8月7日土曜日。8時半起床。無理をすれば9時のカタンの開拓のトーナメントに間に合ったのですが、それよりもちゃんと朝食をとることにして会場のランカスターホストには9時半頃到着。今日のメインはラーダイスゲーム、プエルトリコの最終ヒートとチグリスユーフラテスです。
10時過ぎに昨夜一緒に遊んだマイクにばったり会います。9時の蒸気の時代のトーナメントに参加して来たとのこと。どうも序盤からうまくいかずにつらかったようです。彼の友人のデイブを紹介してもらい、12時からの「ラーダイスゲーム」に皆で参加するべく練習しようと言うことになりました。特にデイブは未プレイなので、マイクと僕でルールを教えます。11時には「乗車券」のトーナメントがあったのですが、殆ど遊んだことがない「乗車券」よりは「ラーダイスゲーム」の練習の方が大事だ!と思い、結局「乗車券」のトーナメントには参加しませんでした。
ラーダイスゲーム Ra: The Dice Game
(プレイ時間 30分)
思えばラーダイスゲームを初めて遊んだのは、去年のWBCでのデモプレイテーブルでです。それが今年からトーナメントの種目になっているというのもWBCの柔軟さなのかもしれません。アメリカ主導で出しているゲームなので、思いのほかアメリカでは人気があるのかもしれません(でもサムライカードゲームやサムライはトーナメントの種目になってないのが残念ですが)。ルール確認も兼ねての3人プレイ。初プレイのデイブはラーを知っていたので教えるのは楽でした。最下位でしたがこうして練習をしておくだけで、心の準備もできるし良いことだと思います。
結果:マイク 31、デイブ 29、自分 26
ブント ロンド Bunte Runde
(プレイ時間 15分)
また30分弱ほど時間が出来てしまったので、昨日に引き続きブントロンドの登場です。マイクとデイブはやはり初プレイで「簡単なのに面白いね」と言っていました。あとでマイクは友人と遊びたいというので貸してあげました。こういう手軽なゲームはもっと評価されるべきだと思います。
結果:マイク 15、自分 11、デイブ 10
ラーダイスゲーム Ra: The Dice Game
(プレイ時間 55分)
12時。ラーダイスゲームの最終ヒート(ヒート2/2)の始まりです。ランダムな組み分けで、10テーブルほどに分かれるのですが、一緒になったのはさっき一緒に練習したデイブと昨日コンテナを遊び、昼食を一緒にしたジェフ、それにジェフの友人らしいビアンカと、なんだか知った顔ばかりという偶然。一気に緊張感が解け、身内と遊んでいるような親近感を覚えました。
とはいっても本気です。他人の動向を見て、ファラオを取るか、シビリゼーションを取るかと考えます。モニュメントは毎手番建てた方が効率的だし、でもいつかはシビリゼーションを3つ以上出さなければなりません。ラーの目が2つ出た時は、他の殆どを振り直して3点や災害を狙います。慎重にプレイしたおかげで第2ラウンドまではトップでした。ところが第3ラウンドで、ダイス運が恐ろしくよいビアンカが一気にシビリゼーションを3つ、さらに2つと増やし15点。ラーの目がなかなか出ず硬直状態になるも、そこから逆転できずに負けてしまいました。ラーダイスゲームにしては55分というかなり長いゲームでしたが、よいゲームでした。でもやはり負けたのは悔しい!
結果:ビアンカ 61、自分 55、ジェフ 47、デイブ 42
ここで昼食です。昨日の夕食でも食べたこのホテルのシェフが料理した、豚肉の裂いたものを食べました。マッシュポテトとコールスロー、それにビスケット付きで美味しかったです。一緒のテーブルになった方と雑談したときに「一番好きなゲームはトワイライトストラグルだよ」と言われました。「作者のジェイソンは一緒のゲームグループにいるよ」というと「それはうらやましい、彼のゲームはどう思う?」と聞かれました。実はまだどれも遊んでないのですが、そろそろトワイライトストラグルくらいは遊んでみるかなあ。
ロストシティ ボードゲーム Lost Cities: The Board Game
(プレイ時間 85分)
昼食後、オープンゲーミングのホールに戻ると、ようやく起きたというクリスとヘザーに会いました。昨日オレゴンを一緒に遊んだ、若いゲーマー達です。僕が9時過ぎから着ていると言うと驚いていました。早速何か一緒に遊ぼうということになり「何を遊ぼうか?」と尋ねると「ロストシティボードゲームが遊んでみたい」というのでゲームライブラリーからチェックアウト。そう言えば去年のWBCでもロストシティボードゲームを遊んだなあと何だか懐かしくなりました。
3ラウンドプレイしましたが、最近はケルトに慣れてしまっていたので、昇順だけというのが新鮮に感じました。1ラウンド目ではあまり振るわず、2、3ラウンドで少し点差を縮めるも2位。
結果:クリス 565、自分 475、ヘザー 300
プエルトリコ Puerto Rico
15時。プエルトリコの最終ヒート(ヒート3/3)です。昨日のヒート2/3では負けてしまったのでこれがラストチャンス。落ち着いて戦います。まずは小さな市場を取り、砂糖、インディゴ、とうもろこしの安物3種生産体制を整えた後、金鉱堀りをかなりの頻度で選んで貯めたお金で首尾よく工場と港を建てることが出来ました。このあたりで勝てるなと思いました。その後も順調にたばこ、コーヒーの5種生産体制に持ってゆき、ギルドホールは買えなかったものの税関で7点(勝利点チップが30点あったので)、さらに市役所も買いましたが人が乗る前に終了。2位に15点の大差で勝つことが出来ました。これは素直に嬉しかったです。22時のクォーターファイナルが楽しみです。
結果:自分 60(30+27+7)、デイブ 45(11+25+9)、ダナ 38(25+13+0)、ダン 35(17+18+0)
(勝利点チップ+建物+ボーナス)
チグリスユーフラテス Euphrat & Tigris
ヒート(プレイ時間 95分)
18時。自分にとってのメインイベントであるチグリスユーフラテスの最終ヒート(2/2)です。4人ゲームでしたが、対戦相手にはルールの細かい点を忘れているプレイヤーも多く、半分教えながらのプレイとなりました。ここのトーナメントルールでは手番順が1番目と2番目のプレイヤーの初手は1アクションだけとなっています。いつものようにまんべんなく色々な場所に自分のリーダーを散らばらせて、都合のいいように戦争を起こし、モニュメントをかなり長いこと独占していました。向かい側に座ったビルが細かいルールを忘れているものの非常にゲーム勘がよく、常に彼を意識してプレイしていました。もうちょっとゲームが長引いていたら危なかったかもしれません。95分という長時間ゲームでしたが、とにかく去年同様にヒートは突破です。
結果:自分 10-11-11-11、ビル 9-9-11-12、ギャリー 5-6-10-11、スーザン 5-5-9-18
セミファイナル(プレイ時間 60分)
20時。続けて同じ部屋でセミファイナルとなります。3テーブル12人で、各テーブルの勝者とベストの2位プレイヤーの4人がファイナルに進めるわけです。ヒートとは打って変わって強者ぞろい。みな自分の王国を固める中、なかなかモニュメントをコントロールできずにかなり苦しい中盤戦となりました。最後には大戦争を仕掛けたのですが、完全に読みを誤ってしまい、自分の首をかえって絞めることになってしまいました。これが決定打となり結果は4位。このゲームは奥が深過ぎます。
結果:ハイム 9-9-10-11、エリック 7-9-10-13、ピート 5-7-7-8、自分 5-6-7-9
プエルトリコ Puerto Rico
(プレイ時間 75分)
22時。プエルトリコのクォーターファイナルです。クォーターファイナル以降では、手番順によって勝率が変わるとされているプエルトリコでは、まず手番順を巡ってのビッドがあるのです(写真はビッドシート)。このビッドの説明やグループ分けのゲームマスターのやり方がかなり冗長で、集まったプレイヤーでは「そんなのはいいから早くゲームを始めろ」のような罵声も飛ぶ始末。ゲームが漸く始まったのは22時30分なので実に30分もの時間を費やしたことになります。
ビッドはエヴォやアメンラーやべガスショーダウンのような方式(でも同じ場所に再ビッドできるのでところてん式ではない)。勝利点を0.5点刻みでビッドします。自分は正直、どの手番順でもよかったので0をビッド。1手番目になりました。鉱石が好きではないので建築を選んで小さな市場を得ることにします。まあこれが良かったのかどうかはわかりませんが、ヒートと同様に工場を建てたのが失敗で、ここは勝利点確保の為に港を建てるべきでした。もろこしを沢山生産できたので、せめてそれらを無駄にしないようにワーフを建てます。ワーフは値段が高く(9)あまり好きではないのですが、このときも結局2回ほどしか使えませんでした。大きな建物を2つ(市役所とレジデンス)建てるものの結果は第3位。
結果:マイク 49(11+23+16-1)、ジェイソン 46(23+19+5-1)、自分 42(13+20+9-0)、エミー 33(19+14+0-0)
(勝利点+建物+ボーナス-ビッド値の順です)
これで、この日のトーナメントは全て終わりです。さすがに疲れましたが、チグリスユーフラテスとプエルトリコの2種目でヒートを勝ち抜いたので去年よりは成長したかもしれません。あとは、再びオープンゲーミングのホールに行って遊ぶことにします。
指輪物語 二つの塔 カードゲーム Der Herr der Ringe: Die Zwei Türme das Kartenspiel
(プレイ時間 20分)
クリスが遊んでみたいと言っていたので、隠れた名作の二つの塔を遊びます。カードドラフトの妙と勝負をかけるタイミングを計るのが面白いゲームなのですが、地味な面白さなのかもしれません。まあそれなりには楽しんでもらえたようです。
結果;クリス 14(指輪保持)、ヘザー 14、自分 12
ケルト カード Keltis: Das Kartenspiel
(プレイ時間 30分)
この日の最後はケルトカード。昼間にロストシティボードゲームを遊んでいた時に、「このゲームはもともと2人用のカードゲームで、ドイツではケルトって言う名前なんだよ。で、ややこしいことにケルトをさらにカードゲームにしたケルトカードというのもあるんだ」と言って現物をみせると、是非遊んでみたいとのこと。願いの石をペアのカードで取るというのもよかったらしく、なかなか楽しんでくれたようです。
結果:クリス 30、自分 28、ヘザー 17
この日はこれで終了。マイク、クリス、ヘザーの3人は予定を変更して今夜家に帰るそうです。ギークメールの交換をして、さよならをしました。いろいろと一緒に遊んで話せて本当に良かったです。自分もモーテルに戻ってぐっすり眠りました。
==============================================================
8月8日、日曜日。9時からのトランスアメリカのトーナメントに参加する予定でしたが、さすがに疲れがたまっていて寝坊してしまいました。忙しくて今回まったくノーチェックだった売店(ブース)に行ってみます。Z-MANのブースでは、入れ墨だらけの人が楽しそうにゲームを売っていました。去年、ゲームの記録を付けるノートを買ったブースに行って、同じものがあるか尋ねると「あれはもう作ってないみたいなんだよね」と言われてしまいました。お土産にしようと思っていたのですが、残念です。結局何も買わずにブースをあとにしました。
ブースの外で白い杖を持った50代くらいのアランと言う名前の盲人の方に話しかけられました。なんでもワシントンDCから飛行機に乗るので、誰か乗せていってくれる人を探しているとのこと。付き添いの方もここで会っただけなので、ひとりでまたアムトラックとバスとタクシーを乗り継ぐのは不安だとのこと。ワシントンに住んでいるので、もし誰もみつからないのならば乗せていってあげられると思いますよ、と電話番号を渡しました。
大ホールに入ると「乗車券」のセミファイナルをプレイしているラファエルと遭遇。彼は元DCゲーマーズのメンバーで、今はカリフォルニア在住です。今年もWBCの為にプレコンから10日間滞在しているのです。乗車券では総合6位の盾をもらっていました。今年はサンファンでチャンピオンに、他のいくつかのゲームで2位、3位などになったそうです。「すごいね」と言うと「この1年間、ほとんどゲームをしていなかったから、こんなものだよ。いつもは1位を3つくらいは取っている」とのこと。いや、すごいです。
マカオ Macao
(説明20分 プレイ80分(途中終了、6ラウンド目まで))
ラファエルとは久し振りなので一緒に遊ぼうということになり、オープンゲーミングのホールに行ってマカオを遊ぶことにしました。2人ではきついので遊びたそうな人を探します。最終の日曜日なのでどんどん人は少なくなっているのですが、あと2人のプレイヤーを見つけることが出来ました。2人はクリスとジェイソンという同じゲームグループからの仲間らしく、ジェイソンは偶然にも昨日モーテルからクルマに乗せてあげた人でした。
ゲームライブラリーからマカオを借りてラファエルがルールを解読します。プレイ経験があるのは自分だけでしたが、ルールについてはあまり自信がありません。さらにゲームライブラリーは片付けを始めており、最後までは遊べないだろうなあと思いましたが、まあ途中まででも良いだろうということで遊ぶことにしました。
特殊能力などが多くわかりずらいのですが、アクションキューブ補充のメカニクスはやはり面白く、前回よりもずっと楽しめました。残念ながら半分ほどの6ラウンドあたりでゲームライブラリーに返却しなければならなくなり、途中終了となりましたが、これはまた遊んでみたいなあと思わせるものがありました。ラファエルはかなり気に入ったようで、購入リスト入りだそうです。
ケルトカード Keltis: Das Kartenspiel
(プレイ時間 25分)
最後の最後に、せっかく4人いるのだからということで短時間ゲームのケルトカードです。4人だとかなり願いの石の争奪も激しく、結果的にはマイナス点をくらったこともあって最下位。まあそういうこともありますね。
結果:ラファエル 15、クリス 12、ジェイソン 10、自分 2
午後の4時。ラファエルは飛行機に乗るべく出発しなければならないというので、これでさようならです。自分は、盲人のアランと待ち合わせていたバーに行き、彼をワシントンDCのホテルまで送ります。2時間半くらいのドライブの間に色々話しました。盲人のゲーマーには初めて会ったのですが、トーナメントでは幾つか勝ったらしく、なかなか強いみたいです。手札があるものなどはどうするのか?と聞くと、自分の番になったら公開して他のプレイヤーに教えてもらうか、あるいは別のテーブルに行ってゲームとは無関係の人に内容を教えてもらうそうです。好きなのは18XXシリーズなどのヘビーゲームで、全米各地のコンベンションに参加しているとのこと。話しながら「アクセントから僕の国籍が分かる?」と聞いてみると「わからない。アラビア系?」といわれました。
アランをワシントンの空港近くのホテルに送り、部屋の構造を教えてあげようとすると「大丈夫、バスルールはあっちだろ?で、この辺にタンスとテレビがある」と的確に当てます。「アメリカのチェーンのホテルなんて、どこも殆ど構造は同じものさ」とのこと。妙に感心しました。
これで今年のWBCレポートは終わりです。来年も行けると良いなあ。
ビート
今年もWBCレポート楽しんで読みました!
プエルトリコもチグユーも、何度遊んでも飽きないいいゲームですよね。
プエルトリコの、ゲーム前に30分もかけての席順ビッドはさすがに興ざめでしょうね。ランダムに席が決まれば十分だと思うのですが…。
オレゴンは特殊なルールが少なく、ほどよいジレンマで、私もお気に入りのゲームです。機会があればまた一緒に遊びましょう。
けがわ
ビートさん、コメントありがとうございます。ビートさんとチグユーを遊んだのが懐かしいですね。あれからオンライン(ボードゲームギーク)でかなりチグユーを遊んだので(40ゲームくらい)、少しは強くなったかなあと思ったのですが、やはりWBCでは強者が多いです。勉強になります。
プエルトリコの席順ビッドに付いては同感ですが、統計的に有利不利がBSWなどで出ている以上、なんらかの処置をしなければならないのでしょう。難しいところですよね
オレゴンはなかなか楽しめました。色々な人に勧められていたので、遊ぶ機会があって良かったです。こんど購入を検討しています。今度また、水曜日の会などで一緒に遊んで下さい。
じろう
WBCのレポート、楽しく読ませてもらいました。
WBCなんて言うと、すごく敷居の高そうな響きがしますが、ルールが曖昧なままでも参加している方がいたりと、そんなに敷居が高すぎるわけでもない感じで、とても楽しそうな雰囲気を感じました。
けがわ
じろうさん、コメントありがとうございます。
WBCは何故かランカスターなどという田舎でやっているので、地元の方が家族連れで来ていて、子供向けのイベントもそれなりにあります。なのでヒートはルールを知らない方なんかもいますね。まあ取りあえず参加してみるか、という感じなのでしょう。でもそれ以降はさすがに全米各地からの強者プレイヤーが集まっているという感じです。その両方が楽しめるのが魅力の一つかもしれません。
タカハシ
素晴らしい!
まさに行った気にさせてくれる、これぞレポートですね。
それにしてもクニツィアゲーを遊びまくってますね^^;
流石です。
もともとトーナメントゲームに選ばれている作品はクニツィアゲーが多いのでしょうか?やはり根強い人気があるからですかね?
けがわ
タカハシさん、コメントありがとうございます。
今回はクニツィアのゲームを中心にトーナメントに参加しましたが、なんといっても100種目もあるので、自分の好みのゲームのトーナメントに参加できます。ワレスもかなり多いですね。蒸気の時代やブラスは参加者も多いみたいです。他にもクラマーのトーレスやティカル、ムーンの乗車券やサンタフェレイルズなど、いろいろあります。
その1のエントリーにトーナメントプログラムの冊子の写真をクローズアップでのせてあるので、興味があれば見てみてください。