シネマアミーゴでお世話になっている琢磨さんの友人、佐藤さんの東京・駒沢にある自宅でのゲームパーティーです。色々とゲームを紹介して欲しいと頼まれており、クニツィアのルールが易しいゲーム各種とテレストレーションを持ち込みました。
インフェルノ Inferno
(説明 5分 プレイ時間 7ディール80分)
「インフェルノ」は2004年にピアトニクから出版されたクニツィアのカードゲームです。翌年2005年には同社から小箱版も出版されました(出版年はクローズアップ写真のように非常に分かりずらい場所に書いてあるだけで、箱の裏や説明書には一切記述がありません)。この2つの版はカードの大きさや質、デザインはまったく同じです。唯一の違いは、2004年版では、紛失したときのための予備カードが10枚入っていたところ、2005年版では2枚になっているくらいです。シンプルで手軽なチキンレースですが、思いのほか考えどころもあり盛り上がるゲームです。プレイ人数は3人から7人で、何人でも楽しく遊べ、人数によって別の面白さが生まれるのも長所です。
カードは5スート(赤青黄緑紫)5ランク(1-5)が4枚ずつの計100枚です。目的はできるだけカードを引き取らないようにすることで、引き取ったカードは1枚1点、赤いスートはすべて鬼が描かれており、数値がそのまま失点になります(つまり1-5点)。
プレイ人数に関わらず、手札は12枚ずつで余った札は山札とします。スタートプレイヤーは好きなカードを台札として出し「緑の3」というように宣言します(台札だけはわかりやすいようにテーブルの中央に出すと良いと思います)。以降は時計回りに手番が進みます。手番プレイヤーは台札と同スートか同数字のカード1枚を、自分の前に表向きに出さなくてはいけません。ウノやクレイジーエイトとの大きな違いは、直前のプレイヤーが出したカードではなく、常に台札と同スートか同数字を出すことなのです。よって、例えば台札が緑の3ならば、自分の手札にある緑と3の枚数を数えれば、何回出せるかはこの時点で分かっているのです。
同じスートか数字が出せない、または出したくない時は今まで出たカードをすべて引き取り、自分の前に置きます(ルールでは触れられていませんが裏向きの方が良いでしょう)。ただし引き取ったカードが3枚未満ならば、合計で3枚になるように山札からついかでめくらなければなりません(これも、ルールでは触れられていませんが、みんなに見えるように表向きにめくったようが良いと思います)。この時に4点や5点など赤スートの高数値が出ると悲劇です。引き取ったプレイヤーが、新たな台札を出してゲームを続けます。
スタートプレイヤーが最後の手札をプレイする時に「アウト」と宣言します。このときは他のみんなは1枚しか手札が無いはずです。1周するまでに誰かが引き取ったらそこでこのラウンドは終了とし余った手札は失点にはなりません。しかし1周してしまったら「アウト」を言ったスタートプレイヤーが引き取ると言うわけです。またレアケースですが、もし山札が無くなった場合にはそこでこのラウンドは終了となります。7人の場合だと起こることがあります。
これをスタートプレイヤーを変えて人数分のラウンドを行って最終的な勝者を決めます。もしタイならばさらに1回ラウンドを行います。
このゲームは、いかにうまくひきとっておくか、どこで妥協しておくか、と言うゲームです。特定のスートと数値のカード、例えば緑と3は最初は計36枚あります。なので、確率論で手札の36%以上が緑か3であればセーフと言うわけです。しかし、手札が偏り、山札でなくプレイヤー間ですべての緑と3を持っていると仮定しても、36をプレイヤー数で割った枚数を手札に持っていれば、より確実です。もちろんこれは目安で、ゲームが進むに連れてもっと少ないカード枚数でも引き取らずに済むかもしれないのです。中途半端な枚数を持っていても引き取る回数が増えるだけなので、なるべく手札内でのスートや数字の種類を固めるようにプレイして行った方が良いでしょう。また赤や高数値が台札だと引き取った時が甚大な被害になるので、なるべくそれらのカードは最後まで残した方が良いかもしれません。
以前は7人では面白くないのでは? と疑って最高でも5人まででしか遊んだことが無かったのですが、7人でも十分面白く、実は7人がベスト人数なんじゃないかとさえ思えるようになりました。7人の方が、確率論がやりやすいという面もあります(これは6ニムトは10人の方が面白いというのと同じ理論です)。より多くの人に7人7ディール戦のひりひりする戦いを味わって欲しいものです。
この日の開始時にはちょうど7人おり、最初から2卓に分かれるのも大変なので、まずは7人プレイが熱い「インフェルノ」を遊びました。7人だと、特定のスートと数値に対しては、すべてのカードがプレイヤー間で等分されていても5巡が限度となります。もちろん通常はもっと偏っているので、序盤では5枚、中盤以降では4枚ほどあればまず大丈夫でしょう。リードプレイヤーは他の全員と同数では駄目でそれより1枚は多くないと駄目というのも面白いですね。今回も大いに楽しみました。
結果:駒木根 63、愛下 69、琢磨 112、自分 119、奥原 127、佐藤 165、不二木 207
テレストレーション Telestrations
(プレイ時間 70分)
ちょうど1人到着して8人になったので、「テレストレーション」です。やはりパーティーゲームの傑作で、自分が帰ったあとももう一度遊ばれていたようです。「絵がうまくてもだめだね、伝える描き方が大事だね」という意見も多く、ただのお絵描きゲームではない面白さを感じてもらえたようです。写真は琢磨画伯の作品です。
結果:不二木 17、駒木根 14、奥原 13、琢磨 13、田中 12、愛下 11、自分 11、佐藤 8
ボツワナ Botswana (ニューゲームズオーダー版)
(説明 5分 プレイ時間 5ディール45分)
ここでさらに1人増えて9人になったので2卓に分けました。もう1卓の「エルファーラウスボードゲーム」は琢磨さんにまかせて、こちらの卓は、これ以上にルールがシンプルでジレンマを生み出すゲームを探すのは難しいのでは? と、思える「ボツワナ」です。動物のフィギュアが可愛らしい割にゲームはしっかりとしていてギャップを感じたプレイヤーも多いようです。今回は常にトップと最下位の差が4-8点差しかなく、じりじりとした展開となりました。最終的には11点差となりましたが、あまりこういう展開は無いかもしれません。
結果:佐藤 83、駒木根 76、自分 75、田中 73、愛下 72
ポイズン Poison (トイザラス限定版)
(プレイ時間 4ディールのみ40分)
同じメンバーで続けて「ポイズン」です。カウントアップ系の名作で、カウンティングが非常に大切です。取りたいスートなのに場が6止まりで取れずに終わったりと、いつもながらのドラマが展開されます。愛下さんが非常にうまいこと立ち回って7点で独走でした。
結果:愛下 7、佐藤 16、自分 21、駒木根 28、田中 37
クク21 Cucco 21
(説明 15分 プレイ時間 55分)
「クク」は本来はゲームシステムで、一番遊ばれている「カンビオ」がククと呼ばれてしまっていますが、これはその「カンビオ」に特化してアレンジを加えたゲームです。ルールはなかよし村やグランペールのカンビオを元にしています。カードは2枚増えて42枚になり、ランクも15から-4だったのが、21から1になりました(タイトルはここからきているのだと思います)。
一番大きな変更点は特殊カードの追加です。12の「式典」と6の「恋人達」が追加されました。「式典」はそれを交換したとき、代わりに受け取ったカードが5以上ならご祝儀として全員から1チップもらえるというものです。このカードが廻ると支払い続くことが多く、煩雑です。「恋人達」は交換に応じなくても良いというカードです。どちらのカードも意図はわかるものの、どうも蛇足なのではと感じました。他には家のランクが下がっていますがこれはプレイにそれほど影響はない気がします。
また、カードに書かれた特殊能力の文章が個人的には非常に違和感がありました。ククは「クク!」と言うので良いと思うのですが、どうして「そこでやめ!」にしたのでしょうか。これではゲームのタイトルの「クク」がなんなのかわかりずらいです。一番気になったのは、馬と家です。以前の版ではチェンジを言われた時は「パス」と言うだけです。ところが、クク21では「スルーと言う」と書かれているのです。これにはびっくりしました。「スルーする」というのは俗語(和製英語)だと思っていたのですが、すっかり定着してしまったのでしょうか? なんというかセンスがない言葉遣いです。なお、英語の本来では「スルー」に無視する、やり過ごすという意味は全くありません。むしろその逆でそれを突き抜けて行く、通って行く(ドライブスルーのように)という意味です。
特殊効果やラウンドの流れは、説明書でもっと分かりやすく説明して欲しかったですが、説明書には一切記述がありません。これらすべてをカードのテキストに丸投げするのは無理があるのではないでしょうか? もうちょっと例などが欲しいところです。
9人いたので、みんなで一緒に遊ぼうということになり、佐藤さん所有のクク21が選ばれました。ほとんどの方が、このゲームを遊んだことはあるものの、面白さがよくわからないから再チャレンジということもあります。自分はクク21を遊ぶのは2度目です。ルール通りに15点スタートで、誰かが破産するまで行いました。結局3ラウンドプレイし、うち2ラウンドで勝った田中さんの勝利、1ラウンド勝った佐藤さんが次点でした。以前にやった時よりは、まあ面白かったけどねえ、というのが全員の感想です。
結果:田中 57、佐藤 37、自分 14、不二木 9、マーニャ 9、奥原 5、ユキノ 3、愛下 1、琢磨 0(破産)
マスターズギャラリー Masters Gallery (小箱版)
(プレイ時間 各30-35分)
夕食後に最後に5人になったので「バベルの塔」「ラッツィア(ラーのカードゲーム版)」「マスターズギャラリー」の3つのなかからみんなが選んだのが「マスターズギャラリー」でした。これまでのゲームよりも構成が重層的で、最初はわけがわからないと言われて心配になりましたが、通して1ゲームをやると面白いということになってほっとしました。2ゲーム目では3ラウンド目で枚数がフェルメールから順に0、7、7、6、6となってしまい、ゴッホは6枚も出たにもかかわらず4位で値段がつかず、マーニャさんと自分は3枚のゴッホが紙くずになってしまいました。これは勝つのは無理かと思いましたが、4ラウンド目にカードを残しておいたおかげで逆転勝利。
結果
1戦目:マーニャ 96、ユキノ 92、愛下 80、田中 79、自分 70
2戦目:自分 105、田中 104、愛下 97、マーニャ 84
ここで終電の時間があるので先に帰りました。置いて行ったテレストレーションがもう一度遊ばれていたようです。また第2回を楽しみにしています。
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