2週間振りのDCゲーマーズ。DCの中心部にあるゲーリーの家で合計7人で楽しく過ごしました。軽めのゲームを中心に色々と持ち込んだのですが、そのうち交易王、マネー、コード破り、リクスエクスプレスをプレイできました。初プレイのものが多く、充実したゲーム会でした。
交易王 海の英雄 Handelsfürsten - Herren der Meere
(プレイ時間 各30分)
最近のクニツィアでは一番のおすすめだと、日本滞在中に数人から言われたのがこのゲーム。反面、DCゲーマーズの数人からは「これ遊んだ事あるけど面白くないよ」とプレイを断られた事もあり、プレイ機会を伺っていたものです。漸く初プレイにこぎつけました。
各プレイヤーは船2隻から始めます。船は6色ある産物キューブをひとつずつ積んでおり、場に公開された6枚の産物カードがトレンドを表しています。手番には手札の産物カードを場の産物カードに上書きするようにプレイしてトレンドを変えていきます。すると、その産物に対しての決算発生。持っている産物キューブ数と場の産物カード数の積を、それぞれが収入として得ます。例えば緑の産物キューブを両方の船に乗せていて、緑のカードを誰かが(自分でなくても良い)場にプレイして合計で緑が4枚になったとすると、8の収入となるわけです。
よってある産物キューブを人より多く持っている時にトレンドをその産物一色にすると大量得点となるのですが、なかなかそううまくはいきません。むしろ他人が決算したがっている色を考えて適度に協調していく事が大切です。
カードをプレイして決算を起こす代わりに、カードを2枚補充することができます。カードを貯めた方が大量得点や連続得点を引き起こしやすいのですが、もちろん引いてばかりいては得点になりません。その辺りが難しいですね。
手番の最初には船に積んだ産物キューブをひとつだけ別のものに変えたり、特殊能力のカードを買ったりできます。特殊カードは4種類。船カード(10)は最初の2隻の船と同様に産物キューブを1つ積めます。他には手番終了時に1枚余分に引ける(8)、手番開始時に産物キューブを1つ余分に交換できる(12)、そして、決算で収入がある時に収入が+2される(11)、という特殊能力があり、括弧の中の数値がそのカードの値段です。お金(勝利点)を削ってカードを買うので、場合によっては損する場合もあります。
1ゲーム目ではだれも収入+2の特殊カードを買わずに終わりました。唯一産物を余分に交換できるカードを持っていなかった僕が負け。手札を余分に引けるカードは金額が安い事もあって人気がありましたが、思ったほど強くはないのかもしれません。
2ゲーム目では協調路線から一気に敵対関係になったり、とよりダイナミックで面白い展開でした。同産物のカードが4枚くらいある時、何枚までプレイするか、の見極めが難しいですね。他のプレイヤーがカード補充しそうだったら何度か決算する為に小出しにするし、そうでなければまとめて出した方が良いのかもしれません。90年代のクニツィアを感じさせるシンプルで鋭いゲームです。他人の動向を読むという集団心理の要素があるので、フリンケピンケやメンバーズオンリーのようなジレンマが感じられました。色々な作戦が取れそうで、暫くは続けて遊んでみたいゲームです。
結果
1ゲーム目:アンチュマン 83、自分 58、ローラ41
2ゲーム目:ローラ 78、アンチュマン 68、自分 68
マネー Money
(プレイ時間 20分)
4人プレイだったのでアメリカドルを抜いてプレイ。セットコレクションですが、結構ビッドの相場が難しく、誰がどの通貨を集めているのかをおおまかには考えなければなりません。良いゲームです。
結果:アンチュマン 500、自分 460、ローラ 370、ショーン 350
コロッセウム Colosseum
(説明 35分、プレイ時間 1時間40分)
今回の問題作(?)。デイズオブワンダー出版の豪華なゲームでデザイナーはクラマーです。古代ローマで舞台を興行して集客数を競います。ゲームは全5ラウンド。5回の舞台興行のうち最も集客数の多いものが得点になります。でも、それまでの最大集客数イコール収入となるので、それなりの成績を上げておかないとお金に困る事になります。
舞台には様々な人物や動物や道具が必要で、それはタイルを集めるという形で表されています。タイルを得る方法として競りと交渉があります。競りはフィレンツェの匠や電力会社のように手番プレイヤーが指定したタイル3枚のセットを競り、手番プレイヤー以外が競り落としている限りは手番プレイヤーが選びます。交渉は一応手番があるのですが自由交渉。競り落としたばかりのタイルも含めて金銭を交えてタイルの交換が出来ます。他に、現時点での収益が一番高いプレイヤーは一番低いプレイヤーにタイルを1枚取られてしまいます。
考えてみたら競りと交渉の両方のメカニクスを持つゲームはなかなかありません。思い付くものではラストパラダイスくらいです。ラストパラダイスの場合は競りの対象はタイルの所有権、そして交渉の対象はタイルの表裏の配置でしたが、このゲームでは競りと交渉の対象はどちらもにタイルの所有権であり全く同じ。競りと交渉が続けて行われるというのは、競りで失敗した部分を交渉で補うという意図があるのでしょうか?何か腑に落ちない組み合わせです。
それぞれのタイルで最大数持っていると(最低で3つは必要)集客数が+4されるタイルがもらえるのですが、他のプレイヤーに最大数で抜かれると+4のタイルもそのプレイヤーに移動する事になります。問題点はこの最大数持っているプレイヤーが他のプレイヤーの交渉によって影響するいうキングメイキング的な部分です。現に今回のゲームでも1位と思われたショーンを潰す為に赤いタイルをローラが僕に交渉で譲ってくれて、ショーンは+4のタイルを失い激怒していました。ゲームとしてこのシステムはかなり頂けません。
あと、サブシステムが豊富な割には戦略に多面性が無く、途中から最後までは競り交渉があるにもかかわらずソロプレイという印象を受けました。勝つ為には大きな舞台を目指さなければならず、それには必要なタイルを集めてどれか特定の舞台を目指すしかありません。それがダメだったときのバックアッププランは取れず、非常に閉鎖的なものを感じます。乗車券の長距離チケットでもそうなのですが、それを取らなければ負けてしまう、というような要素があるゲームはどうしても閉鎖的になってしまうのです。
今回はショーンもローラも経験済みだったので、色々と戦略など聞きながらプレイ。競りフェイズでは何度も競り落とせるという、バリアントルールを採用しました。細かいルールが多くて、もっとすっきりならないものか、と思いましたが、それよりも上に書いた2点(競りと交渉の組み合わせ、戦略の一面性)が非常に気になりました。1ラウンド目で全員サイコロが2つ触れるというカードを購入。皇帝に一番近いのはショーンのコロッセウムなのですが、ショーンが動かさないので誰も動かさず、最後には僕がメダルカードを使ってバックさせて自分のコロッセウムに引き入れました。#28 Isis's Revealed Secrets という舞台でしたが、必要以上のタイルが集まって途中までビリだったのが最後で逆転。2ラウンド目から4ラウンド目までは同じ舞台をやったのですが、それが正しい気がします。最大で3演目くらいしか使わないのに、どうしてあんなに演目が多いのでしょうかね。一覧表を見ていた時間が一番長かったと思います。
結果:自分 90、ショーン 84、ローラ 67
コード破り Code Knacker
(プレイ時間 25分)
場に並ぶ3つの金庫。その暗証番号(コード)を解いて、出来るだけ多くの価値ある金庫を盗むゲームです。金庫には、数字の1~5を使った暗証番号が3~6個かかれています。ダイスはそれに対応するように1~5で、6の代わりにはマイクロチップの絵が描かれています。手番になったらサイコロを振って最低でもひとつはコードを解除するかマイクロチップを選ばなければなりません。解除したコードには赤い半透明のチップを置きますが、置くと数字が消えてXが現れるというおしゃれなギミックです。残りのサイコロを振って、また解除かマイクロチップ、と繰り返していくのですが、いつでもストップを掛けて手番を終了する事が出来ます。その時に全ての暗証番号が解除された金庫があれば、暗証番号の難しさに合わせて、2~5点の得点となります。振った目に暗証番号が全くない場合にはバースト。既に解いた金庫も手に入らず、手番終了となります。
これだけだと、単純なダイスゲームなのですが、それにアクセントを与えているのがマイクロチップ。マイクロチップの目を選んだ場合にはコードは一つも解除されませんがサイコロを振り続ける事が出来ます。一種のオールマイティなのです。さらに全てのサイコロを振り切ったら普通は手番終了なのですが、マイクロチップを2つ以上選んである場合には再び5つのサイコロを振って手番を続けられるのです。このありそうでなかったルールが面白いですね。よくできてる。
結構欲張って3つの金庫全てを得ようとして何度かバーストしましたが、最初にかなりの数の金庫を得たのが功を奏して勝利。クニツィアのダイスゲームのヒット作と言えばヘックメックですが、コード破りは似た感じのジレンマがあるので、ヘックメックが好きな方にはおすすめです。
結果:自分 26、ショーン 24、ローラ 20
リスク エクスプレス Risiko Express
(プレイ時間 30分)
今回唯一7人全員でプレイしたゲーム。といってもプレイ経験のあるゲーリーは説明をしてくれたあとはプレイには加わらず(一応6人が上限なので)見ていただけでしたが、それでも全員で一緒に遊ぶというのは良いものです。
40年以上の歴史を誇る古典ゲーム「リスク」にはリスク2210を始め様々なバリエーションがありますが、リスクエクスプレスはその名の通り、クニツィアがアレンジした短時間ダイスゲームです。円形の箱はプラスチック製でそのままダイスを振るための受け皿になるという実用的なデザイン。箱のふたの部分には世界に地域が描かれたディスクと説明書がきちんと収まるようになっています。ふたはロックされて閉じるようになっているのも好感が持てます。
ディスクを全てテーブルに並べてゲーム開始。ディスクは大陸別に、アジア(4枚)、オセアニア(1枚)アフリカ(2枚)、ヨーロッパ(2枚)、北米(3枚)、南米(2枚)の合計14枚。アジアの中に日本のディスクもあります。サイコロは軍曹、馬、大砲というリスクではおなじみのシンボルが1面ずつで、残りの3面は兵士が1~3人描かれています。このサイコロを7個振って、戦闘開始。各ディスクにはサイコロのシンボルの組み合わせが2-3列書かれており、振るたびに新しい列をどれか満たさなければなりません。最初だけは振ってからどのディスクを取りにいくか決められますが、それ以降は残りのダイスを振るたびにそのディスクの残りの列が出る事を祈るしか無いのです。この確率が結構きわどく出来ていて、惜しいところで失敗する事が多いです。無事成功するとそのディスクを制覇した事になり、自分の前に置いて得点となります。
もちろん相手が既に取ったディスクに対して攻撃をかける事も可能ですが、その場合には軍曹をひとつ余計に振らなければならないので難しくなります。これを防ぐには同じ大陸のディスクを全て集める事です。ディスクを他のプレイヤーに取られる事がなくなり、さらにボーナスがディスク枚数マイナス1点つきます。
僕は日本人らしくアジアの制覇を狙います。西欧がなぜか人気があり、皆果敢にチャレンジするのですがなかなか陥落しません。大砲2と馬2の2列なのですが、ゾロ目を2回出さなければならないので思ったより難しいのかもしれません。北米は大砲1馬1という列が2つあり、同じように見えてもゾロ目ではないので格段に出やすいのです。途中、どこを制覇しにいくか迷うプレイヤーがいると、ゲーリーの「リスク・エクスプレス!!」の声が響いてプレッシャーとなります。終盤には僕とサイモンとチャーリーが8点で並びますが運はサイモンに傾いて彼の勝利となりました。
手軽ですが、なかなか面白いです。リスクは根強い人気があるゲームなのでアメリカで出したら売れると思うのですが、今のところはドイツ語のみの販売のようですね。
結果:サイモン 10、チャーリー 8、自分 8、ショーン 4、ローラ 4、アンチュマン 0
ベガス ショーダウン Vegas Showdown
(説明 15分 プレイ時間 1時間20分)
ラスベガスでホテルとカシノを建てていくゲーム。といってもフロアプランをデザインするだけなので派手さはあまりありません。各自がそれぞれフロアプランのボードを持つ箱庭系のゲームすが、そのボードはぺらぺらの紙。同人ゲーム以外ではあまり見た事が無いし、近年のコンポーネントのデラックス化に慣れてしまったのでちょっとびっくりしました。ゲームルーム、ラウンジ、レストランといった施設が1x1、1x2、2x2の大きさのタイルになっていてそのタイルをオークションで落としてうまく各自のボードに配置していくゲームです。何度もプレイされているのは見た事があるのですが、実際にプレイするのは初めて。
ゲームの中核となるのはオークション。あらかじめ可能な競り値がメインボードに書かれていて、欲しいタイルの好きなところに自分のビッドコマを置いてビッドしていきます。一巡する間に他のプレイヤーが自分を上回るビッドをしたら、ビッドコマを移動させてビッドし直す、というアメンラー式(もしくはエボ式)のところてん競りです。対象となるタイルが6-7種類あり、それに加えてタイル再配置と勝利点1点獲得のマスには何人でも入れます。競りの対象の数が多く、さらに同じタイルのより高い値段にビッドし直せるため、アメンラーほどの難しさと緊張感はありません。むしろ、大きなタイルが出た時にビッドできるように、勝利点1点獲得のマスを適度に使ってお金を貯めておくというマネージメントのゲームに思えました。
ビッドのシステムで一つ面白いと思ったのは最低ビッド値の設定です。バランスが取れているとは言いがたいのですが、だれも欲しがらなかったタイルは最低ビッド値が1ランク下がります。ちょっとクイーンズネックレスのようです。他には新しいタイルをめくるたびに特殊効果が出てくるのですが、あまり大した事が無い効果が多くて煩雑に感じました。
タイル配置はそれほど難しいものではなく、かなり融通が利くのでいらない要素のように感じました。アルハンブラやフィレンツェの匠、さらにはクレオパトラと建築家でもそうなのですが、タイリングパズルを箱庭系のゲームのサブシステムに応用してゲームが面白くなる事は殆どありません。ダウンタイムが長くなるだけです。今回は途中まではそれなりに良かったと思うのですが、所持金は公開情報だという事を知らずに、推測で間違ったビッドを2度もやらかしてしまって完全に脱落。まあそういうこともあります。
結果:アンチュマン 48、ショーン 45、ゲーリー 45、ローラ 44、自分 24
アメンラー Amun-Re
(説明 15分 プレイ時間 1時間45分)
同じ系統のメカニクスのゲームを2度続けてやるというのは長所短所を比較できてなかなか面白いものです。比較言語学ならぬ、比較ゲームメカニクス学とでも名付けましょうか。アメンラーはベガスショーダウンが終わった後ゲーリーが5人ならこれだよね、といって出してきたゲームですが、ベガスショーダウンと競りの方式が殆ど同じです。違いはプレイヤー人数と競りの対象の数がアメンラーでは同じである事。スタートビッドが0であること、リビッドは別の場所、の3点です。あとビッドのスキームもアメンラーでは算術級数である三角数を使っており、べガスショーダウンの複雑なスキームよりはすっきりしています。比較して感じたのは、やはりアメンラーは偉大だと言うこと。ビッドでのジレンマや展開の多彩さはさすがです。
前半ではなんとショーンは全くピラミッドを建てないという奇抜な作戦に出ます。以前ゲシェンクトで、出たカードをほぼ全て取る、というすごい戦法(ここを参照)を遂行して勝ったショーン。今回も奇抜さにはビックリです。前半終了時は一番高いピラミッドを建てていた僕とローラがリード。捧げものではマイナス3が続出し、水量が2までしかあがらなかった事もあってショーンは神殿2つの4点だけでした。
そして運命の後半。ゲーリーは貯めていた資金と特殊カードでメンデスを農民だらけにしてしまいます。6ラウンド終了時にはここには9人という可能な限りでの最大数の農民がいました(写真)。僕は一番高いピラミッドを狙うため、追加行動が出来る程度のビッドをしつつ、捧げものに混ぜた水量を変化させるカードで水量を下げます。本当にぎりぎりのやりくりで農民も殆ど買えずに6ラウンド目に突入。最後の捧げもののあとの1追加行動でのジレンマ。石が2つあるところのピラミッドを完成させて手堅く1点を狙うか(3つのセットにはならないので1点上昇の価値しか無い)、あるいはアクションカードを1枚買って、それが上流/下流の3点ボーナスカードである事に掛けるか。手堅くピラミッドを完成させたのですが、これが大間違い。なんと次のカードは上流/下流のボーナスカードでした。よって、1点差で勝つはずだったのが1点差で負け。最後は農民王のゲーリーの勝利。勝ち目が無いと思われたショーンの作戦もかなり成功し、僕と2位タイでした。こんなに熱く燃えたアメンラーは久し振りです。(ゲームの概要はここ)
結果:ゲーリー 33、ショーン 32、自分 32、ローラ 30、アンチュマン 26
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