ピラミッド Pyramido
(説明2分 プレイ時間 実時間 15-20分 記載時間 15分)
ピラミッドはプロリグノから1991年に出版されました。プロリグノから出ている4つのゲームでは唯一デラックス版があり、ここで紹介するのもデラックス版を元にしています。通常版は見たことがないのですが、コンプリカ、プリズマ、カテナの Artikel Nr. がそれぞれ 101,102,104 なのでおそらく欠番になっている Artikel Nr. 103 で同様のピンクの箱に入っているのだと思います。なお、カテナだけは同時アクションのゲームなのでここで扱うアブストラクト(完全情報)には入りません。
背景
ピラミッドはその名の通り三角のピラミッドに登ることをテーマにしています。英訳ルールには The Game Of Climbing And Falling (登ったり落ちたりするゲーム)というサブタイトルが書かれています。プロリグノの中でこのゲームだけデラックス版があるのというのは、それだけ完成度が高いということでしょう。ただし、通常版は写真も現物も見たことがないので比較ができないのが残念です(もし手に入ったら、追記します)。ドイツ語の原文ルールが入っていなかったこともあって、このゲームに関する情報は少ないです。
コンポーネント
外箱は大きな木箱。同社から出ているアレーレイ シュピーレイ Allerley Spielerey と同じくらいのサイズです。取っ手がついてないので持ち運びには不便です。木箱のふたを開けると中央に大きな正三角形のボードが、箱の2つの角は仕切りで区切られていて、マーブルの入った紫色の布袋がひとつずつ納められています。マーブルは濃い青と水色の2色で、それぞれの袋に予備1個を含んだ14個のマーブルが入っています。特に濃い青のマーブルは透明で水晶のように綺麗です。
正三角形のボードには PYRAMIDO のロゴが描かれており、ロゴの真下にはボードに傾きをつけるための木製の球体の脚を付けるようになっています。傾きはゲーム自体とは無関係なのですが、どちらが上なのかが明確になり、ピラミッドに登るというテーマとも合っています。ボード上にはマーブルを置く窪みが5段並んでいます。窪みの数は上の段から4、5、6、7、8個で、合計30個。また、窪みの底にはひとつひとつ黒いフェルトが張ってあり、高級感を醸し出しています。
ボードが立体なので見栄えもよく、インテリアにもなります。自分はかなり長い間インテリア代わりに部屋に飾っていました。
ルール概要
各プレイヤーは自分の色(濃い青か水色)のマーブルを13個持ち、ボードには何もない状態から始めます。手番にはマーブルの配置か移動のどちらかを行います。ただし、支えのない自分のマーブルがある場合は強制落下をしなければなりません(後述)。
配置では、手持ちのマーブルを1つ、最下段の空いている場所に置きます。最下段がすべて埋まっている場合には不可能です。移動では、既にボード上にあるマーブルをピラミッドの頂上に向けて1段登らせます。そのためには、マーブルが登る先の右下か左下に支えとして別のマーブル(自分のでも相手のでも良い)が置かれていなければなりません。つまり、右隣に別のマーブルがあれば右上に、左隣に別のマーブルがあれば左上に登れるわけです。隣に別のマーブルがない場合は移動できません。なお、一度置かれたマーブルはゲーム中に取り除かれることはありません。
強制落下:手番開始時に、自分のマーブルで支えがないものがあるときには、手番を使って支えのないマーブル1つを1段落下させなければなりません。右下に落ちるか左下に落ちるかは自由に決められます。また、支えのないマーブルが2つ以上あるときには(隣り合わせの自分のマーブルの共通の支えが落ちた場合など)、どのマーブルを落下させるかは自由です。落ちた先に支えがなくでも1段落ちたらそこでストップします(次の手番に再び落ちる可能性があります)。
こうして最上段に自分のマーブルを2つ登らせて次の自分の手番のはじめまでその状態を保つか、あるいは相手を手詰まりにすると勝利です。なお最上段のマーブルが落ちなければ、他のマーブルが落ちても関係なく勝利です。
感想
1ゲームが短いこともあり、ほどよい中毒性もあって数年前に70回以上もプレイしました。手詰まりを誘う所などはニムに通じるものがありますが、それが程よい縛りのようになっています。おそらく慣れるまでは手詰まりで終わってしまうことが多いと思いますが、手詰まりを回避できるようになってからが、このゲームが真に面白くなるところだと思います。毎回の選択肢はそれほど多くないのですが、先まで読むのは難しいです。強制落下のルールが良く出来ていると思います。
クニツィアの他のゲームでピラミッドのアイディアを使ったものに、ペンギンパーティー/ペンギンがあります。どちらかの支えが同じ色でなければならないというルールなのはピラミッドとは異なりますが、影響を受けていると思われます。
考察
自分のマーブルが盤上に少ないと手詰まりになる恐れがあるので序盤は4つずつ最下列に置くことが多いです。中盤以降は手詰まりの危機は少なくなりますが、慣れないと手詰まりになり易いことには変わりないので、なるべく多くのマーブルを場に置くことが大切です。上から2列目の真ん中は鍵となる場所で、ここを押さえると勝ち易いと思います。また相手のマーブルだけで登坂路をつくらせてしまうと、自分は全く何もできなくなるので、そうならないように適度に自分のマーブルを相手の群れに混ぜておきます。
写真は濃い青の手番で、上から3列目、左から3つめのマーブルが左上に登れば勝利確定です。一見上から2列目中央のマーブルが強制落下となりそうですが、次の水色の手番ではそれを支えてしまうことしかできません。ちょっと変わった勝ち方だと思います。
結論
プロリグノの3つのアブストラクトゲームのなかでは随一の面白さです。デラックス版があるのもうなずけます。手番の選択肢がそれほどあるわけでもないのに、2つの勝利条件を常に意識しなければならず、なかなか奥が深くて遊びがいがあると思います。コンピューターのAIがインターネット上であるようなので興味がある方は試してみるのも良いと思います。
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