ルッカ チッタ(Lucca Citta)

luccacittajpnboxfrontb.jpgルッカ・チッタ(Lucca Citta)
メーカー: ダヴィンチ出版ゲームストア バネスト
デザイナー: アレッサンドロ ズッキーニ
プレビュー(プレイ回数:3回)

 先日行われたTGFで、バネストのブースに寄ったら、店長の中野さんがお客さんに"ワインのせいでねー"っとしきりに説明していました。"ボードゲームなのに、なぜワイン?"っと一瞬ポカンっとしたのですが、なにかと思えば、当日発売予定だったルッカ・チッタ(Lucca Citta)が解禁になったボジョレーヌーボーのせいで税関で止められ、会場入りできなかったのです。ですので、この日は購入できなかったのですが、デモ版は遊ぶことができました。

 ルッカ・チッタはイタリアのダヴィンチ出版 が今年のエッセンで発表した新作カードゲームです。このゲームは2004年のルッカ・コミック&ゲームコンベンションで創作ゲームの最優秀賞に選ばれました。ルッカ・チッタのタイトルが示す通り、テーマはルッカ市の都市開発です。ルッカ市はイタリアはトスカーナ州の都市で、カルカソンヌのように城壁に囲まれています。プレイヤーはこのルッカ市の名士となり、地元に娯楽施設などの建物をそろえて、名声を競います。

Cards.jpg  この写真画像のように、ルッカチッタのカードには娯楽施設を構成する建物が描かれています。カードは全部で6色あり、それぞれが違う施設を表しています。プレイヤーは施設カードを集め、自分の場に建設を行っていきます。ゲームプレイの中心になるのはカードドラフトです。ラウンドの初めに、参加人数+1の数だけ3枚1組になった施設カードが場に公開されます。各プレイヤーは順番に従って、組になったカードを取っていきます。間接的なインターアクションですが、このカードドラフト部分が、プレイヤー間で行われる一番重要なやりとりです。カード選択の順番が早ければ、より目的にあったカードを取ることができ、また高い得点を得る可能性がでてきます。 

 カードドラフトで取得したカードは娯楽施設や城壁の建設に使います。同じスート(色)のカードを規定枚数建設すると、その建物は完成し得点になります。また、完成した娯楽施設は次のラウンドにお披露目パーティーを開くことができ、得点がさらに追加されます。得点の仕方はざっくり言って、株取引に似ています。施設の完成やお披露目をする際に、全体の場に同じスートのカードが数多く出ていれば、より高い得点を得られます(これは大まかな説明で、実際の条件はもう少し複雑です)。そして、すでにお披露目の終わった娯楽施設は得点対象にはなりません。つまり、人気のある娯楽施設(株)は価値が高くなり、お披露目が終わるとちょうど誰かが株を売り抜けたように、価値が下がったりします。この辺のタイミングはカードドラフトした時と同じで、プレイヤーの順番が重要になります。

 こうして、参加人数によって決められたラウンドを行い(3人プレイ/7ラウンド、4人プレイ/6ラウンド、5人プレイ/5ラウンド)、最後に城壁や番地のボーナス点などを加え、勝利点の最も多いプレイヤーが勝利します。ラウンド数を見ても判るように、ゲームは短時間で終わります。そして、手番にできるアクションもそれほど多い訳ではないので、難しいゲームではありません。カードドラフトでいかに良い選択をし、タイミング良く娯楽施設を建設するかを楽しむゲームかな。シンプルなシステムな割には多彩(若干複雑)な得点方法があるので、複数の勝ち方がありそうです。

 最初にこのゲームのテーマを聞き、カードのデザインを見たときに、アレアが最近出したクニツィアパラッツォをすぐに思い浮かべました。この二つは表向きは非常に似ています。発表された時期はほとんど同じなので、単なる偶然のようです。全体的にシンプルでスマートなプレイ感なので、クニツィアというより、シャハトのデザインっぽい印象を受けます。イタリアのカードゲームのシンプルさとドイツカードゲームのシステマチックなところを合わせ持っている感じです。ただ、クニツィアのゲームに感じるような強烈なジレンマというのはないので、若干さっぱりしすぎと感じるかも知れません。個人的にはパラッツォはシンプルなゲームの割にはルールが煩雑と感じる所があったので、このゲームぐらいに要素が削られている方が好みです。テーマ的には若干地味でルールも優等生的(パンチがない)なので、面子によっては盛り上がりに欠けるかもしれません。それでもプレイ時間は短いので、気軽なフィラーゲームとして楽しむと良いかも知れません。

 ちなみに、バネストの日本版の中身ですが、カード自体にはテキストが一切使われていません。一応、箱と裏箱に日本語のタイトルと説明が書かれています。これに日本語のルールが付属しています。カードにテキストが使われていないので日本語版ではなく日本版なんでしょうね。ルッカ・チッタを含め、メビウスのサンファンクロノノーツゲームのバトルラインアークライトのルーンバウンドなど日本向けの商品が増えてきたのは良いことですね。ルッカ・チッタは値段も1,800円と比較的安くなっているので、おすすめです。

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