ひさしぶりのゲーム会 後編

黄色が勝ち!(Gelb gewinnt!) 作者不明・コスモス (初プレイ・プレビュー)

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 コスモスの小箱のカードゲームです。作者不明との事ですが、元々はイタリアで”スコパ”(Scopa)と呼ばれている古典的なカードゲームだそうです。このゲームには数字が1から10まで書かれた黄色いカードと青色のカードが使われます。カードはシャッフルされ、4枚が場札として置かれ、各プレイヤーに3枚の手札が配られます。プレイヤーは場に出ているカードの数字と合計が同じカードをプレイすることでカードを獲得できます。場に黄色1、黄色4、青色8が出ていた場合、手札に黄色1、黄色4、黄色5(黄色1+4の合計)、か青色8があれば、そのうちの1枚をプレイします。カード1枚プレイしただけで、場札のすべてをまとめて獲得することをストライク(スコパ)といい、プレイヤーはボーナスとして即座に勝利点を1点もらえます。このほかに、ラウンドの終わりに黄色と青色を一番多く集めたプレイヤーに勝利点1点ずつが与えられ、最終的に勝利点の一番多いプレイヤーが勝利します。

 イタリアのゲームらしく非常にシンプルなルールですね。実際、手札も毎回3枚以下なので、手番の選択肢も非常に限られています。展開はほとんど運なのですが、ストライクが成功した時は快感なので、やはり原題の通り、スコパを楽しむゲームだと思います。今回は5人で5ラウンド行ったのであまり問題はなかったのですが、手番の遅いプレイヤーは若干不利な気がしました(手番が回ってくるころにはカスカスしか残ってなかったりする)。ゲームはさとーさん+13勝利点を集め、またまた勝利しました。

炎の子ら(Childrens of Fire) 作者不明/ブラインドラック・スタジオ (初プレイ・プレビュー)

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 アメリカの新興ボードゲームメーカー、ブラインドラック・スタジオの新作ゲームです。今回はこの炎の子らとアルダラードのキャラバンの二つのゲームを初めて遊ぶことが出来たのですが、二つのゲームともアメリカのボードゲームがよりドイツボードゲームのスタイルに歩み寄っているのが感じられます。

 炎の子らの舞台は1900年代初頭のイギリス。プレイヤーは五つの秘密結社のうち一つを担当し、世界を牛耳る為に、政治-宗教-金融-犯罪の分野でリーダーとなりうる後継者を決めていきます。ゲームボードはモジュラーで、4枚が合わさって、政治-宗教-金融-犯罪の各エリアを司るようにできています。各エリアにはさらに二つの方向性があり、プレイヤーの目的は後継者を自分の予言カードに書かれている方向性へ進めることにあります。

 プレイヤーは、担当する秘密結社のカードを各エリアに秘密裏に配置していくことでゲームプレイを行います。カードには数字が割り振ってあり、各エリアで一番高い数字のカードを置いたプレイヤーがそのエリアの影響トークンを獲得します。プレイヤーは獲得した影響トークンを使い、自分の予言カードに書かれた方向性へ各エリアの駒を進めていきます。最終的に4つのエリアの方向性が大体決まり、プレイヤー全員の予言カードに書かれているゴールと照らし合わせて、勝利点の一番多いプレイヤーが勝利します。

 遊んでみた感じではプレイ時間も短く、シンプルで良くできているゲームだと思いました。システム的にはちょうど、モルゲンランドイスをシンプルにした感じです。今回初プレイですが、若干感じたのは勝利点を達成する方法がシンプルすぎるかなと思いました。各プレイヤーの予言カードは目的に差違がつけてあるので、序盤で達成不可能になるプレイヤーが必ず出てきます。序盤に出遅れたプレイヤーはどうしてもモチベーションが落ちるかも知れません。あと、個人的にはテーマが取っつきにくいかなと感じました。たぶんアメリカでゲームを遊ぶ若年層にゴス系な人が多いせいだと思うのですが、箱絵をみても、なんのゲームだか判らないし、ダークな感じを見ると一般受けは全くしない感じがします。ゲーム的には分布図のようなグラフの上でプレイヤー同士が綱引きをしている感じなので、恋愛や性格などもっと身近なテーマの方が取っつきやすく出来たのではないかと思います。

ゲーム結果: 
さとー(11点)勝利 ロー(8点) わんこ(8点) ブンケイ(4点) たけるべ(2点)

アールダラードのキャラバン隊(Caravans of Ahldarahd)
マーク・モアヘッド/スコット・リニンゲル (初プレイ・プレビュー)

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 炎の子らと同じくブラインドラック・スタジオの新作です。炎の子らとは違い、こちらはもう少しゲーム向きなテーマ、アラブ(といっても架空の地)の商業キャラバンがモチーフになっているゲームです。このゲームには中心となるゲームボードというのは無くて、各プレイヤーが自分の領地である小さなボードを個別に管理します。このボードと併せて、プレイヤーには左隣の領地への通商権なる物が渡されます。プレイヤーは自分の領地か通商権を持つ領地へ通商路を開き、商品の交易を行っていくのがゲームの目的です。

 プレイヤーはゲーム中、商品カードをプレイすることで通商路を確保することができます。通商路は様々な商品を扱う都市に繋がっていて、都市に繋がる通商路の過半数以上を確保することによって、交易所(たぶんw)を開設することができます。この部分のメカニクスはギュンター・コルネットのカフナと同じです。ただし、このゲームがカフナと全くちがうのは、ゲームの大半は競りによって進行していく所です。商品カードを含め、ほとんどのアイテムは競りを通して手にいれていきます。もちろん、通商路を開設できるのは自分の領地だけではなくて、通商権を持っていれば、他の領地にも開設できるので、カフナよりかなり複雑だと言えるでしょう。最終的に都市に開設されている交易所の数で勝利者が決まるのですが、同じ商品を扱っている交易所を複数開設している方がより勝利点をもらえます。一つの領地に、同じ商品は二つと無いので、必然的に他のプレイヤーの領地へ進出していかなければ、このゲームでは勝てない仕組みになっています。

 今回初めて遊んで感じたのは、非常に”おしい!”と思わせるゲームだなと思いました。というのも、面白そうな要素が沢山詰まっているのだけど、ルールに未整理な部分があると感じるところがあるからです。僕が一番不満を感じるのは通商権の部分です。このゲームでは通商権無しには自分の領地だけでソリテアで遊ぶことになります。そして、この通商権は売却されないかぎり、各プレイヤーは左隣りの領地への通商権しか所持していません。つまり最初のうちは左右のプレイヤーとしかインタラクションが行われず、対面のプレイヤーとは全く交流が無い場合もあります。競りに関しても同じ事が言えるのですが、このゲームではルール上、ゲームプレイのかなりの部分をプレイヤーに委ねています。この他にも、このゲームにはシャー、クイーン、シャメッシュの目という特殊能力を持つキャラクターの恩恵を受けることが出来るのですが、これらの所有権も競りを通じて手に入れます。プレイヤーがこれらの特殊能力を獲得した場合、そのプレイヤーが能力を再度競りにださない限りは、最後まで所有し続けます。もちろん、クイーンとシャメッシュの目の能力は強力なので、プレイヤーは一度手に入れたこの能力を手放すはずがありません。この辺のルールはなんだかなーっと思わせるところです。BGGでもこのゲームに関して、同じような不満を感じているプレイヤーも多いみたいで、ルールの改良案などが提案されています。この状況はちょうどレイルロードダイスが出た時と非常に似ていて、ゲーム自体はユニークでポテンシャルを感じさせるのだけど、すこしルールを変えた方が良いのではないかと、盛り上がっていた時と似ています。 w

 さて、実際のゲームですが僕は序盤に資金難に陥り、2、3ターン全く行動出来ない悪循環に陥りました。何しろ、収入を得るには交易所を開設しないと駄目なんだけど、それをするには競りで商品カードをゲットしなくてはいけなくて、それをするにはお金が無い=なにも出来ない。もう交渉というか物乞いをしてお金を恵んでもらわないと何も出来ない状態でした。 w 他のプレイヤーはどうだったかというと、行動は出来ているのだけど、他のプレイヤーの領地へどんどん進出しているかというと、そうでもないのでやはり最後の方までは資金繰りは大変なんだなと思います。また実際に商品カードの数も少ないのも、活発なやりとりが出来ない要因の一つであると感じました。  最後に、このゲームの感想はあくまで初見です。ゲームでかなり負けていたので、マイナスな印象しか書いていないようですが、もう少し遊べば印象も変わるかも知れません。ただポテンシャルは感じるので、方向性をちょっとだけ修正してやれば、非常に良いゲームになるかも知れません。BGGではフィレンツェの匠風の競りに変えてみたらとか意見が出てますし、通商権を毎ラウンド手番プレイヤーから順番に手に入れていくように変えるだけでも、良くなるような気もします。

ゲーム結果: 
さとー(14点)勝利 たけるべ(13点) ブンケイ(8点) ロー(3点) わんこ(2点)

という感じで、久しぶりに新作や珍しいゲームを皆さんと遊ぶことが出来ました。参加して頂いた皆さん、ありがとうございます。また遊びましょう。 =)

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