ジャックは月に2回ほどプライベートなゲーム会を開いています。ちょうど時間が取れたので参加する事にしました。
ローマ七丘 Die Sieben Hügel Roms
(古代ローマの新しいゲーム Neue Spiele im Alten Rom より)
バリアントルールのバリケードカードを使ってみました。手札に旗印(ジョーカー)カードを1枚ずつ持ち、これをバリケードカードとします。バリケードカードは数値0の扱いですが、バリケードカードがプレイされた丘で次に出されたカードは、誰のカードかに関わらずバリケードカードとともに捨てられるというものです。バリケードカードの次がバリケードの時は2枚のバリケードが捨てられる事になります。
伏せて出す時にブラフとして使ったり、公開して出す時にはその丘を守る目的で使ったりとなかなか面白いです。フリント船長の財宝の大砲カードに似ていますので、興味がある方は入れてみると面白いと思います。
結果:エヴァン 29、自分 27
テーベの東(旧版)Jenseits von Theben
(プレイ時間 70分)
ピータープリンツが、プリンツシュピーレという個人会社から400部(初版100部、第2版300部)を出したもので所有しているのは旧版の第2版です。のちにクイーンからルールを少し変更して再販されたので知っている方も多いと思います。この新版はドイツ語では同名のタイトルですが、英語では新版は Theben というタイトルになっていて、ギークなどでは旧版を Jenseits von Theben と呼んで区別しているようです(丁度、電力会社の旧版を Funkenschlag、新版を Power Grid と区別しているのと同様)。
プレイヤーは考古学者となり、ヨーロッパ大陸の7都市(ワルシャワ(スタート地点)、モスクワ、ベルリン、パリ、ロンドン、ウイーン、ローマ)で研究をして知識を貯え、5カ所の発掘現場(ギリシャ、クレタ、エジプト、パレスチナ、メソポタミア)で発掘をします。また、ときどきヨーロッパのどこかの都市では学会が開かれるので、それにあわせた計画性も必要になります。
ボード周囲には52マスのトラックがありますが、これはスコアリングトラックではありません。1マスが1週間を表しており、トラックを1周すると52週間で1年というわけです。このゲームは1901年から1902年(または1903年)の2年間(または3年間)というタイムスパンで行われます。
地図上での移動、研究、発掘には時間がかかり、自分のコマを時間表示トラック上で進める事で時間の経過を表します。常に時間で一番遅れているプレイヤーの手番となるので場合によっては手番が何度か続く事もあります。この時間による手番順システムはなかなか面白いです。
都市カードは常に4枚が場に出ており、表示された都市で決められた時間を費やす事でドラフトできます。都市カードの大半は研究の成果としての知識カードで、ある特定の発掘場所での発掘効率を高めるものです。他に、2枚以上で威力を発揮するシャベルやアシスタント、移動に力を発揮する馬や気球、さらにはゲーム終了時のボーナス得点カードなどもあります。
研究で知識を蓄えたら発掘です。5カ所の発掘現場は5つの発掘デッキに対応しており、知識が多ければ多いほど発掘デッキから得られるカードは多いようになっています。ただし、がらくたカード(つまり成果無し)が大量に入っており、めくったがらくたカードはすべてデッキに戻されるのです。よって後半になればなるほど発掘は困難を極めるので、知識があまり無くても発掘するというのも必要になってくると思います。
都市カードの中には学会カードがあり、これは数週間後に特定の都市で特定の発掘場所での学会発表を行うものです。時間表示トラックで、学会の週が記されます。学会で発表する為にはその週にその都市にいなくてはなりません。発表したプレイヤーでより多くの発掘をしたプレイヤーはボーナスカードがもらえます。ただしサイコロを振っての補正があります。この学会発表のメカニクスはなかなか面白いと思うのですが、残念ながら新版ではなくなってしまったようです。
こうして発掘と学会での発表を繰り返し、2年(または3年)が経つとゲーム終了です発掘した遺跡類、発表、ボーナスのコントラクト、それに蓄えた知識(発掘場所5カ所でそれぞれの最大が4点、5カ所のうち最も低い知識が最も高いプレイヤーに7点(チグリスユーフラテス式))が得点源となり勝者を決めます。この最低知識の最大という得点方法は新版ではなくなってしまったので、まんべんなく5カ所の知識を得る意味が薄れてしまうような気がします。新版は未プレイなので何とも言えません。
去年、DCゲーマーズのジェイソンが大量放出した時に手に入れたゲーム。なかなか遊ぶ機会が無く、漸く遊べました。ジャックは以前考古学を学んでおり、それならばと思って持ち込んだものです。ルールは一見すると複雑で、途中で何度かルール確認をしながら遊びましたが、がらくたはデッキに戻すというルールと学会発表のルールが面白く、非常に楽しめました。展示会でのサイコロ勝負は賛否両論があると思いますが、もとから引き運の大きいゲームなのであまり気になりませんでした。それほど時間もかからないので、近いうちに又遊びたいです。
結果:マイクA 64、ジャック 51、エヴァン 44、自分 21
ディギング Digging
(プレイ時間 40分)
今回のディギングはアバランチプレス版を使いました。でも攻撃されている時に閉鎖したら最後の鉱石を1枚捨てるという、ヘクサゲームズ版のルールで遊びました。実際遊んでみるとインデックスを見ていれば良いので絵柄の分かりずらさもあまり気になりませんでした。パートナーシップのゲームというのはやはり面白く、好評でした。4ディールで決着。僅差で負けました。
結果:マイクA&グレッグ 61、エヴァン&自分 54
ポイズン Poison
(プレイ時間 40分)
「ポイズン」は2005年にプレイルームから発売されたカウントアップ/バースト系のカードゲームです。2008年にアミーゴからは同名のまま小箱で、プレイルームからは少しルールを変更した「ドーナッツカードゲーム」 Baker's Dozen としてリメイクされ、翌2009年には再びアミーゴから「13」として「ドーナッツカードゲーム」のルールを踏襲したものがリリースされました。
カード構成は赤青紫の3種類のポーション(スート)が各14枚に、緑色のポイズン(ワイルドスート)8枚を加えた計50枚です。各スートは数値1、2、4、5、7が3枚ずつ(数値4だけは2枚)で、ポイズンはすべて数値4です。他に鍋を表すカードを置くためのボードが3枚付いてきます。
場に3つの鍋を並べ、すべてのカードを配ってゲーム開始です。プレイ人数によってはカード枚数は均等にはなりません。手番には手札から1枚を3つの鍋のどれかに出します。それぞれの鍋は単色スートでなければならず、また3つの鍋はすべて異なったスートでなければなりません。ワイルドスートであるポイズンだけは、どの鍋にも出せる自由度の高いカードです。出した結果、鍋の数値合計が14以上になるとバーストとなり、その鍋にある出したカード以外のすべてのカードを引き取らなければなりません。これは手札に入れずに自分の前に裏向きに置いておきます。順に手番を続けて、全員の手札が無くなるとラウンド終了です。
このゲームの目的は点数を取らないようにすること。引き取ったカードはペナルティとして1枚1点、ポイズンは1枚2点です。ただし各スートで獲得枚数が単独首位だとそのスートは0点になります。こうして人数分だけスタートプレイヤーを変えてラウンドをこなし、得点が最も少なかったプレイヤーの勝利です。
よくできているのが1、2、4、5、7の5種類しかない数値。最初に7がでると次の7ではもうバースト。では次に大きな5を加えるともう4でも2でもバーストです。非常にメリハリが利いています。それぞれの鍋では最低4回、多い時は7-8回(ポイズンを数えて)バーストが起こります。またポイズンに単独首位は無く必ず2点というのもゲームを引き締めています。
所感(楽しむ為の戦略)
1.手札に多いスートは積極的に取る:3つのスートをすべて避けるのは大変ですが1つを取り始めるとかなり楽になります。各スートは14枚ですが、最後に(ポイズンでない限り)場に最低1枚は残るので、7枚取れば過半数です。カードが分散していればもっと低い枚数でも単独首位がとれます。配られた手札を見てどのスートを取りにいくべきか、状況によっては取れるのか、あるいは完全に避けるべきなのかを考えます。もちろん7や5のハイカードは場の合計が7や9でも取れる大切なカードです。ワイルドであるポイズンは取りたいスートを取るのにも使える大切なカードなので無駄遣いしないようにしましょう。
2.単独首位を狙うスートの鍋を10以上にする:スートの単独首位を目指すには2-3回は取らなければなりません。なるべくならポイズンを避けつつ枚数を増やしてから取りたいものです。ポイズンを入れさせない為には鍋の合計を10以上にすることが大切です。例えば自分が既にあるスートを4枚ほど取っている時にそのスートの鍋の合計が9だったら、4を出さずに1を出すのです。これによってポイズンを入れられなくなりますし(入れたら取る事になるので)、他のプレイヤーは自信がない限り取りに来ないのでゆっくり1や2のローカードで刻ませてから取ることができるのです。
3.単独首位が確定したスートはなるべく取らないようにする:これによって他のプレイヤーの失点を増やせます。もちろん単独首位が確定したらポイズンを入れる事も大切です。なるべく他のプレイヤーに取らせるようにしてダメージを与えるのです。
4.自分の左隣りのプレイヤーと同じスートを集める:もし競合しなければならない場合は、左隣りのプレイヤーが集めているスートを集めるようにしましょう。鍋に溜まったカードを一歩先に取れるので十分に追いつくチャンスがあります。
5.被害を最少に押さえる為にあえて7で7を取る:手札に7のシングルトンがある場合などは、使える時に使ってしまうのが良いでしょう。場が7が1枚のときなどは7を出して取り、失点を1点で押さえることも有効です。5以下のシングルトンでは取るとなれば確実に2枚以上取ることになるので、できれば取らない方針でプレイします。
6.狙っているスートとポイズン8枚のカウンティングをする:すべてのカードのカウンティングは大変ですが、狙っているスート14枚(特に1と7)とポイズン8枚はカウンティングしておくと随分違います。
プレイルームとアミーゴからそれぞれ2種類の版があり、それぞれの旧版「ポイズン」は全く同じルールです。プレイルーム版では鍋がありますがアミーゴ版では鍋が無くなり小箱になったかわりにスコアシートが付きました。またカードのデザインも多少変わっています。カードの外周は怪しい文字が並んでいますが、じつはこれは英語を相当崩したものらしいです(ギークのフォーラム参考)。またボックスアートはクニツィア自身だそうです。「ドーナッツカードゲーム」(プレイルーム新版)は箱がドーナツ屋さんの箱のスタイルで、カードもドーナツです。ポイズンの代わりにかびた緑色のドーナツが入っています(詳しくはドーナッツカードゲームのレポートを参照)。「13」(アミーゴ新版)は鍋にあたる場のシートがありますが、3色固定です。これ以外の版では鍋の色は固定でない為に鍋のスワップが起こる可能性がありましたが(空の鍋やポイズンしか無い鍋が2つ以上ある時はどちらにどちらのスートを入れても良いので)、「13」ではそれは無くなりました。「13」にもスコアシートが付いています。
13というのが伝統的に不吉な番号ということもあってルールブックには13枚を超えると引き取る、と説明されてますし、リメイクの「13」というタイトルや、「ドーナッツカードゲーム」の原題 Baker's Dozen (パン屋の1ダース)もパン屋では1ダース買うとおまけに1つ付けて13個にしてくれることを表しているというように、13がキーナンバーのようですが、実際は14がキーナンバーと考えた方が分かり易いと思います。鍋の合計は13まではOKで14がダメなのです。さらに各スートは14枚です。6ニムト(ニムト)とスライド5のように6枚がダメと考えるか5枚までは良いと考えるかという違いですが、個人的にはデザイン的観点から14をタイトルにして欲しいです。
「ポイズン」「ドーナッツカードゲーム」「13」ではカード構成やルールが若干異なるので、以下に記します。
カード構成
ポイズン/13:各スート14枚(各3枚、数値4のみ2枚)+ポイズン8枚
ドーナッツカードゲーム:各スート16枚(各3枚、数値1のみ4枚)+ポイズン8枚
鍋
ポイズン(プレイゲーム版):固有のスートなし
ポイズン(アミーゴ版)、ドーナッツカードゲーム:なし
13:固有のスートあり
初期の手札
ポイズン/ドーナッツカードゲームのバリアント:配りきり
(3人時は4人分配って1人分の手札は使わない)
ドーナッツカードゲーム/13:手札5枚、1枚プレイ1枚補充。
ラウンド数
ポイズン/ドーナッツカードゲーム:プレイヤー数
13:プレイヤー数(ただし3人の時は6ラウンドを推奨)
新版と旧版の一番の違いは初期の手札枚数です。新版(ドーナッツカードゲーム/13)では手札は5枚なので長期戦略が立てにくく、最初はなるべく取らないでいくという方法しかありません。よってプレイ感覚は若干異なりますが、思ったよりは悪くなく、ゲーム慣れしていない方と遊ぶ時は配る時間も短いし選択肢も少ないので良いバリアントだと思います。
経験から最も適正人数だと思われる4人でのプレイ。4人で3スートを争うので、誰か1人は全くカードを取らない戦略を遂行することになります。自分以外は初プレイでしたが、みな飲み込みが早く、積極的に単独首位を取りにいったり、泣く泣くポイズンを取ったりと、いつものポイズンを楽しむ事が出来ました。90年代中期を思わせる鋭いクニツィアデザインです。これからも末永く遊びたいゲームです。
結果:エヴァン 18、マイクA 29、グレッグ 29、自分 29
フォーミュラ モーター レーシング Formula Motor Racing
(プレイ時間 1時間)
コースの無い順位取りに主眼を置いたレースゲーム。1995年にイギリスのギブソンゲームズから出版され、その後2001年にアメリカのGMTから再販されました。また2006年にパーカーブラザーズから出版されたスピードレース Flotte Flitzer はフォーミュラモーターレーシングのボードゲーム版と言って良いほどルールが似ています。
手札を5枚ずつ配り、6色2台ずつ、計12台のレーシングカーを対称的に1列に並べたらレーススタート。各プレイヤーは自分の色の2台を担当します。ただし3人の時は1人2色(4台)となり、4-5人の時は余った色はダミープレイヤーとなります。ダミープレイヤーも得点をします。手番には5枚の手札から1枚プレイして1枚補充するだけです。カードは特定/任意の色のレーシングカーの順位を変動させたり、レースから脱落させたりなど様々な種類があります。山札が尽きて1巡後のレース終了にあわせて、カードの効果をうまく利用することで自分の色のレーシングカーの順位を上げていくのです。グランプリ式に上位6位に10、6、4、3、2、1点が入ります。あらかじめ決めたレース数を行って勝敗を決めます。
54枚のカードの効果は以下の通りです。
Overtake(+2、+3(2枚)、+4) 各色4枚計24枚
一番メインとなるカードです。特定の色のレーシングカーの順位を上げますが、そのすぐ後ろのレーシングカーの順位も一緒に上がります。基本的には自分のレーシングカーの直前の色をプレイします。自色の Overtake カードは大切なので終盤まで残しておくか、自分のレーシングカー2台が連なっている時に使うのが良いでしょう。
Wrong Line(-1)、Off Circuit(-2)、Lose Control(-3)各3枚 計9枚
(ギブソン版では Off Circuit が4枚で計10枚)
任意のレーシングカーの順位を落とすカードです。使い易いカードなので他に使えるカードが無い時の為に残しておく方が良いでしょう。
Tailender Turbo(+3)4枚
下位3位のうち任意のレーシングカーの順位を3つ上げます。
以下のカードは12面サイコロを振ってその結果を適用します。
Pits (Pit Stop) 各色1枚ワイルド2枚で計8枚
1-6:その数だけレーシングカーの順位を下げます。
7-12:何も起こりません。
Charge (Lost Gears 3枚、Engine Blows 3枚)6枚
(自分のレーシングカーに対して使うときには何度でも振れる)
1-9:順位を1つ上げます。
10-12:最下位(Lost Gears)、または失格(Engine Blows)。
Spin Last 1枚(GMT版のみ)
1-12:その順位のレーシングカーは最下位に。(振り直し1度だけ可能)
Spin Out 1枚
1-12:その順位のレーシングカーは失格。(GMT版:振り直し1度だけ可能)
Crash 1枚
1-12:その順位のレーシングカーとその前後どちらか(プレイヤーの選択)が失格となる。
ダイスで解決するというのが古い感じもしますが、プッシュユアラックの要素がある Charge は盛り上がります。 Spin Out や Crash は、ダイスの目でランダムにレーシングカーが失格するという凶暴なカードなので賛否両論あると思いますが、54枚中2枚なのでこの程度は許容範囲かなあと思います。
ギブソン版とGMT版はカードのデザインを除けば、コンポーネントのレーシングカーはほぼ同じ品質です。ギブソン版は同社のターフホースレーシング同様に洒落た内箱です(写真)。GMT版には各プレイヤーの色を表す Pit Crew カードが付いてきます。カード構成で唯一の違いは Off Circuit(-2)1枚の代わりに、Spin Lastが入っていることです。また、Spin Out/Spin Last では1度だけ振り直しが可能というように変更されています。
非常に軽いゲームですが、意外と効率よくカードを使うのは難しいです。以前は終盤だけが重要だと思っていたのですが、意外と地道な努力での順位上昇も必要なので、中盤あたりからは大切です。最後の方にどのカードを残しておくかを考えるのも楽しいですね。
今回は3人だったので1人2色を受け持ちます。つまり1人4台です。各自がスタートプレイヤーになるように3レースプレイしました。自分のレーシングカーが2位なのに何を血迷ったかダイスの影響で自らリタイアさせてしまったりと、なかなか盛り上がりました。4台中2台リタイアしても、残りの2台に神経を集中させれば良いので、それほど不利ではないのも良いところです。実際2台しか残らなかった時が一番得点が高かったです。こんどはボード付きのリメイクであるスピードレースを遊んでみたいです。
結果:グレッグ 33、エヴァン 23、自分 21
交易王 海の英雄 Handelsfürsten - Herren der Meere
(プレイ時間 25分)
最後にちょっと久し振りの交易王。今回は船3隻にしただけで、あとは相場で勝負と思いましたが、エヴァンはことごとく自分の積んでない色で点数を稼いできます。それにうまく便乗したグレッグが勝利。
結果:グレッグ 65、自分 60、エヴァン 34
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