トパーズ Topas
(プレイ時間 各15分)
トパーズはドミノタイルで遊ぶ頭脳絶好調のようなゲームです。置いたタイルの同色の宝石が得点となります。パズル色が強くなっており、また1列に7つまでが上限です。今回は初めてエキスパートルールを採用しました。各方向の得点を足すのではなく、掛け合わすのです。各方向は最低2点なので、掛け算の方が小さくなるということはありません。予想通り大量得点が起こったりと派手な展開になりましたが、自分はこちらの方が面白いかなあと思いました。次のプレイヤーに大量得点させないように考えることも大切なので、おそらく2人プレイがベストだと思います。
結果
1戦目:Hiro 293、自分 192、娯楽堂 81
2戦目:自分 172、娯楽堂 142、Hiro 99
バハ Baha
(説明 5分 プレイ時間 3ディール20分)
箱は黄色っぽいのですが、ハバのゲームではありません。ハーツ系のトリックテイクです。カードは通常のトランプと同じ4スート13ランク(1-13)。ノートランプ、マストフォローで、最初に3枚カードを渡すところも、渡す相手が右隣、左隣、向かいと変わるところもハーツと同じです。唯一違うのは失点カードで、9以上はすべて失点です。数値の9、10、11、12、13がそれぞれ1、2、3、4、5失点なので合計で60失点あるわけです。シュートザムーン(全ての失点を取って逆に得点とする)もありますが、ハイカードが全て失点なので、ハーツよりも達成が難しいと思います。
規定通り3ディールプレイ。特定のトランプゲームの専用札というのは敷居が低いので、こういったゲームを出す意義はあると思いますが、それにしても失点スキームがここまで特徴がないと少々拍子抜けです。ハーツは高い数値のノンハートをリードする意義があるのですが、このゲームではハイカードはローカードによってあぶり出されてしまうか、ボイドで乗せられてしまうかのどちらかです。このあたり、ハーツより戦略の取り方に多様性がないように感じてしまいました。また、スペードのQのような大量得点の爆弾カード的なものがないのもインパクトに欠けます。それでもハート系のトリックテイクとしては悪くはないと思います。
結果:月斎 10、タナカマ 25、自分 34、マツイ 110
指輪物語 ボードゲーム Der Herr der Ringe
(説明 20分 プレイ時間 75分&90分)
この日のメインは指輪物語を遊ぶこと。新版はコンポーネントやカードの質がかなり初版と異なっているのですが、慣れればプレイ自体には問題ありません。サウロン15からの初級だとさすがに易し過ぎると思うので、初めからサウロン12でのスタートです。経験者は、はいばらさんと自分だけでしたが、はいばらさんが的確なアドバイスを出してくれて、協力ゲームの雰囲気を盛り上げてくれます。サウロンはどんどんとホビットに向かって誘惑ラインを進み、「6」の位置にあった、おりとさん扮するフロドをシェロブの巣で飲み込み、さらに迫ります。残りの4人はなんとかモルドールまでたどり着いたものの、指輪保持者が飲み込まれて敗北。それではもう一度ということで、今度はメンバーを替えて2戦目。ダイス運も良く、途中ルーン(シールド)が尽きてしまったときにはガンダルフが呼べずにもはやこれまでと思いましたが、そこを乗り切ると最後まで無事到着。指輪を滅びの山に投げ入れることができました。ただこの2度目ではゴクリカードを星3枚として捨てるときにダイスを振らなかったという間違いをしてしまいました。どうもすみません。(カード1枚として捨てるときにはダイスは振らなくて良いが、星3つとして使ったり捨てたりするときにはダイスを振る)。
結果
1戦目(サウロン12)52点(敗北):おりと=フロド、かわはら=サム、はいばら=ピピン、自分=メリー、ささおやじ=ボルジャー
2戦目(サウロン12)76点(勝利):まるむし=フロド、自分=サム、ささおやじ=ピピン、かわはら=メリー、おりと=ボルジャー
はげたかの餌食 Hol's der Geier
(プレイ時間 各5-10分)
はげたかの餌食はRajとも呼ばれ、ランドルフの古典のひとつです。各自同一の手札15枚(1~15)を持ち、15枚の点数札(-1~-5と1~10)を取り合います。点数札は良くシャッフルして、1枚を表にし、そのあと全員で同時に手札から1枚を出します。プラスなら最高数値、マイナスなら最低数値を出したプレイヤーが取るのですが、他人と同じ数値を出してバッティングすると取れません。そのときは次に高い/低い数値となります。もし全員がバッティングしていたら持ち越しとなり、次回は持ち越されたカードと合わせて取るのです。たったこれだけなのですが、高い数値を相手とバッティングしないように出すことや、低い数値の処分の仕方など、いろいろと考えることはあります。13以上あたりは誰が何を持っているかをカウンティングしておくと良いでしょう。このゲームの秀逸なところは、マイナス札で、低い数字ではバッティングして欲しいというように逆の思考になるのが楽しいです。
まるむしさんの持ち込み。懐かしさと面白さに思わず2回遊んでしまいました。やり尽くした感のあったゲームですが、これだけ久し振りに遊ぶと新鮮です。ここまで極限にバッティングのエッセンスだけを取り出したゲームというのも、なかなかすごいです。
結果
1戦目:自分 15、まるむし 12、ささおやじ 8、枇杷 7、かわはら -2
2戦目:まるむし 27、枇杷 9、自分 7、ささおやじ 1、かわはら -4
草場純
はげたかは、ミゼールが過激で面白いです。
トマシ
こんにちは。
ミゼールとはなんなんでしょうか?
「ひとつも取らなければ勝ち」みたいなことですか?
草場純
「ミゼール」とは「フェアリーゲーム」(変則ルール)の用語で、「逆形」という意味です。簡単に言えば「負けるが勝ち」ですね。
「ハゲタカ」のミゼールは「タカハゲ」と言います。変な名前ですが、最初に名づけた人のセンスが悪かったのでしょう。ルールは全くハゲタカと同じですが、ゲームの目的だけが異なります。つまり点が少ない方が勝ちです。だから最高点はマイナス15点です。
ミゼールで有名なゲームに「レックス」があります。これはヘックスのミゼールで、ヘックスよりずっと難しいので、小さい盤でやります。
一般に順形(普通のルール)より、逆形(ミゼール)のゲームの方が難しいゲームになります。ただし、石取りゲーム(ニム)は逆形(最後に石を取った方が負け)が標準なので、これだけはミゼールとは呼ばないようです。
簡単なゲームとして知られるマルバツ(ティクタックトゥ)もミゼールのバツマル(トゥタックティック)にすると、突然難しいゲームになります。それはつまり、三目並べたら負けというルールです。
また詰将棋のミゼールは「馬鹿詰め」と言います。あんまりな命名なので、「ヘルプメイト」(こっちが本来のの名称)やら「協力詰め」と呼ぶ人もいます。
あとは有名なのは「リバーサル」ですね。これはリバーシ(オセロ)のミゼールです。オセロの強い人たちは「負けオセロ」と呼んでいます。また「エソレ」というシステマティックな命名もあります。要するに、60手打ち終わったときに自分の色の石の少ない方が勝ちです。この方がいいゲームだという人もいます。
少しルールをいじる必要がありますが、チェスやチェッカーのミゼールもあります。バックギャモンのミゼールの「フロントギャモン」というのもあります。更に花札のミゼールには、「かしこ花」や「八八ミゼール」があり、一部の熱狂的ファンがいます。
けがわ
「タカハゲ」ははげたかとプレイ感覚は異なるのでしょうか? 高い数字と低い数字が逆になるだけの気がするのですが、おそらく頭で考えただけではわからない違いがあるのでしょう。
「ヘックス」のミゼールは難しそうですね。是非チャレンジしてみたいです。この前話した「オメガ」はちょっとヘックスっぽいのですが、手番に自分と他人のコマを1つずつ置くというのがちょっと斬新です。
「オセロ」のミゼールは、あの命名法だと「エソレ」になりますね。やっとわかりました。
ここで書くのも気が引けますが、setには裏返すという意味はないと思います。なのでsetとresetの代わりにspin(或はsnap)、remainというのはどうでしょうか?
草場純
>「タカハゲ」ははげたかとプレイ感覚は異なるのでしょうか? 高い数字と低い数字が逆になるだけの気がするのですが、おそらく頭で考えただけではわからない違いがあるのでしょう。
その通りです。物凄く違うゲームになってびっくりします。そうしてランドルフがなぜ非対称のゲームを作ったのか、理解できます。ハゲタカは、プラスの合計が45、マイナスが15ですね。絶対値で比べればプラスはマイナスの3倍です。この非対称の理由は何でしょう? 私だったらプラスとマイナスと同じにしたゲームを作りそうです。なぜそうしなかったのでしょう?
実は、これはゲームの「解析性」にかかわる問題だったのです。
フェアリーゲームの魅力は、幾何学で極端な例を考察することで、証明のヒントを得ることに似ています。つまりフェアリーにすることで、そのゲームの本質が見えてくるのです。
しかし警告しておきます。フェアリーの世界は、もう一つのメタゲームの大陸です。近寄らないように忠告します。一度堕ち込むと、還れなくなる可能性が濃厚だからです。禁断の扉を開いてはなりません。
今ならまだ、引き返せます。 ウフフフフ…
けがわ
>今ならまだ、引き返せます。 ウフフフフ…
引き返せると忠告されながら、誘われている気がします。
でもフェアリーの考え方は面白いですね。かなり魅力的です。
トマシ
ミゼールとはそういう意味なのですね。
大変勉強になりました。
>「タカハゲ」ははげたかとプレイ感覚は異なるのでしょうか? 高い数字と低い数字が逆になるだけの気がするのですが、おそらく頭で考えただけではわからない違いがあるのでしょう。
実は私もけがわさんと同じような印象を持ちました。
やってみると違いがわかるんですかね?
残念ながら自分がいつもゲームをする仲間は、
保守的というか変則ルールを嫌うのでプレイする機会はなさそうです。
けがわ
タカハゲを草場さんと遊びました。
本質的には、得点カードをマイナス10枚(-1~-10)にして、プラスカードを5枚(1~5)にするのと変わりません。まあ予想通りと言えばそうなのですが、大きな違いはバッティングをすることをより求めるゲームになるということです。全くカードを取らなければ、おそらく勝ちなのですから。草場さんの作戦がどこまで有効なのかを理論的に考えてみたいです。
トマシさんも一度遊んでみても良いかと思います。10分くらいなので、実験として遊ぼうと誘ってみてはどうでしょうか?
草場純
ミゼールは、フェアリーゲームの入門として最適です。フェアリーが何をやろうとしているか、直感的に分かるからです。
「フェアリー」と「ヴァリエイション」の区別は微妙なのですが、本来のルールの一部を付加的に変更するのがヴァリエイション、本来のルールの本質的な部分を一点だけ大きく変えるのがフェアリーです。
例えばクク(カンビオ)のフェアリーには、マット、ダブルクク、ブラゴン、ハイロウクク、キャンセレーションクク、インディアンククなどがありますが、このうちマットがククのミゼールです。
マットのルールは(フェアリーですから)一点を除いてククと同じです。違うのは「チップ早くなくした人が勝ち」という点です。では、やってみるとククとマットはどう違うでしょうか。
ククは失格しないようにするゲームですが、マットは失格を求めるゲームです。やってみるとククでは絶対回ってこないクク(XV)や、人間(XIV)が回ってきて驚きます。こういうカードはククでは絶対回ってこないので、果たして回していいのか心配になりますが、クク(カンビオ)のルールには「クク(XV)を回してはいけない」とは書かれていませんから、もちろん構わないのです。
このようにフェアリーをやると、ルールの本質的な部分についての検証ができます。いや、話は逆で、ルールが細部まで定められていないとフェアリーは作れないのです。従って、フェアリーはゲームを極めるエキセントリックなツールと言えます。
例えばマット(カンビオのミゼール)で、人間・馬・家・猫…と並んでいたらどのようなことが起るでしょう? 面白いことに、次々と猫に頭をぶつけて自殺をしていくでしょう。こういう現象はクク(順形のカンビオ)では絶対に見られないことです。
けがわ
ククのミゼールが面白いというのは、なんどか耳にしたことがあります。是非試してみたいです。手軽なカードゲームならば、ミゼールで遊ぶというのも面白そうですよね。ポイズンとかペンギンパーティーとか悪くないかも。個人的にミゼールで以前試してみたのは6ニムトです。でもこれは全然面白くありませんでした。
ミゼール(あるいは範囲を広げてフェアリー)に付いて書かれた本やインターネット上の記事というのはあるのでしょうか?
草場純
>ミゼール(あるいは範囲を広げてフェアリー)に付いて書かれた本やインターネット上の記事というのはあるのでしょうか?
インターネットは私は見ないので分かりませんが、英文ならあると思うので検索してみてください。
本はまとまったものは、あまりありません。雑誌ならいくつかあります。
アメリカではフェアリーチェスレビューという雑誌が、まだ出ていると思います。この雑誌の創刊者はT.R.ドーソンという人で、フェアリーの創始者と言っていい人です。(フェアリーゲームそのものは、昔からあったと考えられるので。)
日本では、京都大学現代将棋研究部が出していたカピタンという雑誌が、フェアリー将棋の研究誌でした。
連珠の坂田吾郎さんは、フェアリー連珠を紹介した本を出しています。『碁石クイズゲーム』
フェアリー囲碁は昔、同人誌のようなものが出ていました。
フェアリーブリッジは、昔ブリッジ連盟の会報に二年ほど連載がありました。
湯川博士さんの『おもしろゲーム将棋』は、フェアリー将棋の本です。
「詰将棋パラダイス」誌には、フェアリー詰めのコーナーがあります。
坂本タクマ『ぶんぶんレジデンス』はフェアリー麻雀の漫画です。
フェアリーギャモンは3月13日に大会があります。
フェアリーゲームのコミュがミクシィにあります。