久し振りにマークの家でゲーム会。メンバーはマーク、ウエンディー、ポール、そして僕の4人です。マークは3月には全然ボードゲームをしなかったそうで、リハビリも兼ねてサンファン以外は古いゲームを主に遊びました。遊んだゲームはサンファン、キャニオン、トンガボンガ、ニューイングランド、フォームラーモーターレーシング、イーゲルアーゲンです。
まずは期待のプエルトリコカードゲーム、サンファン San Juan です。サンファンは実際にプエルトリコの首都ですが、以前は島の名前がサンファンで町(港)の名前がプエルトリコだったようですね。島全体から町だけに舞台が移り、それによってテーマも町での建築となりました。
プエルトリコと同様、役割と同時にそれに対応するフェイズを選ぶという基本構造は変わりません。目的は建物を12建てることで、建物からの勝利点の合計を競います。プランテーションタイルと入植者がなくなり簡素化されました。生産は建物さえあればできます。一番安かったとうもろこしが無くなり、かわりに銀が一番高い産物として追加されました。産物の価格はランダムに5通りありますが、その順番は変わらないので5巡すればもとにもどります。慣れてきたら、価格の変動のサイクルを覚えていくのが常套手段になるのだろうと思います。
秀逸なのはカードの使い方です。カードは全て建物なのですが、手札のカードは1枚で1ダブルーンです。たとえば6枚持っていて、手札からコスト3の建物を建てる場合には3枚(3ダブルーン)支払いとして捨てなければならないので手札の残りは2枚となります。また、生産時には山札から裏返したカードを生産する建物に置くことで産物を表します。つまり、カードは建物、お金、産物と3通りの役割をするのです。
役割は、建築家 Architect 、生産者 Producer、評議員 Councilor、探鉱者 Prospector、商人 Trader の5種類。英語版では、なぜか生産者がプエルトリコでの Craftsman から Producer に変わってます。ドイツ語版はどうなのでしょうか?気になりますね。これらの役割はほぼプエルトリコと同じです。新しく加わった評議員フェイズでは、各自2枚山札からめくってその中から1枚を選んで手札に加え、もう1枚は捨てます。評議員だと2枚でなく5枚めくってその中から1枚選びます。選ばれなかった役割にお金(この場合はカードですが)を載せることがサンファンではないために、お金(カード)を得る方法を探鉱者と2通りにしたのだと思いますが、この辺はもとのようにお金(カード)を載せるせるほうが面白かったなあと思います。
今回はコスト1で唯一探鉱者フェイズに活躍する建物、鉱山を建てました。これは探鉱者フェイズのたびに山札から4枚めくり、もし4枚のコストが異なっていたらその中から1枚もらえるというものです。かなり最初のほうに建てたのですが、さっぱりあたらず。めくってもめくっても何もらえない状況が続きました。ウエンディーは後から建てたのに何度も当てて、うらやましかったです。
他の変わった建物としてチャペルがあります。毎ラウンド手札から1枚、勝利点1点分としてチャペルカードの下に裏向きに埋めることができます。チャペルへの寄付というわけです。他人に使われたくないカードを埋められることもあって、強力かなあと思うのですが、使うと手札が確実に減るので結構苦しくなりがちです。マークは苦しんでいました。使い方次第だとは思いますが。
プエルトリコのシステムをうまく使いながら、カードゲームとして適度な重さで、かなり面白いです。2回連続でプレイして、ポールが2回とも勝ったと思います。紫色の建物は全部で23種類もあるので末永く色々な戦略が楽しめそうです。
余談ですが、箱の中には鉛筆とスコアシートが入っています。付属のスコアシートを見たのはゴールドラッシュとディギング以来ですね。鉛筆でなく、サンファンオリジナルのボールペンなどだとよかったのになあ、と思いました。
次に、ウエンディーお気に入りのトリックテイキングゲームキャニオン Canyon をプレイ。いわゆるオーヘルにボードが付いたといってしまえばそれまでですが、単純なルールでなかなか楽しめます。手札の枚数がディール毎に変動し、プレイヤーはトリックを取ることと、自分のトリック獲得数を当てることで得点します。得点はボード上の船を進めることによってあらわされ、これが一種のすごろくになっています。コースは幅の狭いところや急流もあり、とくに急流ではトリック獲得数を正確に予測することでしか進めず、進めないと急流に流されてしまいます。あまり流され続けると急流の手前からやり直し。なかなかよくできていますね。今回は相当引き離されて最下位。急流まで到達さえ出来ませんでした。トリックテイクでこんなに負けたのは久し振りです。ウエンディーの勝利。
4人いるので4人でしか出来ないゲームをしようということで持ってきたトンガボンガ Tonga Bonga をプレイ。海洋に浮かぶ5つの島々のうち4つを巡って戻ってくるというレースです。各島を回るたびにキャンプを張って報酬を得ます。自分のキャンプがある島(既に訪れた島)を他のプレイヤーが訪れると、そのプレイヤーの報酬から分け前がもらえます。最初に戻ってきたプレイヤーにも特別報酬があります。これだけだと、ただのレースゲームなのですが、相手プレイヤー3人が出したサイコロの目(船員)で自分の船を進めるというのが斬新です。つまり、自分の3つのサイコロはひとつずつ他の3人のプレイヤーに使われるのです。その分、対応する場所の給料がもらえます。このゲームの目的は早く戻ることではなく一番お金を稼ぐことなので、レースゲームに見えて実はビジネスゲームの要素が高いです。
最初に船員に払う給料を決めます。たくさん置けば、最高値の5の船員が来るかもしれません。そのあと、各自サイコロを3つ振って、それを他の3人のプレイヤーに1つずつ割り当てます。同じ数だと、後からのプレイヤーは押しのけて置く事が出来るので順番の絡みも大切です。またサイコロは1-5の目とゲロでゲロを出してしまうと、船員が船酔いしたことになって置くことができません。まあその分相手が進むこともなくなるのでどっちがいいかというのは状況によりますね。次に、相手の置いたサイコロ3つで自分の船を進め、最後に自分の船員(サイコロ)はそれぞれ給料を得ます。
はじめのうちは多少高く給料を払っても良いサイコロの目を得るのが大事だと思います。島に最初に着くのはかなり有利で25の到着手当の他に、最高で分け前が3人からで15も入ります。合計25-40ですね。これが2番目だと20ー30、3番目だと15-20、4番目だと10です。これによって最初のうちは派手な展開で後半は手堅くなっていくアンティクライマックス(クライマックスに欠ける)な展開になるのが弱点かもしれません。これは庭園などにもいえることだとおもいます。
結構好きなゲームなのですが、「相手のサイコロ3つで進む」というルールのため、4人でないとうまく機能しないようです。一応3人ルールもあって一度だけ試しましたが、やはり4人専用ゲームの感がありますね。
続いてニューイングランド New England 、4人専用ゲームの第2弾です。これも一応3人で出来るのですが、3人だとあまりにもボードが広々としすぎて面白みに欠けます。舞台は1621年、イギリスからの移民(ピューリタン)が現マサチューセッツ州にあるプリマスに村を開拓していきます。プレイヤーは移民の家族となって土地を耕し、得点を重ねていきます。僕自身が以前、ニューイングランド地方、それもこのボードに書かれているプリマスの石からそう遠くないところに住んでいたので、そういういみでは愛着のあるテーマです。
場には毎回9枚のカードとタイル(それぞれ3-6枚ずつで合計9枚となる)が並んでいます。これらを一種のオークションで得るわけですが、得たものは即座にプレイしなければなりません。タイルは3種類の農地を表し、自分の同種のタイルにつなげてエリアを広げていきます。カードは、ある種類の農地が2-4タイル分描かれているものと、ピルグリム、小屋、船などのスペシャルカードがあって、どれも得ると得点になります。
農地のカードは自分の同種の農地が開拓できるときに限って買うことが出来ます。開拓するためには、カードに描かれている形に、未開拓の農地タイルが既にボード上に置かれていなければなりません。買った後、農地を開拓し(タイルを裏返す)カードに書かれた分だけ得点します。カードは2-4タイル分の農地が描かれていますが、3タイル分の農地には一直線のものとL字型のものがあって、自分の土地がその形でないと使うことはできません。実はこのゲームには、プレイヤーが農地を未開拓のまま当てはまる形で持っているかを確認するのが目的という、なんとも不必要なマーカーが付いてきます。ルール上では、誰かがカードを買ったときにカードに描かれた形通りに該当するタイルにマーカーを置いて確認(!)、そしてその後マーカーを取り除いてタイルを裏返すらしいですが、使う人はいるのでしょうか?ボードゲームギークのリストで 「不要な付属品があるゲーム (Games with unnecessary pieces) 」というのがありますが、見事にニューイングランドも載っています。
スペシャルカードのほうはそれぞれピルグリム、小屋、船を自分の未開拓の土地に置いて、収入増加、カードを将来のために保存、購買時にカードをめくる、などの特権が得ます。ただし、それらのコマがある間、その土地は開拓できないというジレンマがあります。置いたピルグリムや船はいつでも他の未開拓の土地に移せるので、それほどのジレンマではありませんが。
さて、メインとなる変形オークションですが、競りではないです。スタートプレイヤーから順に場にある1-10のコインを単に取ります。このコインはプレイヤーの手番の順番を表すとともに、タイル・カード1つの値段をも表します。よって、欲しいタイル・カードがあるときには他の人よりも先に手番が欲しいので高いコインを取りたいのですが、そうするとタイル・カードの単価が高くなってしまいます。シンプルながらうまくジレンマを生み出しています。なお、いくら払っても買えるのは2枚までです。
ニューイングランドは2004年のアメリカのゲームズ・マガジン Games Magazine のゲーム・オブ・ザ・イヤー Game of the Year を取っており、前評判はなかなかでした。実際にプレイすると、決して悪くはないのですが、ちょっとあっさりしすぎているような気がします。今回で3回目ですが、8-10のコインが取られたことはありません。コインを取ったら、隣のコインを無効にする位のルールがあっても良いかもしれません。あと、ピルグリム、小屋、船、などが、いつでも移動可能というのはスパイスに欠けていると思います。もう少し制限があっても良かったのでは。タイルかカードが尽きたらサドンデスというのもあっさり感を強めています。
なお、各タイルの構成表は必需だと思います。ボードゲームギークからダウンロードできます。余計なマーカーを入れるくらいだったら、構成表を入れて欲しかったですね。
続けてプレイしたフォーミュラーモーターレーシング Formula Motor Racing はクニツィアのなかではかなり軽めのカードゲームです。まあ完全に直接攻撃できる部分が多々あるのでそういう意味では向かないプレイヤーも多いと思います。ある程度真ん中にいて、カードを調節し、最後に一気に抜くという面白さはちゃんと出ていますね。
最後に、ドリス、マテウスの古いすごろくバリアントのハリネズミ怒る Igel Ärgern。マークとウエンディーのお気に入りのすごろくです。疲れていてもできるので締めくくりにプレイすることが多いですね。今回も半日たっぷりと遊びました。
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