草場宅新年ゲームパーティー2011 その1 2011.01.02-03

今年は草場さん主催の新年ゲームパーティーに参加してきました。参加は実に14年ぶりで、新年らしく変わったゲームや伝統ゲームもたくさん遊ぶ事ができました。五人麻雀、スコポーネ、手本引き、棋碁、ベリシネベリシなどは特に印象に残っています。今回は、初日(1月2日)と2日目(1月3日)のレポートです。



フォーラム ロマナムの商人 Händler auf dem Forum Romanum
(説明 15分 プレイ時間 2時間10分)
HandlerAufDemForumRomanum20110102.jpg今回で自分は2度目のプレイとなるフォーラムロマナムの商人。交易品の時価のシステムなどは非常に面白いのですが、一番の問題は長引くプレイ時間でした。今回は自分以外は皆な初プレイで、最後にそれほど癒着することもなかったのですが、それでも2時間越え。これが45分からせめて60分なら素晴らしいゲームなのに非常に惜しいです。点数カードの値段が5、12、24、36、50なので購買がかなり制約されてしまいます。買うときには同種のカードを使って買うのが一番経済的なのですが、それだとカードの単価が6でも7でも必要枚数が変わりません。やはり今度遊ぶときには購買力を増してゲームを早く収束させるバリアントを使ってみようかな。

結果:Hiro 12、自分 9、とだっち 8、木 6



ライナークニツィアの革命万歳 Long Live The Revolution!
(プレイ時間 20-30分)
LongLiveTheRevolutionBox.jpg2010年にホビージャパンから出た「ライナークニツィアの革命万歳」は、クニツィアの短時間カードゲームです。ドイツ語、英語版に先駆けて初めて日本語版が出たゲームであり(厳密にはゲームリンク4号の付録「キャッチミー」がありますが)、フリンケピンケ、ハイソサエティ、ゼロ、カッツェンジャマーブルース、ロストシティ、ペンギンパーティーなどの過去の名作ゲームを見てもわかるように、短時間カードゲームはクニツィアの得意分野の一つ。この「革命万歳」も期待を裏切らないジレンマいっぱいのゲームで、同時出しのロシア革命ルールと、トリックテイク式のフランス革命ルールの2つの異なった遊び方ができます。基本として書かれているロシア革命ルールから説明します。

カードは青の王党派と赤の革命派が33枚ずつの計66枚でそれぞれ0が7枚、1が6枚、2から5が5枚ずつという構成です。王党派は犬、革命派は猫のイラストになっており、コミカル調で可愛らしいです。各プレイヤーと山札(中立プレイヤー)に11枚ずつ配ってゲームスタート。ラウンドの始めには、まず山札から1枚を公開し、それを見てから全員同時に手札から1枚選んで公開します。青と赤のカードの数値合計を比べ、多かった色がこのラウンドに勝ちます。なお合計値が同じ場合には山札から公開された色の勝ちとなります。勝利した色のうち、他のカードと重複していない最も低い数値のカードを出したプレイヤーがラウンドの勝者です。つまりもっとも貢献していないプレイヤーが勝つということなのです。重複は色に関係なく考慮するので、赤0、赤0、赤1、青1、青3、赤5などと出ていた場合には0も1も重複しているので赤5が勝利します。もし勝った方の色の数値が全て重複していた場合には山札の中立プレイヤーが勝ちます。ここで注意したいのは山札から公開されたカードの色と山札が勝ったときの色が異なる事があるという事です。これはルールブックでは明記されていません。例えば、山札が青3で、他のプレイヤーが、青0、青1、赤1、赤2、赤2、などと出した場合は、5対4で赤の勝利ですが、赤1も赤2もバッティングしている為に山札が赤として勝ちます。山札の勝利カードは青3ではなく赤の任意のカードとなるのです。これは意外とよく起こるケースなので気をつけると良いでしょう。

LongLiveTheRevolutionCards.jpgこうしてラウンドを繰り返し、どちらかの色が4勝したらゲーム終了です。つまり最短でも4ラウンドで、最長でも7ラウンドでゲームは終わるのです。このとき手札は4から7枚残っていますが、勝利したカードと手札のうち4勝した方の色だけが1枚1点となります。ラウンドに勝つことはさほど重要ではなく、他のプレイヤーの動向を見ながら残すカードやゲームを終わらせるタイミングを考えることが重要になってきます。バリアントでは山札に残った札を山札(中立)プレイヤーの手札と見なし、山札に負けたプレイヤーは敗北となります。これはランダムですがなかなか盛り上がります。

フランス革命ルールでは山札が無く、リードプレイヤーから手番順に1枚ずつ表に出していくトリックテイク式です。タイブレークなど山札の中立プレイヤーが持っていた役割はすべてリードプレイヤーが持つ事になります。よって出したカードの色でない色で勝つ可能性があるのはリードプレイヤーだけです。少し考えると、最後のプレイヤーが有利であり、次のリードプレイヤーになる可能性が多いのでは? と思えますが、バッティングのルールなどがうまく働いていてそんなに最後のプレイヤーは強くありません。この辺のバランスの取り方は面白いです。

LongLiveTheRevolution.jpg今回は4人で計2ゲームを遊びました。まずは標準ルールのロシア革命ルール。今回は初めて山札の点数も記録してみました。4ディール遊びましたが、バッハさんが手札をうまく残してトップ。きさんは何故かうまくいかずに山札未満で敗北となってしまいました。この「山札より低い点だったら負けとする」というのは「各ディールで山札より低かったら0とする」とした方が良いかもしれません。今回もしそれを採用するとすれば自分の点数が1点下がっただけなのですが。

2ゲーム目は、トリックテイク式のフランス革命ルールです。こちらの方が戦略的なのですが、時間は多少かかります。今回は4ディール遊んで自分だけが1点差で最下位でした。個人的にはこちらのフランス革命ルールの方が好みかもしれません。

結果
1戦目(ロシア革命ルール):バッハ 17、堀田 14、自分 14、木 3(参考:山札 10)
2戦目(フランス革命ルール):バッハ 16、堀田 16、木 16、自分 15



五人麻雀 Five-Player Mah-Jongg
(説明 15分 プレイ時間 2時間10分)
MahJonggTables.jpg麻雀と言えば4人限定で、1スート除いた3人麻雀はどうしても人数が揃わないけど麻雀がやりたいとき、といったイメージでしたが、世の中には3人どころか5、6、7、8人麻雀のルールをきちんと考えた人がいるようです。草場さんの家にはそれぞれの人数用に、3、5、6、7、8角形の雀卓があります(写真)。ただし4人用はありません。このn人麻雀というのは通常のように各牌4枚ずつ使う方法と「ネオn人麻雀」と呼ばれる各牌n枚を使う方法があるそうです(4人だとネオは通常と同じになる)。ポン、カンの上に、キン、クン、ケン、コンと続くなど、本当なのか冗談なのかと思わせる部分もありますが、こういうゲームに対する情熱はすごいものがあります。草場さん曰く「8人集まったら3人麻雀と5人麻雀の2卓にするんですよ」

5-playerMahjongg20110102.jpgそんなn人麻雀の入門として、草場さんの提案で5人麻雀をやることになりました。ネオでなく通常方式で各牌4枚あります。さらに花牌4枚を入れて、ドラ表示牌は山の一番最後で、ツモはその直前まで(つまりドラ・裏ドラ表示牌以外)となるので4人麻雀とそれほどプレイの感覚は変わりません。ゲームとしては面白くできていると思います。強みは麻雀のルールさえ知っていれば、すぐに遊べることです。ほかに5人麻雀独特のルールで主なものでは、チーは直前とその一人前の2人からできること(小チー、大チーと呼び、小チーの方が優先)や、風が東南西北花の5風あることです。(詳しいルールの違いはここを参照)

東南戦で連勝がなくても10局なのですが、正月らしい華やかさで楽しく遊べました。最初はかなり振り込んでしまったのですが、途中から少し盛り返して3位。次回はネオ5人麻雀を試してみたいですね。あるいは7人麻雀かな。

結果:バッハ 32600、ナグナツ 30400、自分 27100、草場 24200、わいばぁん 20700



太極 Taiji
(プレイ時間 7-20分)
Taiji20110102.jpgエッセンでネスターゲームズから購入したネスター自身がデザインしたという2人用アブストラクト。説明によれば「タイジ」とは中国語の「太極」のことらしいです。目的は自分の色で縦横に繋がった最大領域をつくること。ボードの大きさは7x7、9x9、11x11と3種類あり、それぞれ、1、2、3つの最大領域の和を得点とする(タイブレークは後手勝ち)ことが推奨されています。コマは自分の色と相手の色の正方形を繋げた1x2のドミノ状になっています。これを毎手番、1つボード上に置くだけですが、2つの色を同時に置く為に完全にはブロックできず、完全に有利になるようにも置けずに、なかなか考えさせられます。ネスターはこの「自分の色と相手の色を同時に置かなければならない」というルールが好きなようで、彼のトリット Tritt も同様のアイディアでできています。

アブストラクト好きのナグナツさんもこれはなかなか面白いと言っていました。1戦目は小さな7x7で8対8の同点。2戦目は大きな11x11のボードでこれも9+8+8(ナグナツ)と13+6+6(自分)の同点でした。同点になりやすいのかもしれません。

結果:
1戦目(7x7):ナグナツ 8(後手タイブレーク勝利)、自分 8
2戦目(11x11):自分 25(後手タイブレーク勝利)、ナグナツ 25



ガウス Gauss
Gauss20110102.jpgここでガウスをプレイしましたが、終電の関係で時間切れになってしまいました。翌日ナグナツさんは別の方と何度か対戦していたようです。

結果:中断(ナグナツ、自分)



ザ ボス The Boss
(説明 10分 プレイ時間 1時間)
TheBoss20110102.jpg今回は滞在中にRaelさんに色々なゲームを教えて頂きましたが、この「ザ ボス」もそのひとつ。7色のスートはそれぞれマフィアのボスを表しています。各スートは3-5枚のカードがあり、ラウンド開始時にはそれぞれ1枚を裏向きに配置します。他のカードはプレイヤー間で等分します。ラウンド終了時に最も多くコマを置いていたプレイヤーがその裏向きのカードの恩恵を受けるのです。ただし恩恵は良いものばかりとは限りません。勝利点となるもの以外は、自分のコマが次のラウンドで使用禁止になったり、ときにはゲームから除外されてしまうのです。

手番には手札をかならず1枚表向きにプレイします。そのあとコマを今置いた色以外に置くことができるのです。これはフリンケピンケの誤訳ルールに似ています。コマを置くのはオプションであり、一度にいくつも置けるので裏向きのカードが明らかになる辺りから壮絶なエリアマジョリティーの戦いが始まります。コマの数が少ないのでかなりシビアな選択を迫られる事になり、さらに最終手番は駒の少ない順となるなどいろいろと工夫が見られます。

結果:rkusaba 12、Rael 8、草場 7、自分 7



これで初日(1月2日)は終了です。第2日目(1月3日)は午後から私用があったので、午前中に3つほどゲームを遊びました。



バックギャモン Backgammon
伝統的なバックギャモンはゲーム理論的には「二人零和完全情報不確定ゲーム」という珍しい部類に入るゲームらしいです。調べてみると、2人が見えている情報は完全に共有されているが、ダイスという不確定な要素がある、ということらしいです。他にこのようなゲームは無いかと考えると、2人で遊ぶケルトタイルやプエルトリコなどが当てはまると思うので、それほど珍しいとも思えないのですが、なにか自分が勘違いをしているかもしれません。

バックギャモンはスピーディーなゲームで、ダブリングキューブが非常に良い味付けになっています。草場さんと5点先取で遊びましたが、どちらが勝ったのかは覚えていません。そのあと時限爆弾をテーマにしたゲームを遊ばせてもらいました。そして最後はスコポーネです。



スコポーネ Scopone
(プレイ時間 各40-45分)
Scopone20110103.jpgイタリアのカシノ系(花札のように合わせて取るタイプのゲーム)のゲームの代表作。ギークではスコパのバリアントとして扱われていますが、分けて考えるべきだと思うほどまったく異なるゲームです。パートナーシップで40枚(K、Q、J、7、6、5、4、3、2、A)のカードは最初の場札の4枚を除いて全て配ります。手番には手札の1枚で合計が同じになる場札の複数枚のカードを取ります。つまり7で7を取ったり、4と3を取ったりするのです(ただし1枚取りが優先されます)。K、Q、J、Aはそれぞれ10、9、8、1と見なすので、分かりずらければ絵札の代わりに10、9、8を使うと良いかも知れません。得点は取ったカードの多い方、取ったダイアの多い方、ダイアの7を取った方、プライム点の高い方(7や6やAを取れば高くなる)にそれぞれ1点。さらに場札を全部取った回数(スイープと呼ぶ)だけ点がつきます。パートナーシップなので一度スイープが起こると、次にプレイヤーが場札に捨て、その次のプレイヤーがまたスイープをするという連続スイープになる事が多いのが怖いです。非常に考えるゲームで久し振りでしたが楽しめました。木さんの手書きのインデックスのトランプも味わいがあって良かったです。

結果
1戦目:やういち&木 14、夜の花畑&自分 7
2戦目:やういち&木 13、夜の花畑&自分 4


次は後半(3日目:1月4日編)です。

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