久し振りのウォルドーフゲーム会です。事情によりクルマが使えないのですが、エリックKが親切にも地下鉄の駅まで送迎してくれました。
ポーラーダービー Polar Derby
(プレイ時間 10分)
ゲームライトから2009年に出版された「ポーラーダービー」はクニツィアの手軽なダイスゲームで、翌2010年に「マウスゾッケン」としてシリウスからリメイクされました。場には5色のローラースケートを履いた熊が5頭ずつ氷のボードの上にいます。青、緑、橙、桃、白がそれぞれ1、2、3、4、5点となっており、熊の大きさは得点に比例しています。2つある6面ダイスはどちらも同じ構成で、熊に対応する5色5面とフリースケート Free Skate と書かれた1面です。
手番には2つのダイスを振り、出た目のうち片方、または両方の熊を氷のボードから取って、すぐ脇に置きます。ダイスは何度でも振れますが、既に脇に置いたものと同色の熊は取れません。振ったあと熊をひとつも取れないとバーストとなり、脇に置いた熊はすべて氷の上に戻して手番終了となってしまいます。よってある程度のところで振るのをやめて、脇に置いた熊を自分のものとして確保しなければなりません。どこまで振り続けるかというプッシュユアラック系のゲームなのです。
たとえ確保した熊でも取られてしまうこともあります。同色のぞろ目が出たときには氷の上からの代わりに、他のプレイヤーの熊を盗んでボードの脇に置くことが出来ます。1人から2つでも2人から1つずつでもかまいません。フリースケートはワイルドで好きな色とみなせます。さらにフリースケートのぞろ目がでると、脇に置いた熊をすべて自分のものにして、再び手番を始めることができるのです。こうして氷のボードから熊がすべてなくなったらゲーム終了です。
比較的シンプルなダイスゲームながらも、プッシュユアラックの要素や相手を攻撃する要素、さらに振り続けると36分の1でもう1手番できるなど、一通りのゲーム要素が盛り込まれており好感が持てます。なお、ルールの書き方が少々わかりずらく、各色1つずつしか取れないのだと勘違いしてしまい、ぞろ目のときのケースとは矛盾するのではと早とちりしてしまいました。実際は各色1回ずつなのでぞろ目がでれば同色を2つまでは1手番で取れる可能性があります。
リメイクの「マウスゾッケン」ではテーマをネズミと猫に変えて、熊の代わりに5色のネズミ(点数の低い順に、青、緑、黄、橙、赤)を取ります。場のボードは無く、代わりに各プレイヤーに猫の形をしたボードが与えられ、このボードの裏の表に獲得したネズミを置いて得点がわかるようになっているのです(2番目と3番目の写真)。さらに終了条件は場のネズミが5匹未満になったとき、という変更が加えられています。もしかしたら他にも変更点があるかもしれませんが、現時点では定かではありません。
今回は初プレイですが、収束も早くて手軽で楽しいゲームだと思います。強気にダイスを振り続けて、確定させるタイミングを誤るとバーストしてしまいますが、もちろん時にはリスクを負わなければ勝てません。多少トップ叩きの要素もありますが、これだけ短時間ゲームなのでそれほど気にならない範囲だと思います。ヘックメックに続く新たなダイスゲームの秀作ではないでしょうか。
結果:アレイア 36、ケイディ 15、自分 15、デイブ 13
冒険者の谷 Tal der Abenteuer - Die Schatzsuche im Himalaja
(説明 10分 プレイ時間 45分)
「はちみつくまさん」やそのリメイクの「バケツ消防士」のメカニクスを用いたボードゲームです。ゲームは2ラウンドに渡って行われ、ボードの片面が1ラウンド目、もう片面が2ラウンド目に使うようになっています。何人でも4つのコマを使い、ゴールに達した時点で残りの手札が対応する色のコマの進み具合によって得点になるというのは「はちみつくまさん」と同じです。コースはいくつにも枝分かれしており、途中、ディスクのマスに止まると表にして恩恵を得ます。勝利点だったり、宝石だったり、他の駒を進められたり、カードを得られたりと様々です。コマをゴールさせてラウンドを終了させるとボーナスで宝石がもらえ、2ラウンドを通して宝石が最も多かったプレイヤー(12点)と2位のプレイヤー(6点)に得点が入ります。2ラウンド目には橋があり、これは最初の1つのコマが渡ると落ちてなくなってしまいます。これにより、わざと遠回りさせたりという駆け引きがより明確になるのです。
少々ルールにわかりずらいところがあるものの、なんとかスムースにゲームは進みました。途中までは結構うまくいっていたのですが、最後に宝石の数でルークに逆転されてしまい、1点差の逆転負け。
結果:ルーク 29(6)、自分 28(4)、アレイア 15(2)、デイブ 14(3)
(括弧内は集めた宝石の数)
フィガロ Figaro
(プレイ時間 各35-40分)
ダヴィンチから2006年に出版されたクニツィアの変わったカードゲームです。目的はなるべくカードを取らないようにすること。60枚あるカードは、5スート各10枚(1、1、1、2、2、2、2、2、2、3)とワイルドスート5枚(1、1、1、2、2)それに「まわれまわれカード」という特殊カードが5枚という構成になっています。ゲームは3ラウンド制で、ゲーム開始時にペナルティとなる様々な長さの木の板を3ラウンド分、ランダムに袋から取り出してテーブルの中央に並べます。任意のプレイヤーに王様トークンを渡してゲーム開始です。
ラウンド開始時はすべてのカードをよく切って、全員に配りきります。王様トークンを持ったプレイヤーからスタートです。手番には手札から1枚を出して、誰か(自分でも他のプレイヤーでも良い)の前に置きます。ただし、ひとりのプレイヤーの前に置かれるカードはすべて同じスートでなければならず、各プレイヤーはお互いに異なるスートでなければなりません。もし自分の前に置かれたカードの数値合計を6以上にされてしまったら、全員の場のカードをすべて引き取って自分の脇に裏向きにして置き、これが失点対象となります。また手番にカードをプレイせずに自発的に全員の場のカードを引き取ることもできます。これはダメージを最小にする為に行うことが多いです。どちらにせよ、引き取ったプレイヤーからゲームを再開します。
カードを持っていないプレイヤーに手番が回ってきたところでラウンド終了となり、このプレイヤーが王様トークンを獲得します。引き取ったカード枚数の最も多いプレイヤーが最も長い木の板をペナルティとして引き取ります。同様に、2番目に多いプレイヤーは2番目に長い木の板を、というように進めていきますが、木の板は最初からプレイヤー数マイナス1枚しかないので、取ったカードが最も少ないプレイヤーはペナルティはありません。なお、カードの枚数が同じときには王様トークンを持ったプレイヤーの左隣りから時計回りに、長い木の板を引き取らなければなりません。つまり、カードを無くして王様トークンを取ると、その直後のスコアリングでは一番有利になるのです。さらに、3ラウンド目終了時のスコアリング前では、引き取ったカード枚数が最も少なかったプレイヤー(タイブレークは王様トークンのプレイヤーから時計回り)は、自分が取った板の1枚を場の板1枚と取り替えることができます。
特殊カードの「まわれまわれカード」はかならず自分の前にプレイし、強制的に全員が自分の前にあるカードすべてを左隣りのプレイヤーに渡さなければなりません。これがゲームに程よいスパイスを与えており、なかなか強力ですが使いどころも難しいです。また各スートには数値3が1枚ずつしかないので、覚えておくと良いと思います。
こうして3ラウンド終了後に城のボードの前に全員木の板を並べて、もっとも城に近かった(板の長さの合計が短かった)プレイヤーの勝ちです。
ティルシット版はかなりコンパクトな箱で、ダヴィンチ版の3分の1くらいの厚さです(最初の写真:左の赤箱がダヴィンチ版で右の水色の箱がティルシット版)。カードはまったく同じですが、木の板は全体的に短くなっており、ゲームとしてダヴィンチ版と同じなのかは興味があるところです。色も赤で、色々とイラストが描かれています。王様トークンのスタンドも木製からプラスチックに変更されており、さらにゲーム終了時に使う城のボードは付いてきません(3番目の写真:上がダヴィンチ版、下がティルシット版)。おもしろいのは紫色のスートの3のカードにはクニツィア自身の写真が使われていることです。
今回初めて遊びましたが、ちょっと変わったプレイ感覚で気に入りました。単なるカードの押しつけではなく、もう残っていないスートを自分の前にプレイしたり、カードをプレイせずに引き取ったりといった防御も大切です。また各ラウンドの木の板の組み合わせがそのラウンドの戦い方を驚くほど変えてしまいます。ルール上、他のプレイヤーの引き取ったカード枚数や木の板の長さを検分することはできません。そのアナログ感覚がまた面白いです。みんなにも好評で、続けて2回遊びました。ただルールの見落としがあり、3ラウンド終了時の木の板の交換はしませんでした。
6人のときには5スートしか無いのでどういう展開になるのか興味があります。暫く続けて遊んでみたいゲームです。
結果
1戦目:アリッサ(1位)、自分(2位)、ハック(3位)、ニッキー(4位)
2戦目:自分(1位)、ニッキー(2位)、ハック(3位)、アリッサ(4位)
ベリシネベリシ Verish' Ne Verish'
(プレイ時間 20分)
さらに変わったゲームを、というリクエストに応えて、まずは「ベリシネベリシ」です。標準ルール(つまり間違った人の次のプレイヤーから次のラウンドを始める)で遊びました。隣りのプレイヤーの手札枚数に気をつけていないと、さらりとあがられてしまうので、アドバイスとして手札枚数を気にするというのは言った方が良いかもしれません。
結果:自分(1位)、ウェスリー(2位)、ハック(3位)、アリッサ(4位)、ニッキー(5位)
花火 Hanabi (花火と生け花 Hanabi&Ikebana より)
(プレイ時間 各25分)
変わったゲームとしてはずせないのが「花火」。このゲームほどメンバーによって展開が異なるゲームもあまり無いかもしれません。ヒントを与えるだけだとチップはなくなるし、むやみには捨てられないし、というのが面白いです。好評で2度プレイ。17点と19点でした。
結果(自分、ニッキー、アリッサ、ハック)
1戦目:17
2戦目:19
マネー Money
(プレイ時間 各10-15分)
「マネー」は1999年にゴルトジルバーから出版されSdJの候補にもなったゲームです。2008年にグリフォンから本棚シリーズの第1弾として再販され、日本ではアジアでのみ流通している小箱版も手に入るようになりました。当時は同作者の「ラー」を差し置いての候補作ということで、いろいろと物議を醸し出したゲームでもあります。手軽なカード交換ゲームで、3人から5人まで遊べます。
カードはすべて実際の紙幣を模しており全部で7種の通貨があります。各通貨は9枚ずつあり、構成はどの通貨も額面 60, 50, 40, 30, 30, 30, 20, 20, 20 となっています(3番目の写真参照)。その他の6枚のコイン(額面 10)があり、ゲームでは人数プラス2種類の通貨とすべてのコインを使います。各プレイヤーに6枚ずつ配ったらゲーム開始です。
目的はカードの交換を通して、ゲーム終了時に最も価値の高い手札を持つことです。カードは通貨ごとに価値の合計が得点となりますが、合計200未満の場合は100引かれます(ただしマイナスにはならない)。よって、合計が110だと10点、190だと90点ですが、200だと一気に200点となるのです。さらに、同通貨、同額面の3枚組(20を3枚が30を3枚)揃えるとボーナスとしてそれぞれ100点となるので低額紙幣も大切です。ある通貨の9枚をすべて揃えると額面合計で300点、ボーナスで200点の合計500点になるのです。なおコインは必ず額面通りの10点になるのであなどれません。
毎ラウンド、山札の左側と右側に4枚ずつになるようにカードを表向きに補充します。その後、全員で好きなだけ手札のカードをビッドして同時公開。通貨に関わらず、もっとも高い額面合計をビッドしたプレイヤーから交換が出来ます。なお各紙幣やコインにはすべて異なるシリアルナンバーが付いており、同じ額面合計のときはもっとも若いシリアルナンバーをビッドしたプレイヤーが優先されます。
交換は、場札の左か右のどちらかと、または他のプレイヤーのビッドしたカードと行うことができ、自分のビッドカードを該当する場所に置いて獲得したカードは手札に戻します。また交換したくなければそのままビッドカードを手札に戻すことも可能です。同様に額面合計の次に高いプレイヤーが交換します。もし、自分のビッドカードを誰かが交換で獲得したならば、現在額面合計が最も高いのは自分なので、自分が次に交換することになります。なお、0ビッド用に「玩具のお金カード」が各プレイヤーに配られており、これ1枚をプレイした場合には交換は出来ません。
全員が交換を終了した時点でラウンド終了。場札を4枚ずつになるように補充して、次のラウンドとなります。これを繰り返し、山札がなくなったら、最終ラウンドとなり、手札の価値を比べて勝敗を決めます。
グリフォン版は本棚シリーズ(日本ではデラックス版とも呼ばれる)とアジア版(廉価版と呼ばれる)がありますが、中身は同じです。グリフォン版は「ロールスルージエイジス」に箱のサイズを合わせたと思われる節が強く「マネー」ではカードを大型化し、さらにかなりの上げ底になっています。
エディションの違い
通貨
ゴルトジーバー版:円(日本)、ポンド(イギリス)、フラン(フランス)、アメリカドル(アメリカ)、クローネ(スウェーデン)、ルーブル(ロシア)、ユーロ(ヨーロッパ)
グリフォン版:オーストラリアドル、ブラジル、カナダ、ユーロ、円、ポンド、アメリカドル
コイン
ゴルトジーバー版:クルーガー(南アフリカ)
グリフォン版:嘉慶通寶(中国・清)
シリアル番号
両方とも20が若い番号で、コインが最も高い番号というのは同じ。
貨幣価値 | ゴルトジーバー版 | グリフォン版 |
20 | 1-21 | 1-21 |
30 | 31-51 | 22-42 |
40 | 61-67 | 43-49 |
50 | 71-77 | 50-56 |
60 | 81-87 | 57-63 |
コイン(10) | 91-96 | 64-69 |
ブラフ | 0 | 無し |
久し振りですが、手軽なカード交換ゲームながらも独特の得点システムが効いていて楽しめました。同時期にやはりゴルトジーバーアラカルトとして出たカード交換ゲームの「カッツェンジャマーブルース」の陰に隠れてしまい、「マネー」はそれほどまだ遊んでないのですが、5人まで遊べるということもあり活躍の場は多そうです。序盤には低額をビッドして最初は手札枚数を多くするというのが考えられますが、どうなのでしょうか。
結果
1戦目:ハック 890、自分 820、アリッサ 500、ニッキー 360
2戦目:自分 840、ニッキー 460、ハック 440、アリッサ 110
こうして久し振りのウォルドーフを満喫しましたが、帰り10分の差で終電に乗り遅れてしまいました。金土は夜の3時近くまで走っているのですが、きちんとチェックしなかったのがまずかったようです。
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