七人の容疑者 Sieben unter Verdacht
(説明 10分 プレイ時間 10分)
事件の犯人を当てるという推理ゲームです。大きめのカードには登場人物7人のうち2-5人が写っています。これらのカードのうち1枚を犯人カードとして裏向きにして、ゲームマスターだけが見ることができます。他のプレイヤーは協力して、犯人カードに写っている全員を早く正確に当てなければなりません。「マスターマインド」と異なるところは、他の犯人カードをヒントカードとして使うところです、毎回3枚の中から1枚を選び、ゲームマスターがその中に犯人が何人いるかを教えていきます。分かったと思ったら人物カードを提示します。使用したヒントカードの枚数がペナルティ点となり、少ない点の方が良い結果です。もし間違えたらさらにペナルティ2点を加点して続けます。全員が一度ずつゲームマスターをして、プレイヤー間で得点を競うこともできます(他のプレイヤー全員にペナルティー点が入る)。
バリアントではゲームマスターの代わりにカードに施された工夫を利用します。カードにはそれぞれ穴があいており、犯人カードの上に乗せると、穴から弾丸の跡が0-3つ見えるようになっており、これが2枚のカードで合致する犯人の数になっているのです。この場合は間違えると即終了となり、間違えた犯人1人につき3点のペナルティです。
カードのギミックが面白いので、最初はこのバリアントルールで遊んでいましたが、やはり協力ゲームとしてはゆるいので、ギークに載っていたように「泥棒トリオ Gauner Trio」方式の多人数早解きロジックパズルとして遊びました。まだ試験段階ですが、この場合は枚数を失点でなく得点とした方が良いと思ったので、とりあえずそうしました。つまりたくさんヒントが必要なものを早く解いた方が高得点というわけです。もうちょっとこの早解きバリアントを確立させてみたいです。
結果:はあびい 6、自分 4、シミーズ 3、かつまた 0
アイリッシュ ウルフ Irish Wolf
(説明 5分 プレイ時間 20分)
「フリンケピンケ」の元になったと思われるゲームです。4人で4ディールプレイしました。今回はカードが殆ど出てから終わるという展開が多く、終わらせるとチップが取れずに不利になるので終わらせないという少々焦げ付いた展開が見られました。「フリンケピンケ」とはちょっと異なった考え方が必要です。やはり最後にもチップを取れると言う方が、すっきり終わるのかもしれないし、そう考えるとフリンケピンケの偉大さが分かります。カード構成を変えて、あるスートが一定の値になったら終了というのが良いかもしれません。例えば各スートを1、2、4、5、7として14になったらおしまい、ってそれでは「ポイズン」ですね。
結果:かつまた 31、はあびい 31、自分 30、シミーズ 27
アフリカーナ Africana
(説明 15分 プレイ時間 75分)
シャハトの新作です。アフリカ大陸が描かれたボードにはアフリカの都市が散らばり、お互いに経路で繋がっています。移動カードでアフリカを動き回り得点カードを集めるのが目的です。手番では手札の移動カードをプレイして移動するか、山札から移動カードを2枚補充するか、本から得点カードを買うかのどれかを行います。
ボード上の各都市には1-2のシンボルが描かれており、該当するシンボルの移動カードを出すことでその都市に進みます。重要な都市には1つのシンボルしか無く行きずらくなっているようです。各プレイヤーは何度でもどのシンボルとしても使えるワイルドカード1枚を持っています。通常のカードは使い捨てなので、ときどき手番を補充に使わなければなりませんが、手札制限は5枚なのであまり溜め込むこともできません。
移動によって、得点カードの契約を始めたり達成したりすることができます。得点カードは場にある全員で共通に使えるものと、お金を払って本から取るものの2種類あります。場のものは勝利点の他にお金をもたらし、本からのものはより高い勝利点やワイルドの移動カードをもたらします。
場の得点カードには起点と終点の2都市が示されており、起点を通ることでこの探検に参加することになり、カード上に自分のマーカーを置いてから移動のカードやコインがもらえます。何人でも探検には参加できますが、終点に最初に着いたプレイヤーだけが得点カードを獲得するのです。
本の得点カードを買うには1枚につき5コインが必要です。目的地と交易品が描かれているものがほとんどです。北アフリカと南アフリカの2冊があり、それぞれ目的地は反対側のアフリカのどこかと遠くになっています。中には交易品でなく以後ずっと使える特定のシンボルの移動カードを獲得できるものもあり、これを得ることでボード上の移動は楽になり移動カードの補充回数を減らすことができます。ただし2枚以上持っているとマイナスの勝利点です。これらの得点カードは木製の見開きの本の上に置かれており、一番上の2枚が買えるカードです。ページをめくる(つまり一方のカードをもう一方に移す)のは1ページなら無料ですが2ページ以降は1コインかかります。この本のメカニクスは同じくシャハトの「ヴァルドラ」で使われていたようです。
場の得点カードが補充できなくなったらそのラウンドで終了です。同じ交易品をあつめると高得点のボーナスがあり、異なる交易品を多数集めてもそれなりのボーナスとなります。
「ヴァルドラ」は未プレイなので比較はできませんが、なかなか面白いと思いました。場の得点カードの競争も面白く、また、どこでお金を稼げてどこで使うのかがはっきりしているので見通しが良いです。本のシステムは特定の交易品を集めるためにはある程度の記憶力がないと後半で難しいかもしれません。運良く同種3枚を集めることができました。得点方法がかなり煩雑なのがちょっと問題かもしれません。
結果:自分 48、草場 41、シミーズ 34、はあびい 24
ミゼルカ Mizerka
(説明 5分 プレイ時間 60分)
スタンダードな52枚のトランプを使った3人専用のトリックテイクです。ポーランドでプレイされているようです。全部で18ディールを行います。ディーラーの左隣りのスタートプレイヤーは各プレイヤー6ディール廻ってきますが、その6ディールで6種の異なるゲームを行います。スペード、ハート、ダイアモンド、クラブ、ノートランプ、ミゼルカの6種で、最初の4つは該当するスートが切り札で、最後の2つは切り札がありません。また最初の5つはトリックを取ることを目指し、最後の1つミゼルカだけはトリックを取らないことを目指します。
ディーラーは13枚ずつを4人分配ります。4人目の分は山札(ウィドウ)です。面白いことにスタートプレイヤーは6枚配られた時点で、どの種類のゲームをするかを宣言しなければなりません。さらに13枚配られたあとに好きな枚数を捨てて山札から同じだけ補充することができます。次のプレイヤー(スタートプレイヤーの左隣り)も同様に、山札にまだ残っている枚数まで捨ててから補充でき、最後にディーラーが同じことを行います。つまり3人合計で13枚までしか交換できず、捨てたカードは非公開で誰の手にもいかないのです。
あとはスタートプレイヤーから通常のマストフォローのトリックテイクを行います。各プレイヤーにあらかじめ目標トリック数があり、ミゼルカ以外ではスタートプレイヤーから7、5、1トリック、ミゼルカの場合にはスタートプレイヤーから1、5、7トリックです。目標からの過不足トリック数がそのまま得失点になります。よって3人の合計点は常に0点です。
以上がパガット pagat.com でのルールですが、今回教えてもらったルールではディーラーがスタートプレイヤーとなってメニューからゲームの種類を決めました(ゲーム的には変わらないですが、本来のルールの方が時間が短縮できます)。また時間があまりなかったので、ショートゲームとして、メジャースート(スペード/ハート)、マイナースート(ダイアモンド/クラブ)、ノートランプ、ミゼルカの4種とし、例えばスペードをやったらハートはやらないというようにしました。これだと12ディールとなり、本来の3分の2の長さになります。
シンプルなルールですが、ウィドウを取ってから捨てるのではなく、捨ててから取るというのが非常に新鮮でした。ウィドウは全部取られることが多く、とくに3番手(ディーラー)はまったく取れないことも多いです。その場合には切り札はすべてプレイヤー間で持っていることになるのも面白いですね。この点は考えてみれば自明ですが、最初は気が付きませんでした。一風変わっているのでまた遊んでみたいです。
ところでタイトルの「ミゼルカ」ですが、ミゼルカはメニューの1つなのにタイトルになっているというのがちょっと妙に思えました。「余計な料理人」の代わりに「今日はスープ無し」というタイトルになっているようなものです。でもトランプゲームのタイトルはこういうものが多いのかもしれません。
結果:草場 +3、自分 0、シミーズ -3
スパー Spar
(プレイ時間 30分)
最後に余り時間がないということで「スパー」を遊びました。スカートデッキ32枚のうち7枚ずつを3人に配り残りの11枚は使いません。これでノートランプ、マストフォローのトリックテイクを行い、最後のトリックに勝てば1点です。ただし弱い8や7で勝つと、2点3点となります。最後のトリックだけが問題なので、できれば6トリック目で勝ち、7トリック目を誰も持っていないスートの7や8で勝つというのが理想ですが、なかなかうまくいきません。それまでの5トリックで誰がどのスートを持っているのかを必死に探るのです。軽めのゲームなので気楽に遊べます。特に終了条件はないので、20チップが無くなったら終わりとしました。
結果:草場 9、自分 7、bluerose 6
草場 純
ミゼルカですが、ディーラーの左が宣言者になる方が六枚配った時点で考えられるので、確かに時間節約になっていいですね。久しぶりなので忘れていて、何となくディーラーがビッドしてしまいました。訂正します。
ビッドのうちの一つがゲームそのものの名前になるのは、トランプゲームではごくありふれたことです。例えば、パストン、フロッグ、ノートランプ、ソロ、ナップ、ブランドル、ボストン、…、など枚挙に暇がありません。トリックテイキングゲームに限って言えば、半分ぐらいはそうなんじゃないかな。
ミゼルカの本当の面白さは、13ディール以降ですから、ロングゲームをお薦めします。尤も、そういう自虐的状況は嫌いだ、という人もいますが、目茶苦茶に負けると却って楽しめるという不思議なゲームです。(まるで病気自慢のように「私はこんなひどい目にあった」と自慢し合うのが、ミゼルカプレーヤーです。(笑))
草場 純
スパーはガーナのゲームで、ガーナでは結構遊ばれているようです。これ以上ないくらいの簡単なルールでありながら、とても面白いというのが凄いです。戦略も、エスタブリッシュを狙うゲームではなく、スローインを狙うゲームであるという辺りが、なかなか高度です。
2人~4人でできますが、3人が一番面白いと私は思います。
シミーズ
スパーはいまのいままでスクイズを狙うゲームだと思っていました!
スローインですか・・なるほど。
やっているときはスローインも考えるような気がしますが、少なくともハナからスローインは狙ってませんでした、なるほど・・。
さすが「草場純」を名乗るだけあります!
ところで、このあたりの専門用語はどこかでまとめて解説されるといいのではないかと思います。
というのも、専門用語は知らないけれど、ほほう、そういうプレイングならやってますよ、というボードゲーマーは多そうですからねえ。
もちろん、なるほど!そういうプレイングがあるのか今度やってみよう、となればトリックテイクの人気もあがるかもしれません。
しかしまあ独りでグイグイ進んじゃいますが、もしかすると戦略的にまとめてなかったりしますかね。なんといいますか、そういったプレイを発見するのもゲームの楽しみという考え方にたって・・。
けがわ
>ビッドのうちの一つがゲームそのものの名前になるのは、トランプゲームではごくありふれたことです。例えば、パストン、フロッグ、ノートランプ、ソロ、ナップ、ブランドル、ボストン、…、など枚挙に暇がありません。トリックテイキングゲームに限って言えば、半分ぐらいはそうなんじゃないかな。
なるほど、そうなのですね。これらのうち、聞いたことの無いゲームが4つもあります。トランプはまだまだ奥が深いですね。
エスタブリッシュ、スローイン、スクイズというのはどういう状況を言うのでしょうか? もしよろしければ教えてください。エスタブリッシュはあるスートの例えばエースを出させることで自分のキングを強くする、みたいな感じかな?
シミーズ
草場さんが解説されるのが間違いないと思いますが、
ひとまず簡単に…
●エスタブリッシユ。けがわさんの例はプロモーションといいますねえ、エスタブリッシユということもあるような気がしますが、そのあたりは謎っす(早速心細くですみません!)。
エスタブリッシユといえば、たとえば自分以外のプレイヤーがハートを持っていないとき「エスタブリッシユした」といいます、ハートを何周かさせてハートのローカードで勝つプレイラインです。
●スローイン。これは字面とおり「放り込み」っす。特定のプレイヤーにスローインしてそのプレイヤーから希望のスート/カードを出させます(出さざるを得ない)。もしくはラストポジションになるように隣のプレイヤーに勝たせるのもスローインです。
●スクイズ。これは「搾りあげ」っすね。スクイズされる側でよくあるのは、エンディングでどちらのカードを捨てたらいいのか?間違えると勝たれちゃいます。本来はどれを捨ててもうまくやられることを言うと思いますが、それはダミープレイヤーを操れるブリッジに限ったことです。
トリックテイクでもっとも研究されているのは明らかにブリッジなのでブリッジ用語がそのままトリックテイク用語になっている現状でしょうか。
田中風太郎
トランプでは2番目に好きなゲームなので(1番目はミットレール・ヤス)、今度けがわさんと遊ぶときにはミゼルカやろーぜ!と主張しとけば良いのですね。
ミゼルカは脱衣麻雀で言うところの牌交換のルールをうまく組み込んだ好ゲームという評価ですね。そしてあのゲームほど、キング弱ぇーって叫びたくなるゲームもまれ(素直に勝ちにいくゲームなのに)
けがわ
>シミーズさん
なるほど、エスタブリッシュは分かりましたが、スローインとスクイズはちょっと難しいですね。スローインは例えば自分と左隣りのプレイヤーだけ特定のスートを持っていることが分かっているとき(他のプレイヤーはそのスートはボイドのとき)、そのスートのローカードをリードして左隣りのプレイヤーからリードをさせるとか言うことでしょうか? 「搾りあげ」は雰囲気として何となく分かるような分からないような・・・ 今度例を出して教えて頂きたいです。
>風太郎さん
ミットレールヤスは何度かルールは読んだことがあるものの未プレイです。評判がいいこともあり遊んでみたいですね。ミゼルカは今度誘ってください。
シミーズ
スローインはおっしゃる通りです、スローインはスローインだけで有効なことがあまりなくて、たとえばフィネスみたいな他の技術とともに併用することが多いです。・・とか書くと難しく聞こえますが、あくまで用語が難しくさせているだけで、実際は「それならやってるよ」という人は多いと思います。
スローインを有効活用するには、スローインまでの過程でセットアップする必要があります。これをエリミネーションといいます。
たとえばある特定のプレイヤーのスペードとハートを剥がして、最後のダイヤモンドでそのプレイヤーにスローインすれば、そこからはクラブしかリードされません。
こんな感じです。もちろんけがわさんの例もスローインの一例です。それですと、Kxなどと持っているときはかなり有効ですよね。
スクイズは「される側」のシンプルな例を出しますと、
最後の2枚でSAとHAを持っているとして、どちらを捨てますか??です。
備えるディフェンダー(スクイズされる側は)は観察眼が必要です。
プレイラインですが、たとえばNTでスペードのAKQxxx、クラブのA7ともっているとします。少しでも知っている人ならば、左から順番に出すでしょう。これはスクイズを知っていても知らなくてもそうしますねえ。
しかし、最後のカードで負けると思っている人は結構多いかもしれません。
スクイズを知っている人ならば、実は結構勝てるんだということを知っています。
・・・ワンハンドでいえるスクイズだとこのくらいしか思いつきません、本来の(ブリッジの)スクイズについてはここでは関係ないのでまた別途っすね。
けがわ
シミーズさん、解説ありがとうございます。
スローインは大体分かったと思います。
>スクイズを知っている人ならば、実は結構勝てるんだということを知っています。
考えてみると皆1枚なのでクラブのキングやらクイーンやらは捨てて別スートのエースを残しておく可能性は大ですね。面白いです。