フッケム Hook 'em
(説明 5分 プレイ時間 各 20−25分)
「フッケム」は「フックゼム Hook them」つまり「そいつ(魚)を引っ掛けろ」というような意味です。できるだけ多くの魚を取ることが目的の、シンプルなダイスゲームで、2人から8人まで遊べます。
コンポーネントは、6面ダイス4個(すべて同じ構成で、魚1匹、魚1匹、魚2匹、海水、網、釣り針、の6面)、黄色(1点)とオレンジ(5点)の魚コマが40匹と24匹、魚を置いておく池のボード、それに手番中に仮に確保した魚を置くボートです。本質的に必要なのは、ダイスと得点となる魚コマだけです。
N人では、40+20N点分の魚コマを池に置いて始めます(黄色の魚コマすべてと、オレンジの魚コマを4N個使います。6人以上ではすべてのオレンジの魚コマを使うことになります)。
手番にはダイスを振り、出た魚の数だけ魚コマを池からボートに乗せます。網は魚の数を倍にし、網が2個、3個ならば、それぞれ4倍、8倍です。例えば魚1匹、魚2匹、網、網という出目では12匹です。さらに釣り針が出れば、池からではなく任意のプレイヤー1人から魚コマを取ってボートに乗せることができます。いずれにせよ、足りない分はもらえません。
ここで、続けてダイスを振るかやめるかを決めます。振り直すと決めたならば、海水と網をすべて脇によけて、残りをすべて振らなければなりません。振り直して魚が1匹もでなければ失敗で、これまでボートに乗せた魚は池に戻して手番終了です。そうでなければボートに魚コマを乗せて、更に続けてダイスを振るかやめるかを決める、というように、理論上は何度でも振り直せます。面白いのは脇によけた網の2倍の効果はずっと有効だということです。網が出ると、つい何度も振りたくなるという誘惑があるのです。
ダイスを振らないと決めたらば、ボートに乗せた魚を確保して手番終了です。これらの魚は他のプレイヤーの釣り針によって奪われることもあります。こうして池の魚がすべてなくなったら終了です。最も高得点のプレイヤーが勝利です。
決断は振り続けるかやめるかで、どのダイスを脇によけるかの選択肢はありません。単純なようですが、意外と考えます。脇によけたダイスが振ったダイスに対して振るたびに効果を及ぼすというシステムはあまりないのではないでしょうか。網を脇によけていると振る個数が減るのでバーストの確率は増すのですが、その分一気に逆転できる可能性もあるのです。
もうひとつの決断箇所は、釣り針が出たときに誰から魚コマを取るかです。基本的には勝っているときには池から、負けているときは勝っているプレイヤーから取るのが良いでしょう。ただし釣り針はそこまで頻繁に出ないので、ゲームは適度に収束に向かいます。
ダイスを4個しか使わないし、魚が出る確率はそれぞれのダイスで50%なので、確率計算がわかりやすいのも良いところでしょう。
バリアントとして、手番の第1投で魚を得られなければ、4点ずつ他のすべてのプレイヤーから取って手番を終了するというルールがあります。これは16分の1の確率で起こります。
前回は最初の魚の数を間違えてしまい、3人なのにすべて使ったので少々冗長でしたが、今回は正しい数を使ったのでちょうどよい具合にゲームが収束していきました。1戦目は5人で、2戦目は「ゾンビゲドン」のあとに8人で遊びました。大人数だと待ち時間がつらいかなと思いましたが、非常にスピーディーだし盛り上がって面白かったです。
1戦目:kaship 43、tamago 34、自分 34、きりたん 23、おかえり 5
2戦目:ナカタ 28、あすまー 24、自分 24、hako 23、さつき 21、あかまどうし 16、まさのぶ 16、なるお 8
長蛇の列 Pan tu nie stał!
(プレイ時間 35分)
「万里の長城」のポーランド版で、絵柄が味わい深いゲームです。最後に終了条件を満たした(つまり手札をなくした)プレイヤーから1巡で終わりなのですが、そのあいだに簡単に決算で勝てる場所が出来てしまい、漁父の利を得たきりたんさんが最後に12点をもぎ取って逆転勝利です。このルールはおかしいのではないか、と思ってルールを読んでみましたが、特に最終ラウンドに関する特例はありませんでした。つまりこういうことが起こらないように考えてゲーム終了のトリガーを引きましょう、ということなのでしょう。相互作用が強いゲームですが、適度に関わり適度に分け合うという技術が必要なゲームです。
結果:きりたん 39、おかえり 34、kaship 29、自分 22、tamago 19
ダブル オア ナッシング Double or Nothing (ピアトニク版)
(プレイ時間 各10−15分)
続いて5人でも遊べる「ダブルオアナッシング」です。手軽だが良くできたバースト系のゲームで、個人のバーストと全員のバーストの2種類あるのが良いですね。さらに強制的にダブルオアナッシングをやらされるのも盛り上がります。「ダイアモンド/インカの黄金」や「クラウド9」が好きならば、是非遊んでほしいゲームです。
2戦目と3戦目はゲーム会の最後の時間調整で遊びました。3回遊んで1度もトップを取れませんでした。
結果
1戦目:tamago 63、きりたん 44、自分 41、おかえり 38、kaship 33
2戦目:hako 40、ナルオ 40、ナカタ 27、自分 26、さつき 25
3戦目:河原 55、自分 48、hako 43、ナカタ 39、さつき 35、ナルオ 26
ゾンビゲドン Zombiegeddon
(説明 10分 プレイ時間 65分)
「ゾンビゲドン」は2009年にトワイライトクリエーションから出版されたランダム配置の半完全情報ゲームです。その名の通りゾンビをテーマとしており、同社のクニツィアのゲームも「グレイブディガー」や「ののの...脳みそくれ」などアメリカンホラーといったテーマのゲームばかりです。オレンジと黒を基調としたダークな絵柄です。翌2010年に「原始の生活」としてアミーゴからドイツ語版が出版され、こちらは穏やかな色合いです。ここでは初版である「ゾンビゲドン」を中心に相違点も踏まえて書いていきます。
ボードは120ヘックスからなり、そのうち8ヘックスは前半と後半のスタート地点になっています。ゲームは前半と後半の2部制で、スタート地点以外の112ヘックスに112枚の前半用のタイルをランダムに並べて表向きにします。各プレイヤーは前半のスタート地点4カ所に自分の4個のコマを1つずつ置いてゲームを始めます。手番では自分のコマを動かしてボード上のタイルを集めていきます。
前半が終わると、バリケード19枚とマンホール5枚の計24枚のタイルはそのままにし、それ以外の残ったタイルはすべて除去します。そして後半用の88枚のタイルをランダムに並べて表向きにし(ここが完全情報ではない理由です)、後半のスタート地点に自分のコマを置いて前半同様に続けます。ゲーム終了時に獲得したタイルの合計点が最も高かったプレイヤーの勝利です。
手番ではコマを計2歩動かします。2つのコマを1歩ずつでも良いし、1つのコマを2歩でも構いません。タイルのある場所にしか移動できず、移動したときにそれまでコマがいたヘックスにあるタイルを獲得します。手番終了時にはタイルに1つのコマしかいることができませんが、手番の途中(つまり1歩動いたとき)に他のコマがいるタイルに入るのは構いません。つまり1つのコマを2歩動かすことで、他のコマがいるタイルを通り抜けることができるのです。ただしタイルは獲得できません。タイルを獲得するのは、必ず最初にそのタイルに入ったプレイヤーです。
移動のルールには幾つか例外があります。
1:バリケードは進入禁止で立ち入ることも通り抜けることもできません。
2:マンホールはいくつでもコマが入ることができます。マンホールにいる場合はボード上の任意のマンホールに1歩で移動できます。マンホールタイルは取り除かれません。
3:前半と後半のスタート地点にはタイルが置かれませんが、いくつでもコマが入ることができます。前半では後半の、そして後半では前半のスタート地点に到達するとそこに自分のサプライトークンを置けます。後半開始時には後半のスタート地点でサプライトークンがあるヘックスにのみ1つずつ自分のコマを置きます。よって後半のコマの数はプレイヤーによって異なります。ゲーム終了時には前半のスタート地点に置かれたサプライトークンは各5点になります。すべて置けば計20点となりかなり大きな得点です。
4:高得点となる敵タイルがいるマスに入るときには既に手に入れた武器タイル1枚を支払わなければなりません。
こうして取れるタイルがなくなったときに前半、後半が終了となるのです。ルール上はボードからコマを取り除いてコマがいたタイルを獲得するとなっていますが、実際は誰がどのタイルを取れるかが確定した時点で終わりにして問題ないでしょう。
得点となるタイルは主に3種類あります。単純に1−3点になる食料タイル、あらかじめ武器タイルが必要な敵タイル3−8点、同種を集めるほど得点が高くなる貯蔵品タイルです。敵タイルの獲得は2歩(2アクション)必要なので、最高の8点タイルならば1歩あたりは4点となります。武器タイルは敵タイルと同じ数だけしかなく、前半では武器12枚に対し敵3枚(5ー7点各1枚)ですが、後半では武器3枚に対し敵12枚(3−8点各2枚)と枚数が逆になっています。つまり前半で武器を集めて、後半で敵を倒すということなのです。貯蔵品は4種類あり、前半後半で異なった2種類が各10枚ずつあります。得点は三角数(同種のN枚目はN点)ですが、6枚以上は20点と上限があります。5枚集めれば1歩あたり3点、6枚ならば1歩あたり3.3点とかなりの高得点です。7枚以上集める意味はほとんどありません。なお、獲得したタイルは裏向きにしておきますが、使っていない武器だけは枚数が分かるように表向きにしておきます。
ゲームが始まってしまえば前半、後半はそれぞれ完全情報なので、なかなかシビアです。タイルがどんどん取られていき、動ける範囲が狭くなっていくことが追いつめられている感じがしてテーマとあっています。自分のコマが4個もあるので、どのタイルを優先するべきかの決断は重要です。とりあえずの食料3点タイルを取るか、武器を取って後半の高得点の敵に備えるのか、スタート地点に行って後半の自分のコマを確保するのか、など考えさせられる場面はたくさんあります。一番良いのは自分1人だけ多数のタイルを取れるようにエリアを確保することですが、なかなかそううまくはいきません。適度に他のプレイヤーを妨害しながら、自分の利を得ていきましょう。
ヘックスボードのタイルを集めていくゲームでは「アフリカ」がありましたが、「アフリカ」はタイルをめくっていくのに対し、「ゾンビゲドン」はタイルがすべて公開なのでよりゲーム性が高いです。一番感覚が近いのは「砂漠を越えて」かもしれません。タイルを獲得するのが、水たまりやオアシスの獲得であり、また囲碁のようにエリアを自分のものにするという要素もあるからです。また、後半開始時にバリーケードとマンホール以外がすべて流れてリセットされるところは「アメンラー」を思い起こさせます。得点タイルの種類も比較的オーソドックスな3種類ですが、頭を悩ますには十分過ぎます。この3種類に絞ったところがクニツィアらしいです。
「ゾンビゲドン」と「原始の生活」はテーマの違い以外にもボードの形やバリケード/道路タイルの役割などに相違があります。以下はそのまとめです。さらに、「原始の生活」には得点集計用のパッドが付いています。
ボードの形状(共に120ヘックス)
ゾンビゲドン(10列):11−12−13−12−13−12−12−12−12−11
原始の生活(12列):9−10−10−11−10−11−10−10−10−10−10−9
バリケード/道路タイルの役割
ゾンビゲドン(バリケード):プレイヤーコマは入れない
原始の生活(道路):プレイヤーコマは手番終了時に1つまで入れる(他のタイル同様に通り抜けられる)
ルールの本質的な違いは、ボードの形とバリケード/道路タイルの役割です。「ゾンビゲドン」のバリケードタイルは、誰も入れないマスなのに対し、「原始の生活」の道路は、誰でも入れる共通の通路なのです。ただし、手番終了時はコマ1つまでです。
今回は、バリケードの特性がはっきりと表れたゲーム展開になりました。バリケードタイルで囲われた地域は独占しやすいのです。本来はそれを見極めて、独占されないようにコマを送り込むべきなのですが、つい「原始の生活」のつもりでのんびりと構えていました。バリケードで広大な地区を独り占めしたkashipさんがダントツでトップです。視認性は劣るものの「ゾンビゲドン」の方が慣れてくるとシビアで面白いかもしれませんね。
結果:kaship 123、あすまー 95、自分 80、tamago 77
このあと、「フッケム」を1回と「ダブルオアナッシング」を2回遊びました(結果は前述の通り)。
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