バンガードミッションは相模原の橋本で行われているゲーム会です。97年頃に一度だけ行ったことがあり、そのときにはアラカルトや18XXを遊んだ記憶があります。この辺りに来るのは久し振りですが、相模原はいつの間にか政令市になっているし、橋本の町も随分発展したように感じます。
アラバナ イキビチ Arabana-Ikibiti
(プレイ時間 55分)
「アラバナイキビチ」は1997年にバンブスシュピールから出たコルネットのゲームです。翌年にファンアゲインから同名のゲームとしてリメイクされ、コスモス/リオグランデからは「カフナ」としてリメイクされました。島の名前が異なるだけでボードの島の配置は両ゲーム同じです。「アラバナイキビチ」ではAからM(Jが抜けている)で Arabana や Ikibiti のように、その文字で始まって終わる名前になっていますが、「カフナ」ではAからLで Aloa、Bali、Coco、Duda、のようにその文字で始まる4文字の名前になっています。
ゲームの目的は相手よりより多くの島を所有すること。それぞれの島には対応するカードが2枚ずつあり、カードをプレイすることでその島から橋を架けることができます。島の過半数の橋を架けると、その島を所有したこととなり、マーカーを置きます。さらにその島の相手プレイヤーの橋はすべて除去し、所有している限り相手は橋を架けることはできません。橋を除去されて過半数を失うと所有マーカーも失うので、橋を再び架けられるようにもなりダイナミックに所有権は移るのです。また、相手の橋を能動的に除去することもできます。これにはその橋に関するカード2枚が必要で(例えばAとBの間に架かる橋ならAA、BB、ABのうちどれかの組み合わせ)、除去した後に相手がどちらの島も所有していなければ、ボーナスとして自分の橋を除去した場所に架けられるのです。
手番には手札から何枚でもプレイすることができますが、補充は常に1枚。公開された3枚からドラフトするか、山札から取るかのどちらかです。手札上限は5枚なので、プレイせずに補充をある程度続けてタイミングよく複数枚で連鎖攻撃をするのが大切です。これもタイミングが少しでも遅れると相手の思うつぼになるので、緊迫します。公開されたカードがすべてなくなるとラウンド終了で、所有している島数の差がそのまま勝っているプレイヤーの得点になります。残った手札はそのまま持ち越し、これを3ラウンド繰り返して合計点で勝者を決めるのです。
リメイクの「カフナ」では以下の点が異なります。
1:相手が所有権を持つ島に対しても橋を架けられる。
2:2枚のカードを使って相手の橋を除去した後のボーナスはない。
3:得点は1~2ラウンド目は、勝者が1~2点を得て、3ラウンド目のみ差分となる。
なお「カフナ」の上級ルールでは1と2のルールはなく「アラバナイキビチ」同様になっています。
昨年のエッセンで偶然に購入してギュンターさんにサインをもらったという思い入れのあるゲームです。「カフナ」は初期に購入したドイツゲームの一つで、上級ルールでばかり遊んでいたので、今回の「アラバナイキビチ」との唯一の違いは得点方法です。青嶋さんは初めてとのことですが、なかなか的確なコンボで攻撃されて、1ラウンド目に1点、2ラウンド目に4点取られて5対0となってしまいました。これは逆転は無理かと思ったのですが、最終ラウンドではカードの運もあって6点を獲得しての逆転勝利。
結果:自分 6、青嶋 5
ボーナンザ Bohnanza
(プレイ時間 45分)
交渉ゲームでは五指に入ると思われるローゼンベルグの傑作カードゲーム。Katzさんの持ち込みです。Katzさんによれば3つ目の畑は全く必要ないとのことですが、そういえば自分もあまり買ったことはありません。場合によって交渉がうまく行かずに6や8の豆があったりすると買うことがあります。今回も誰も3つ目の畑を買わずにゲームは進んでいきました。「このゲームは説明書を読んでもさっぱりわからない」という意見がありましたが、確かにかなり変わっているのでわかりずらいとは思います。
結果:自分 18、青嶋 17、Kaz 17、カイ・コーエン 13
ポイズン Poison(アミーゴ携帯ポーチ版)
(プレイ時間 40分)
続けてバースト系カウントアップの傑作カードゲーム「ポイズン」です。持参したアミーゴの携帯ポーチ版を使用。何度も再販されている「ポイズン」ですが、この携帯ポーチ版は耐久性もあり実用的だと思います。4人なので4ディール勝負。最終ディールはあやうくマイナスが多くなりそうだった色を幸運にもぎりぎり14にすることで最多枚数を獲得できて0点に抑えました。最終結果はカイ・コーエンさんと同点首位です。
結果:カイ・コーエン 16、自分 16、Katz 19、青嶋 36
サムライ カードゲーム Samurai: The Card Game
(プレイ時間 50分)
隣のテーブルで、ちょうど主催者の新井さんが「サムライ カードゲーム」を説明していたので、混ぜてもらいました。端の方を序盤に固めてしまったのはまずかったし、それよりも、がいじんぐさんにかなり楽をさせるような置き方をしてしまいました。がいじんぐさんは序盤から圧倒的に優勢になっており、自分はなんとか田んぼで追いつこうと思ったのですが、1つ足りませんでした。このゲームもやればやるほどじわじわと面白さがわかってくるゲームですね。
結果:がいじんぐ 8(4-4-6)、うけ 4(6-3-1)、新井 脱落(4-4-4)、自分 脱落(2-3-5)(括弧内は仏、兜、田の数)
モダンアート カードゲーム Modern Art: The Card Game
(プレイ時間 25分)
続けてクニツィアスピンオフシリーズ第2弾。最初は「競りゲームはどうですか?」と聞いたのですが、反応が今ひとつだったので、置かれていた競り抜きのモダンアートを借りてのプレイ(貸してくださった方、どうもありがとうございました)。うけさんもがいじんぐさんも飲み込みが早く、2ラウンド目以降はかなり緊迫した展開になりました。がいじんぐさんは2ラウンド目で唯一、決算時に手札から追加得点をし、3ラウンド目には50点も取って先行逃げ切りを計ります。この時点で、がいじんぐさん92点、うけさん55点、自分は50点でした。倍近い点差を追っての4ラウンド目。がいじんぐさんは手札が尽きてしまいます。それでもなお、プレイした画家がすべて上位3位にランクインするという素晴らしいプレイで、がいじんぐさんがトップでした。こういうやりかたもあるのですね。
結果:がいじんぐ 125、自分 119、うけ 101
パンデミック Pandemic + 拡張セット 絶体絶命 On the Brink
(説明 10分 プレイ時間 60分)
Houndさんの持ち込みで、初めて拡張セットの「絶体絶命」を入れて遊びました。この拡張セットには3種類の拡張が付属しており、今回使用したのは紫色の突然変異の病原体です。病原体発生のデッキにも手札となる補充用のデッキにも紫色のカードが入っており、これが出ると紫色の病原体が発生します。病原体が4種から5種に増えたため、目的は5種のワクチンを作ることか、または今まで通りの4種のワクチンを作り紫を駆逐するかのどちらかとなります。
今回は、エピデミックカード4枚の初級に挑戦。それぞれの特殊能力の役割の種類も増えており、がいじんぐさんは5アクション可能な役割、うけさんは直行便で使ったカードを手元に戻せたり、拠点を比較的自由に建設できる役割、自分は、アクションを使って他人からカードを受け取れるという役割です(Houndさんのはどういうのだったか忘れてしまいました)。パンデミック自体をそれほど頻繁に遊ばないのですが、それでも今回はかなりきつくてぎりぎりの勝利でした。
結果:成功(Hound、うけ、がいじんぐ、自分)
アンギャルド En Garde(アバクス初版)
(プレイ時間 15分)
「サンダーストーン」に誘われたのですが、どう考えても自分向きのゲームとは思えないので、かわりにえたんさんを誘って2人ゲームを遊ぶことになりました。テーブルの上には誰かが持ち込んだ「カルカソンヌディブルグ」と「アンギャルド」の初版が置かれています。どちらが良いですが? と尋ねると「アンギャルドが遊びたい」とのこと。お互いルールを知っていたので、すぐに上級ルールでの勝負となりました。ちょっと久しぶりでしたが、このゲームの素晴らしさを再認識させられました。カードの読み合いといいタイミングの計り方といい、熱くなります。
結果:自分 5、えたん 2
ヤニブ Yaniv
(説明 10分 プレイ時間 25分)
ヤニブはトランプを使ったイスラエルのゲームです。目的は手札の点数を減らしてなるべく点数を取らないようにすること。使用するのはジョーカー2枚を含んだ54枚のデッキです。5人までは1デッキでできますが6人以上のときは2デッキ使います。このゲームでは自分の捨札は左隣の次のプレイヤーとの間に置きます。よって各プレイヤーの間に捨て札の山ができていくことになります。
各プレイヤーに5枚配り、最初の捨札として山札から1枚をスタートプレイヤーの右側に表に置いてスタートです。手番には手札から自分の左側に捨てて、そのあと山札か右側にある捨札から1枚補充します。1枚ならどんなカードでも捨てられますが、2枚以上の同位札や3枚以上の同種連番も重ねて捨てることができます。連番はその順番通りに捨てなければなりませんが(7-9-8と重ねては捨てられない)、同位札は自由な順番で捨てられます。なぜ順番が大切かというと、捨札から補充できるのは直前に捨てられたカードの一番上か下だけだからです。つまり直前のプレイヤーに7-8-9という連番を捨てられたら7か9しか拾えないのです。ジョーカーは連番のときのどの数値の代用にもなります。
補充は常に1枚なので2枚以上を捨てることによって手札の枚数が減っていきます。手札の数値合計が5以下になったら「ヤニブ」と宣言してラウンドを終了させることができます(Aは1、絵札は10、ジョーカーは0と数えます)。全員手札を公開し、それがそのまま点数(失点)となります。ヤニブ宣言をしたプレイヤーは0点ですが、他のプレイヤーがヤニブ宣言をしたプレイヤー以下の数値合計だったら、30点プラス手札の点となってしまうのです。
また100点ちょうどになると50点に、50点ちょうどになると25点になるというルールがあります。何ラウンドかやって誰かが100点を超えたら終了です。
「バンジー」というゲームはこのヤニブを元にしたものだといわれています。捨札が各プレイヤー間にあるのは、捨ててから取るときにわずらわしくないからで、捨札の山が1つになっている「バンジー」では捨札から取るときには先に取ってから捨てるというようになっています(本質的には同じ)。またスートは無く連番は捨てられません。さらにバンジー宣言(ヤニブ宣言にあたる)をしてからもう一周してからラウンド終了というのも異なります。
数年前に草場さんから教わって遊んだとき以来です。2ラウンド目で44点を食らって一気に51点になってしまいました。50と100だけでなく2のべき乗になったら半分にするというルールを提案しましたが、聞いてもらえませんでした。6ラウンド目にも30点を食らって100点オーバーで最下位。
結果:えたん 45、草場 46、しゅう 52、新井 54、ま~しゃる 62、自分 103
モンスター Monsta
(プレイ時間 15分)
今年の新作であるアミーゴのカードゲームです。2から7までが数値の3倍枚数あり、数値の枚数だけ手札に集めるとメルドして得点となります。得点は数値なので、どのカードも基本的には1枚1点となるのですが、2は6枚しかなく、7は7枚集めないと得点にならないのでどちらが良いとは一概に言えません。一種の競りゲームで、手番プレイヤーは、山札から1枚、そして手札から1枚を出し、この2枚を競りに掛けます。他のプレイヤーは手札のカードを伏せて出し、その枚数で競り落としますが、これには手番というものが無く全員が他のプレイヤーの様子を見ながら任意にカードを足していくという大雑把さが不思議な感覚を出しています。2人以上が同枚数ならトップカードを公開し、その上で誰に勝たせるかを手番プレイヤーが判断します。なぜなら勝者のカードは手番プレイヤーのものになるからです。その後、手番プレイヤー以外で最も手札枚数が少ないプレイヤーは1枚補充し、競りに勝ったプレイヤーが新たに手番プレイヤーとなって続けます。
15点先取で、得点としてメルドできるのは自分が手番になったときの開始時だけです。よって後半はメルド権を得るために競りに勝たなければならないのです。不思議なプレイ感覚で、カードでカードを競る所や後半のメルド権の獲得などはカッツェンジャマーブルースっぽいです。草場さんによれば、3人よりはもっと大人数が良いとのことなので、また機会を見て遊んでみたいです。
結果: 自分 15、草場 11、青嶋 9
ウント チュース! Und Tschüss!(アトラデザイン版)
(プレイ時間 20分)
5人となったので、水曜日の会では定番となっていたらしい「ウントチュース」です。アトラデザイン版はパッケージやカードに謎の可愛い生き物が描かれています。自分はチュース君と勝手に読んでいますが、どこかのキャラクターなのでしょうか。2位になってはいけないというのが面白い同時出しのゲームですが、カードの触れ幅が大きい(マイナス10からプラス15)ので足し算がちょっと面倒なのが玉にきずです。数値にもうちょっとメリハリがあり、かつ計算しやすいように、例えば-10、-5、0、1、2、3、4、5、10くらいでも良かったのではと思います。さらにせっかく得点カードと手札に同じカードを使うのなら、各プレイヤーが使ったカードから1枚ずつ選んでそれを次ラウンドの得点札にするなどとすれば、もうすこし戦略性があがったかもしれません。
決して悪くはないのですが、末永く遊ぶには少々あらが目立ちます。ワレスには、改良版を作って欲しいのですが、もうこういう軽快なカードゲームは無理かな。
結果: 青嶋 45、Katz 36、小松 20、自分 18、草場 -2
ダビデ & ゴリアテ David & Goliath(ペガサス版)
(プレイ時間 20分)
マストフォローのひねりのあるトリックテイクです。トリックではスートに関わらず高数値が勝ち低数値が負けます。最小数値が最大数値を、そして最大数値が残りのカードをすべて取ります。取ったカードは各スートで2枚までだとカードの数値がそのまま得点となりますが、3枚以上だとカードの枚数となってしまいます。よって、高数値を2枚まで取るか、あるいは大量枚数を取るかを考えなければならないのです。この得点ルールと「最低数値が最高数値を取る」というルールが見事に調和していて、なかなか良いゲームになっています。
ひとつ間違えやすいのは、同数値のときは後出しがちが常にカードを取る権利があるということです。つまり最高数値は後だしが勝ったことになり、最低数値は後だしが負けたことになるのです。
ペガサス版を使うのは初めてです。黄色の数字が判別しにくい以外は、問題なく遊べました。自分の手札は決して自分ではとれないというのもなかなか良い感じです。今回は1ディールのみでしたが、十分堪能しました。
結果:小松 61、青嶋 45、自分 39、Katz 36、草場 19
ベリシネベリシ Verish' Ne Verish'
(プレイ時間 25分)
トランプで遊ぶ、ロシア版の不思議なダウト。どうしたら良いのかわからないのですが、かなり面白い。今回は最後に不具合が発生してしまい、1枚でなく2枚抜けていたために4位と5位を決められませんでした。
ところで「ダウトして当たってた場合には、次のラウンドは自分から始められる」という元のルールも悪くない気がするのですが、どうでしょうか草場さん。
結果:青嶋 1位、自分 2位、小松 3位、草場 ?、Katz ?
長天(斜釘)Cheeteng
(説明 10分 プレイ時間 30分)
最後に草場さん持参の天九牌を使って2種類のゲームを遊びました。まずはチェーテン(長天)。シンプルながらかなり好きなゲームで、じわじわとした面白さがあります。6と1が多く2が少ないという天九牌の特徴を生かしており、飲む(プレイできずに埋める)ときに、待ちを広くするか失点を少なくするかで悩みます。かなり調子がよく大量点はあまりでなかったものの堅実に稼ぎました。
結果:自分 +32、青嶋 +11、草場 -7、小松 -36
鹿狩り(中原逐鹿)Deer Hunting
(プレイ時間 35分)
そしてこの日の締めはパートナーシップのモノスートトリックテイクである「鹿狩り」です。4ディール勝負での勝敗争いを楽しみました。8点の44札をうまくパートナーに取ってもらうというのが一つの山場ですが、その44をみすみす楽に取らせてしまうという失態をしてしまいました。後半少々追いついたのですが、18点差での敗北。
結果:小松&草場 +9、青嶋&自分 -9
草場純
ベリシネベリシですが、ゲームファームには「当たった場合も外れた場合もダウトした次の人の番になる」とあります。
鹿狩りとモンスターは両方ともニコリに紹介したので、次号か次々号のニコリ誌に載ると思いますよ。
けがわ
ゲームファームでは確かにそう書いてありますが、その元になったと書かれているページだと「当たったときはダウトを言ったプレイヤーから、はずれたときはダウトを言った次のプレイヤーから」という意味のことが書かれています。
http://www.pagat.com/beating/verish.html
この中の以下の部分です。
1. The player to make the move (B) has the right to say "I don't trust" and expose the card(s) the previous player (A) put on the table. If the card(s) played by A are not all of the rank that A said, A picks up all the cards on the table and adds them to his hand, the current round terminates, and B starts the next round. If the card(s) played by A were all of the stated rank, then B picks up all the cards on the table, the round terminates, and the next round is started by C, the next player clockwise from B.
どちらのルールが面白いかは別として、おそらくオリジナルに近いと思われるこのルールでも遊んでみたいです。
新井さとし
ご来訪ありがとうございました。
みなさまのおかげで「バンガードミッション」も長いこと続いております。
ここ近年は毎回二十数人ぐらいの方々がいらしております。あいかわらずヘビーなゲーマーが多いですので、梁山泊のような場所でありたいと思ってます。
『ベリシ・ネベリシ』について。
・「ダウトを言った人の次の人の手番」のルールだと、残り二人になったときの無限ループ対策が必要になりますが、「嘘は見破ってるけど敢えて承認する」の誘因が強くなり、結果的に場札が積み上がって盛りあがりやすくなります。パーティ向きのルールだと思います。
・「ダウトに勝った人の手番」のルールだと、カードの移動を考慮しながらプレイする意味が強くなるので、ゲーマー向けになると思います。
草場純
今日の水曜日の会で、「元のルール」でベリシネベリシをやってみました。ほぼ新井さとしさんの指摘どおりでした。さすが!!
「元ルール」の方がゲームらしいゲームになりますが、ゲームファームルールの方がトンでるゲームとなります(笑)。両方とも違った味わいで、両方ともとても面白いです。
けがわさん、ご指摘ありがとうございました。
けがわ
ベリシネベリシはどちらも別の意味で面白いですね。たった一つのルールがこんなにもゲームを変えることに驚きます。