アンユージュアル サスペクツ Unusual Suspects
(プレイ時間 45分)
1対多の協力ゲーム。12人の容疑者カードが場に並んでおり、そのなかに犯人が1人います。ただしそれが誰かを知っているのは親のプレイヤーだけです。他のプレイヤーは相談してその犯人を当てるのです。手がかりになるのは質問カードに対する親のプレイヤーの答えです。カードには犯人について「親戚をよく訪ねる」「ベジタリアンである」「SFマニアである」などと書かれており、親は自分の主観でイエスかノーかを判断します。そして他のプレイヤーはその主観をもとに、やっぱり主観でだれが犯人でないのかを消去法で除外していくのです。人は見た目によらないと思うのですが、このゲームでは描かれたイラストがすべてです。良いのでしょうか。
3回遊びましたが、途中で犯人を除外してしまい3回とも失敗しました。写真は自分が親をやった時なのですが、「宇宙人の存在を信じている」「ドキュメンタリーを見る」「スマートフォンをポケットに入れていない」「風変わりな動物を飼っていない」という判断をしました。この時点で犯人は容疑者リストから外されてしまいました。自分はどうも感性が異なるらしく、ステレオタイプというのは人によって異なるのは良いとしてもこのゲームは厳しいものがあります。
結果:不明
メンバーズ オンリー Members Only
(プレイ時間 6ラウンド85分)
「メンバーズオンリー」は1996年にブラッツから出版された賭けと情報操作のゲームです。イギリスを舞台にした5種類のカテゴリーが描かれた65枚のカードからなるデッキの半分ほどを配り、カテゴリーごとに配られたカードの合計枚数を推測します。ボードはあるものの、カードが中心のゲームです。2010年に「グレン画廊 Glenn's Gallery」としてテーマをアートに変えてメイフェアから再販されていますが、ゲームのルールは全く同じです。
コンポーネントはボードと65枚のカード、そしてプレイヤーあたり6枚の賭けチップと5個の得点コマだけというシンプルなものです。ボードは賭けのエリアと得点エリアに分かれており、それぞれがさらに傘、新聞、紅茶、ビッグベン、帽子という5種類のカテゴリーに分かれています。各カテゴリーで11枚の通常のカードと2枚のNo!カードの計13枚があり、5種類のカテゴリー合計65枚でデッキを構成します。各プレイヤーは自分の色を決め、その色の賭けチップ6枚(シングル4枚、ダブル1枚、ボーナス(白色)1枚)を持ち、得点コマを得点エリアの各カテゴリーの0点のマスに置いてゲーム開始です。
ラウンド開始時に、各プレイヤーに11枚、9枚、または7枚(それぞれ3人、4人、または5人プレイのとき)のカードを手札として配り、さらに2枚をデッキから公開して場に置きます。1巡目は賭けるだけ、2巡目以降は賭けたあとに手札からカードを2枚、場にプレイします。全員の手札が残り3枚になったら、全員同時に1枚を非公開で捨てて2枚を公開して場に追加して決算です。つまり、全員配られた手札は1枚を除いてすべて公開することになるのです。公開されるカードの枚数をカテゴリーごとに予想するのがゲームの目的です。各カテゴリーに2枚ずつあるNo!カードはマイナス1枚分として数えます。本来のルールではNo!カードは通常のカードと相殺して随時捨てますが、自分は場に残しています。No!カードが何枚場に出たかがすぐにわかるからです。
賭けは任意でパスしても構いません。賭けるときは自分の賭けチップ1枚を空いているマスに置きます。それぞれのカテゴリーでは、カードの予想枚数によって「1枚以下」、「2枚以下」、「3枚以下」、「4枚以下」、「5枚以上」、「6枚以上」、「7枚以上」、「8枚以上」、と賭けるマスが8ヶ所あり、得点はそれぞれ、5、3、2、1、1、2、3、5点です。例えば傘が3枚ならば、傘の「3枚以下」と「4枚以下」が当たり、新聞が5枚なら「5枚以上」だけが当たりです。中央の「4枚以下」と「5枚以上」が最も易しい予想で得点は1点です。そこから離れるほど難しくなり、「1枚以下」や「8枚以上」は5点という高得点なのです。
ダブルは高さが2倍なので得点も2倍です。さらに、ラウンドの1巡目の賭けは白のボーナスを重ねて2枚置きます。シングルと重ねると高さが2倍なので得点も2倍です。ボーナスとダブルの組み合わせだと高さが3倍なので得点は3倍になります。この辺りは視覚的に分かりやすいです。
決算で予想が当たれば得点が入り賭けチップは手元に戻ってきますが、外れると賭けチップは没収されてしまいます。ただしボーナスは没収されず戻ってきます。ゲームが進むにつれて、どんどんと賭けチップが減り、賭けをパスせざるをえなくなるのです。しかし、賭けチップが残り1枚以下(白のボーナスは数えない)になると没収された賭けチップがすべて戻ってきます。
こうしてスタートプレイヤーを時計回りに移動し、カードをすべてリシャッフルして次のラウンドを始めます(ここで使わなかったカードを混ぜるのを忘れると、同じ結果になるので注意!)。すべてのカテゴリーで5点以上に得点コマが進んだらゲーム終了です(1人のプレイヤーが全て5点以上になる必要はありません)。4点以下はカウントされず0点です。合計点の高いプレイヤーの勝利です。
シンプルながらも情報を探って予想していく楽しさが味わえる素晴らしいゲームです。カードは手札のうち1枚を除いてすべて場にプレイするので、あまり派手な攻撃はできません。神の視点からだと、最初からほぼ結果はわかっているのです。手札枚数と最初に置く2枚、そして最後に捨てる1枚を考慮すると、プレイヤー数が3または5人なら32枚、4人なら34枚が場に出ることになります。これはデッキの49.2%、あるいは52.3%にあたります。ほぼ半分と考えると各カテゴリーでプラスが11枚、マイナスが2枚なので差し引きプラス9、そのうちのほぼ半分で期待値は約4.5枚となります(正確には、4.43枚、あるいは4.71枚)。
大切なのはカードをプレイする順番と、相手プレイヤーの賭け方やカードの出し方から真実を見抜く力です。同じマスには賭けられず、賭けは早い者勝ちです。もっと情報が出てから、真実が明らかになってから、と思っていると先に賭けチップを置かれてしまうでしょう。他のプレイヤーの賭け方を参考に相乗りをするのも手ですが、みんなが相乗りして大失敗なんてこともあります。概して「以上」の方が「以下」よりも賭けやすいのですが、約半分のカテゴリーは4枚以下になるのが確率論的な見込みなのです。誰も賭けないカテゴリーは誰も持っていないのでは、と考えることも必要です。そしてやはりダブルチップや初期ビッドボーナスチップで2倍3倍の大量得点を成功させるのが非常に大切です。
ラウンドごとに賭けチップを置く機会は、3、4、5人プレイでそれぞれ、5、4、3回あります(初期ビッドを含む)。3人だと賭けチップの手持ち枚数と同じなので1枚失うとすでに賭けの機会を1回失うことになりますが、5人ならば2枚失っても実質的なペナルティーはありません(ダブルチップを失えば話は別ですが)。いずれにせよ賭けチップが残り2枚ならば、ハイリスクハイリターンな賭けをするのが良いでしょう。
ゲーム終了時に各カテゴリーで4点以下は無得点というシステムなので、いかにして5点の大台に進めるかは大切です。場合によっては「4以下」と「5以上」の両方に賭けるというように、相反する賭け方をしてでも確実に5点に進めましょう。特に賭けチップが残り2枚ならば、すぐに戻ってくるので悪くはありません。また、相手が5点を目指してチップを置いているような時には、あまり信用しないようにしましょう。各カテゴリーは最高10点なのは良くできた救済処置で、達成したプレイヤーにとっては、選択肢が狭くなっていきます。
3−5人のどの人数でも楽しめますが、おそらく4人が一番面白いでしょう。5人だと賭ける回数が少なく、また自分が見えている情報が相対的に少ないので、相手プレイヤーの流れをよく見ることがより重要になります。3人だと情報量が多いので、ランダム度は低くなり、きちんとカードを読み合うゲームという印象です。
このゲームの問題点は終了条件です。固定ラウンド制ではなく、すべてのカテゴリーが5点以上になった時に終了なので、展開によってはなかなか達成できないこともあります。気になるならば固定ラウンド制にしてしまうのも良いでしょう。その場合は、各プレイヤーが1回スタートプレイヤーを行い、プレイヤー数と同数のラウンドを遊ぶというのが適当です。いずれにせよ、ラウンド数がプレイヤー数の倍を超えることはまずありません。
蛇足ですが、テーマは1ヶ月の間に起こる5種類のイベントの結果を予測して、イギリスでのクラブのメンバーになるというものです。イベントは以下の通りです。かなりハチャメチャですがゲームのグラフィックの雰囲気はイギリスっぽくて良いですね。
傘:雨の降った日数
新聞:王室のスキャンダルが新聞に載った日数
紅茶:イギリス首相が公の場で紅茶の数
ビッグベン:辞職する政治家の数
帽子:クラブ会員の婦人が同じ帽子をかぶって出会う回数
「メンバーズオンリー」は個人的には初めて2002年にクニツィアに会ったときに持参してサインを頂いたという思い入れの深いゲームです。このゲームでは賭けでも得点でも「4と5のはざま」が大切な分かれ目ですが、その4と5のはざまの部分に "Who can see into the future? Be sure - it will arrive faster than you think. Carpe Diem!" (誰に未来がわかるというんだい? でも確かなことはそれは思いの外すぐにやって来るってことさ。今この瞬間を楽しもう!)というメッセージを書いてくれました。なんとも奥の深い言葉です。
メイフェアから出版されたリメイクの「グレン画廊」はゲームのルールは同じですが、テーマは画廊に来る来客数の予想となっています。サイケデリックな絵柄は好みが分かれると思いますが、プレイアビリティーは愚連画廊と揶揄されるほどの改悪です。
まず、ボードが意味もなく6枚に分かれています。賭けのボードがカテゴリー別に5枚あり、描かれている画廊の回廊に賭けるようになっています。ボードごとに回廊のパターンが異なるので、現在の賭けの状況が把握できず、非常に見づらいです。また回廊のマス目が広いので、先着1名だけしか賭けられないということも直感的には分かりません。加えて、回廊の1枚(赤いボード)には致命的なミスプリントがあり、「以下」を表すマイナスの代わりにプラスになっています。残り1枚は得点ボードですが、0点のマスがないのでボードの外から始めることになります。得点のキューブも小さ過ぎです。さらに、ダブルだけはなぜか直径が短く「メンバーズオンリー」の得点コマとほぼ同じ大きさです。シングルやボーナスと比べて、小さいのは視覚的に奇妙で、ありあわせを使ったとしか思えません。
カードのインデックスが右上にしかないので、右利きだと扱いづらいです。またNo!に当たるカードは美術の学生なのですが、どのカテゴリーに対応しているのかが非常に分かりづらい絵柄です。なんでこんな絵柄にしてしまったのでしょうか。グレン画廊オリジナルのコンポーネントとして1枚付属するグレンカードがありますが、これは単なる手番マーカーです。初手番以外は必ずカードをプレイするし、カードをプレイしたら手番終了なので手番マーカーは不要に思えます。
メイフェアはコンポーネントの不備が非常に多い出版社ですが、これはあまりにもひどすぎます。せっかくこれまで英語圏では知られてなかったゲームなのに、アメリカで流通が多いメイフェアが出したにしてはまったく話題に上りませんでした。これ以降、クニツィアがメイフェアからゲームを出さなくなった原因となったのうなずけます。「メンバーズオンリー」は「交易王」や「ドメモ」のように、日本での方が海外よりも人気が高いゲームなので、ぜひいつか日本語版が出て欲しいものです。
なお、「メンバーズオンリー」に影響を受けたゲームとしては、まず「ドラゴンパレード」が挙げられます。「メンバーズオンリー」のカテゴリーを1つだけにして幅を広げたという感じのゲームです。最終的なドラゴンの位置を読むのが難しいので、よりパーティゲーム寄りになっています。また「ディビナーレ」は異なる作者ですが、よく「メンバーズオンリー」と比較されるゲームです。カードの交換があったり、ビッド位置の強制変更があったりと、ちょっと派手な展開です。どれもそれぞれ味があります。
今回は、はたさんのリクエストで持ち込みました。理想だと思われる4人でのプレイです。序盤は予想がことごとく外れて、途中2回も賭けチップを使い果たしました。激戦の末、序盤で傘で10点を取ったしみずさんが、最後はきっちりと終わらせに来て6ディールでゲーム終了です。通常よりちょっと長めですね。最下位を脱出するべくもがいたのですが、シダマさんとともに最下位タイでした。昔のゲームということもあり、ゲームの終わりが見えないという欠点もありますが、それを踏まえても十分に面白いと思います。
結果:しみず 34、はた 33、シダマ 20、自分 20
ポイズン Poison (アミーゴ2013年版)
最後にたつやさんが持ってきたカードゲームの中からポイズンを遊びました。アミーゴの新しいバージョンです。とはいっても箱のデザインが少し変わっただけで、毒の瓶があったところがQRコードになって、毒の瓶は上部に移動しています。
かなり荒れた展開で、途中で場に毒が7枚のところに毒を出す(つまり毒8枚すべて)というすごい場面もありました。リスクを軽減させ、うまくマイナスを抑えて勝利です。時間の関係で3ディールで終了となりましたが、非常に楽しめました。やっぱりポイズンは面白いです。そろそろ猫のバージョン「13日の金曜日」も試してみようかな。
結果(3ディールのみ):自分 4、たつや 19、シミーズ 20、はた 42
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