エッセン シュピール 2015

Catalogue-Spiel15.JPGエッセンシュピールに参加するのも今年で7回目になります。今年は例年より早く、10月8日から11日の4日間です。さらにその前にネスターミーティングがあったために9月末からの出発となりました。新作などよりも、シュピールでしか会えない様々な知人友人に再会するのが一番の楽しみです。今年は初めて本とゲームを出版した年ですが、初めてホビージャパンの通訳をすることになり、また、初めてエッセンでショウコさんの宿以外に泊まるなど、去年までとはかなり勝手が違うエッセンです。

レポートは「ネスターミーティング2015」の続きになります。この旅行の計画を再掲します。

Poster-Spiel15.JPG9月27日:成田から出国。ヘルシンキ、ロンドン経由でリスボンへ。
9月27日-30日:リスボンと周辺を観光
10月1日-4日:スペイン・サラゴサでネスターミーティング
10月7日-11日:ドイツ・エッセンでシュピール
10月13日−15日:ドイツ・ベルリン観光
10月15日−16日:ベルリンからシュトゥットガルト、ロンドン経由で成田へ帰国。

リスボンでは近郊を巡り、列車を乗り継いでマドリードからサラゴサへ。そしてネスターミーティングのあとはバルセロナまで来ました。


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10月5日 月曜日 (アンドラ)

AndorraMonument20151005.JPGのサムネイル画像ネスターミーティング終了後は、陸路でエッセンを目指します。シュピールのプレス日まで実質2日間しかないのですが、どこか途中の街を見ようと思い、スペインとフランスの間に位置するアンドラに行ってみることにしました。アンドラ公国は人口7万人くらいの小さな独立国で、ピレネー山脈の山の中にあります。何人からかは「カルカソンヌに行けば?」と言われてカルカソンヌとアンドラで迷ったのですが、自分はアンドラの方により興味があったのです。

AndorraDowntown20151005.JPGスペイン側からはバルセロナの空港かサンツ駅から Direct Bus というバス会社の1日8本のバスに乗るしかないようです。朝のバス2本に乗り遅れてしまい、11時45分のバスでサンツ駅を出発です。高速道路をしばらく走ったあとどんどん山の中に入っていきます。3時間ほどで国境を越え、首都アンドラ・ラ・ベリャに到着です。まずはフランス側に抜けるバスの乗り場を確認してから、街を散策することにします。

BusToLhospitalet20151005.JPGところが、目的の Montmantell というバス会社のフランス側レ・ホスピタル駅行きのバスがなかなか見つかりません。「降りた隣のバスターミナルがフランス行きのだよ」と言われましたが、レ・ホスピタル駅行きはなく、誰もそのバスの存在を知らないのです。1日2本しかない便とはいえ、こんな小さな国だし簡単に見つかると思っていたのに、これは困りました。ロッカーもなく、スーツケースを引っ張りながらアンドラのブランドショップだらけの目抜き通りを歩き、バス会社のウェブサイトに書かれていたバスターミナルの住所をアップルショップの店員に調べてもらって行ってみます。しかしバス停らしいなんの目印もありません。やっと見つけた観光案内所は工事中で閉まっていたのですが、さらに15分くらい歩いて偶然にも別の観光所を見つけ、ようやく市内地図をもらってバスの発着場所を探し当てました。あとで分かったのですが、レ・ホスピタル駅行きのバスは路線バスを兼任しており、路線バスの停留場に止まるだけでターミナルなどはなかったのです。バスにも写真のように紙でレ・ホスピタルと貼ってあるだけです。これは難しい。

RoadToFrance20151005.JPGバス停を見つけるまでに数時間を費やしてしまい、アンドラを観光する時間はほとんどなくなってしまいました。あらためて市内地図を見ると、歴史的な建物などがある地区は地図をもらった観光所の裏手の山なので、そこまで戻る時間はありません。アンドラは消費税が0ということもあり、周りはブランドショップだらけで面白くないのですが、それでもロボット専門店 Androbots などいくつか面白そうな店を見て、残りの時間を過ごしました。本当にアンドラを通り抜けただけに等しいですが、仕方ありません。おそらく大多数の観光客はクルマで来るのでしょう。スペインからとフランスへとバスを乗り継ぐ人はあまりいないのだと思います。

LHospitaletStation20151005.JPG17時ごろ発車したレ・ホスピタル駅行きのバスは地元のアンドラの小学生が通学に使うようで、子供で満員でした。アンドラ・ラ・ベリャと同様に空港の免税店街をそのままピレネー山脈に持ってきたというような集落を幾つか通り、そのたびに子供が降りていきます。結局、国境の手前までに全員降りてしまい、国境を越えるのは自分だけでした。運転手は非常に気さくなアンドラ人の方で、色々とアンドラのことを教えてくれました。バスは予定より1時間も早く18時半にレ・ホスピタル駅に到着。ピレネー山脈の中で、取り残された気分です。

HotelDuPuymorens20151005.JPGレ・ホスピタル駅は、正式にはアンドラ/レホスピタル Andorre L'Hospitalet と書かれてあるように、鉄道のないアンドラのフランス側の玄関口になる駅です。なのでそれなりに店などがあるのかと思っていましたが、数軒の建物しかありません。建物や教会をひととおり見たあと、唯一のホテル兼レストランらしい建物 Hôtel du Puymorens に入ると「レストランはまだやってないから19時半に戻ってきて」と言われてしまいます。再び散歩して戻ってから漸く夕食にありつけました。飾りっ気がなく非常にシンプルですが、美味しかったです。

20時50分、レ・ホスピタルの駅からパリ行きの夜行列車に乗ります。トゥールーズまでは起きていましたが、そのあとはぐっすり眠りました。



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10月6日 火曜日 (パリ)

Lunch20151006.JPG朝7時半過ぎにパリ・オステルリッツ駅到着。パリからルール・ライン地方にはタリスという直通列車が走っており、そのうち3本はエッセンまで直通します。夜の列車ならばパリを散策する時間がありますが、翌日から通訳の仕事が控えているので、念のために昼の12:01発の列車を予約しておきました。毎年訪ねているパリのOYAゲームズは午後2時開店なので、残念ながら今年は寄ることができません。タリスの発着する北駅でスーツケースを預けて、近くの適当な場所でグランマニエールのクレープを食べてのんびりしました。パリに来るたびにこれを食べている気がします。

Thalys20151006.JPGところが、乗車したタリスは、エッセンまで行かずにケルンで打ち切りになってしまいました。エッセン周辺で列車の運行を管理する建物に火災があったらしく、列車のスケジュールが乱れています。ケルンからの乗り継ぎ列車も大混雑大混乱だったので、ほとぼりが冷めるまで落ち着いてから、夜にエッセンへ向かいます。この乱れはエッセンシュピールのあとまでずっと続いていたので、大変だったのではないでしょうか。

Karlsplatz20151006.JPG今年は例年お世話になっていたショウコさんの宿、アパートメントホテル・レーゼが使えないので、色々調べてその近くに宿をとることにしました。アストリアというなかなかリーズナブルなホテルです。ショウコさんの宿からも徒歩5分くらいで、Uバーンだとカールスプラッツが最寄り駅です。アレーセンターというショッピングモール、スーパーマーケット、そして郵便局の場所も既に知っているので、なにかと便利です。



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10月7日 水曜日 (シュピール0日目)

Breakfast20151007.JPG朝食はビュッフェ形式です。これまではスーパーで色々買ってきたものですが、ビュッフェだとホテルに泊まっているという気がするのが不思議です。昨夜ロビーで会ったダニエレというイタリア人と相席しました。彼もシュピーレ関係の仕事で来ているゲーマーです。彼以外にもシュピーレ関係の方は結構泊まっているみたいです。

WaschSalon20151007.JPG朝食の間に近くのコインランドリーで洗濯をすませます。すべて中央にあるパネルで操作し、洗剤や柔軟剤もこのパネルから出てくるという見たことがない形式でした。機能的でドイツらしいです。驚いたのは、ホテルで朝食を食べてから戻ってみると、もう乾いていたことです。乾燥するのに30分もかからないという強力な乾燥機です。アメリカでは最低1時間はかかるのに、予想以上に時間が余ってしまいました。その時間を利用して、ショウコさんのアパートメントに行ってみました。「おお、もうシュピールの時期なんだ!」と突然の来客に驚いていたようですが、娘のハンナと一緒に歓迎してくれました。

Slide-Spiel15.JPG11時からのプレスコンファレンスで早めの昼食を食べつつ、この一年の動向をスライドで見ます。新作をほとんど追いかけていなかったので、こういうまとめのスライドはありがたいです。そのあとはプレス用の展示をゆっくりと見学します。シミーズさんとキノさんがいろいろとお勧めをメモにしてくれたので、それらを中心に楽しみます。やはりエッセンはこのプレス向けの展示が一番ゲームをゆっくりと見られますね。

Knizia-CaptainBlack20151007.JPGクニツィアの大箱ゲームは「キャプテンブラック」という音声ゲームです。ドイツ語のみなので購入は見送りましたが、キャプテンブラックに扮するクニツィアと秘書のカレンさんと写真を撮りました。クニツィア自身がコスプレをするのは珍しいです。

Stingy-Revoltaaa20151007.JPGプレイディスワンから出版されている小箱2作は注目です。なかでも「スティンジー」は交換していくセットコレクションの完全新作ということで、期待は高まります。もうひとつの「レボルター」は革命万歳のリメイクのようですが、テーマも変わりルールも少し異なるらしいです。

HeckmeckExtrawurm20151007.JPG他の注目作は「ヘックメック・エクストリーム」という「ヘックメック」の拡張セットです。11や13のタイル、いろいろな特殊効果があるコマ、そして虫チップや黄色いダイスなど、なかなかいろいろと取り込んだ拡張みたいです。「ヘックメック」が出版されてからちょうど10年ですが、それだけ根強い人気があるゲームということなのでしょう。他にも「アンフィポリス」「モットー」「クチナクリオサ」「ムムム」「ブレインズ」「スターウォーズダイスゲーム」など、まだまだクニツィアは新作を出しています。

Knizia-Autographing20151007.JPG夜のドイツゲーム賞授賞式パーティーでは、クニツィアとカレンさんの隣席でした。あらかじめ頼んでいたように「ダイスゲーム百科」40冊にサインしてもらい、また自分が普段持ち歩いている「ダイスゲーム百科」にもメッセージをいただきました。さらにクニツィアゲームのテストプレイヤーバッジの金色バージョンやクッキーをお礼としていただきました。カレンさんは手に入れたばかりのアップルウォッチがお気に入りのようで、色々と機能を見せてくれました。実物を見るのは初めてです。

DSP20151007.JPG今年のドイツゲーム賞はまだどれも遊んでいません。まあこれからゆっくり遊ぶ機会があるでしょう。



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10月8日 木曜日 (シュピール1日目)

ホビージャパンの通訳で10時から19時まではスケジュールがほぼ一杯です。その合間を縫って、見たり、話したり、買ったり、遊んだり、と大忙しです。

ListFromShop20151008.JPG中古ブースを精力的に回っていましたが、去年とブースの数は同じくらいだと思いました。まだまだ中古ゲームも需要が多いのだと思います。毎年行っているので、ほとんどの店で顔を覚えられている気がします。ある店ではきちんとリストを作っていて(写真)、クニツィアのゲームのリストもありました。この中から未所有のゲームなど幾つか頼んでおいて、後日持ってきてもらいました。4日間あるとはいえ、中古ブースは最初の日になるべく回るべきです。なぜなら、店頭にはなくても言っておけば翌日持ってきてくれることが多いからです。さらに注文を捌ききれずに翌日持ってくるのを忘れることもよくあるので、3−4日はかかってしまうことも珍しくありません。

夜、適当に知り合いと夕食に行こうと思っていましたが、誰もつかまらず、そのままホテルに戻ってぐっすり眠りました。



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10月9日 金曜日 (シュピール2日目)

UseBoard20151009.JPG昨日に引き続き、ほぼ終日通訳をしていました。その合間を縫って、昨日同様にシュピールを楽しみます。値段を比べている時間はないので、見つけたら即座に購入です。中古店ではなんとボードゲームのボードだけを売っていたりして、こういう需要もあるのかと驚きました。

Hall4-Catan20151009.JPG4番ホールは翌日のカタン20周年の1000人で同時にカタンを遊ぶというイベントの準備で、ホールいっぱいに椅子とテーブルが並んでいました。この光景は今年しか見ることができません。

夜は近くの Ampütte というレストランへ行き、能勢さん夫婦やおのさん、ふうか&かろくさん、神尾さん、タナカマ夫妻ほか多くの人に合流しました。ここで、ベルリン在住で通訳をしているというAさんと会いました。シュピール終了後にベルリンに観光に行くことを告げると、もし都合が合えば案内してくれるということになりました。ラッキー。



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10月10日 金曜日 (シュピール3日目)

漸く通訳の仕事が午後2時に終わり、おのさん、ふうかさん、Karokuさん、神尾さんと5人で1ゲーム遊ぶことになりました。



パカルのロケット Pacal's Rocket
(説明&プレイ時間 65分)
PacalsRocket20151010.JPG今回会場で遊んだ唯一の新作です。スタートプレイヤーから順に筒状の自分のロケットを動かしますが、移動力はスタートプレイヤーが振ったダイスの目で決まります。そして、自分のキューブをロケットの筒の中に入れます。これによってそのマスに自分のキューブを配置したことになります。キューブがパターンを作れば、ピラミッドが建てられ、それによりエリアマジョリティー争いをするのです。面白いのは移動のとき1度だけ90度曲がることができるということです。曲がらなければ他のプレイヤーのロケットにも自分のキューブを入れることができるので、悩ましいところです。

結果:karoku 53、ふうか 46、おの 45、神尾 37、自分 32



Hall4-Catan20151010.JPGこの日、目を引いたのはカタンを1000人以上で遊ぶというイベントです。時間の都合上、参加は見送ったのですが、4番ホールを使った巨大なイベントでした。どうもこのイベント用の特殊マップみたいで、横にすべてつながっているようです。

Fendo_2.jpgこの日一番の収穫は、木製アブストラクトのゲルハルツのブースでディルター・シュテインに会ったことです。アブストラクトゲームでは有名なデザイナーで、「アバンデ」、「ヴォロー」、「ミックスツアー」、「フェンド」などいろいろなゲームを作っています。向こうも自分のことを知っていたみたいで「ネスターミーティングはどうだった?」と聞かれました。アブストラクトゲームの世界は狭いですね。翌日に再び訪ねたのですが、すでに帰ってしまっており残念です。

さらに、帰りがけにはイスラエルのアリエルとも再会。数年前にミラン(シュテフェンシュピールの息子)とみんなで夕食を食べたことがあります。エッセンではやはりいろいろな人に会えますね。

Kiepenkerl20151010.JPG夕食はメーヴェンピックという中央駅の前にあるホテルのすぐ裏にある Kiepenkerl zu Essen というレストランで能勢さん夫妻を中心に食事会です。タナカマさん夫妻やカルカソンヌ選手権の選手2名も一緒でした。そのあとメーヴェンピックでは部屋をゲーム用に開放しているということで、ちょっと寄ってみました。そのついでに1ゲーム。

二枚目が好き 3 sind eine zu viel!
(プレイ時間 25分)
3SindEineZuViel20151010.JPG「ニムト」をより難しく戦略的にしたようなゲームです。該当する数字の間にカードを置いていきますが、3枚を超えてしまうとカードを引き取ります。この引き取り方が2通りあって、3枚より大きな数値のカードを出せば、引き取るのはその列の一番小さい数値のカード1枚だけですが、そうでなければ、出したカードよりも大きなカードをすべて取ります。これが駆け引きを生み出します。

取ったカードはプラスにもマイナスにもなり、3枚ごとに−3点ですが、3で割ったあまりはプラスになります。余り1ならプラス1点、2ならプラス2点です。さらに7色すべてに余りがあればボーナスです。

「ニムト」よりは「赤箱ニムト」に似ている気がします。ちょっとプレイの幅が狭い感じもしますが、もうすこし遊んでみたいです。

結果:メビウス親父 48、タナカマ 48、自分 42、もろくま 13



遊んだゲーム:
パカルのロケット Pacal's Rocket
3が多過ぎる 3 sind eine zu viel!


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10月11日 土曜日 (シュピール4日目)

Hanna20151011.JPGシュピール最終日です。ショウコさん、ハンナ、友人のRさん、ショウコさんの友人母娘とシュピールを回ることにしました。

シュピールは初めてだというRさんとまずは手始めにトラックスのドイツ語版「クサート」を遊びました。ルールが簡単なアブストラクトというのは、ゲームを普段遊ばない人でもとっつきやすいと思います。ブースをいろいろと回りながら、その場でできそうな今年のDSP子供ゲーム賞の「スピンデレラ」やアクションゲームの「パッセトラッペ」を遊びました。




スピンデレラ Spinderella
Spinderrela20151011.JPG上のボードの蜘蛛2匹を操って、糸を伸ばして相手のコマの邪魔をするゲームです。結構操作が難しく、アイディアとしては面白いと思います。ゲームとしてはちょっとシンプルすぎるかもしれません。




パッセトラッペ Le Passe-Trappe
LePasseTrappe20151011.JPG結構久しぶりに遊びます。エッセンで気軽に遊べる良いゲームで、本来の大きなバージョンは、こういう時でもないとなかなか遊ぶ機会がありません。手前のゴムでディスクをバウンドさせて相手側にすべて移動させるという単純なゲームです。単純ながらも、素早くやるにはちょっとコツがあります。




CarcassonneWorldChampionship20151011.JPGそのあとは、中古店を廻ったり、カルカソンヌ世界選手権を観戦したりと最終日を楽しみました。カルカソンヌでは、日本代表は準優勝でした。2年連覇は逃したものの大健闘だと思います。

遊んだゲーム
クサート Xart
スピンデレラ Spinderrela
パッセトラッペ Le Passe-Trappe(5回)


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10月12日 日曜日 (ケルン)


Spielbrett20151012.JPG例年通り、買い過ぎたゲームを郵便で送ります。そしてショウコさん、ハンナ、Rさんにさよならを言って出発です。ケルンに行き、3年前にウサギさんやキノさんと訪れた Spielbrett を再訪しました。以前は奥の部屋があってそこにはレアなゲームがたくさん置かれていたのですが、入れないようになっておりちょっと残念です。気さくな店主もちょうど不在でした。

Bookstore20151012.JPGSpielbrett の近所を歩いていると、ゲームが置いてある本屋があります。なにげなく入ってみると目に飛び込んできたのが「ダイスゲーム百科」のドイツ語版です。これは買うしかありません。パラパラとめくるとゲームのタイトルにはHarakiriなどというものもあり、英語版のタイトルと結構違うのかなあと思いました。思いがけない収穫です。

ケルンに泊まろうかと思っていたのですが、フェアがあるらしく、どこのホテルもホステルも満員です。ホテルは400ユーロ、ホステルでも100ユーロという恐ろしい高額です。仕方なくデュッセルドルフまで戻り、去年も使った格安チェーンのA&Oというホステルに泊まることにしました。それでも40ユーロと通常の3倍近い値段みたいです。


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10月13日 月曜日 (ケルン)


InSpielbrett20151013.JPGデュッセルドルフからケルンに戻り、もう一度 Spielbrett に行きます。この日は店主がおり、色々な話を聞くことができました。以前は開放していた奥の部屋は今は開放していないそうです。頼まれていたスターウォーズカルカソンヌはエッセンの最終日ではすべて売り切れていましたが、返品がここに流れ着いたらしく、ここで手に入れることができました。エッセンで売り切れた新作でも、その直後に地元の店舗に行けば買えることもあるのですね。

Glaisher20151013.JPG13時に大学院時代のポーランド人の友人とタイ料理の店で待ち合わせです。この友人はリスボン在住なので、今回リスボンで会おうかと連絡したのですが、数ヶ月ほど仕事でケルンに住んでいるということなのでケルンで会うことになったのです。一緒にケルンの気持ちの良い公園を散歩し、そのあと友人の家で雑談しつつグレーシャーを遊びました。ゲームはほとんど遊ばないということですが、グレーシャーを気に入ってくれて2回も遊びました。昨日の夜、手に入れたばかりのドイツ語版と一緒に、日本語版、英語版の「ダイスゲーム百科」を見せたりもしました。

CNL-Kopernikus20151013.JPG最終のICEでベルリンに向かうべくケルン中央駅に戻ります。ところが目当ての列車は週末のみ運行だったのです。どうしようかと思いましたが、2時間後に夜行列車があるというので、それに乗ることにしました。友人に連絡すると、それならば戻ってきて一泊すれば良いのにと言ってくれたのですが、もう切符を買ってしまったからと言って遠慮してしまいました。

コペルニクスという愛称がついているみたいです。ベルリン発が朝の4時22分なので、寝台を取らずに座席にしました。座席と言っても廊下との間には透明な扉がありカーテンがかかります。同じコンパートメントになったカナダ人の女性は、ケルンのフェアの関係者だそうです。栄養学とかそういう関係のフェアらしく、それでこんなに周辺の宿泊施設が高騰していたようです。楽しくおしゃべりをしつつ12時過ぎに眠ることにしました・・・

遊んだゲーム:
グレーシャー Glaisher(2回)


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10月14日 火曜日 (ベルリン)


Hiroshimastr20151014.JPGアラームが鳴る前に目が覚めました。4時前ですが、すでに列車はベルリン中央駅に到着していました。ここで、これまでのヨーロッパ旅行で最悪な出来事が発生します。降りる支度をしようと自分のバックパックを探しますが見当たらないのです。置いた場所から消えていました。一気に口の中がカラカラになりました。コンパートメント中を探しますが、どこにもないのです。車掌に掛け合いますが、警察に行ってくれと言われるだけです。一度、席を移動したので前にいた席を探してみたり、トイレに隠されているのではなど、開けられるドアは全部開けて探します。狂ったように探し回っていたので、同じコンパートメントの女性を起こしてしまいました。バックパックが盗られた、コンピューターも手帳もパスポートも! というと彼女はひどく同情してくれ、なぐさめてくれました。どうして扉の近くなんかにバックパックを置いてしまったのでしょうか。そしてどうしてそのまま眠ってしまったのでしょうか。「扉の脇にスペースがあるから、そこに置くのは自然よ、あなたのせいではないわ」と言ってくれましたが、自分は「断じてそんなことはない、自分が不注意だったんだ」と言うばかりでした。

まだ列車は出発前でしたが、彼女に別れを言い、新しくて無機質なベルリン中央駅の地下のプラトフォームをスーツケースを引きずって歩き、駅の中にある警察に行きます。被害届を書いてもらい、日本大使館の場所と行き方を教えてもらいました。「あれは危険な列車だ。途中、複数で乗ってきて物色し、素早く盗んでから次の駅で降りてしまうんだ」

まずは朝5時頃に昨晩から泊まる予定だったサーカス・ホステルに行き、事情を話してスーツケースを預かってもらいます。本来有料で貸してくれるi-padを無料で貸してくれましたが、どれも壊れていました。通りの向かい側のおなじ系列のホテルでコンピューターが使えると言われ、そこに行ってgmailなど主要なもののパスワードをすべて変更しました。幸いまだハッキングはされていないようです。それでも絶望感でいっぱいでした。

8時前にはホステルを出て、地下鉄とバスで大使館に行きます。9時きっかりに入ると11時までに戸籍抄本と写真2枚を揃えてくれば今日中に再発行してくれるとのこと。急いで日本の家族に連絡してなんとか発行できることになりました。大使館でも警察署と同様に危険な列車のことを言われました。ベルリン出発は明日の朝なので、もし今日中にパスポートが取れなければフライトの変更を行うなどさらに面倒なことになったでしょう。ここが首都ベルリンだったのは不幸中の幸いなのかもしれません。(写真はこの日撮った唯一の写真、大使館のある広島通り Hiroshimastraße)

ひとりでは気が滅入ってしかたなかったので、エッセンで連絡先を頂いたAさんに、半分悪いなと思いながらも連絡をすると、快く会ってくれました。コットブスの辺りで食事をし、カフェでコーヒーを飲みました。ずいぶん気が紛れました。眼鏡を盗まれたのでコンタクトレンズをつけっぱなしだと言うと、コンタクトケースを買いに連れて行ってくれ、そのあと洗浄液を中に入れてくれました。これで飛行機の中でコンタクトを外せます。



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10月15&16日 水&木曜日 (帰国)


TegelAirport20151015.JPG早朝、Uバーンでオスロ通り、そこからバスに乗ってテーゲル空港へ。ベルリン封鎖で活躍した時代にはドイツの航空会社が乗り入れを禁止されていたという空港です。機内持ち込みの荷物なしに飛行機に乗るのは初めの体験です。エアベルリン6537便でシュトゥットガルトへ、そこからはブリティッシュ航空919便と5便を乗り継いでロンドン・ヒースロー経由で東京・成田に戻ってきました。成田到着は3時間くらい遅れたようですが、そんなのはなんでもないことです。

これまで海外では随分と色々な経験がありましたが、盗難は初めてです。ケルンで最終のICEに間に合っていれば、あるいは友人の申し出を受けてケルンで1泊しておけば、あるいは夜行列車を座席でなくいつものようにクシェット(簡易ベッド)にしておけば、あるいはバッグを頭の下に置いておけば、など悔やんでも悔やみきれないです。ヨーロッパでの夜行列車に慣れていたこと、日本での治安の良さにここ数年緊張感が無くなっていたこと、旅行の終盤で疲れが一気にきて知らない間に眠ってしまったことなど、いろいろなことが絡み合って起こるべくして起きたのかもしれません。

パスポートは再発行が出来るから良いものの、コンピューターのデータと手帳が最も手痛く、今回のレポートで細かい記録がないのはそのためです。さらにケルンの友人に見せるための「ダイスゲーム百科」の日本語版(クニツィアのメッセージ入り)、英語版、ドイツ語版、眼鏡、カメラケース、パジャマ、先日のフリーマーケットで買った本やベルリンのガイドブック、今回貰ったいろいろな名刺、ケルンの友人が作ってくれた夜食のサンドイッチ、など色々と失い、何を失ったのか把握できていない部分もあります。

あとで、同じコンパートメントだったカナダ人女性からメールが来ました。彼女はベルリンからさらにずっと先のプラハまで乗っていったのですが、そのあとまた眠っている間にジプシーらしき男に足元のパースを取られそうになったとのことです。幸い彼女が起きたことに気がついたそうで、被害はなかったそうですが、なんとも恐ろしい列車です。

カメラと財布はポケットに入れてあったので無事でした。カメラが残っていたのは幸いで、そうでなければネスターミーティングやエッセンのレポートがずっと味気ない文字だけになるところでした。

これに懲りずに、来年もなんらかの方法で行けたらと思います。

(完)
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追記:11月4日にバックパックがドレスデンの警察からベルリンの日本大使館に送られたという、奇跡のような連絡がありました。コンピューター以外はほぼ無事のようです。手帳などが届き次第、もう少し加筆しようと思います。
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追記2:11月24日にバックパックが大使館から届きました。これでやっと一段落です。バナナの食べかけなどが入っていたので、いろいろなものがバナナ臭いです。本文(プレイしたゲームの得点と時間)と写真(本とバッジ)を追加しました。ダイスゲームの本やバックパックにつけてあったピンバッジも戻ってきました。
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購入ゲーム一覧
Games-All2015.JPG全てのゲーム



Games-Knizia15.JPGクニツィアのゲーム



Games-Spielbrett2015.JPGケルンのSpielbrettで購入したゲーム



MmmBrains2015.JPGペガサスのクニツィアの新作「ののの...脳みそくれ Mmm...Brains!」ではなくて「ムムム Mmm」と「ブレインズ Brains」



CookieFromKnizia2015.JPGクニツィアに頂いたクッキー



DiceGameBooks2015.JPG漸く3言語が揃ったダイスゲームの本



DiceGameAutograph2015.JPGクニツィアにサインしてもらった本も漸く手元に戻りました



KniziaPinBadges2015.JPGパーティーでもらった黄色のピンバッジとこれまでの白いピンバッジ



Catan-Chokolate2015.JPG今回の目玉? カタンチョコレート



CardsAndorra2015.JPGおまけ:アンドラで買ったトランプ



購入ゲームリスト
504
ドラゴンの宝
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クキナキュリオサ
スティンジー
レボルター
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Kleiner Bar auf Grosser Fahrt
KrimsKrams
モールヒル
GEO Reporterspiel
ミスターダイアモンド
カップル危機一髪
カリスト
モットー
ムムム
ブレインズ
パルミラ
504
スターウォーズカルカソンヌ
アンフィポリス
ラプター
ボラボラ
ライスラ
ドブル試遊版
Jungolino
ミニラッセルバンデ

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