トムチューブ

   先日、クロンベルガーシュピーレ社の”Tom Tube”(トムチューブ)を遊ぶ事が出来ました。クロンベルガーシュピーレは名前の通りあの”クロンベルグ”を出した会社で、トムチューブはこの会社の記念すべき処女作です。クロンベルガーシュピーレはなぜか菱形のタイルに執着があるようで、このゲームも菱形のタイルからなっています。このゲームを手に入れてまず思ったのは、クロンベルガーシュピーレは小さなメーカー(個人メーカー)、しかも初めてのゲームでありながらきちっとしたパッケージングをする会社だなと感じました。箱はコスモスの二人用シリーズの物より少し大きくしたぐらいのサイズで、作りがしっかりしていて、デザインも合格点の出来です。コンポーネントであるボードもしっかりした物で、タイルは若干薄い気がしましたが(これはあとでぶ厚いと都合が悪いということが判った)これも合格点です。そして、かなりうれしいのは、ルールがドイツ語と英語の二つが初めから入っていることです。

  トムチューブは二人用の宇宙を舞台にしたタイル配置+レースゲームです。タイトルのトムは二人のプレーヤーが受け持つキャラクターの一人の名前で、もう一人はデイブと言いますが彼はなぜかタイトルに含まれていません。w トムとデイブは自分の基地の反対側に位置している二つソーラー基地よりソーラーカウンターを回収し無ければなりません。ソーラー基地までの道のりはタイルを捲り、ボードに配置していきます。タイルの裏には赤色、オレンジ色、縞模様と三種類のチューブ(道)が描かれていて、各のプレーヤーは担当している色と合っていないとそこを通ることは出来ません。縞模様の道は両方のプレーヤーが行き来することができるニュートラルな通路です。このゲームではボード上に空いているスペースがあればチューブを繋げなくてもドンドンタイルを置いてゆけます。プレーヤーはタイルを置くか自分の駒を動かすかの二つの選択しかありません。自分の駒を動かす場合チューブの先の中継地点が完成していないとそこへ移動することが出来ません。中継地点はタイルが合わさってできる円形をした節目です。この中継地点を完成させると、条件によってコントロールカウンターかエイリアンカウンターが出現します。そのほかにも比較的簡単に出現するエネルギーカウンターというのもあり、プレーヤーは道筋で止まりこれらを回収していきます。カウンターは最後の得点計算の時にVPにもなりますが、ゲーム中に使用することもできます。青のコントロールカウンターを1個消費すると、本来行き来することができない相手プレーヤーの色のチューブを移動することができます。黄色のエネルギーカウンターは移動先へチューブが存在し無くても、タイルの際(辺)が繋がっていれば、その際(辺)一つ分をワープして移動することが出来ます。緑のエイリアンカウンターはコントロールカウンター1個とエネルギーカウンター2個に交換することができます。これらのカウンターをうまく回収し使用して最短距離でソーラーカウンターを素早く回収するのです。ゲームはボード上にタイルが全部置かれるか、一人のプレーヤーが2つのソーラーカウンターを自分の基地に回収した時点で終わります。ゲームが終了した時点で相手プレーヤーはソーラーカウンターの有無に関わらず、基地に帰還しないと行けません。その際に基地まで手順がいくつ掛かるか数えます。タイルが全部置かれていた場合はこの数はカウントされないのですが、相手プレーヤーが2つのソーラーカウンターの回収に成功して終了した場合、この数が相手プレーヤーの得点に加点されます。そして最後にソーラーカウンター、エネルギーカウンター、コントロールカウンター、エイリアンカウンターの得点を計算して、数の多い方のプレーヤーの勝ちです。

  僕はこのゲームを5回プレイしたのですが、最初のうちはコントロールカウンターとエイリアンカウンターがなかなか出てきませんでした。というのは双方のプレーヤーが意図的にこれらのカウンターが出現する中継地点を作らなければないので、レースや妨害に集中するあまりに、配置に気を配る余裕が無かったのです。ですから最初のうちはエネルギーカウンターしか無く、ワープを多用するばかりで、相手のチューブを移動することはありませんでした。二人でこれって何となくバランスが悪くないか?と思ったぐらいです。 w しかし、ヤリ込んでいくにつれてコントロールカウンターやエイリアンカウンターが増えていきました。エイリアンカウンターはソーラーカウンターと同じ+5点なので時にはソーラーカウンターを取りに行くより良い場合があるのです。このゲームで戦略的に一番大事なのはいつ自分の基地を出発するかというところです。タイルが配置されていない時点ではコースがもちろん無いので、移動も出来ません。しかしソーラーカウンターまでの道筋を確保してから移動したのでは、相手がもうスタートしていた場合、道中の資源が回収されてしまっていたりして不利になります。またコースを如何に真っ直ぐに配置するかというのも大きなポイントです。駒は移動するときに本来は中継地点から中継地点までの移動しか出来ないのですが、その中継地点を結ぶチューブが真っ直ぐな場合はそこを通り越して次に行くことができるのです。ですから、相手にはそういった直線の配置もさせないように相手をブロックする形でタイルを配置する場合もあります。この辺の妨害、移動、タイル配置の見極めが出来るとゲームが俄然面白くなってきます。

  ということで、クロンベルグも面白かったのですが、このトムチューブも同じくらいに楽しく遊べました。僕自身はあまりレースゲームは好きな方では無いのですが、タイル配置ゲームは好きなので、その両方の要素を含むこのゲームは結構遊べると感じました。価格も安いですし、割としっかりしたゲームなので、値段分以上の価値は十分あると思いました。若干不満があるといえば、コンポーネントの選択ぐらいかな?一つはタイルの厚みに関してなのですが、これは薄い感じがします。これは推測なのですが、ボードの基地の部分は最初から中継基地が2個ずつ出ています。ここにタイルを置いていく訳ですが、基地側にはもちろんタイルを置けません。そこで置いてある部分と置けない部分に段差が出来きるので、この上に駒を置くと段差の上なので傾いてしまいます。タイルが厚いとこの段差も大きくなるので厚いタイルは無理なのかな?っと思います。もちろん経費節減がメインだとは思うのですが、この段差の部分がプレイしていてかなり気になりました。あとはソーラーカウンターのサイズが駒より小さいってのもちょっと気になりました。回収したソーラーカウンターはそれを持って帰還するわけで、移動の際には駒の下に置きたくなります。でもソーラーカウンターの方が小さいので駒をのせるとバランスが悪くてすぐ倒れてしまいます。駒はタイルの継ぎ目を移動していくので、全体的にこの駒のバランスの悪さが気になって仕方ありませんでした。 w クロンベルグの方は重なり合う部分がちょうどカットしてあるので問題無いのですが、デザイン上しょうがないのでしょう。それ以外はグーですよー。

結論、クロンベルガーシュピーレのゲームはすべて好感触!(とりあえず)

tomtube_031129.jpg

コースが完成していくと大変美しくなります。

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