2011年に最も遊んだゲーム

新年おめでとうございます。昨年2011年は個人的事情により7月まで日本に滞在しており、その間、貪欲に様々なゲーム会に参加させて頂きました。正月の草場邸新年ゲーム会、1月の山形ゲームコンベンションと仙台遊友会、6月のゲームマーケットといった大きなイベントを始め、様々な首都圏のゲーム会に行って色々な方と遊ぶことが出来ました。7月末にアメリカに戻ってからは8月のWBC、10月のコングレスオブゲーマーズとドイツのエッセンシュピール、さらには11月のテキサスのBGGCONに初参加です。ここまで充実したゲームライフを送れる年は少ないと思います。

SdJはこれまでの赤いポーンの「年間ゲーム大賞 Spiel des Jahres」と青いポーンの「年間子供ゲーム大賞 Kinderspiel des Jahres」のほかにゲーマー向けの黒いポーンの「年間エキスパートゲーム大賞 Kennerspiel des Jahres」が新設されました。同じくゲーマー向けと言われるDSPと共に今後どのようなゲームが大賞になるのかは楽しみです。

2011年のSdJ受賞作(赤いポーン)は「クワークル」で初の女性デザイナーの受賞となりましたが、アメリカでは既に2006年に発売されていたので今更といった感じがあったのは否めないです。ゲームとしては悪くはないのですが、手番ごとに点数を紙に記録しなければならないこともあってプレイ時間が少々長めです。2009年のWBCで見知らぬ方に頂いたものの、それ以来遊ぶことなく欲しい方に譲ってしまいました。個人的には新作(厳密には2010年)のビッグファイブの方が、バランスも良く優れていると思います(「ビッグファイブ」の項参照)。

エキスパートゲーム大賞(黒ポーン)とDSPは共に「世界の七不思議」を選びました。トレーディングカードのブースタードラフトを軸とした7人まで遊べる比較的短時間なゲームというのが売りです。以前にも「精霊奇譚」や「ノートルダム」のようにブースタードラフトをシステムに用いたゲームはありましたが、「世界の七不思議」はこのシステムを一気にメジャーにしたゲームと言えるでしょう。個人的にはインターアクションが薄くてカードの効果が煩雑すぎる傾向にあるので余り好みではないです。作者はボザですが、彼のゲームならば「花火」が傑作だと思っています(「花火と生け花」の項参照)。

2011年に遊んだゲームで特に記憶に残っているのは正月の手本引きです。ストーンRさんの素晴らしい道具立てで、この日本らしいギャンブルゲームの一片を味わうことが出来ました。また伝統ゲームでは天九牌やトランプの面白いゲームをいくつか覚えたこと、インターナショナルチェッカー(インターナショナルドラフツ)の魅力に触れたのことなども忘れられません。

2011年は439種、延べ1253ゲームを遊びました。初の1000プレイ越えです。遊んだ439種のうち1回のみのプレイは235種です。例年通りにリメイクをある程度の主観でまとめて、プレイ頻度トップ20を出しました。



1.古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele in Alten Rom(46回)/ローマ Rome(1回) 47回 (前年2位:22回)

Prokonsul20110226.jpg積極的に持ち込んで色々なところで遊んだこともあり、このゲームが今年のトップとなりました。とは言ってもゲームコレクションなので、これをランキングに入れるのは少々ためらいがあります。記憶に残っているのは「ローマ七丘」の秀逸な数々のバリアントを試したことや「スパルタクス」「カテリーナの陰謀」といったちょっとマイナーなゲームに魅かれたこと、さらに10分ゲームとして「帝国」や「ハンニバル対ローマ」をゲームとゲームの間によく遊んだことです。2011年には12種類を遊んでおり、内訳は以下の通りです。帝国 8回 (うち1回はローマより)、ハンニバル対ローマ 7回、スパルタクス 7回、ローマ七丘 6回、カテリーナの陰謀 4回、総督 3回、カエサル 3回、メルカトル 3回、元老院議員 2回、近衛兵 2回、歴史の糸車 1回、執政官 1回。(写真は総督のプレイ風景)



2.花火と生け花 Hanabi & Ikebana(35回)/花火 Hanabi(2回) 37回
(前年2回)

Hanabi20110905.JPGこの年に最も遊んだ協力ゲームです。ボザといえばSdJ黒やDSP受賞の「世界の七不思議」が有名ですが、自分にとってはこの「花火」が一番の傑作です。経験豊富なプレイヤーが中心となって指示してゲームを進めてしまうという、協力ゲームの最大の問題点を、自分の手札だけが見えないというシステムによって見事に解決しています。「ドメモ」や「インディアンポーカー」同様のこのシステムに加え、ヒントの与え方の制限などもよくできています。「生け花」の方は限られた資金でカードを集めるセットコレクションですが、こちらはまだ1度しか遊んでいません。「花火」よりもインパクトに欠けますが、手軽でそれほど悪くないと思います。カクテルゲームズからの新版では「花火」しか遊べないのは少々残念です。カードデザインについては好みがあると思いますが、初版の薄いグリーンのバックグラウンドの方が美しいと思います。



3.象のトランペット Trötofant 25回 (前年未プレイ)

Troetofant20110105.jpgこの年、最も遊んだアクションゲーム。きんどーさんが水曜日の会に持ち込んでくれたのを遊ばせてもらったのが始まりですが、そのアイディアには衝撃を受けました。巻き戻し笛を用いて、ゆっくりと回転している木の枝を取るという発想が素晴らしいです。その枝がプラスなのかマイナスなのかが裏に描かれているのがミソで、巻き取りながら瞬時に判断して自分の皿か他のプレイヤーのさらにうまく落とさなければなりません。効率よく枝を獲得するにはスキルも大切なのです。肺活量が問われるゲームで体調が悪い時など何度か続けて遊ぶと呼吸が続きません。エッセンで新品を購入できたという嬉しさもあり、かなり遊んでしまいました。回数は1回だけのプレイや20点先取での数ラウンドなども含めているのであまり参考にはなりませんが、たくさん遊んだことは確かです。



4.交易王 海の英雄 Handelsfürsten 20回 (前年1位:27回)

Handelsfursten-Boxes.JPG初版を日本に持ち帰ったこともあり、箱がぼろぼろになるまで持ち歩いて遊んでしまいました。ペガサスからの初版と新版があり、さらにアメリカのカタリストからは Merchant というタイトルで出版されています。ペガサスの初版が箱がコンパクトだというメリットもあり一番優れていると思います。カタリスト版はあまり流通しておらず、英語圏ではまだ無名のゲームです。特殊カード3種の強弱については色々と意見があると思いますが、そこそこ適正な価格なのではと思っています。2人プレイもなかなか面白いです。



5.ビッグ ファイブ Big Five 19回 (前年未プレイ)

BigFive20111117.JPG2011年のSdJ受賞作「クワークル」をクニツィアがアレンジしたものなので「クニークル」と揶揄されますが、こちらの方が自分はずっとゲームとして面白いと思います。クワークルが6x6x3=108枚なのに対し、ビッグファイブは5x5x4=100枚です。手番ごとに点数を記録する必要がないこと、コンパクトなこと、1ゲームが短いこと、の3点が魅力です。カードの置き方の制限も異なり、簡単に大量得点が出来ないようなバランス重視の作りになっています。このあたりは少々大味な「カルカソンヌ」からバランス重視の「ディブルグ」を作ったのと同じでベロップの仕方だといえるでしょう。



6.ブルーライオン The Blue Lion 18回 (前年未プレイ)

BlueLion20111022.JPG2人用の推理と記憶のゲームという少々変わったジャンルのゲーム。たった6枚の両面コースターと得点用のダイアモンドコマだけというミニマリスティックなコンポーネントで、これだけのゲームが出来るということにまず驚かされました。エッセンで一番気に入ったゲームの一つで、色々な方と遊びましたが、記憶系ということもあって好みは分かれるようです。面白いのは決して記憶だけでなく、かなりの範囲でコースターの裏の内容の推理ができるという部分です。少しの手がかりからコンビネーションを達成すると喜びも大きいです。覚えること自体は多くないのであとは高得点のコンビネーションをいかに作るかにかかってきます。



7.ベリシネベリシ Verish' Ne Verish' 17回 (前年未プレイ)

VerishNeVerish20110104.jpg正月に草場さんに教えて頂いた、トランプで遊ぶロシア版の「ダウト」です。pagatで紹介されている正式ルールと日本で広まったバリアントルールがありますが、唯一の違いはダウトが当たった場合に次のラウンドをダウト宣言をしたプレイヤーから始めるのか、あるいはその左隣りのプレイヤーから始めるのかです(詳しくは以前のレポートを参照)。この、たった一つのルールの違いでかなり別のプレイ感覚となるのが面白いです。いずれにせよ不思議な感覚のゲームですが、52枚だと多いかもしれませんので32枚のスカートデッキくらいがちょうど良いかもしれません。まだ暫く遊んでみたいゲームです。



8.テレストレーション Telestrations 15回 (前年未プレイ)

Telestrations20110628.jpgここ数年のパーティーゲームの最高傑作です。「テレフォン」という伝達ゲームをもとにしたもので、言葉と絵を交互に書く(描く)ことでテーマをきちんと伝えていくというゲームです。全員同時に描いていくのでダウンタイムも少なく、得点方法も納得がいくものになっています。何度か床から立ち上がれない程に腹をよじらせて笑い転げました。この手のパーティーゲームは大同小異という印象があったのですが、このゲームはここまで笑えるだけでも突出しています。8人まで遊べて最大の8人が一番面白いのですが、せめて10人くらいまで遊べるようにしてくれれば良かったのにと思います。でも10人だとさすがに2ラウンドくらいで良いかも。



8.未開の西部のカードゲーム Kartenspiele im Wilden Westin 15回 (前年未プレイ)

Bonanza20110706.JPGこれはクニツィアが出版した本で、英語版は「灼熱のエース Blazing Aces!」というタイトルです。通常の52枚、またはスカードデッキ32枚のトランプを使ってポーカーのルールを元にした様々なゲームです。シミーズさんにお付き合いいただき、ほとんどすべての収録ゲームを試すことが出来ました。クニツィアの他のゲームへの影響も所々に見ることができて興味深いです。今後はまだ未プレイのゲームなどを中心に遊んでいきたいと思っています(写真はボナンザのプレイ風景)。



8.スパイ51 Spy 51 15回 (前年未プレイ)

Spy51-2011.07.09.JPGこの年のアブストラクトゲームの最高峰です。6月のゲームマーケットで手に入れたあと、そのルールのシンプルさとユニークなプレイ感覚に痺れました。入門者用の「スパイ6」というルールもありますが、最初から標準の「スパイ51」ルールでもまったく問題はないと思います。連鎖が続きあっという間にゲームが収束するのが良さです。カワサキファクトリーのアブストラクトゲームはこれからも目が離せません。



8.モダンアート Modern Art(9回)/スタンプス Stamps(6回) 15回 (前年3回)

StampsTiles20110615.JPG競りゲームの古典ともいうべき傑作です。この年のゲームマーケットでテーマを切手に変えたお洒落な箱の日本語版「スタンプス」が登場した影響もあって、かなりの回数を遊びました。わかりやすいアイコンの「モダンアート」北欧版を手に入れたのもこの時期です。読んだレビューなどから3人プレイはいまひとつだという先入観を持っていたのですが、初めて3人で遊んでみたらまったく支障がなく遊べました。3人用のバリアントもあるようですが、普通のルールで十分楽しめます。これは新しい発見でした。これからも末永く遊び続けるタイトルだと思います。



12位から20位までは以下の通り。

12.ラー Ra 14回 (前年4回)
前年のエッセン2010で、貴重なプロトタイプ版を手に入れたこともあって、かなりの頻度で遊びました。プロトタイプ版との違いはファラオの枚数が最も少ない時のペナルティだけのようですが、まだもとのドイツ語ルールを解読していないので何とも言えません。

12.モダンアート カードゲーム Modern Art: The Card Game(10回)/マスターズ ギャラリー Masters Gallery(4回) 14回 (前年8回)
競りのないモダンアートと言われていますが、どのラウンドで勝負に出るかを見計らうタイミングのゲームでもあります。いままで4ラウンド目の比重が大きいプレイをしていましたが、3ラウンド目や、ときには2ラウンド目で勝負を掛けて、残りのラウンドはさっさと終わらせて逃げ切るというプレイもあり、これで何度も負けました。

14.ライーナークニツィアの革命万歳 Long Live The Revolution! 12回 (前年5回)
クニツィアのトリックテイク第2弾で、ロシア革命とフランス革命の2つのルールがありますが、フランス革命の方が好みです。各トリックの最後のプレイヤーが強すぎるようでいて、それほどでもないところは良くできています。

14.10デイズ イン ザ アメリカ大陸 10 Days in the Americas 12回 (前年未プレイ)
同居人との定番10デイズシリーズの最新作です。カリブ海の島々などがある関係で船の枚数が多く、さらに船同士を連続で並べてクルーズすることが出来るのが特徴です。まあ、こうアレンジするしかなかったのかなあとは思いますが、船ばかりが何枚も並ぶ旅程になることも多いです。

14.ファミリア Famiglia 12回 (前年未プレイ)
フリーゼの変わった2人用カードゲーム。3種の特殊能力を使いこなしてカードをドラフトしていきます。どのスートが強いとか色々言われているようですが、そこまでやり込んでいないので正直わかりません。

14.髑髏と薔薇 Skull & Roses 12回 (前年未プレイ)
ブラフ系の新機軸です。ルールもシンプルで面白いとは思いますが、根拠の薄いブラフの要素が大きく、また結構時間がかかる場合が多いのがネックです。手軽に時々遊ぶには良いのではないでしょうか。

14.カタンの開拓者たち Die Siedler von Catan(11回)/カタンスタンダード(1回) 12回 (前年6位:14回)
毎年ランクインしているカタンですが、この年も気が付けばそれなりに遊んでいたみたいです。

19.スタートレック エクスペディションズ Star Trek: Expeditions 11回 (前年未プレイ)
この年2番目に多くプレイした協力ゲームです。クニツィアらしいバランスの良さときつさで、上級ではいまだ勝ったことがありません。もうすぐ拡張版も出るらしいのでその前に上級くらいはクリアしたいものです。

19.精霊さん Spirits!(10回)/有頂天 Im Siebten Himmel(1回) 11回 (前年1回)
3人くらいが楽しいカウントアップ系のゲーム。同スートをプレイすると数値0でリバースというルールが良く、どこでバースト直前の7を誘発させるかのコントロールが面白いです。カード構成やスコアリングなどが異なりますが、プレイアビリティでは「有頂天」の方が良いと思います。

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