渋の会2回目です。この日は連結系7種とパターン系1種の計8種を遊びました。連結系と言ってもボードの対辺を結ぶヘックス系(ツイクスト系)の「スパン」「スポネクト」(あとA5のルールシートに載っていた「スフェックス」も)、自分のボールをすべてひとかたまりにするラインズオブアクション系の「スパイト」「スプルシュ」、相手よりより大きいグループをつくることを目指す「スパイス」「スパイジ」「スパゲッティ」などいくつかにわかれます。
スパン Span
(プレイ時間 各2-5分)
キャメロン・ブラウンのデザインした最もシンプルな連結系のゲームで、連珠系でいう「スプライス」のような位置づけのゲームです。手番には自分のボールを1つボード上か2x2の土台の上に置き、お互いに異なる対辺を見えているボールで結ぶことが目的です(例えば白が東西だったら黒は南北を繋ぐ)。連結系でやはりボールを使う「アクロン」も同作者のゲームですが、ボールを移動するルールはありません。
このゲームはこのままでは先手必勝のように思えます。斜めは上にも行けるので切りようが無く、先手は楽に連結できてしまいます。ボードがせめて6x6だと少し違うかもしれませんが、4x4ではほぼ先手必勝なのは明らかではないでしょうか。「アクロン」のシンプルなバージョンを期待していたのですが、これは期待はずれです。先手初手番の置く位置を制限することも考えられますが、そうすると今度は後手必勝になる気もします(まだ考察段階です)。本当にゲームとして成り立っているかをキノさんがいろいろと考察していましたが、どうなのでしょうか。
結果(*は先手)
1戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
2戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
3戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
4戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
5戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
スポネクト Sponnect
(プレイ時間 各5-10分)
マーティン・ウィンディッシャーがデザインした「スポネクト」は「スパン」と同じように、プレイヤーはお互いにボードの異なる対辺を繋ぐことを目的とするゲームです。あらかじめ中央に5つの赤い中立のボールを置いておくので、ゲーム中に置かれるボールは終了時には必ずすべて見えるボールとなります。手番には自分のボールを1つボード上か2x2の土台の上に置くか、またはパスができます。ただし相手がパスした直後にはパスできません。
たったこれだけの違いですが、プレイ感覚やゲームの完成度は「スパン」と大きく異なります。まず、連結系ゲームでは決定的に有利な中央には最初から置けず、土台を作ってしまうとその上に置かれるという駆け引きがそこここで生まれます。パスをするというルールも効いていて、ある土台を作らせれればそのうえに自分が置いて勝てる、というようなときには自分だけが連続パスをして事実上詰みとなります。このパスルールのおかげで、変にニムっぽくならずに済んでいます。
なお「コンヘックス」のボードで板だけ使い周囲からしか置けない配置ルールにすれば、5x5のボードでの「スポネクト」が遊べます。
結果(*は先手)
1戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
2戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
3戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
4戦目:キノ 勝利、自分* 敗北
5戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
スパイト Spight
(プレイ時間 各2-5分)
キャメロン・ブラウンとネスター・アンドレスが共同でデザインしたチェスのナイトの動きを取り入れたゲームです。チェカーボードのように市松模様に8個ずつのボールを置いてスタートです。目的は自分のボールをすべて連結させることです。手番には自分のボールを1つチェスのナイトのように動かします。このとき、平面上で2-1(2マス進んで直角に曲がり1マス進む)か、ひとつ上のレベルで1.5-0.5(つまり動かすボールの隣りの2x2の土台の上)の位置に動かします。このとき上に乗ったボールを落下させても構いません。
チェスのナイトの動きが面白いのですが、少々手が狭い気もします。4戦遊んだ感じでは先手が若干有利だという気がしました。
結果(*は先手)
1戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
2戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
3戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
4戦目:キノ 勝利、自分* 敗北
スパイス Spice
(プレイ時間 各5-10分)
ニック・ベントリー作の「ケチャップ Ketchup」の渋版で、デザイナーはマーティン・グライダーです。あらかじめ中央に5つの赤い中立のボールを置いてスタートです。手番には自分のボールを2つまで(先手の初手だけは1つ)置けますが、置いたボールの属するグループが相手の最大グループのボール数を越えてしまったら、相手は次の手番で自分の任意のボールを1つだけ取り除けるのです。大きなグループが幾つできても取り除けるのは1つだけです。よって徐々にお互いに大きなグループができていきます。こうしてピラミッドが完成したらゲーム終了です。ピラミッドの頂点のボールを取り除き、もっとも大きなグループを作ったプレイヤーが勝ちとなります。
どこで大きなグループをどういう風に作るかというのが駆け引きがあって面白いゲームです。若干後手が有利かもしれません。
結果(*は先手)
1戦目:自分 11、キノ* 5
2戦目:キノ 10、自分* 7
3戦目:自分 10、キノ* 6
4戦目:自分* 11、キノ 6
5戦目:自分 10、キノ* 8
スパイジ Spaiji
(プレイ時間 各5分)
ネスター・アンドレスがデザインした「対峙 Taiji」の渋版です。手番はきっかり15手番(先手8手番、後手7手番)で、自分と相手のボールを1つずつお互いが接するように置きます。接しさえしていれば、平面上に置く必要はありません。15手番終了後、つまりピラミッド完成後に見えるボールの最大グループのボール数で勝敗が決まります。
今回6回遊んだ限りでは、勝者は見えているすべてのボールを繋げており、スコアは13になりやすいです(15のうち2つが見えていないボール)。すべて繋げることが無い接戦の結果をみてみたいものです。
結果(*は先手)
1戦目:自分 13、キノ* 4
2戦目:自分* 13、キノ 6
3戦目:キノ* 13、自分 6
4戦目:キノ 13、自分* 8
5戦目:キノ* 13、自分 5
6戦目:キノ 12、自分* 9
スパゲッティ Spaghetti
(プレイ時間 各2-5分)
フィル・レドゥクがデザインした3色のボールをスパゲティとソースとミートボールに見立てたゲームで、通常とは異なり、プレイヤーは白(スパゲッティ)と赤(トマトソース)を受け持ち、黒(ミートボール)が中立となります。ピラミッド完成時に自分の色が一筆書きでより長く連続している方が勝ちで、同点の場合は中立の黒いボールを最後に置いたプレイヤーが負けとなります。先手(白)は黒の中立のボールをボード上においてゲーム開始です。手番には直前に置かれたボールに同一平面上で縦横斜めで隣接する場所か、置かれたボールの上に置けます。置ける場所がある限り置かねばなりません。置けなくなったら黒の中立のボールを任意の場所に置いて、そこから次のプレイヤーは続けます。ピラミッドの頂上を除く29個が置かれるとゲーム終了で、最後に頂上に黒の中立のボールを置いてピラミッドを完成させます。
中央の見えなくなってしまう5カ所にはなるべくなら置きたくないものです。さらに中立のボールを置くのも手番の無駄なのでできれば避けたいものです。それらを考えると、いろいろと試してみても、どうしても先手が2つ目の中立を置くはめになりがちで、後手がかなり有利です。具体的にはボードの周囲をぐるりと置いて後手が唯一の土台の上に最初に置けてしまうというケースが多いのです。この辺りに先手にもう少し手があればなあと思います。
結果(*は先手)
1戦目:自分 9、キノ* 4
2戦目:キノ 12、自分* 4
3戦目:自分 6、キノ* 3
4戦目:キノ 9、自分* 6
5戦目:自分 12、キノ* 5
6戦目:キノ 11、自分* 3
7戦目:自分 7、キノ* 6
スプルシュ Splush
(プレイ時間 各5-15分)
キャメロン・ブラウンがデザインしたスライドドロップのメカニクスを使ったゲームです。目的は自分のボールをすべて連結させることです(写真は白の勝利です)。ボード上にはチェッカー模様に8個ずつのボールを置いてゲーム開始です。手番には既にボードに置かれたボールか自分のリザーブからひとつボールを取り、それを3x3のレベルかそれより上に端からスライドさせます。このとき既にあったボールはスライドされて動きます。ボールを取る場所に寄っては落下が起きるのはもちろんのこと、スライドした結果、反対側の端のボールが落下することがあります。これがスライドドロップのメカニクスで、落下したボールが一意的に落ちる場所が決まっていれば、つまり落ちる場所がL字型の配置になっていれば良いのです。なお移動によって落下したボールの上からスライドさせることはできません。
移動、落下、スライド、スライドドロップと複雑なボールの動きが起こる非常に独特なゲームです。ボード上には直接移動や配置ができないというのが面白く、スライドドロップによってのみボード上にボールが増えます。ボールを新たに加えるか、既にあるボールを移動させるかはかなり迷うところです。
ルール上引き分けは無いのですが、3戦目だけは4x3になったことからどちらかのプレイヤーが動けなくなってしまい、引き分けとしました。ある1列がなくなってしまうとルール上、4x3の狭い範囲でプレイを続けることになってしまうのです。追加ルールとしてボード上のある列を完全になくしてはならないというようにすれば良いかもしれません。
結果(*は先手)
1戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
2戦目:キノ 勝利、自分* 敗北
3戦目:キノ*、自分 引き分け
4戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
5戦目:自分 勝利、*キノ 敗北
6戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
7戦目:自分 勝利、キノ* 敗北
8戦目:自分* 勝利、キノ 敗北
9戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
スピラミッド Spyramid
(プレイ時間 各10分)
パターン系のゲームとして唯一ルールブックに掲載されているのが、ネスター・アンドレス作の「スピラミッド」です。目的はピラミッドの頂点を成す5点に自分のボールがあれば勝利ということで、このピラミッドのサイズは2x2、3x3、4x4のいずれの大きさでも構いません。また上下逆さまでもよく、よって2x2のピラミッドは正位が14、逆位が5で計19、3x3と4x4は正位のみでそれぞれ5と1個あります。手番には自分のボールを1つあらたに置くか既に置かれたボールを移動させます。ボード上か2x2の土台の上ならどこでもかまいませんが、移動によって落下したボールの上には置けません。
ボール数が増えた方が良いので移動は終盤まで起こりませんが、それより問題なのは、ピラミッドの頂点は5点もあるので相手は非常に容易に妨害できることです。引き分けについてはルールには書かれていないのですが、1、2戦目はピラミッドが完成しても勝負がつかずに(これ以降はルール上移動して落下させても上に置けなくなるので)、仕方なく引き分けとしました。3戦目は引き分けを禁止としてプレイしていき、さんざんボールの移動があってやっと決着が付きました。写真で白が勝っているのが分かるでしょうか?
膠着しやすく、ゲームとして成り立っているかは微妙だと思います。バリアントの45度傾けたピラミッドも加味するというようにしないと勝負が付きずらいかもしれません。
結果(*は先手)
1戦目:キノ*、自分 引き分け
2戦目:自分*、キノ 引き分け
3戦目:キノ* 勝利、自分 敗北
「渋」のゲーム以外には「ヘックス(14路盤)」、「アミガサタケ」「ラインズオブアクション」などを遊びました。
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