今年もエッセンシュピールに行ってきました。3年連続3度目となります。10月20日から23日の4日間に加え、18日と19日のプレにも参加してきました。本来は10月12日にアメリカを出発し、シュピール前後はドイツ南部のミュンヘン、スイスのザンクトガレン、オランダのアインドフォーヘンの友人を訪ねて10月31日に帰国という予定だったのですが、初日にパスポートを紛失したおかげで予定が大幅に狂ってしまいました。スイスに行く為に滞在を延長し、11月9日にアメリカに戻りました。
10月12日。午後12:30頃にワシントンDCの自宅を出発。スカンジナビア航空でワシントンからコペンハーゲンへ。機内で日付が変わって13日。そこからフランクフルトへ向かいます。スカンジナビア航空は安さで選んだものの、機内食では新鮮な焼きたてのパンが出て非常に満足でした。フランクフルトから列車でミュンヘンのロシア人の友人宅に向かったのですが、かなり時間があったのでロッカーに荷物を預けてフランクフルトを観光。夕方に列車でミュンヘンに向かいますが、ここでパスポートがないことに気が付きました。初日に紛失したのが不幸中の幸いで、ミュンヘンやデュッセルドルフの日本領事館にお世話になり、シュピールが終わる頃には再発行することが出来ました。
10月13日から17日までのミュンヘン滞在中にはミュンヘン市内の老舗のゲームショップ「オブレッテル Obletter」やデパート「ガレリア」のゲーム売り場を訪ねました。デパートでは店員の方が「カミサド」を教えてくれました。動かすコマに縛りのあるアブストラクトゲームでなかなか良くできています。オブレッテルの店員にミュンヘン市内の他のゲームショップを訪ねると Games-In という専門店があると教えてくれましたが、訪ねてみると店内はRPGやミニチュアゲーム、あとはアメリカゲームばかりでした。ドイツでアメリカゲーム中心というのはコアなマニアの店ということになるのですね。また、7歳になる友人の息子と一緒に皆で「マジックラビリンス」を遊んだのも良い思い出です。
=============================================================
10月18日 火曜日
朝、ミュンヘンからICEでデュッセルドルフに移動です。ICEの車内誌にもゲームの広告が載っているのはさすがドイツです。デュッセルドルフ中央駅にはそこら中にエッセンシュピールのポスターが貼ってあり、かなりメジャーなイベントであることを伺わせます。中央駅から旧市街の間には日本人街が広がっており、これだけ大規模なものを海外で見るのは初めてなので少々びっくりしました。領事館でパスポート再発行の手続きをした後、列車でエッセンへ向かいます。エッセン中央駅から地下鉄 U11で Altenessen Mitte で降りて徒歩3分のショウコさん経営の宿「アパートメントホテル Reese」にチェックインです。ここにお世話になるのも早いもので3年目となります。生まれたばかりのショウコさんの長女ハンナと対面しながら、先に来ているはずのおのさん達のことを尋ねると「もうメッセに行ったんじゃないの?」とのこと。明日の水曜はプレス日だけど、今日の火曜日は何もないはずなんじゃないのかなあと思いながらも、他にやることがないので行ってみることにしました。
一般公開2日前なのにもう準備がかなり進んでいます。これだけ大きいイベントなので当たり前なのですが、こういうのを見ると高校の文化祭の準備みたいでワクワクしてきます。奥の4番ホールのヤポンブランドに行って、おのさん達のことを聞いても知らないとのこと。まあいいやと思い、少しだけ設営の手伝いをしつつ、「キングスプレート」というゲームアンソロジーのなかから「キングスデコイ」「キングスポーカー」そして「キングスチェス」の遊び方を教えてもらいました。「キングスポーカー」と「キングスチェス」は実際に遊んでみましたが、やはり中心となるゲームだけあって「キングスチェス」が一番面白いのではと感じました。なおコマの動きが異なる3種類のセットがあるそうです。ヤポンブランドの隣りは「ねこまど」のブースで、女流棋士の北尾さんが準備に急がしそうでした。
韓国在住のアメリカ人だという「レジスタンス Regisntance」の作者ドンやたけるべさんと一緒にスワンパナシアで 「イゼグリム Isegrim」 というゲームを作者と一緒に遊び、夜はヤポンブランドの方々と一緒に皆なでペッパーコーンで夕食です。ドンからレジスタンスの誕生秘話など興味深い話も聞くことが出来ました。今は韓国のボードゲーム会社で働いているとのことです。韓国はボードゲームに対しての国からの援助があるようで、ブースも相当広く、うらやましいですね。皆と別れてショウコさんの宿に戻ると、タナカマさん夫妻が到着していました。あとでわかったことですが、おのさん達一行はケルンに観光に行っていたようです。
遊んだゲーム
キングスポーカー Kings Poker (キングスプレート カードゲーム シリーズ1 Kings Plate Card Game Series 1 より)
キングスチェス Kings Chess (キングスプレート カードゲーム シリーズ1 Kings Plate Card Game Series 1 より)
イゼグリム Isegrim
=============================================================
10月19日 水曜日(プレス日)
今年も去年と同様に、おのさん、神尾さんと3人での相部屋です。期間中の朝食はいつも神尾さんが買い出しに行ってくれて、美味しいスープなどを作ってくれました。肉食中心のドイツでお腹に優しい朝食が毎日食べられて、大感謝です。
朝食後、少々遅れてプレスのための開会祝典に出席しました。タナカマさん夫妻や野村さんと一緒です。ここで腹ごしらえしたあとは各出版社が展示しているゲームをゆっくりと見てまわります。去年同様にコスプレにも凝っていて、ヘルベチアではチーズまで無料配布していました。このチーズが凄くおいしかったです。クニツィア関係では、去年トイザラスから携帯ポーチ版が先行発売された「ビッグファイブ」やアメリカ版が既に発売されている「ホビットの冒険」、ラビリンスの音声版「エレクトリックラビリンス」くらいでしょうか。ファンとしては少々新鮮味に欠けます。クニツィア自身は何かのインタビューに答えているらしく急がしそうでした。奥の方にあるシュテファンシュピールの展示テーブルに行くと、去年仲良くなったミランと再会です。ミランはその場で特技のジャグリングを披露。相変わらずの面白い人です。そのあとは前日で準備に追われる会場で色々なブースを物色し、中古ショップで欲しかった「象のトランペット」の新品を発見! 頼んで取り置きしてもらいました。
夜はDSPの授賞式がありました。おのさん、神尾さん、karokuさん、ふうかさん、タナカマさん夫妻と同じテーブルで、美味しい食事を食べながら華やかな授賞式を楽しみました。最前列は韓国のテーブルが陣取っていて、昨日一緒に遊んだドンの姿も見えます。隣りのテーブルを見るとクニツィアと秘書のカレンさんがいます。テーブルに立ち寄り、去年のインタビューのお礼を言い、短いながらも話をすることが出来ました。(インタビュー記事は手をつけたものの中断していました。どうもすみません! 落ち着いたら書き上げます。)
夜は「リショ Lexio?」 というカードゲームのルールをその場で翻訳しようとしていたのですが、どうにもまったく頭に入ってきません。疲れが限界に来ていたみたいで、ルールを読みながら眠ってしまいました。翌日にタナカマさんに聞くと、かなり面白いゲームだとのことで、これは楽しみです。
=============================================================
10月20日 木曜日(1日目)
この日がシュピールの初日。タナカマさん夫妻と会場に向かいます。クイーンのブースでタナカマさんおすすめの「マンモス Mammut」 を遊びますが、この日しか会場にブースを開いていないというネスターゲームズのことが気になり、プレイがおろそかになってしまいました。一緒に遊んでくれたタナカマさんには済まなかったと思います。マンモスのゲーム自体は面白かったので、いずれきちんと再戦してみたいです。
ネスターゲームズは去年同様に9番ホールで他の小規模な出版社とブースを共有していました。その1人、アンジェロからは去年ピフロッグを購入しましたが、ピフロッグは予定通り無事にネスターゲームズから出版されたようです。ネスターが忙しい間はアンジェロに「アシスト」というクイズゲームや「ラブピッグ」というジェスチャーゲームを教えてもらいました。テーマとしてアンジェロは豚が好きなのでしょう。そのあとは暫くネスターのブースに入り浸り、お目当ての「渋(しぶみ) Shibumi」を始め様々なゲームを遊ばせていただきました。
渋 Shibumi
渋(しぶみ)はゲームアンソロジーで様々なルールが楽しめ、4種類ほど遊びましたがどれもなかなかのできだと思いました。
スプライン Spline は連珠のような N-in-a-row タイプのゲームです。上からN段目ならN個並べれば良いというルールなので一気にクライマックスになり収束に優れています。スプライス Splice はその変形でニュートラルボールが重要になります。 スパイト Spight はすべての自分のコマを連結させるのが目的です。さらに、スパイジ Spaiji は太極 Taiji のように自分と相手のボールを組にしておいていき、自分の色の最大数の連結を目指します。共通しているのは上に乗っているボールが1つのときは下のボールを動かして上のボールを落とすことが出来るというところです。これが単純ながらもゲームに非常に深みを与えているのです。デラックス版の「将軍セット」、箱だけを袋にした「侍セット」、廉価版の「忍者セット」の3種類があります。とりあえずは「忍者セット」を買い、将来は「将軍セット」に手を出したいと思います。(写真は「将軍/侍セット」のボードとボール)
ネスターゲームズの新作で他に気に入ったのは 「火星の庭 Garden of Mars」(写真)というネスター自身がデザインしたゲームです。完全情報ではなくダイスを使いますが、使い方が「ロイヤルターフ」を思わせるような戦略性があり、完成度は高いと思います。他にも 「9tka」「アイザック」「ミュルスガリカス」など素晴らしいアブストラクトを沢山遊べました。(なおポーランド人の友人に聞いたところによれば、9tka = Dziewiątka はポーランド語で 9 = dziewięć の人的表現だそうです。よって邦題は「9ちゃん」というのが的確ではないでしょうか。)プレオーダーしていた「クロス」や「オメガ」「インターナショナルチェッカー」のほか、「渋」や「火星の庭」も買ってしまいました。ネスターと一緒に遊ぶ約束だった「スパイ51」はうっかりと宿に忘れてきてしまったので、翌朝ネスターがスペインに戻る直前に一緒に遊ぶことになりました。
ボードゲームギークのブースでインタビューを受けているネスターを見に行ったときに、メビウス一家に偶然に出会いました。今年は家族4人で来ているとのことで、ゲームだけでなくドルトムントにサッカーを見に行ったりと楽しそうです。こういう家族旅行は素晴らしいですね。滞在中に一度は一緒に皆で食事をしましょうという話になりました。
午後3時からウィズキッズのブースで「スタートレック・エクスペディション」のプロモーションカードの配布を兼ねたクニツィアのサイン会があったらしいのですが、忙しくて行きそびれてしまいました。だめもとで夕方会場に行くと、まだプロモーションカードは残っていたので、譲っていただくことができました。
夜はタナカマさん夫妻と宿から徒歩15分くらいのスロベニア料理店に行きました。バルカン半島の料理は味付けが好みなのでかなり好きな部類なのですが、この店も肉類がとても美味しかったです。値段もリーズナブルだし、ここはエッセンに来たときには再訪したいレストランですね。部屋に戻ってから、タナカマさんと1ゲーム遊びました。昨日は説明中に眠ってしまった「リショ Lixo?」です。シンプルなオークションですが、負けるとカードを使わなければならないのでなかなかジレンマがあってよいゲームだと思います。
遊んだゲーム
マンモス Mammut
アシスト Assist
ラブピッグ Love Pigs
渋 Shibumi x4
火星の庭 Gardens of Mars
9ちゃん 9kta
アイザック Isaac
ミュルス ガリカス Murus Gallicus
リショ Lixo?
=============================================================
10月21日 金曜日(2日目)
前日に約束した通り、10時過ぎの開場一番にネスターと待ち合わせです。「スパイ51」は実際に是非遊んでみたいとのことなので、飲み物を飲みながら落ち着いて遊べるプレスルームに行くことになりました。予想通りネスターは非常に気に入ったようで、持ってきた甲斐がありました。これも将来は「ガウス」のようにネスターゲームズから出版されるかもしれません。ネスターとはまた来年までお別れです。
ロシアのシリウスのブースでは「マウスゾッケン」を遊びました。これはアメリカの「ポーラーダービー」とほぼ同じゲームですが「マウスゾッケン」の方が残りのネズミが5つになると終了ということですっきりしており優れていると思います。
アミーゴのブースでは「ビッグファイブ」を遊ぶことが出来ました。去年買ったもののルールがわからずに困っていたのでちょうどよかったです。なお教えてくれた方もゲームデザイナーで「トリッキービッド」などいくつかのゲームを作っているらしいです。
ビッグ ファイブ Big Five
SdJ受賞の「クワークル」のクニツィア版と言ったゲームです。去年トイザラスで携帯ポーチ版を買ったまま、だれもギークにルールをアップしないので不思議に思っていました。「これは今年の新作ではないよね?」「いや新作だよ」「でも去年トイザラスで買ったんだけど・・・」「ああ、それは先行のトイザラス限定版だよ」と言う感じで、どうも正式リリースは今年らしいです。全員に均等にカードをすべて配り、それが個人デッキとなります。得点をつける代わりにこの個人デッキを早くなくすのが目的となるのです。カードは5種5色が4枚ずつの100枚。置き方も新しい列は作ることが出来ないというように簡単に沢山置けないような縛りがあります。4枚目、5枚目を置くと、追加で1枚、2枚を捨てることが出来ると言うのが秀逸なアイディアです。これらは累積するので、4枚目と5枚目の両方置けば3枚捨てられて、合計5枚のカードを消費できるのです。2人でしたがまったく問題はなく、クワークルよりも洗練されていると思いました。
1時に待ち合わせしていたコレクターのアンディと会います。去年ラーのプロトタイプをゆずってくれた彼ですが、今回はシュピールボックスの古いものなど様々なゲームを譲ってもらう約束を取り付けています。その打ち合わせをしつつ、一緒にコーヒーを飲んで雑談をしていたのですが、せっかくなので翌日に一緒に遊ぼうということになりました。
午後は主にシュテファンシュピールです。新作はアブストラクトエリアマジョリティの「クラミ」と「チョコレート Scho K O」の続編にあたる「ショコリー Schokoly」 です。他におはじきゲームの「プッシュ Push」も遊びました。
クラミ Kulami
様々なサイズのボードを8x8の正方形に収まるように並べます。目的はより高得点のボードを多く獲得することです。ボードは2マスから6マスのものまであり、獲得したプレイヤーはマス目数だけ得点を得ます。ゲーム終了時により各ボードでより多くのマーブルを置いたプレイヤーがそのボードを獲得しますが、同数の場合は誰のものにもなりません。マーブルの配置ルールが肝で、相手が直前に置いたマーブルの縦横の列にしか置けませんが、相手が今置いたボードとその前に自分が置いたボードの2枚のボードには置くことは出来ないのです。よって勝っていると思えば相手を手詰まりにして早期決着も可能です。シンプルながらも良くできたルールで、アブストラクトファンには是非遊んでほしいタイトルの一つです。
ショコリー Schokoly
前年の2人用タイル置きゲームの傑作「チョコレート」の続編で、2-4人で遊べます。大きな違いは協力だった赤丸付きタイルが無くなり、自分で好きなタイミングで赤丸を置けること。チョコレートの種類が3種類になり、3人のときは3色で、2人または4人では1色が中立色になることです。中立色はより多くの辺で囲んだプレイヤーのものになるので、かなり戦略的になります。ゲーマーズ向けのチョコレートと言っていいかもしれません。2人と3人で遊びましたが、どちらも面白かったです。
夜はメビウス一家とともにデュッセルドルフで夕食となりました。おのさんが良い場所を知っているというのですが、うろ覚えだというので日系のニッコーホテルで尋ねて当たりをつけて漸く発見です。「シュマッヒャー Schumacher-Alt」 と言う名前の店でした。おのさんは「もっと細い路地に面していた気がするけどなあ」というのですが、後日パスポートを受け取るときに店のもう少し先の路地からの入り口を発見しました。名物の豚料理がものすごく美味しく、ムール貝も最高でした。さらにシュナップルという強めのお酒まで飲んで気分は最高潮です。デザートの蜂蜜ムースのブルーベリーソース掛けが絶品で、メビウスさんの長男をだしにして、おかわりをしてしまいました。口当たりはさわやかだし、日本人好みの味だと思います。
遊んだゲーム
スパイ51 Spy 51
マウスゾッケン Mäuszocken
ビッグ ファイブ Big Five
クラミ Kulami
ショコリー Schokoly
プッシュ Push
=============================================================
10月22日 土曜日(3日目)
この日の朝はおのさんと一緒にいろいろと廻りました。歴史があるサッカーのゲーム「ティップキック」や、台湾ブースでサイコロのゲーム 「片手いっぱいのペンギン」を遊びます。その後、おのさんが目をつけていたという「テネリファ」を作者と一緒に3人で遊ぶことが出来ました。おのさんは「テネリファ」の心理戦が非常に気に入ったようです。
1時には約束通りアンディと再会しました。一緒にゲームをするべく付いていくと、9番ホールの片隅にあるフランスのジャクタリア Jactelea というアブストラクトをいくつか出している出版社のブースでした。アブストラクトゲームが好きな自分に合わせて誘導してくれたのです。よく見ると「マナ」というゲームは、2009年に遊んだことがありました。今回遊んだ「スプリット」「ホキト」「ブルーライオン」はどれも非常に面白かったです。「スプリット」は「おいそれは俺の魚だぜ」や「フィヨルド」に似たプレイ感覚のミニマルなルールの完全情報陣取りゲームです。「ホキト」はまだプロトタイプ版ということですが、手作り感いっぱいのコンポーネントが素晴らしく、ルールも悩ましいアブストラクトです。「ブルーライオン」はこのブースで遊んだ唯一のノンアブストラクトで、個人的に今回の新作で一番気に入ったゲームです。
ブルー ライオン The Blue Lion
「四匹いるよ」のような構成の両面コースターのシステムを使った2人用記憶推理ゲームという変わった分野のゲームです。コースターには自分、相手、探偵、ダイアモンド(ブルーライオン)の4種類のうち異なる2種類が両面に描かれています。すべての組み合わせが1つずつあるので6枚なのです。これらのコースターを1列に並べ、手番には隣同士を入れ替えたり、裏返したりしながら決められた組み合わせを作って得点を稼ぐのです。得点が発生すると真ん中のコースターが取り除かれて次の手番終了後に列の端に置かれます。よってたった6枚とはいえ覚えるのは至難の業です。推理を働かせて7点先取すれば勝利です。シンプルですが、今までになかったプレイ感覚で非常に気に入りました。
最後にもしかして2年前は遊び方を間違っていたのではという思いから「マナ」を再び遊びましたが、やはりこのゲームは今ひとつという気がします。アンディと自分はジャクタリアのブースから「マナ」以外の3ゲームをひとつずつ買うことにしました。
このあとは再びタナカマさんらと合流し、シュテフェンシュピールのブースに行ってショコリーやクラミを遊びました。
閉館となる夜7時にシュテファンシュピールのブースでミランと待ち合わせです。彼の友達3人(ベルリンのドイツ人とイスラエル人2人)と一緒に夕食を食べることになりました。とりあえず場所も決めないままUバーン(地下鉄)に乗るのですが。ミランはなぜか自転車。まさかベルリンから自転車で来たわけはないしレンタル自転車でもないらしいし、とにかく不思議な人です。Uバーンはシュピールからの帰りの客でものすごく混んでいるのですが、それでも躊躇せずに自転車を乗せていました。ベルリナープラッツで「ベルリン出身だからここで降りよう」ということになり、降りてすぐの Nu:Room という店に入りました。ステーキバーガーを得意とする店らしいです。何かゲームをしようということになりますが、5人で出来るものは持ち合わせていません。3人と2人に分かれて遊んだばかりの「ブルーライオン」を教えたり、4人用の「トリッキーモンキー」というゲームを無理矢理5人で遊んだりしました。父親の手伝いをしているだけでそれほどゲームに関心がないのかなあと思っていましたが、ミランは結構ゲームが好きなようです。イスラエル人のアリエルはゲームデザイナーで、子供ゲームやパズルを色々とデザインしているようです。ギャラクシア Galaxia というパズルを遊ばせていただきましたが、数学的にもなかなか面白かったです。そうこうしているうちに終電を逃し、カールスプラッツに宿泊しているというイランの方と一緒にタクシーで帰宅。部屋に戻るとおのさんたちの最後の夜なので宴会が行われていました。日本のラーメンが美味しかったです。
遊んだゲーム
ティップキック Tipp-Kick
片手いっぱいのペンギン A Fistful of Penguins
テネリファ Teneriffa
スプリット Splits x2
ブルーライオン Blue Lion
ホキト Hokito
マナ Mana
アルカポーネ Al Capone(スティックス Stix より)
ショコリー Schokoly x2
ブルーライオン The Blue Lion
ギャラクシア Galaxia
トリッキーモンキー Tricky Monkey
=============================================================
10月23日 日曜日(最終日)
早くも最終日です。この日はDCゲーマーズのメンバーであるゲーリーと会うことになっています。仕事の関係でアフリカのサウススーダンからアムステルダムに飛んで、そこからレンタカーでエッセンまで来るというなかなかの強行スケジュール。日帰りでアムステルダムに戻るそうです。DCには殆どいないので会うのは久し振り。朝の11時頃に合流し、雑談をしながら一緒にブースを見て回ったりスタンドで昼食をとったりしました。「何が食べたい?」というと「ダウンタイムの少ないホットドックが良い」とのこと。ゲーリーらしいです。「気に入ったゲームのあるブースを見せてくれ」というので、昨日のジャクタリアのブースやシュテファンシュピールに連れて行きました。さらにそのそばにあった Clemens Gerhards という木製のアブストラクトを扱うブースが未チェックだったので、付き合ってもらいました。「アバーソ」(写真)はヘックスのミゼールのようでギプフのようにコマをスライドさせるというゲーム。「コンヘックス」の木製版もありましたが、少々値が張ります。アブストラクトの良いところは短時間でいくつも試せるというところです。といってもゲーリーはそれほどアブストラクト好きというわけではないので、一番気に入ったというジャクタリアの「ブルーライオン」を購入していました。
そのあとはゲーリーが遊んだことがないという「髑髏と薔薇」を遊びました。居合わせた方々とブースの進行役の方を合わせて8人だったのですが、2セット使えば普通に遊べますね。ただやはりプレイ時間が少々長めかなあと思ってしまいます。あとはゲーリーは1人で色々と見てみたいと言うので、ここでお別れです。
夕方過ぎからは、カルカソンヌ世界選手権を見に行きました。日本代表の小向真之介さんは、既にベスト4まで勝ち抜いています。メビウスパパさんは日本の国旗や簡易タトゥーを持参しており、タナカマさんや自分も頬に国旗を貼って応援しました。こういうのはちょっと恥ずかしかったのですが、エッセンの恥はかきすて、ということで楽しかったです。実況中継では、小向さんの名前 Shinnosuke がドイツ式発音で何度も発音されていましたが、どうしても Shinozuka にしか聞こえません。最初は「篠塚」という名字なのかと勘違いしていたくらいです。小向さんは決勝で惜しくも破れてしまいましたが、堂々の2位。見ていても非常に白熱する素晴らしい戦いでした。終了後にインタビューをしたのですが、まだカルカソンヌを始めて日が浅いと言うのが非常に意外でした。また、トレーニングとして相手にタイルの構成表を渡してプレイするたびにそれをチェックさせることで相手のレベルを人工的に上げるというのが興味深かったです(詳しくは Table Games in the World の記事を参照。ここをクリック)。
カルカソンヌ世界選手権が終わると今年のエッセンシュピールもほぼ終了です。名残惜しいのですが、ミランなどお世話になった方々に挨拶をして、小向さんやメビウス一家とともにヴァイスさんに連れられて近所のビールの店に行きました。ここは去年も来たことがある場所です。夜はタナカマさん夫妻と「ビッグファイブ」を2回遊びました。タナカマさんの連勝でした。
遊んだゲーム
ブルーライオン The Blue Lion
スプリット Splits x2
ショコリー Schokoly
アバーソ Avverso x2
髑髏と薔薇 Skull & Roses
ビッグ ファイブ Big Five x2
=============================================================
翌24日はパスポートを取りに行き、25日にはエッセンで唯一のゲーム専門店である All Games 4 You を訪れました。
=============================================================
10月25日
All Games 4 You はエッセン中央駅からヴッパータール行きのS9の列車に乗って2駅目 Überrhur と3駅目 Holthausen のちょうど中間にあります。地図で調べると Holthausen からの方が行きやすそうだったのでそうしました。駅は川のそばにあり、非常に良い景色です。駅を出ると森の小道のようになっており、それを抜けて一般道に出たら左折。そこから徒歩10-15分くらいです。気をつけてみていたのですが、かなりわかりずらい場所にあるので、最初は通り越してしました。逆の Überrhur 駅からの方が看板はわかりやすいかもしれません。倉庫のような大きな建物の裏手が入り口です。見ると開店は15時と書かれており、ドアには鍵もかかっています。1時間ほど時間をつぶす為に近くのスーパーのなかにあるベーカリーでコーヒーを飲み、小さなパンを食べて時間をつぶしました。同じエッセン市内とはいえ、ここまで来るとアジア人は珍らしいらしく、ベーカリーの方や通りがかりの老人があたたかな言葉をかけてくれました。
開店時間を少し過ぎた頃を見計らって店に戻ると、鍵はかかっていませんでした。入って階段を上がるまでも壁の両側はゲーム関係のポスタやらでいっぱいです。店内はかなり大きく、ちょっとした図書館のようにゲームの棚が並びます。丹念にすべての棚を3回ずつくらい見て回りました。じっくり見たつもりでも、2度目3度目で新しい発見があるから不思議です。最新作から中古ゲームまで非常にバラエティーのあるラインアップです。「ヘックメックバーベキュー」の赤箱版があったので購入することにしました。そのあと店の方と色々話すことが出来ました。エッセンシュピールが開催されるよりも前からこの店はあったそうで、エッセンがシュピールの開催地になったのはある意味で偶然だったということや、エッセンの市民は殆どボードゲームに関心がないこと、ルール地方のボードゲームショップの現在など、色々な話が出来て非常に有意義でした。
そのあとそのままS9で南下しヴッパータールを再訪しましたが、お目当ての世界最古のモノレールはまたしても運休中です。売店の人などに聞き込みをすると、どうもこの時期は学校が長期休暇だとのことで、それにあわせてモノレールも大修復の為に運休しているらしいです。
=============================================================
10月26日 水曜日
天気がよくなったので、エッセン市内での世界遺産であるツォルフェアアイン Zollverein に行きました。大規模な炭鉱業の工業遺産で、施設の美しさと規模の大きさがよくわかります。場所はショウコさんの宿から非常に近く、トラムを乗り継ぐか、Altenessen 駅からSバーンのS2で1駅か、バスに乗るかなど色々な方法があります。ここを訪れる人はあまりいないらしいのですが、自分は非常に気に入りました。昔の施設を美しく残してあり、特に夕暮れ時は水面と青色の街灯と赤い炎とが織りなす静寂が心地よいです。お昼の12時頃から結局夕方6時までいました。2つある博物館も地味ながら全盛期だったルール地方の生活がわかるようになっており興味深く、レッドドットデザイン博物館 Red Dot Design Museum ではゲームが2つほど展示されていました。
=============================================================
10月28日から11月1日まではオランダのアイントフォーヘンの友人宅を拠点にオランダを色々と見て回りました。去年同様にアイントフォーヘン唯一のゲーム専門店「ジョリーゲームズ」を訪れて、インターナショナルチェッカーのマグネット版を購入。正式な色は黄色と緑だと聞いていたのでそのことを店員に尋ねると「そんな色のものは見たことが無い。8x8のチェス版と同じに白と黒が一般的なのでは?」と言われてしまいました。あとロッテルダムのキューブハウスを訪れたときに小さな「チェス博物館」(写真)がありました。残念ながらもう夕方で閉まっていたのですが。
=============================================================
11月2日から7日まではスイスのザンクトガレンの友人宅に宿泊していました。ザンクトガレンやリヒテンシュタインの首都ファドウツのゲーム専門店に立ち寄りましたが、ドイツよりもかなり高価で、ものによっては2-3倍の値段がします。人口が3万人くらいしかいないリヒテンシュテインにゲームショップがあること自体が驚きではありました。6日にシュテイン・アム・ライン Stein am Rhain という中世の面影が残る町でちょっと洒落たスイスのトランプを見つけて購入しました。またこの町の高台にある古城の中にはいくつか古いゲームが展示されていました(写真)。
=============================================================
7日に一度エッセンに戻って荷造り。今回は郵送を覚悟していましたが、なんとかすべてスーツケースとリックサックに収まりました。8日の深夜のバスでショウコさんの宿を出発。夜中の2時くらいの列車でフランクフルト空港に向かいます。去年はチェックインのスーツケースの重量がオーバーしていたので、荷物の入れ替えが大変でしたが、今回は何と制限の23キログラムジャストでした。
振り返れば、今年のエッセンは小さな出版社を見て回って楽しむことが多かったです。中古ゲームのブースにさえほとんど行かずに、色々な方との交流を主に楽しみました。来年も行けると良いなあ。(完)
=============================================================
今回買ったゲーム一覧
すべてのゲーム
クニツィアのゲーム
ジャクテリアのゲーム
ハンスイムグリュックで買えるカルカソンヌとドミニオンのミニ拡張セット。ミープルバッグの中に入っている。
ミュンヘンで購入したゲーム(殆どはお土産用)
ケルトタイル
アールエコ
エレファント
ビザンツ
ホットホイールズ
シンクパズル
ロストシティ(缶入り)
シュピールで購入したゲーム
象のトランペット Trötofant(これのみ中古ブースより購入)
スーツケース探偵 Kofferdetektive
マスターズギャラリー Masters Gallery (アジア小箱版)
レスパブリカ Res Publica
モンキーランド Monkey Land
モンキービジネス Monkey Business
フィフティフィフティ(ツォッホ版)Fifty-fifty
リショ Lixo?
ひも電輸送編 String Railway: Transport
大商人 Merchant
スプリット Split
ブルーライオン The Blue Lion
ホキト Hokito
オメガ Omega
クロス Cross
コンヘックス Con Hex
火星の庭 Gardens of Mars
渋 Shibumi
インターナショナルチェッカー International Checker
クラミ Kulami
ショコリー Schokoly
オールドマンインザフォーレスト Old Man in the Forest
電力会社ロボット拡張 Power Grid: Robot
All Games 4 You で購入したゲーム
ヘックメックバーベキュー赤箱版 Heckmeck Barbeque
チョコレート(写真にはありません) Scho K. O.
アイントフォーヘンで購入したゲーム
インターナショナルチェッカー(マグネット版) International Checker
シュテインアムラインで購入したゲーム
スイスのトランプ
おまけ。とあるところで見かけた「クトルフ:雨の日の為のアクティヴィティーブック」
マクベス
けがわさんのレポートをエッセンのレポートの中で一番楽しみにしていました。長い間、記事の更新がなかったので行方不明になったのかと心配してました。
TGIWで紹介していたカルカソンヌ世界選手権の動画にけがわさんがくっきり映っていたのには驚きました。あれは誰が撮ったのでしょうか。
『ショコリー』はかなり真剣勝負な『チョコレート』という感じがしますね。少し気になります。
『ビッグファイブ』は『クワークル』が元ならば2~3人でも楽しめそうですね。遊んでみたい作品です。
『レスパブリカ』は再販されたものの箱はかなり大きいですね。カードゲームのはずだと思うのですが、何か変わったのでしょうか。
お土産を見るに僕の頼んだ品は手に入らなかったみたいですね。難しい注文をしてすいません。また地道に探します。
あとAll Games 4 YouはたまにEbayで商品を買います。実店舗は結構雰囲気良さそうですね。
けがわ
マクベスさん、久し振りです。コメントありがとう。
今回は11月9日に戻ってきてから体調不良だったのに加え、翌週の11月16日から20日までボードゲームギークコンベンションというのに行っていたこともありレポートがすっかり遅くなってしまいました(BGGコンのレポートはそのうち書きます)。楽しんで読んでもらえたならば何よりです。あまりメインストリームなゲームの話題はないのですが、雰囲気が伝わればなあと思っています。
「ショコリー」は2人が熱いです。3色目を巡る戦いになるので、戦略の幅が広がります。作者のシュテフェンとは「チョコレート」のタイルを分けるバリアントのことなども話すことが出来ました。彼も似たようなことを考えていて、「チョコレート」の新版のルールでは赤丸付きだけは等分にするようなバリアントがあるそうです。
「ビッグファイブ」は「クワークル」よりもずっと洗練されたメカニクスだと思います。あとから聞いた話では「クワークル」を気に入ったクニツィアがアレンジしたらしいです。2人が一番良いかなあ。
「レスパブリカ」はクイーンだけあって中は殆ど空気です。カードが3デッキだけ。カードのデザインが変わったほか、ペアでさらせるという特殊カードが2種類追加されました。そのうち1つは以降5枚のところを4枚集めれば良いというカードで、ちょっと強力過ぎなのではと危惧しています。まあ実際に遊ばないとわからないですけどね。
お土産はあまり中古ブースを回っていなかったので手に入れていませんでした。でも別ルートで手に入る予定なのでちょっと待ってください。
けがわ
ビデオ? と思ってTGIWを見に行ったら確かにビデオがありましたね。これはハンスイムグリュックの方が撮影したのでしょう。いやいやお恥ずかしいです。
タナカマ
23日には、夜に宿で「ビッグファイブ」も何回か遊びましたよ!
私が連勝したので覚えてます。(笑)
シミーズ
どうも~!
ネスターの「Murus Gallicus」ですが、これはなかなかいいですねえ!
アブストラクトにあかるくないのでもっと近いものがあるかもしれませんが、エパミノンダスに似ているようなチェッカーバリアントのような・・
戦場を切り拓く感じもいいです。同テーマの「バトルライン」とは別の視点でテーマを感じます。
そんなわたしはこちらのAIと戦っています。
http://www.boardgamegeek.com/filepage/46317/playable-version-of-murus-gallicus-swf
草場純
インターナショナルチェッカーとは、10×10の盤のですね。我々が100ドラフツと呼んでいるやつ。
100は、ドラフツ専用だと分かるのがいいですね。64だとチェス盤と区別がつきません。特に白と黒だとね。
けがわ
>タナカマさん
おお、そうでしたね。書き加えておきましたよ! ビックファイブはクニークルと揶揄されますが、良いゲームだと思います。なにげに6x6x3から5x5x4というカード構成の変更も戦略性を高めています。
>シミーズさん
ミュルスガリカス(カタカナ化はこれで良いのかな?)は遊べば遊ぶほど奥が深いですね。AIでかなり遊びました。良いサイトの紹介をどうもありがとうございました。これは購入しておけば良かったかなあ。ちょっと後悔。
>草場さん
そうです。インターナショナルチェッカー/ドラフツです。正式名称は100ドラフツ(又は100チェッカー)というのかもしれませんが、一般のオランダの店などでは8x8、または10x10という言い方をしています。インターナショナルというと10x10の方を指す訳です。
エッセンの宿 ショウコ
ハンナの写真載せてくれればイイのに~・"(>0<)"・
けがわ
ショウコさん、コメントありがとう。
こちらはゲーム関係なので、ミクシィの個人日記の方に載せさせてもらいますね。