WBCで知り合ったピアスの家に招待されました。本来は数週間前に行くはずだったのですが、ハリケーンの影響でこの日に延期になりました。ワシントンDCから西に1時間ほどのチェサピーク湾近辺の川辺という自然に満ちあふれたロケーションで、家のテラスの先は船の桟橋になっています。ゲームをしながら、川面を飛ぶたくさんの野鳥を見ることができました。ピアスは趣味が高じて「指輪戦争」やそのコレクターズエディション、それにクニツィアの協力ゲーム「指輪物語ボードゲーム」のためのフィギュアを制作、販売をしており、ギークを通して世界中から注文が来るそうです。写真は左上がコレクターズエディション用、左下が通常の指輪戦争用、右が協力ゲーム用です。
例えば、クニツィアの「指輪物語ボードゲーム」の滅びの山のフィギュアでは、この写真のように最後のボードの上に置くようになっています。滅びの山に指輪を捨てるときに、滅びの山の上から掛けられるようになっているというわけです、ちょっと欲しくなってしまいました。なおギークの写真へのリンクと値段は以下の通りです。興味がある方はコンタクトを取ってみてはどうでしょうか。日本にも発送してくれるそうです。
ギークのリンク一覧
「指輪物語ボードゲーム」の滅びの山(20ドル)
「指輪戦争」の滅びの山(20ドル)
「指輪戦争 コレクターズエディション」の滅びの山(32ドル)
ナイル デラックス Nile DeLuxor
(プレイ時間 各25-35分)
ピアスの提案で彼が気に入っているという「ナイル」というゲームを遊びました。これは今年出たデラックス版で、拡張用の特殊カードが入っています。デラックスを DeLuxor (デ・ルクソール)と書くとは洒落ています。目的は5種類ある作物カードをなるべく多く集める(収穫する)ことです。得点はチグリスユーフラテス式で最も少ない作物同士(0も含む)から順に比べていきます。このゲームでは5種類集めるのも大変なので、種類数で決まるということもあるのです。
手番の始めにはまずデッキの一番上のカードを表向きにして捨てます。この作物について洪水が起こったということになり、もし自分が対応する作物を自分の場に植えていたらすぐに1つ収穫できます。さらにこの作物はこの手番では植えることが出来ません。この縛りは結構ゲーム的に面白いです。
手番にはボーナンザのごとく作物を植えることが出来ます。ここが少々わかりずらいルールなのですが
1:新しい種類の作物を2枚以上出す。
2:異なる2種類の作物を1枚ずつ出す。これは両方とも新しい作物でも構わない。
3:自分が既に育てている作物すべてに好きなだけ追加する。
のうちのどれか1つが行えるとなっています。また同時に同じ作物は1人しか育てることが出来ず、すでにある作物と同じものを植えるときには枚数を上回らなければなりません。すると以前の作物は捨てられてしまうのです。
植える代わりに予想カードを2枚まで出すことも出来ます。予想カードには2種類の作物が描かれており、直後の洪水がこの予想カードの作物に対応していれば3枚補充できるのです。2枚の予想カードが当たれば6枚補充となり、カードマネージメントがきついこのゲームではかなり有利に立てます。
手番の終わりには2枚補充して終了。デッキが4巡するまでこれをくりかえしてゲームオーバーです。
1戦目は「ナイル」と同様の基本ゲーム、2戦目はデラックス版にのみ付属の特殊カードを入れて遊びました。このルールでは石のカードが入っており作物同様に育てられます。2枚以上あれば好きな特殊カードを保有できるのですが、洪水で石が出ると石カードを1枚捨てなければならず、2枚未満になると特殊カードは場に戻さなければなりません。特殊カードは「一度に2枚収穫できる」「補充は3枚」「他のプレイヤーは自分と同じ作物カードは最低2枚以上多く出さなければならない」というものでどれもなかなか魅力的です。
あとで調べると、作物を植えるルールを少々間違えてプレイしていたたらしいです。2番目のルールを「異なる2種類の作物を1枚ずつ出すときには最低1つは既に育てている作物に追加しなければならない」と解釈していたので、新規に作物を出すのがちょっと難しかったです。次回は正しいルールで遊びたいですね。
結果
1戦目:自分 1-1-2-2-2、ローラ 0-0-1-1-2、ピアス 0-0-1-1-1、ルース 0-0-0-2-3
2戦目:ルース 1-1-2-3-3、ピアス 1-1-2-2-2、ローラ 0-1-2-2-3、自分 0-0-1-2-2
はちみつくまさん Honeybears
(プレイ時間 30分)
「はちみつくまさん(ハニーベア)」は1998年にピアトニクから出版されたクニツィアのカードゲームで、2007年に「バケツ消防士」としてフェイス2フェイスから再販されました。カードを使った4匹の熊のレースゲームですが、使わずに手札に残したカードが得点になるというのが面白い発想です。
カードは熊の色に対応する4色(赤黄緑青)にワイルドを加えた5スートがあり、それぞれ数値1が6枚、数値2が5枚の合計11枚ずつ計55枚という構成になっています。ボードは14マス(つまりスタートからゴールまで13マス)で、脇に到達度による基本点が書かれています。
ラウンドの始めには4匹の熊をスタートに置き、カードを等分にプレイヤー間に配ります。3人のときは10枚、4人のときは3枚をランダムに除外してから配るので、手札枚数は3、4、5人のときにそれぞれ15、13、11枚となります。手番には手札から1枚プレイして、対応する色の熊をカードの数値だけ進めます。ワイルドスートを出した場合はどの色の熊を進めても構いません。こうして、どれか1頭がゴールにたどり着いたらラウンド終了となります。
それぞれの色について、手札に残ったカードの数値合計に熊の到達度による基本点(マイナス1点から+3点)を掛け合わせたものが得点となるのです。このとき同色の数値1のペアは得点計算では5として扱います。ただしワイルドスートは得点にはなりません。さらに熊をゴールさせてラウンドを終了させたプレイヤーには6点のボーナス点が与えられるのです。スタートプレイヤーを変えて人数分のラウンドをこなし、最も高得点のプレイヤーの勝利となります。
一見子供向けを装っていますが、ジレンマが高く悩みどころの多いゲームです。配られた手札に多く持っている色の熊を進めたいのですが、進めるにはそのカードを使わなければなりません。他のプレイヤーに進めさせて自分はそれらのカードを温存しているというのがベストですが、もちろんそう簡単には行きません。基本的には数値1のペアをなるべく温存します。数値2のペアよりも得点が高い上に移動力としては全体で2つ少なくなるだけなので高得点が望めるのです。それぞれの色で数値1は6枚あるのでペアは最大3組存在します。自分と同色のペアを持っているプレイヤーがいれば協力して進めることが出来ます。誰がどの色のペアを持っているかを考えながら進めると、方針が立てやすくなると思います。
また、各スートは16位動力しかありません。ゴールまで13マスなので、ワイルドの助けが無いとゴールすることは難しいです。よって常に誰がどの色に対してワイルドを使ったかには注意を払っている必要があります。特に数値1のペアのどれを残すか迷うときには、他のプレイヤーがワイルドをプレイした色を残すと良いでしょう。逆に言えば、ワイルドを使うと自分が支持している色がばれてしまうのですが、最後まで持っていても得点にはなりません。よって使い始めるタイミングが結構難しいと思います。
ラウンドの長さをプレイヤー間の総意でコントロールできるのも面白いところです。手札に数値1のペアがないときには、相手のペアをなるべく崩すためにラウンドを長引かせるようにします。そのためにはワイルドをあえて使わないという方法もあるでしょう。
なお、リメイクの「バケツ消防士」ではルールの面での変更はまったくありません。熊が蜂蜜のある洞穴を目指すという代わりに、消防士がバケツを持ってビルに上るというテーマになっています。消防士のコマの安定感が少々悪い以外は、どちらもとくにコンポーネント面での不備はありません。かなりゲーム性が異なるので今回は触れませんでしたが、残したカードが得点になるという「はちみつくまさん」の中核となるアイディアを応用した、2006年ハズブロー出版の「冒険者の谷」というゲームもあります。
ピアスの奥さんのルースはクニツィアのシンプルなルールでジレンマのあるゲームが好きだと聞いていたので持ち込んでみました。4人なので4ディール勝負です。序盤はローラが勝っていましたが、自分は6点を与える代わりにペアで高得点を狙うというオーソドックスな作戦を使っての勝利。ピアスもルースも気に入ったようで、いつか「バケツ消防士」を買って再チャレンジしたいと言っていました。誰にゲームを終わらせるかという辺りはフリンケピンケ(ボツワナ)やグランドナショナルダービー(コロッサルアリーナ)に近いものがあり、短時間ゲームとしては非常に好みです。
結果:自分 93、ローラ 86、ルース 77、ピアス 75
ベーオウルフ Beowulf: Der sagenhafte Drachenkämpfer
(説明 15分 プレイ時間 55分)
「ベーオウルフ」は「タージマハル」のような競りにリスクマネージメントの要素を盛り込んだゲームです。何度も遊んでいるのですが、たまたまレポートを書かない時期だったらしく、今回が初めてのレポートになります。「指輪物語ボードゲーム」と同じく物語をたどっていくゲームなのですが、協力ゲームではありません。競りは「タージマハル」のように手番順で出したカードはすべて捨てるという厳しい競りと、カード同時出しの競り、さらにお金を使った手番順の競りの3種類あります。メインとなるのが手番順でカードをすべて捨てる競りです。この競りでは、以前のビッド以上(同じでも良い)のシンボル数となるようにカードを出さなければなりませんが、手札からではなく「リスク」と言って山札から2枚めくることが出来ます。このうちどちらか1枚でも該当するシンボルであれば大丈夫ですが、さもなければ、たとえ手札から出せる状態でもアウトとなってしまうのです。このリスクというシステムがゲームを非常に熱いものにしています。また何度も遊ぶほどどういうイベントが待っているかがわかってくるので、より戦略的に遊ぶことが出来ます。このあたりも魅力的なところです。
今回は初めてかもしれない3人プレイ。ルースが所用で1時間ほど抜けるというので、ピアスが選んだゲームです。自分は2つも負傷してしまい、さらに2つかすり傷を負うというペナルティぎりぎり(かすり傷は3つで負傷となり負傷が3つあるとマイナス15点となってほぼ勝てない)でしたが、なんとか1点差での勝利。全員がローラかピアスが勝つと信じて疑わなかったのですが、最後に7点チップを2つ手に入れたのが大きかったようです。
結果:自分 30、ローラ 29、ピアス 27
ごいた Goita (新解釈傑作伝統ゲームアンソロジー 天九紙牌/ごいた より)
(プレイ時間 65分)
ピアスとルースは「ティチュー」が好きだとのことですが、日本に長期間住んでいたことのあるルースに「日本の忘れられていたパートナーシップのゲームだよ」と言って「ごいた」を見せると興味を持ってくれたので遊ぶことになりました。ピグフォンから出版されている「ごいた」と「天九牌」がセットになったものです。一応英語のインデックスがあるので、そのプレイアビリティを試してみたかったという部分もあります。やはり危惧していた通りインデックスが小さすぎて少々プレアビリティが悪いようでした。カードの毛筆のデザインなどは素晴らしいのですが、もう少しインデックスをわかりやすくして、カードの中央下にも英語で名前を入れるなど、もう少しインターナショナルに作ってくれればなあと思います。また、カードの端が、割とすぐに欠けて白くなってしまうのも考えものです。白枠で縁取りをすれば良かったのにとおもいました。
お試しのつもりが正式に150点勝負をすることになり、10ラウンドでピアス&自分のペアが逆転勝ちで勝利です。最初は「パートナーシップにする意味があまり無いような気がする」という意見でしたが、終わりには大分お互いのカードを読むことができるようになり、なかなか好評でした。以前遊んだときに不評だったローラも今回で大分面白さがわかったと言っていました。
結果:ピアス&自分 160、ルース&ローラ 130
ハイソサエティ High Society (ウーバープレイ版)
最後はハイソサエティで締めです。ウーバープレイ版のアメリカナイズされた絵も慣れてしまえば悪くないですね。本業が画家であるルースは3番の絵画のカードが好きだそうで、以前友人の女友達がやはりラベンスバーガー版の3番の馬のカードが好きだというのを思い出しておかしくなりました(クニツィアに3番のカードにサインをしてもらっているらしいです)。
結果:自分 26、ピアス 14、ルース 10、ローラ 脱落(24)
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