友人のフォーレストの招待で彼の家での平日夜のゲームの集まりに参加。誘われたのはサイモンと自分ですが、丁度共通の友人チャーリーがカリフォルニアから来ていたため、まずチャーリーと自宅でスカラベロードを遊んでから出発しました。
スカラベ ロード Scarab Lord
(プレイ時間 80分)
クニツィアのトレーディングカードゲームっぽいゲームと言えばブルームーンが有名ですが、それ以前に作られたのがスカラベロード(2002年)とミノタウスロード(2004年)というシリーズです。クニツィアでテキストが多いゲームはアバロンヒルから出ていたタイタンアリーナ(1997年)くらいで、これほどのテキスト依存があるゲームはスカラベロードがおそらく初めてだと思います。色々と実験的な試みがされており、見るべきものも多いゲームです。
細長いボードはヘクメット川の上流と下流の2地域に分かれており、それぞれに3列(経済、宗教、軍事)合計6列あります。上流と下流の中間は神カードを置く場所です。ボードはファンタジーフライトらしく、ジグソーパズル式。でも続編のミノタウロスでは折りたたみ式のボードに変更されています(写真)。
プレイヤーはこれら6列の自分の側にカードを置いていき数比べをします。置かれたカードの数値合計の高いプレイヤーがその列を支配するのです。自分の手番の始めに上流と下流それぞれの地域で3列中2列以上を支配していれば勝ちです。また、自分の手番の始めに相手のデッキが無くなっていても勝ちです。
カードデッキは赤と青が30枚ずつで、特殊カードの内容などがかなり異っており非対称なゲームになっています。カードの情報量も多く、ゲームに必要なものだけで、種類、数値、フェイズ、アイコン(配置可能な列を表す)、テキストとあります。
種類:ミニオン、建物、リーダー、神、運命の5種。各列に置けるのは該当するアイコンのあるミニオン、建物、リーダーの3種。建物はスカラベの呪いカウンター付きで登場し、リーダーは各列に1枚までという制限がある以外は同じです。神は3枚まで置けますが、どちらか一方のプレイヤーしか置けません。よって相手プレイヤーに神を置かれると自分の神は破棄されます。運命は一度だけの特殊効果ですぐに破棄されます。
フェイズ:各手番では、0、1、2、S、と4フェイズあり、この順番でそれぞれのフェイズを1度だけ行うことができます(例外はフェイズ0で何度でもできます)。それぞれのフェイズでは以下の3通りの行動から選べます。
1:カードを指定されたアイコンの列に置いてテキストの効果を発揮する。
2:すでに置かれたカードのアクティブテキストの効果を発揮させる。
3:カードに置かれたスカラベの呪いを解く。
テキスト:アクティブとパッシブの2種類があり、あとから効果を発揮できるのはアクティブテキストだけです。
フェイズS(支配フェイズ):誰がどの列を支配しているのかを決定します。同数値の場合は支配者無し。支配している列の能力を行使することができます。
経済:カード1枚補充
宗教:スカラベの呪いを相手カードの上に置く
軍事:相手の山札からカードを1枚捨てさせる
つまり、補充する為には経済の列を支配していなければならないのです(別の補充方法としては、手番を放棄して6枚まで補充することもできますが、これはできれば避けたいです)。スカラベの呪いが置かれたカードは数値もテキストも無視されるので強力です。また相手の手番で自分のデッキが尽きていたら負けなので、軍事の列もあなどれません。
FAQより
1:手札がない場合でも6枚補充をする必要はありません。通常は手番には必ず1枚プレイするか1枚捨て札をしなければなりませんが、これは唯一の例外となります。
2:フェイズSはフェイズ0同様に何度でも行うことができます(これはフェイズSカードを指しています)。そのご支配者を決め列の能力を行使します。
上級ルール:2ゲーム先取。24枚の白カードを使います。各ゲーム終了後に手札から5枚以下の不要なカードを同時に選び、24枚と混ぜます。その後、敗者から捨てた枚数と同じだけ自由に選ぶことができるのです。敗者が次のゲームのスタートプレイヤーとなります。
スカラベロードは出た当時に5回ほど、当時の同居人と遊んだことがありますが、本当に久し振りです。ルールはほとんど忘れていましたが、さすが元マジック(MtG)プレイヤーのチャーリー。ルールを難なく理解して教えてくれます。補充力の調整やスカラベの呪いなどかなりなやましく面白いゲームです。最初から上級ルールを使って、ちょっとしたデッキ構築を楽しみました。
本当にクニツィアとしては異色の作品で、デベロッパーが3人もクレジットに書かれています。デッキが30枚なところなどブルームーンが影響を受けた部分も多く見られます。
結果:チャーリー(青)2、自分(赤)1
ここで2人で移動。フォーレストの新居はコロンビアハイツにあります。
アバンドンシップ Abandon Ship
(プレイ時間 25分)
今日はダイスゲームを中心に遊ぼうということになっていたので、まずは新作のアバンドンシップから。長いボードが特徴的です。ロイヤルターフをそのままサイコロにした感じで、リトルイタリーにも似ています。サポートするネズミが3色、極秘裏に決められ、これらのネズミが早くゴールにたどりつくようにサイコロでネズミを船の甲板まで進めます。。最初のプレイヤーはネズミの数+1個(合計8個)もあるサイコロを振りますが、出た目を1つ選んだらそのサイコロは除外されます。こうしてひとつずつサイコロが減っていき1個まで減ったら船が沈むのです。逃げ遅れたネズミは除外されてしまいます。これを繰り返して3匹脱出したらゲーム終了。途中に落ちているチーズがかなり強く、サイモンは4つもチーズを取って勝利です。白(ワイルド)のサイコロの11Xの目については色々と賛否両論あるようですが、面白いと思いました。次回のレポートでもう少し詳しく書いてみます。
結果:サイモン 9、自分 8、チャーリー 5、フォーレスト 4
ラー ダイスゲーム Ra: The Dice game
(プレイ時間 60分)
ラーダイスゲームは競りゲームの名作ラーから競りを除いてダイスゲームに仕立てたものです。クニツィアの競り3部作では、モダンアートから競りを除いたモダンアートカードゲーム、メディチを2人用にしたメディチ対ストロッチなど、スピンオフにも傑作があふれています。
ラーでおなじみのラー、ファラオ、ナイル、文明、モニュメントの5要素にアンクを加えた6要素がダイスの目を構成しておりダイスは5色あります。ラー同様に3ラウンドで勝敗を決めるのです。点数計算はラーとほぼ同じなので、ラーになれていればかなり取っ付き易いゲームだと思います。
手番には5つのダイスを振ります。2回自由にどのダイスでも振り直しができますが、ラーが出たらそのダイスはラートラックに置き、振り直せません。その後、出た目をルールの許す範囲で自由に使うことができるのです。アンクはワイルドですが、アンクだけではだめで必ずアンクを割り当てたい目と一緒に使わなければなりません。
ファラオ:1個につきファラオトラックを1つ進める。
ナイル:1個につきナイルトラックを1つ進める。3個で洪水(自分のコマを既にあるコマに重ねて洪水を表す)
文明:3、4、5個で1、2、3色の文明獲得。得られるのは文明の目が出た色に限る(アンクはダメ)。各色は人数マイナス1人までしか得られない。
モニュメント:表の横列が種類、縦列が同種と考える。1、3、5個で1、2、3モニュメント獲得。得られるのはモニュメントの目が出た色に限る(アンクはダメ)。ただし同手番には同種のモニュメントを2つ以上得ることはできない。
アンク:2個で2点獲得。
ラー:3個以上の場合はラートラックは進まない。3個だと3点獲得。4個以上だと災害を自分以外のプレイヤー全員に対して起こせる。災害の種類はラーと同じ。
点数は、アンク2個とラー3個が神とお金のように2点と3点、ということ以外はラーと同じです。その後、ファラオで5点得たプレイヤーと2点失ったプレイヤーは2つ戻ったり1つ進んだりします。
今回で4回目か5回目。一般的にダイスゲームは3人以下が理想ですが、これは4人だと絡みが増えてより面白いと思うゲームの一つです。自分は着々とモニュメントを建てながら、ファラオなどでリードしていましたが、ナイルをないがしろにしてしまい2位でした。3ラウンド目で初プレイのフォーレストが文明5種を決めて追い上げ1位。ダウンタイムは多少ありますが、いつラウンドが終わるか分からない緊張感と、状況によってどの分野を狙っていくかを変えていくタクティカルな部分などラー同様の面白さがあります。
結果:フォーレスト 61、チャーリー 60、自分 60、サイモン 57
キュージェット Q-Jet
(プレイ時間 35分)
ここでルーとカリーンが到着。1ゲームだけ一緒に遊びました。レースゲームの名作アベカエサルの小型リメイク版です。箱が小さいので持ち運びにも便利なので、カジュアルな集まりなどに重宝しています。途中で6を3枚使った状態で1位でしたが、あと6が1枚残っています。これはまずいと思ったのですが、2位のルーが抜いてくれません。最後には手札が6-1-1の3枚となってしまい、1を2度出す最後の最後で抜かれてしまいました。悔しい!
結果:ルー(1位)、自分(2位)、フォーレスト(3位)、カリーン(脱落)、チャーリー(脱落)
ワサビ! Wasabi!
(プレイ時間 30分)
ユーロゲームに目覚めたフォーレストが独断で買ったゲームです。ボードは巻きすだれ、各寿司ネタは綺麗な絵柄のタイルで、メニューがスクリーン代わりとなっており、メニューボードの内側に目的となる寿司レシピを差し込んだり寿司ネタのタイルを隠したりできるようになています。さらにボーナスは醤油を入れる器に盛られたワサビキューブという芸の細かさ。コンポーネントやテーマに魅かれて、いつかは遊んでみたいと思っていたのですがようやく遊ぶことができました。
プレイヤーは常に寿司レシピを3枚持っています。これは2つから5つの寿司ネタのタイルで構成されており、ボード上にこれらのネタが縦横に並ぶと完成となります。ボーナスカードも貰えます。さらにレシピに書かれた順番に並べると、よりクオリティの高い寿司を作ったということでボーナスのワサビキューブが貰えるのです。メニューもネタも、実際にあるものから、適当に考えられたものまで様々ですが、「カリフォルニアロール」を始めとする、いろいろなネタを詰め込んだロールが盛んな北米の寿司事情にはマッチしていると思います。
手番には、3枚の手持ちタイルから1枚場にプレイして1枚おもてになっているタイルから補充するだけ。寿司を完成させると貰えるボーナスが1度だけの効果ですが強力で、場のタイルの上に重ねて置けたり、破棄したり、2手番できたりと5種類くらいあります。
基本的には相手の置いたタイルをいかにうまく使うか、というところにかかっていると思います。寿司メニューが多すぎるので、とても相手をブロックするという気にはなりません。それでも、今回は2人だったのである程度の先読みができましたが、多くなるとかなりランダムになってしまうのではないでしょうか。
結果:フォーレスト 37、自分 26
ミノタウロス ロード Minotaur Lord
(プレイ時間 各30-60分)
ミノタウスロードはスカラベロードの続編ともいえるゲームで、比較の為に翌日、チャーリーと遊んだものです。ルールはほぼスカラベロードに準じますが、群衆カードなど新しい要素もあります。スカラベロードよりもより特殊化されたデッキだという印象を2人とも持ちました。ボードは折りたたみ式で良くなりましたが、カードの質はコロッサルアリーナ(初版)のようにざらついていて、非常にシャッフルしずらいカードで残念です。どうしてスカラベロードと同じ品質にしなかったのでしょうか?
90分の間に上級ルールの白カードを使ってのデッキ構築、2ゲーム先取で2回遊ぶことができました。1回目は30分でしたが、2回目は60分。それにしても、この手のゲームではチャーリーにはまず歯が立ちません。どちらも2対0のストレート負け。忘れないうちに、また遊んでみたいです。
スカラベ同様に曖昧な部分がありますが、最大のミスプリントは
「群衆カードは同じ列のものだけを数える」
という部分です。英語版では「同じ列」が抜けており、ギークでオフィシャルのエラッタとして筆頭に上がっています。これがないと青が強過ぎですので注意して下さい。
結果
1戦目:チャーリー(赤)2、自分(青)0
2戦目:チャーリー(青)2、自分(赤)0
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