WBC 2011 その1 2011.08.05

Catalogue2011.JPG毎年8月上旬にペンシルバニア州ランカスター Lancaster, PA で行われるワールドボードゲームチャンピオンシップに今年も参加してきました。8月1日から7日までの7日間。7月30日からのプレコン(事前イベント)も含めると実に9日間という大掛かりなコンベンションで、100種類のトーナメントが魅力です。今年は1641人の参加があったそうです。一度は始めから終わりまで9日間参加してみたいものですが、やはり帰国したばかりでの時差ぼけや様々な用事があり、去年同様に最後の週末3日間だけ参加してきました。

トーナメントの形式はゲームによって様々ですが、予選(ヒート)に参加して勝つと本戦で準々決勝(クォーターファイナル)、準決勝(セミファイナル)、そして決勝(ファイナル)というノックアウト式が多いです。予選は数日間に渡って何度も行われることが多く、いくつ参加しても構いません。全部で4回行われる予選の第3回目なら「予選3/4」のように表されます。ただし、場合によっては予選で最低2回勝たなければならないなどというものもあり、この場合は当然2回は参加しなければなりません。他にはスイス方式などもあります(指輪物語・対決の項を参照)。

LancasterHost2011.JPG5日金曜日の朝、出発です。自分のクルマの登録が切れてしまっていたので自分のクルマは出せず、ショーンのクルマに乗せてもらって一緒に行くことにしました。オープンゲームングで遊ぶ為の軽めのゲームと着替えをつめて、7時過ぎに出発。地下鉄で8時にはフォートトッテン駅へ。ただそのあともショーンは畑に水をやったり、図書館でDVDを返却したり朝食を急いで食べたりと出発前の雑用がいろいろとあり、DCを出たのは9時になってからでした。11時にラーの最後の予選(4/4)があったのでそれに間に合えばと思っていましたが、思いのほか時間がかかり到着したのは11時半頃。3日間の参加費は$50ですが、事前にきちんと登録を済ませていれば$10割引になります。

この日のスケジュールで自分の興味があるものは以下の通り。☆印は実際に参加したものです。

11時:ラー 予選4/4
13時:アルハンブラ 予選2/2
14時:☆指輪物語・対決 ラウンド1/7
15時:ラーダイスゲーム 予選3/4
16時:プエルトリコ 予選2/3
17時:ギャラクシー 予選4/4、ギャングスター 予選4/4
19時:バトルライン ラウンド1/4
20時:☆ロストシティ 予選3/4
22時:☆頭脳絶好調 予選4/4
23時:☆アイバンホー 予選4/4、ライアーズダイス ラウンド1/3

17時から「ギャングスター」の最終予選があるというので「草場式必勝法を試してみようか?」と思いましたが、同名の別ゲームだったことが判明してがっかり。まあアミーゴ版のギャングスターはこちらではまったく見たことが無いので期待したのが間違いだったのかもしれません。

とりあえずはオープンゲーミングの大ホールで火曜日からきているローラや彼女の友人のロドニーに会い、挨拶代わりに4人で「ペンギンパーティー」を1ディール遊びました。ショーンは13時から「アルハンブラ」の最終予選(3/3)に参加するようですが、自分は14時からの「指輪物語・対決」に参加したかったので「アルハンブラ」は見送り。それまでは残りの3人で「ラーダイスゲーム」を2回ほど遊びました。



ラーダイスゲーム Ra: The Dice Game
(プレイ時間 各15ー25分)
RaDice20110805.JPGなぜかWBCというと「ラーダイスゲーム」を遊んでいるような気がします。2009年にはデモプレイで遊び、去年2010年はオープンゲーミングで遊んでトーナメントに参加しました。今年も「ラーダイスゲーム」のトーナメントはあり、予選はこの日の15時(3/4)か翌日の14時(4/4)の残り2回です。14時の「指輪物語・対決」の流れによっては15時の参加は難しいかなあと思っていましたが、翌日なら何とかなるかもしれません。ローラとロドニーはしっかり参加するようで、練習も兼ねてのプレイです。

3人だとあっという間に終わってしまいます。出目と相手の置き方によって色々な戦略が取れるのは面白いですね。この手のダイスゲームとしては佳作だと思います。

結果:
1戦目:自分 47、ロドニー 42、ローラ 36
2戦目:ロドニー 55、自分 38、ローラ 35



指輪物語・対決 Lord of the Rings: The Confrontation
LOTR20110805-1.JPG14時。いよいよ今年最初のトーナメントです。カタログには「ラウンド1/7」と記載されています。ラウンド方式では、何度も行われる予選とは異なり、初戦から全員が参加していなければならないのです。方式の詳細はゲームによって異なりますが、「指輪物語・対決」の場合には、スイス方式で最初の4戦を戦い、ベスト8を決めます。その直後に8人でのシングルエリミネーショントーナメント3回戦(準々決勝、準決勝、決勝)でチャンピオンを決めるので合計7戦というわけです。

スイス方式というのは日本で言うリーグ戦の一部分だけをやるもので、なるべく勝率が高いもの同士を戦わせる方式です。勝利、引き分け、敗北でそれぞれ+1、0、-1点を獲得し、2戦目以降はそれまでの得点合計が近いもの同士で未プレイの相手との戦いになります。最終的にこの得点でベスト8を決めるのですが、戦った相手の成績が良いほどタイブレークの数値が良くなるように出来ています。

各ゲームはプレイヤーが善(白)と悪(黒)を交互に担当した2回で1ゲームとなっています。勝者の残ったコマの数が勝者の得点となり、敗者は0点です。一般的には悪が強い為に、悪ではどれだけ差を付けるか、善ではどれだけ被害を少なく押さえるか、が焦点となります。



ラウンド1/7(プレイ時間 35分)
LOTRC20110805-R1.JPG14時10分開始。相手はジョンという若い男の子。このゲーム自体を遊ぶのが久し振りということもあり、最初は特殊能力を忘れている部分も多かったです(もちろんルールはいつでも見ることができるのですが)。前半は自分は善で0対5で敗北してしまい、最早これまでかと思ったものの、後半で自分が悪となってからは徐々に勘を取り戻して6対0で勝利。合計でなんとか1点差で勝つことが出来ました。

結果:自分 6、ジョン 5
前半(20分):ジョン 5(悪)、自分 0(善)
後半(15分):自分 6(悪)、ジョン 0(善)



Shotfrontation-Box.JPG Shotfrontation-Components.JPG
とりあえず1勝した余韻に浸って、他のテーブルを見にいくと、手作りの非常に雰囲気があるゲームセットを発見。Confrontation(対決)の代わりに Shotfrontation と書かれており、その名の通り各コマはショットグラスで、内側にキャラクターの名前が書かれています。またボードも指輪物語の地図から抜粋したと思われ、非常に雰囲気があります。持ち主はジョンの友人であり、去年の「指輪物語・対決」のチャンピオンであるニックです。この2人をはじめ数人が同じライトブルーのTシャツを着ていたので、一緒のグループなのでしょう。



ラウンド2/7(プレイ時間40分)
LOTRC20110805-R2.JPG15時05分開始。次の相手は、今まで雑談していた去年のチャンピオンのニック。強敵です。写真を撮らせてもらっていたショットフロンテーションを指差して「このセットを使っても良いか?」と聞くので、トーナメントということも忘れて「もちろん」と言いましたが、見栄えに反して慣れないとかなりプレイしずらいです。さすがに善悪を交代した後半戦は通常のもの(といってもデラックス版だった)に変えてもらいました。

もちろん、コンポーネントの違いなど問題にならないくらいに強く、自分が時間をかけて考えて進めた直後に、ニックは反射的に自分のコマを進めて「your go(あなたの番だよ)」と言ってきます。これがかなり精神的なプレッシャーになり、自分のペースで平常心を保とうと思ったのですがこてんぱんにやられました。前半で自分が悪のときには、各マスには2コマまでしかいることが出来ないのにゴンドアに2コマ置いてバルローグが自滅してしまうのなど、初心者的な過ちをしてしまいました。そのあたりで数値の大きいコマをかなり失ったこともあり、前半で悪なのに勝てなかったのが非常に痛かったです。

結果:ニック 8、自分 0
前半(25分):ニック 3(善)、自分 0(悪)
後半(15分):ニック 5(悪)、自分 0(善)



ラウンド3/7(プレイ時間40分)
16時開始。相手は自分と同名のケンという年配の方でした。ひとりでじっくりと両サイドのコマを動かして研究していたのを目にしていたので手強いと思っていましたが、前半で善で勝ててしまったのでこれは楽勝だと思いました。でもあせらず落ち着いて自分のペースで進めるのが大切です。前後半ともに勝利。

結果:自分 7、ケン 0
前半(20分):自分 2(善)、ケン 0(悪)
後半(20分):自分 5(悪)、ケン 0(善)



ラウンド4/7(プレイ時間30分)
17時開始。相手はティムという若い男の子。ニックの友人らしく、警戒して前半で自分が有利な悪のときになるべく点差を付けようと6点獲得。でも後半で善のときにもあっさり勝ててしまいました。

結果:自分 8、ティム 0
前半(15分):自分 6(悪)、ティム 0(善)
後半(15分):自分 2(善)、ティム 0(悪)



ここでスイス式の4ラウンドは終了です。3勝1敗なのでそれほど悪くないはずです。結果発表を心待ちにしていると、自分は6位ということで、ベスト8に入ることが出来ました。ニックの姉(もしくは妹かも)のアレックスも参戦しており、最初の4ラウンンドでは姉弟対決があったようですが、姉のアレックスが勝って、彼女が唯一の4勝0敗で現在1位。2位はニックです。ここからの3戦では1位は5位と、2位は6位と、というように対戦していく勝ち抜き式(シングルエリミネーション)のトーナメントです。6位の自分は再びニックと対戦することになりました。



ラウンド5/7(準々決勝 プレイ時間40分)
LOTRC20110805-R5.JPG17時55分開始。去年のチャンピオンのニックとの2戦目です。ボードは自分が一番慣れているオリジナルのものを借りて使いました。まずはニックが悪を担当。ここで負けを最小限に抑えなければなりません。つまり彼の残ったコマ数が彼の得点になるので、ガンダルフやアラルゴンを効果的に使って潰さなければならないのです。ところがカードを出すときには相手に見透かされているかのようにすべてが裏目に出てしまいます。見事としか言いようがありません。後半、自分が悪を担当し、5点以上取れば何とかなると思っていましたが、ニックにみごと滅ぼされて4点取られての惨敗です(写真)。

結果:ニック 9、自分 0
前半(20分):ニック 5(悪)、自分 0(善)
後半(20分):ニック 4(善)、自分 0(悪)



ベスト8までは残ったものの準々決勝で敗北です。終わったのが18時35分なので。4時間半もたっぷりと指輪物語を楽しんだことになりますが、かなりへとへとになりました。負けた試合は両方とも去年のチャンピオンのニックというのが悔しいのですが、準決勝以降の戦いの結果がまだネットには出ていないのですが、どうなったのか、再び姉弟対決があったのか、など興味がありますね。



Arigato.JPGこの日はローラの誕生日ということで、8人くらいで外食をすることになりました。会場の隣り(といっても徒歩3分はかかる)の「ありがとう Arigato」という名前の怪しげな日本食レストランです。去年は無かったのでここ1年以内に開業したのでしょう。北米の中小都市にはよくある「火鉢スタイル」で、ジャパニーズステーキハウスと呼ばれているものです(日本にも逆輸入されているらしいです)。鉄板焼きを客の前で色々と派手な芸をしながら作るというもので、ナイフを振り回したり、卵を投げたり、焼き上がった野菜や肉を客のさらに投げて着地させたりという感じです。ちょっと田舎に行くと日本食=火鉢スタイル=曲芸というのがギャップがあって面白いです。ちなみに接客は中国人、ウエイターはホンジュラス人、曲芸をした料理人はベトナム人でした。普通ならナイフを振り回しながら、冗談を言ったりして客を和ませるのが料理人の役目なのですが、彼はかなり無愛想で、ちょっと怖かったです。

ArigatoOnion.JPG野菜はもやし、ズッキーニ、タマネギ、コーンというのが多く、どこが日本食なんじゃ! と思いますが、タマネギを積み重ねて中に油を入れて、火を点して火山にみたてるというのはどこでも同じようです(写真は火を消した直後のタマネギ火山)。あとはやたらとかちゃかちゃと音を立てたり、卵をフライ返しで投げて受け止めたりと、見たことがあるレパートリーが続きますが、客の皿に向かって出来た料理を投げるというのはありませんでした。それを残念がっているローラの友人もいました。



ロストシティ Lost Cities
(プレイ時間 35分)
Lost%20Cities20110805.JPG20時、予選3/4。去年は善良な白人のおばさんにあっさりと負けてしまったロストシティ。今年はその雪辱戦です。3回戦での合計値を競い、2戦目からは負けた方が次の先攻プレイヤーを決められます。ブルースは先攻の方が不利だと思っているらしく、自分が3回とも先攻として戦いました。カードの運も大きいのですが、赤を犠牲にして白で8枚ボーナスを得たり(写真)、5スートすべてを並べてすべてプラスになったりと、大量得点差での勝利。ロストシティは最低でも予選で2回勝たないと次に進めないので、これは明日の最終予選4/4にも参加して、なんとか勝たなければ。

結果:自分 168(65+46+57)、ブルース 61(35+31-5)



1時間半ほど時間が空いたので、スケジュールを見ると21時の「マカオ」のゲームマスター(トーナメントの管理者)に元DCゲーマーズのラファエルの名前を発見。さっそく遊びにいって、少しだけ雑談しました。話の種に、日本版「モダンアート」の「スタンプス」を持っていきましたが「マカオ」の参加者も何人か興味深く見てくれます。特に台湾系のペイシンという女の子は「スタンプス」に一目惚れしたらしく、「これ、絶対後で遊びたい」と言われました。アメリカから通販で買う方法は無いのかと聞かれましたが、あるのでしょうか。



ベニスの仮面舞踏会 Maskenball Venezia
MaskenballVenezia20110805.JPGその後、オープンゲームングでローラ持ち込みの「ベニスの仮面舞踊会」を少しだけ遊びました。自分は直後に頭脳絶好調のトーナメントが控えていたので、インストをして1ラウンドのみの参加でしたが、その後、みんな楽しんでくれたみたいです。



頭脳絶好調 Einfach Genial
(プレイ時間 55分)
EinfachGenial20110805.JPG22時、予選4/4。好きなゲームなのですが、トーナメントに参加するのは初めてです。残念ながら、予選で2回勝たないと次に進めないので、最終予選だけの参加はあまり意味が無いのですが、ゲームとしては楽しませてもらいました。青が手札に全くない状態で、ボードが半分以上埋まるまで青は0点でした(写真)。タイミングを見計らって2-3枚の少数の青タイルで一気に稼ぎ、16点という高得点を叩き出して満足。

結果:
自分 16-16-18-18-18-18
スティーブ 14-14-14-16-18-18
ダン  10-11-15-18-18-18
メーガン 8-13-15-18-18-18



アイバンホー Ivanhoe
(プレイ時間 40分)
Ivanhoe2011085.JPG23時、予選4/4。去年同様に「ライアーズダイス」とバッティングしています。今年は「ライアーズダイス」の方に参加しようと思っていたのですが、とにかく参加者が多くて並んで待つのが面倒になり、一緒に並んでいたショーンと列を外れて「アイバンホー」にしました。こちらの方は4度目の予選ということもあってこじんまりしています。

元になった「アタック」よりも大分要素が増えているというものの、基本的にはどこで勝負を掛けるかというタイミングのゲームだと思います。最初はあまり目立たないようにしてどの色でどれくらいみんながカードを消費したかを覚えておくようにしました。そのおかげか、なんとかチップを4つ先取して11点で勝つことが出来ました。残念ながら予選で2回勝たなければ次に進めないとのことです。

結果:自分 11(4)、スティーブ 9(3)、イワン 3(2)、マイク 1(1)
(紫5、赤4、青3、黄2、緑1、括弧内は獲得したチップ数)



ファミリア Famiglia
(プレイ時間 45分)
Famiglia2011085.JPGこれでこの日のトーナメントは終了です。もう夜中の12時を過ぎていましたが、ショーンと一緒にいくつかゲームを遊びました。ショーンはゲームライブラリーに置いてあった未プレイのゲームをやろうと「サンダーストーン」を持ってきたのですが、こんなに夜遅くで頭が2人とも回っていない中で新しいゲームというのは無謀です。説明書のわかりずらさもあって挫折。結局「ファミリア」を借りて遊びました。もう頭がもうろうとしていて覚えていませんが、ショーンが勝ちました。

ショーン 77、自分 62



クロキノール Krokinole
Krokinole20110805.JPG最後にゲームライブラリーから「クロキノール」を借りて遊びました。あまり滑りが良くない盤で説明書も無く、コマの数も多い気がしましたが、まあただ遊びたいだけなのであまり気にせずに2回ほどプレイ。その後、会場を後にしました。明日の夜はいよいよチグリスユーフラテスのトーナメントです。

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