.3
FileID: 2388 ブルームーン カード和訳 種族別 v.2.3
この７月３日には第３回ブルームーンレジェンド日本選手権が東京・新宿で行われます。主催はホビージャパンです（詳細はここ）。今からでも遅くはありません。レジェンドのルールがわかりづらかった方も、ぜひこちらのルールを読んで再挑戦してみてください。そして、日本選手権でお会いしましょう！
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