今年のエッセンシュピールは10月23日から26日の4日間です。通訳としてテンデイズゲームズのタナカマさん夫妻に同行しました。エッセンの前に3人でポーランドを観光することになり、クラクフとワルシャワを中心に5日間滞在しました。これまでヨーロッパはスペイン、イギリス、ドイツ、オランダ、スイス、リヒテンシュテイン、イタリア、オーストリア、ルクセンブルグ、フランス(訪問順)を訪れたことがありますが、東欧諸国は初めてです。アメリカ在住時、ポーランド人の友人知人は多かったので、ポーランドは東欧の中でも身近に感じる国です。今回も旧友のポーランド人数人から色々な情報を頂きました。ロールキャベツのようなグアンプキや餃子のようなペロギなど日本人の舌にも合う料理が多いです。またポーランド語は世界一難しい言語と言われ、自分は1から10までを覚えるのに3年くらいかかったと思います。
そんなわけで、今回のエッセンレポートはポーランドなどゲーム以外の記述が多めになっています。日程は以下の通りです。
10月18日 成田よりフランクフルト経由でクラクフへ
10月18-20日 クラクフ滞在(ヴィエリチカとアウシュビッツ)
10月20-22日 ワルシャワ滞在
10月22-27日 エッセンシュピール2013
10月28-30日 パリ滞在
10月30-11月1日 パリよりミュンヘン経由で成田へ
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10月18日 金曜日 (出発)
早朝、始発の成田空港ゆき列車に乗り、2時間半かけて成田空港まで行きます。駅から待ち合わせのルフトハンザのカウンターまでを5分で走って、時間通りにタナカマ夫妻に合流しました。機内ではコーヒーをこぼすというアクシデントがあったものの、ルフトハンザ711便で無事にドイツのフランクフルトに到着し、乗り継いでルフトハンザ1368便でクラクフへ。いよいよ未知の世界が始まります。クラクフの空港はゲートを表すサインが「20÷34」などとなっており面食らいますが、これは「20~34」のことのようです。割り算記号を範囲指定として使う言語もあるのですね。
クラクフの中心部に出るために、とりあえず200メートルほど離れた空港駅まで3人で歩いて行きます。駅というよりはバス停みたいで、誰もいない林の中の地方の無人駅と言った感じで、アメリカの郊外鉄道の駅みたいです。次の列車まで1時間ほどもあったので、結局、話しかけてきたタクシードライバーと交渉してクラクフの旧市街にあるホテルに向かいました。タナカマさんが予約しておいてくれたホテル・ユーロペスキー Hotel Europejskiは中央駅の隣りと立地が良く、古い内装がクラシックな雰囲気を醸し出しています。
チェックイン後、さっそくクラクフのゲームショップを訪ねます。Bard という店がクラクフに2つあり、そのうち旧市街に近い方を訪ねました。時間の関係もあり、往路はタクシーで、帰りはそのまま旧市街を歩いて、ということにしました。ドライバーに住所を告げて降ろしてもらった場所は古びた真っ暗な建物です。本当にここで合っているのか、と半ば不安になりながらも建物に入って抜けると、中庭に出てその反対側がゲームショップでした。なかなかすごい場所にある店です。
マジックザギャザリングやウォーハンマーが主ですが、ユーロゲームのファミリーストラテジーもそれなりにはあります。ここではクニツィアの「フォーミュラーモーターレーシング」のポーランド版リメイクである Grand Prix: Ostatnia Prosta とポーランド版のポイズン Trucizna を買いました。
帰りは歩いて旧市街を散策します。クラクフは旧市街が綺麗に復元されているというのは聞いていましたが、そんな古い建物が並ぶ広場を歩いていても非常に活気があり、とても旧共産圏という感じはしません。ポーランド人の旧友Tにすすめられていたレストランを夕食にと考えていましたが、人気があるらしく予約で一杯だったので、翌日の夜を予約し、隣りのレストランに入ってピローギなどを食べました。(写真はホテル・ユーロペスキー)
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10月19日 土曜日 (ヴィエリチカとアウシュビッツ)
ホテルのおいしい朝食をたべたあと、タナカマさんが手配しておいてくれたヴィエリチカとアウシュビッツのツアーに行きます。この2つは少し離れており、公共交通だけでは1日で両方を訪れるのが難しいのでツアーを選択したとのことです。
朝食後、ガイドを務めるポーランド人のマーチーさんとドライバーの方が迎えにきてくれました。マーチーさんは日本に行ったことが無いのに日本語が喋れる方です。なおマーチーはマーチェック Maciej の愛称で、以前自分が同居していたポーランド人と偶然にも同名でした。まずはクラクフ南郊のヴィエリチカ Wieliczka に向かいます。
ヴィエリチカ岩塩坑 Kopalnia soli Wieliczka は最初に登録された12の世界遺産のひとつで、坑夫が岩塩で作った様々な像がすごいです。見学路は3キロ半もあり、巨大な地下空間にはチャペルもあります。壁も塩でできていて、自分は色々な場所で壁を舐めてみました。場所によって味が異なります。その後、マーチーさんと一緒に近くで昼食をとったあと、クルマでアウシュビッツ強制収容所があるオシフィエンチム Oswiecim へと向かいます。アウシュビッツはドイツ語の地名でオシフィエンチムはポーランド語本来の地名です。
アウシュビッツは正確にはアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所 Auschwitz Birkenau German Nazi Concentration and Extermination Camp と言い、近くにある2つの収容所を中心に世界遺産に登録されています。消費社会が進む明るいポーランドの小さな町オシフィエンチムのすぐ近くにアウシュビッツ収容所はありました。日本人唯一の公式ガイドを努めるというポーランドに20余年在住の中谷さんに案内して頂くという幸運で、施設の見学という物理的な側面だけでなく、中谷さんが提起する様々な問題を通した内面を少しだけ理解することができました。「傍観者になるのは簡単だ」と繰り返す中谷さん。アウシュビッツの問題は日本の原題の高齢化などの問題とも結びついているという視点など、これからゆっくりと傍観者にならないように考えていきたい問題です。人間の本質という問題を突きつけられました。これ以上は言葉にできません。ここは再訪するべき場所です。
昨日予約した旧市街にあるレストラン Wierzynek で夕食です。1364年創業の老舗で、ポーランド人の旧友Tが言うには「クラクフでは一番有名なレストラン」だそうです。さっぱりとしたものが食べたかったので、鹿のタルタルステーキを頂きました。ポーランドの変わったジュースも美味しく、サービスも素晴らしかったです。
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10月20日 日曜日 (クラクフ)
クラクフ最終日です。朝から駅前の近代的なショッピングモールでゲームショップを物色します。まず、玩具屋っぽい Smyk に入るとアメリカゲーム中心ながらもドイツゲームも結構売られています。その後、店員に「他にゲームを売っている店はあるか?」と聞いて、すぐそばの洒落た雑貨店という趣きの Empik を訪ねました。こちらの方がもう少しバラエティーがあったと思います。いずれにせよ、思いのほか大きな売り場で驚きました。
次にクラクフの旧市街を通って城まで歩き、帰りにコーヒーショップ Jama Michalikowa へ行ってみました。これも旧友が勧めてくれた店で、とてもコーヒーショップとは思えない重厚な古いビルで雰囲気があります。アイスクリームがおいしかったです。
14時14分発のグディニャ中央駅行きの列車でクラクフからワルシャワへ向かいます。発車番線も最初はちゃんと表示されておらず混乱しましたが、自分と同様に混乱している人たちに付いていって何とかなりました。一応、ドイツのようにプラットフォームにすべての列車のスケジュールが書いてあるのは素晴らしいです。乗ってしまえば、半分個室の指定席だったので結構快適でした。ビュッフェもあり、コーヒーを買いにいって片言のポーランド語を試したりしました。プルーンをベーコンで巻いて焼いたものをおやつ代わりに食べましたが、車内食にしてはかなり美味しかったです。
旧共産圏の名残と思われる町並みのワルシャワを15分くらい歩いて、ウエスティンホテルに到着です。エレベーターが外から見えるのが近未来的です。インターネットが使えるようにということで、エグゼクティブルームに泊まることになりました。ちょっとリッチな気分です。ホテルのレセプションで勧められた近くのレストラン Folk Gospoda に行ってマスを食べます。これがなかなか巨大なマスで、お腹がいっぱいになりました。そのあとエグゼクティブ専用のラウンジでコーヒーを飲み夜景を眺めて夜を過ごしました。
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10月21日 月曜日 (ワルシャワ)
ワルシャワで丸1日滞在する唯一の日です。ゲームショップ Planzomania、ワジェンキ公園、そして旧市街をまわりました。
本能的な優先順位からか、まずはゲームショップに行くことになりました。郊外ですがトラムでのアクセスが可能な場所です。35番系統に乗るべく、Królewska 停留所まで歩きます。チケットの買い方が分からず、英語を話せる人何人かをつかまえて聞いてみると「中で買えるよ」とのこと。ドイツのボンのトラムのように中に機械が置いてあるのかと思ったらそんなことはなく、まあ検札が来たら説明して料金を払えばいいやと思っていたのが間違いでした。10分ほどすると検札が現れ、チケットを持っていないから罰金だと言って列車から降ろされます。いろいろとまくしたてて抵抗するものの、最後は3人とも罰金を支払うはめになってしまいました。なおチケットは近くのタバコ屋などで買えるとのことで、これは旅行者には非常に分かりずらいシステムです。信用乗車システムを採用するならチケットはちゃんと駅で売って欲しいものです。もうこんな面倒が起こらないように、タバコ屋で24時間チケットを買います。これで明日の朝空港に行くまで使えます。
そんなわけで列車で2本分、時間にすると30分を無駄にしたあと Nowe Bemowo 停留所に到着。ここから地図と勘を頼りにあるくとゲームショップ Planszomania が見つかりました。店内はそれほど大きくはないものの、品揃えが豊富で、クラクフの Bard よりも明らかにユーロゲームに力を入れている感じです。店員の女性が非常に詳しく親切で、ポーランド独自の絵柄があるクニツィアゲームをすべて調べてくれました。どれも絵柄が独特で、ショッテントッテンのポーランド版など色々と購入してしまいました。
トラムの23番で一度ホテルに戻り休憩したあと、今度はトラムの10番で Pl.Unii Lubelskiej まで行って、次の目的地であるワジェンキ公園 Łazienki Park に向かいます。ショパンをテーマにした像があり、広々として歩いていて気持ちがよい公園です。現地のおじさんがポーランド語と身振り手振りのみでクジャクに手のひらから餌をあげる方法を教えてくれました。クジャクにつつかれて少し手のひらが痛かったです。そのあと北にずっと歩いて旧市街へと向かいましたが思ったよりも遠く、途中でトイレ休憩のために立ち寄ったユースホステルの名前が「アグリコラ」ということでローゼンベルグファンのアッキーさんは喜んでいました。旧市街の南端を少し歩き、旧友Mに勧められていたポーランド料理のチェーン店だというザピチェック Zapiecek で夕食をとり、ボルシチ、ザワークラウト、コンポットなどを楽しみました。
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10月22日 火曜日 (ワルシャワからエッセンへ)
8時55分発のルフトハンザ3021便デュッセルドルフ行きに乗るべく、早朝にホテルを出発し空港に向かいます。いよいよエッセンに向かうのです。ワルシャワ中央駅にある空港行きのバス乗り場が分からなかったり、どの停留所で降りれば良いかが分からなかったりしたのですが、なんとか空港にたどり着きました。ところが濃霧のために飛行機がキャンセルされてしまいます。しかし、10時の1347便にぎりぎり振り替えてもらえました。セキュリティーチェックのあとはベルトもはめずに走って搭乗口へと急ぎます。結局以下の行程になりました。
ルフトハンザ1347便 ワルシャワ 10:00 - フランクフルト 11:50
ルフトハンザ78便 フランクフルト 13:10 - デュッセルドルフ 14:00
フランクフルトからデュッセルドルフなどという短距離便があるとは知りませんでしたが、とにかく3-4時間遅れでの到着ということで不幸中の幸いだと思います。デュッセルドルフ空港駅からのんびりとS1でエッセン中央駅に向かいます。もうここからは慣れた道筋で旅行気分もひとまず終わりを告げます。ショウコさんのアパートメントホテルにチェックインしたあと、スーパーで買ってきた芽キャベツを煮てヴィエリチカの塩を混ぜて食べて夕食としました。
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10月23日 水曜日 (シュピール前日)
エッセン前日のこの日は午前中11時からオープニングセレモニーがあり、そのあとプレスだけが入れる部屋で最新作の展示を見ることができます。そして、夜はディナーパーティーです。今回はスケジュールの都合でオープニングセレモニーには出られませんでした。去年まではホール4-12を使用していましたが、今年はホール1-3となって大きなホール3つとわかりやすくなり、去年よりも広くなったらしいです。39カ国から828団体が参加ということで、これも去年よりほんの僅かながら増えています。
セレモニーが終わった頃に、新作展示の部屋に行ってみました。ゲームの内容などゆっくり質問することができるので、ここでいくつかチェックしておきます。カナイさんの「ラブレター」は大変な人気で、場所も広く取ってあり、そこにはなんと「ラブレターケーキ」までありました。誰が食べたのでしょうかね。
クニツィアはブリーズデールとの共作であるイスタリの「プロスペリティー」のほか、コスモスから「ディードライ」というシリーズ物のipadを用いた推理ゲームが出ていました。見た限りではこの2つだけのようです。他には今年のSdJ受賞作「花火」のデラックス版などが目を引きました。
1、2、3! みつけたかな 1,2,3 Now you see me…
ホモルディカスの新しいゲームで、可愛らしい動物のコマをテーブルに配置して行う記憶ゲームです。親はカードの指示で子が目をつぶっている間に、動物を加えたり引いたり動かしたり入れ替えたりします。そのあとどの動物に変化があったかを子は当てるのです。たったこれだけですが、プレイ感覚は意外と新鮮です。なお、ホモルディカスのポールさんは、日本のテンデイズゲームズでも会ったことがあるのに忘れていたというのは恥ずかしいばかりです。
クー Coup + リフォメーション Reformation
ラマメゲームズのクーはブラフを色々と利かせられる正体隠匿のゲームですが、この拡張リフォメーションでは、プレイヤーは2つの宗教陣営(カトリックとプロテスタント)に分かれます。同宗教のプレイヤーは攻撃できないという仕掛けですが、宗教を変えるというアクションもありゲームにより深みが増しています。多人数だとこの拡張が効果を発揮するのでないでしょうか?
夜のパーティーでは、クニツィアや秘書のカレンさんとも再会しました。DSPの授賞式も行われます。「秦」「ロンド」「エルファーラウスボードゲーム」「スペクタクラム」と大箱の良質ゲームを4つも出しておきながら入賞していないクニツィアが不憫です。世の中のゲームのトレンドは自分が思うところと完全に違う方向へ行ってしまったのでしょうか。
遊んだゲーム
オンゴーイングデッド ニューヨーク Ongoing Dead NY
1、2、3!みつけたかな 1,2,3! Now you see me…
クー Coup(拡張リフォメーション Reformation 入り)
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10月24日 木曜日 (シュピール1日目)
いよいよエッセンシュピールが始まります。テンデイズゲームズの商談の合間に、アバクスシュピールのブースでSdJを獲得した「花火」のデラックス版を購入しました。おまけで花火の扇子が付いてきます。カードが牌になり、自分の前に立てておけるのは良いのですが、牌を触ることで分かってしまうのが欠点です。「横をつかむようにすれば大丈夫」と説明されたのですが、やはりプレイアビリティの面で少々残念でもあります。
エベス Ebbes
エベスはドイツのプファルツ Pfalz 地方(ラインラント=プファルツ州南部)をテーマにしたトリックテイクです。決められた数字のあるスートが出ると、そのスートが切り札になったり、得点減点対象になったりします。これがコントロールできるようで難しくも悩ましいのです。トリックテイク好きには受ける一作といえるでしょう。今回初めてエッセンにブース出すというパラティア・シュピールの最初のゲームです。なおプファルツの英語名がパラティネイト Palatinateでパラティアという名前はここから来ているようです。作者を始めブースに居た方々が暖かく迎えてくれて、一緒にゲームを楽しみました。
シカゴ ストック エクスチェンジ Chicago Stock Exchange
いつも訪れるジャクタリアはブルーオレンジヨーロッパと名前を変えてブースを出していました。ここではシカゴストックエクスチェンジやナダを遊ばせて頂きました。チップが積まれた山を1-3歩進んで進んだ1つ先と1つ前のチップを取ります。面白いのはこの2枚のうち1枚は自分が獲得し、もう一枚は破棄してその色の価値を下げるのです。価値は下がるばかりなのでそこまでダイナミックではありませんが、手堅く楽しめると思います。
ナダ! Nada!
白地にオレンジとオレンジ地に白の2種類のダイスがたくさんあります。これを振って同じ絵柄が2種類に現れるとそれを宣言してダイスが取れるのです。面白いのはまったく組み合わせがないときに「ナダ!」と宣言して正しければ場のダイスがすべて取れるというところです。
イスタリのブースに寄って見ると、昨日のパーティーでカレンさんが教えてくれた通り、土曜日のクニツィアのプロスペリティーのサイン会のお知らせがありました。それにしてもプロスペリティーはイスタリのブースでも目立たず、あまり試遊されていないようで気になります。
遊んだゲーム
エベス Ebbes
シカゴ ストック エクスチェンジ Chicago Stock Exchange
ナダ Nada!
1911 アムンゼン対スコット 1911 Amundsen vs Scott
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10月25日 金曜日 (シュピール2日目)
自分が必ず訪れるネスターゲームズは今年は金曜と土曜の2日しかブースを出していません。翌日の土曜の午後にきちんと寄ろうかと思いつつ、とりあえずタナカマさん夫妻と3人で寄ってみました。自分がプレオーダーしたものの中から「リンクエイジ」と「オナガー」をタナカマさん夫妻に遊んでもらったのですが、やはりアブストラクトゲームということで反応は今ひとつでした。
フェルティのブースでDTCを幾つか買おうと思ったのですが、まったくデモプレイも宣伝もされていません。フェルティに限らずクニツィアのゲームはどのブースでもないがしろにされているように思われますが、これも時代の流れなのでしょう。でもDTCの様な小気味よいゲームはもっと広まっても良いと思います。
夜はエッセン市内のボーアベックという場所にあるDampfeというレストランに行き、メビウスの能勢さん夫妻やカルカソンヌ世界大会の代表者のかたがたなどとともに大勢で食事をしました。宿のショウコさんもハンナを連れての参加です。いつもはデュッセルドルフに行くのですが、ちょっと遠いので今年は近場にしたということみたいです。豚の丸焼きがやはり美味しいですね。
宿に戻ってから、おのさん、タナカマさんとともに「DTC」と「1、2、3!みつけたかな」を遊びました。
遊んだゲーム
DTC DTC
1、2、3!みつけたかな 1,2,3! Now you see me…
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10月26日 土曜日 (シュピール3日目)
再びブルーオレンジヨーロッパのブースを訪れ、未プレイのゲームを試させてもらいました。
バトルシープ Battle Sheep
「スプリット Splits」を3人以上でも遊べるようにしたもので、ギークでは同じエントリーになっています。テーマが羊となり、ひとつひとつ絵柄が違うのが凝っています。多人数アブストラクトは本質的に問題があると思うのですが、まあファミリー向けとしては悪くないのではないでしょうか。
フルムーン Full Moon
2人用のタイル移動のゲームです。ちょっとリンジャなどにシステムが似ていて面白かったです。移動するが次の移動可能なタイルを決めるという感じだったと思います。
休憩のときに食べたアイスクリームは Waldmeister というフレーバーでした。調べてもよく分からないのですが、さっぱりして美味しかったです。何の味なのか知っている方は教えてください。
クニツィアのサイン会です。直前に隣りのコスモスのブースで Die Dreiのサイン会をしていました。「プロスペリティ」はイスタリから出版で、初の共作、個人ボードがあり、「アメンラー」以来のゲーマーズゲームということで、期待と不安が入り交じる新作です。クニツィアとブリーズデールが並んでサインをしてくれました。
次にネスターゲームズのブースに行きます。話に聞いていた通りスヌーカーのボールで作った「渋」があり、これをつかってドイツの若者のグループに「スプライン」と「スプルシュ」を教えながら一緒に遊びました。気に入ってくれたみたいで、その場で「渋」の侍セットを買っていました。
つぎに作者のキャメロン・ブラウンと一緒に「マーゴ」を2回遊びました。彼は「マーゴ」という3Dの碁をデザインしておきながら、実は碁はそれほど遊んだことがないということで、ちょっと意外でした。これは1勝1敗で、2戦とも先手勝ちでした。
さらに、日本以外では知られていないマーブルゲームの傑作「アッパーハンド」を伝授しました。ボールの数が多くないので6路盤を流用して5x5(各自ボール27個ずつ)です。結構気に入ってもらえたようです。
ネスターゲームズは今回はキャメロンが主導するUTCゲームデザインというリサーチプロジェクトとしてブースを出しています。忙しいらしく、2日目と3日目の2日間だけの参加で、この日でおしまいなのでブースの片付けを手伝いました。その流れでネスターとキャメロンと3人でイタリア料理の店に食事に行き、ゲームデザインの話に花が咲きました。2人ともすごい色々なアイディアを持っていて、刺激が大きかったです。夜中にネスターがレンタカーでショウコさんの宿まで送ってくれました。
遊んだゲーム
バトルシープ Battle Sheep
フルムーン Full Moon
スプライン Spline (渋 Shibumi より)
スプルッシュ Splush (渋 Shibumi より)
マーゴ Margo (2回)
アッパーハンド Upper Hand(5x5)
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10月27日 日曜日 (シュピール4日目)
いよいよシュピールも最終日です。Grosso Modo のブースで30カラットとノスフェラトゥを遊びました。
30カラット 30 Carats
それぞれの宝石の価値を探りながら宝石を交換していくというゲームです。手番プレイヤーが宝石を提示し、それに対して他のプレイヤーは同時に交換したい宝石の組み合わせを提示します。それぞれ価値を知っている宝石は1種類だけですが、ゲームが進むに連れてだんだんと分かっていくという仕組みなのです。
ノスフェラトゥ Nosferatu
吸血鬼1人と他全員の戦いという正体隠匿系ですが、ひとりがモデレーターとなり、吸血鬼の側につきます。手番がどれだけ廻ってくるのかがランダムに決まってくるのでなかなか考えさせられます。夜明けまでにばれないように首を噛もうとする吸血鬼という雰囲気がよく出ている面白いゲームです。
ハンスイムグリュックの特別展示ではこれまでのゲームボックスがすべて展示されており、いくつかはクイズ形式になっていました。チグリスユーフラテスは箱ではなくこのような写真でした。実在しない青のダブルモニュメントですね。
午後3時にキャメロンブラウンと待ち合わせて、プレスルームでコーヒーを飲みながら色々なゲームのテストプレイをしました。そのあと一緒に夕食でもと中央駅近くのペッパーコーンに行ったのですが、満席で入れずに残念。少し歩いてRathausのモールの2階にある中華料理の食べ放題に行き、そこでいろいろなゲームの話をしました。これでエッセンシュピールは終わりです。
遊んだゲーム
30カラット 30 Carats
ノスフェラトゥ Nosferatu
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10月28日 月曜日 (パリ)
タナカマさん夫妻に別れを言い、いよいよエッセン出発です。ショウコさんに頼んで取っておいてもらったタリスという国際列車に乗ります。これはパリ、ベルギー、とライン・ルール地方を結ぶ列車で、オランダへ行く系統などもあります。問題点はタリスは全席指定で、さらにドイツに乗り入れているにもかかわらず、ドイツの駅ではチケットが買えないということです。予約が遅かったので90ユーロ以上もかかってしまいましたが、その代わり1等車だとのことです。何故か2等車よりも安かったそうです。
1等車はかなり広く、真っ赤なシートが電動でリクライニングするのにはびっくりしました。さらに、飛行機みたいに、まず軽食が、そして夕食が運ばれてきて、食後のコーヒーまであり、総合的にはリーズナブルかもしれません。ケルンを16時42分に出発。アーヘン、ブリュッセルと抜けて、3時間半後の20時08分にパリ北駅に到着です。パリ在住の友人にはタクシーでコンコルド広場まで来るように言われていたので、タリスの車内からタクシーを頼みます。ただこれは普通のタクシーよりも追加でお金がかかるとのことで、普通のタクシー乗り場に行っても構わないと受付の人に言われました。しかしタクシー乗り場は長蛇の列で、さらに客引きがものすごい数いて、嫌になった自分はタリスが頼んでくれたタクシーに乗ることにしました。時間の節約にもなるし、結果としてはこれで良かったと思います。
コンコルド広場近くで無事友人と再会し、そのまま再びタクシーに乗って、友人宅へ。徒歩10分という近くのセーヌ川まで散歩して夜のエッフェル塔を眺め、そのあと近所のレストランで早速、おすすめだという鴨肉のステーキを楽しみました。
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10月29日 火曜日 (パリ)
パリは去年に続いて2回目です。せっかくなので少しは観光をしようと思い近郊のベルサイユ宮殿に行くことにしました。昨日の夜通った道でセーヌ川に行き、そこから川沿いにエッフェル塔にある Champ de Mars Tour Eiffel 駅まで歩いてRERのCラインの列車に乗ります。列車は落書きで汚く観光客でかなり混んでいました。ほどなく終点のベルサイユ・シャトウ Versailles-Château 駅に着き、そこから10分ほど歩くと宮殿です。
チケットを買うための列、そして入場するための列があり、案内が無いので間違って並んでいた人も多かったみたいです。往きの列車の中で知り合った6フィート1インチもある長身の黒人女性と相談して、手分けすることにしました。つまり自分はチケットの列に並び、彼女は入場のための列に並ぶわけです。チケットの列は短いと思いきや建物の中で延々と並んでいて1時間ほどかかり、さらにチケットの券売機が非常に分かりずらく、宮殿と庭園の2つを2枚ずつ買ったのですが、庭園のチケットには宮殿が含まれているとのことです。これを払い戻しするにはまた最初から列に並ばなければならないということで、払い戻しはあとまわしです。
手分け作戦が功を奏して、長身の黒人女性はかなり列の先まで進んでいました。彼女は庭園のチケットは要らないとのことで、あまった宮殿と庭園のチケット1枚ずつをダフ屋のごとく、売りにいくことにします。中国人らしき男性が1枚を買ってくれました。
漸く宮殿に入ったのはもう12時を過ぎていました。この丘陵地に水を引くのが大変だったようです。色々と絵や飾ってありましたが、絵を模写する絵は面白いと思います。その後、庭園を見に行きました。音楽のある庭園ということで生演奏かと思いきや森の中からスピーカーでクラシックが流れているだけで興醒めです。恐ろしく広い庭園で、中央を貫く大運河の端まで行ってみました。ここまで3キロ半ほどの距離で、さすがに人もまばらになりのんびりできました。
夕立が降り、トリアノンから虹が見えます。だいたい一通り見終わる頃にはもう日が沈んで真っ暗でした。さて戻ろうかと思ったのですが、ちょっと困ったのは色々な場所にある地図に現在地の表示がないことです。パリはベルサイユ宮殿に限らず、町中の地図にも現在地が無いものが多く、これではあまり役に立ちません。仕方なくその辺の人を捕まえて聞くしか無いのです。
最後に余ったもう1枚のチケットの払い戻しをしようと思ったのですが、チケットブースは締まっているの一点張りで、誰も助けてくれません。宮殿はまだ営業中なのにひどい話です。アメリカ同様に仕事の細分化が進みすぎていてサービスゼロという印象です。色々な人と話した末に、漸く住所を書いた紙を渡されました。チケットを送ると25ユーロ戻ってくるとのことです。結局このチケットは友人にあげました。
St-Michaelの噴水前で友人と待ち合わせて、お気に入りだというクレープ屋の La Crêperie des pêcheurs に連れて行ってもらいました。この辺りはクレープ屋が多いです。Benodetというホタテ貝入りのクレープでとても美味しく、デザートはグランマニエをたっぷりかけてその場で焼いたクレープ Flambeau Rham Grand Marnier で、これも美味でした。食事として1枚、デザートとして1枚というスタイルが面白かったです。
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10月30日 水曜日 (パリ)
友人に勧められてモンマルトル Montmartle という場所に行ってみました。小高い丘でパリの町が一望できるそうです。Anvers駅で降りて短いケーブルカーに乗ってみます。かなり観光地化しており、しつこい物売りが多くて辟易しましたが、眺めは良かったです。
そのあと、パリ訪問の主目的と言っても良いLes Gobelins駅近くにあるゲームショップのOYAに行くことにします。日本語もできる店主のパトリックさんは自分のことを覚えていてくれたのが嬉しかったです。なかでは子供達が大勢遊んでいて、ほのぼのとした雰囲気です。パトリックさんと一緒に「ジャストインタイム」を遊び、そのあとお土産用のフランス固有のゲームを幾つか勧めてもらいました。
帰り道、滞在している友人宅の近所にかなり芸術的なチョコレートの店を見つけて思わず入ってしまいました。入れ物から器まですべてチョコレートなのですが、パリではこういう店が結構あるのかもしれません。オレンジピールのチョコ和えなどをお土産に買います。
荷物整理とパッキングをしていよいよ出発です。重いスーツケースを引きずり、Commerce 駅からメトロでコンコルド広場へ向かいます。パリのメトロはほとんどバリアフリー化がされていないので、やはり汗だくになり、タクシーで行けばよかったかなと思いました。お世話になった友人と近くのコーヒーショップでコーヒーを飲み、お礼を言ってお別れです。タクシーでパリ東駅に向かいます。渋滞で非常に時間がかかり、結局30ユーロ以上かかってしまいました。暇なのでレバノン人のドライバーと色々話してたらそのうちボードゲームの話になり、その場でOYAを検索するなど結構興味を持ってくれたようでした。
ここからミュンヘン行きの20:05発の夜行列車に乗ります。「カシオペア」という愛称が一応ついているみたいです。列車は15分ほど遅れると表示されていました。漸く発車番線がわかり、一応早めに列車に乗り込むことにします。編成が非常に分かりずらく、自分の乗る118号車は前から3両目だったみたいで乗るまでに結構歩きました。結局出発は5分早まって10分遅れになり、割とギリギリに乗車となりました。おそらく15分遅れの表示を信じて乗り遅れた人がいるんじゃないかと思います。
何度かヨーロッパではお世話になっている夜行列車ですが、今回はスーツケースが大きいということもあり簡易ベッド(クシェット)6つでなく4つの部屋にしました。とはいえシャワーも無料で浴びられるし、スナックバーも使えてちょっとした旅情が味わえます。駅で買ったサンドイッチを食べて就寝。
遊んだゲーム
ジャストインタイム Just in Time
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10月31日 木曜日 (ミュンヘン)
朝7:10にミュンヘン中央駅に到着します。カールスプラッツやマリエンプラッツを散歩して、ギャレリアにゲームを見に行きました。カールスプラッツの近くのギャレリアは9時半開店ですが、マリエンプラッツのギャレリアは9時開店だったので、さっそくゲーム売り場に行きます。店員が「クニツィアが好きなんだろ?」と自分のことを覚えていて、ティプルというシステムを紹介してくれました。ここでは去年同様に「ケルトタイル」と「頭脳絶好調タイル(ゲニアール)」をそれぞれ3ユーロ95で購入しました。
10時きっかりに Josephsplatz に住む友人夫妻の家に行きます。旅行から昨晩戻ってきたばかりということですが、暖かく迎えてくれました。頼まれていた日本製の水筒をおみやげとして渡し、一緒に朝食を食べ、そのあと友人の息子も交えて一緒に「ブロックス」を遊びました。
慌ただしいですが、空港に向かいます。S8に乗って、ミュンヘン空港へ。以前訪れた時のビールの工場があるフライジングのそばです。
アジア方面は23キロのスーツケース2つまでチェックインできます。29キロもあったのですが、1つだけなので良いかと聞くと駄目だと言われてしまいます。手荷物と色々と入れ替えてやっと23キロ未満まで重さを減らしました。毎年この入れ替え作業は疲れますが、まあ仕方の無いところです。
遊んだゲーム
ブロックス Blokus
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11月1日 金曜日
こうして翌日の午後、無事に戻ってきました。テンデイズのタナカマさんとアッキーさんには本当に色々とお世話になりました。エッセンも会場が変わったせいか転換期なのかなあという気がします。もう90年代のジレンマは時代遅れかもしれないのですが、少しでもそういった昔ながらの楽しみがあるゲームがこれからも出てくれればなあと思います。そういうゲームを探し歩くのは、やはり楽しいものです。
帰国の翌日にはミスボドに行くというハードスケジュールで、さっそく「花火デラックス」と「プロスペリティー」を遊びました。それについてはまた次回に。(完)
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購入ゲーム一覧
すべてのゲーム
クニツィアのゲーム
ネスターゲームズのゲーム
ポーランドで購入したゲーム
フランスで購入したゲーム
花火デラックス版と扇とプレイマットのポスター
エベスとフリーゼの秘密基地とディードライのポストカード
ポーランド(クラクフ)で購入したゲーム
ポイズン Trucizna ポーランド版
Grand Prix: Ostatnia Prosta(フォーミュラモーターレーシングらしい)
ポーランド(ワルシャワ)で購入したゲーム
Kto z Kim?
Pluszaki Rozrabiaki(ブントロンドらしい)
Pluszaki Rozrabiaki: Opowieści z Podróży
Bzzz Plask!(イッツマインらしい)
Pan tu Nie Stał!(万里の長城らしい)
Kang-a-Roo(ピアトニク)
Schotten-Totten
シュピールで購入したゲーム
花火デラックス版
プロスペリティー
ディードライ
シャーロック(ハバ)
五本のキュウリ
DTC
マーゴ(忍者エディション)
8x8のボード(アクロン用)
セルティック
リミット
キャノン
リンクエイジ
オナガー
ヴォロー
パリ(OYAゲームズ)で購入したゲーム
インフェルノ
フランスのゲーム5種
トランプ(これのみベルサイユ宮殿で購入)
ミュンヘンで購入したゲーム
ケルトタイル
頭脳絶好調タイル
Chaos im Kinderzimmer(ハバ)
草場純
大旅行でしたね。読んで私も追体験した気持ちです。
これは秘密ですが、私も(隠れ)クニツィアファンなので、近頃の趨勢は少々残念な気持ちです。
けがわ
コメントありがとうございます。
クニツィアはプロスペリティよりも、むしろDTCなどカードゲームの方が面白いかと思います。まあ共作というのは彼向きではないのかもしれません。
そのたくま
電車の中で罰金払ってるところ「これぞ旅」って感じで面白いですね。
けがわ
>そのたくまさん
コメントありがとうございます。あの罰金は痛かったですが、確かにこれも旅ですね。ポーランドの色々な面が見られて良かったです。